小説
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祀る
祖先・星・月を敬って祭祀を行う。
lúin áura álmar, émbelimor fóndar némores.
読み:ルーイン アウラ アルマル、エンベリモル フォンダル ネーモレス。
| lúin | áur-a | álmar, | émbel-imor | fóndar | némor-es. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | 祀る-<我々が> | 源<対格> | <我々>-<属格> |
「白月が昇ると、我々は我らの始祖を祀る。」
白月の満月の夜に祖先を祀る習わしを述べた文。fóndar は重性なので、目的語になっても主格と同じ形のまま。所有者を表す属格 némores は名詞の後ろに置く。lúin の節は主節の前に来る。
lúin áura álmar, émbelimor aursárais.
読み:ルーイン アウラ アルマル、エンベリモル アウルサーライス。
| lúin | áur-a | álmar, | émbel-imor | aursár-ais. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月 | 祀る-<我々が> | 祖先-<〜たちを> |
「白月が昇ると、私たちは祖先を祀る。」
白月の満月の夜に祖先を祀る習わしを言う文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。aursár は人を指すので軽性の子音語幹で、複数対格は -ais。祖先は「数えない」ものなので、数詞をつけず複数でひとまとまりに言う。
émbelau véiranau aursárais.
読み:エンベラウ ヴェーラナウ アウルサーライス。
| émbel-au | véiran-au | aursár-ais. |
| 祀る-<双数> | 夫婦-<双数> | 祖先-<〜たちを> |
「夫婦は祖先を祀る。」
双数の véiranau は、数詞 dáu をつけなくても「ひと組の夫婦」を表す。夫婦は、双数がとくに好まれる組み合わせの一つ。双数の動詞の語尾 -au は、人称も性も区別しない。
lúin áura álmar, émbelimor aursárais.
読み:ルーイン アウラ アルマル、エンベリモル アウルサーライス。
| lúin | áur-a | álmar, | émbel-imor | aursár-ais. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | 祀る-<我々が> | 祖先-<〜たちを> |
「白月が昇ると、我々は祖先を祀る。」
家々の祖先祀りを説明する文。白月は見守る祖先のまなざしの象徴とされ、満ちた夜に祖先を祀る。lúin の節は主節の前に置く。月は軽性なので、動詞は -a で受ける。
dúla dulána an álmarei, émbela aldár áuren.
読み:ドゥーラ ドゥラーナ アン アルマレイ、エンベラ アルダール アウレン。
| dúl-a | dulána | an | álmar-ei, | émbel-a | aldár | áur-en. |
| 下る-<(軽いものが)> | 流れ星<主格> | 上手 | 白月-<与格> | 祀る-<(軽いものが)> | 座<主格> | 昇る-<〜した・〜された> |
「白月の上手に流れ星が下る。高き座が祀りを行う。」
年代記の流れ星の項の書き方。年代記は直説法の短い文を並べ、主節のあいだには区切りの印を打つ。星の位置は指さしの代わりに、an álmarei「白月の上手に」のように月との位置関係で示す。時制の語形はないので、過去の出来事でも直説法の形のままで書く。王は総称の aldár áuren「高き座」で書く。
émbelan faronárai krámbo.
読み:エンベラン ファロナーライ クランボ。
| émbel-an | faronár-ai | krámbo. |
| 祀る-<彼らが> | 運び人-<〜たちが> | 崖山羊<対格> |
「運び人たちは崖山羊を祀る。」
崖道の運び人の信仰を述べる文。krámbo は動物なのに重性o語幹に属する古い語で、主格と対格が同じ形になる。そのため、目的語だとわかるのは VSO の語順(動詞のすぐ後ろの faronárai が主語)による。
lúin émbelimor aursárais, flúunimor nóumo.
読み:ルーイン エンベリモル アウルサーライス、フルーニモル ノーモ。
| lúin | émbel-imor | aursár-ais, | flúun-imor | nóumo. |
| とき | 祀る-<我々が> | 祖先-<〜たちを> | 清める-<我々が> | 顔<対格> |
「祖先を祀るとき、我々は顔を清める。」
lúin の節を主節の前に置いている。祀りのための清めは、ふつう軒で集めた雨水で行う。体の部分 nóumo「顔」は重性o語幹なので、対格も同じ形になる。
lúin áura álmar, embeléimor aursárais.
読み:ルーイン アウラ アルマル、エンベレーモル アウルサーライス。
| lúin | áur-a | álmar, | embel-é-imor | aursár-ais. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | 祀る-<〜だろう>-<我々が> | 祖先-<〜たちを> |
「白月が昇ったら、我々は祖先を祀ろう。」
満月の夜に祖先を祀る習わしについての、家の中の会話。lúin の節は主節の前に置く。推量法の -él- は、1人称の語尾 -imor の前で l が落ちて -é- になる。強勢が接尾辞に移るので、語根の ´ は消える。
émbelau ráuvan si kelár aursárais.
読み:エンベラウ ラウヴァン シ ケラール アウルサーライス。
| émbel-au | ráuvan | si | kel-ár | aursár-ais. |
| 祀る-<双数> | 森の巫<主格> | と | 伐る-<〜する人・主格> | 祖先-<〜たちを> |
「森の巫と樵が祖先を祀る。」
祖先を祀る祭祀を述べる文。単数の名詞を si で二つ並べているので、動詞は双数の -au になる。双数の動詞は人称も性も区別しない。
tóran ólmarai an aurándo, émbelan aursárais.
読み:トーラン オルマライ アン アウランド、エンベラン アウルサーライス。
| tór-an | ólmar-ai | an | aurándo, | émbel-an | aursár-ais. |
| 来る-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 上手 | 社<対格> | 祀る-<彼らが> | 祖先-<〜たちを> |
「年長者たちは上手の社へやって来て、祖先を祀る。」
儀礼について述べる文。白月の満月の夜の祖先祀りなどで使う言い方。aurándo は áur-「昇る」+-ándo「〜する所」から来た語で、「昇る所」を表す。重性o語幹なので、対格は主格と同じ形になる。an+対格で「上手へ」を表す。後半の節は主語を言わず、動詞の語尾から前半と同じ年長者たちが主語だとわかる。
lúin áura álmar or dún, émbelan ólmarai aursárais.
読み:ルーイン アウラ アルマル オル ドゥーン、エンベラン オルマライ アウルサーライス。
| lúin | áur-a | álmar | or | dún, | émbel-an | ólmar-ai | aursár-ais. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | 日の出側 | 丘<対格> | 祀る-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 祖先-<〜たちを> |
「白月が丘の日の出側に昇ると、年長者たちは祖先を祀る。」
天体の位置を言う決まった言い方。星や月は指さしてはいけないので、よく知られた目印と方向の前置詞で位置を示す。or+対格で「〜の日の出側へ」を表す。lúin で始まる時の節は主節の前に置く。
émbelan ólmarai aursárais órunei.
読み:エンベラン オルマライ アウルサーライス オールネイ。
| émbel-an | ólmar-ai | aursár-ais | órun-ei. |
| 祀る-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 祖先-<〜たちを> | 日の出-<与格> |
「年長者たちは日の出の時刻に祖先を祀る。」
時刻を言う文。前置詞のない与格 órunei で、「日の出の時刻に」「明け方に」を表す。年代記で、出来事が明け方に起きたことを書くときにも、この与格を使う。
drénimor an ánoran ré embeléndimor aursárais.
読み:ドレーニモル アン アーノラン レー エンベレンディモル アウルサーライス。
| drén-imor | an | ánor-an | ré | embel-énd-imor | aursár-ais. |
| 参る-<我々が> | 上手 | 上手・北-<対格> | <〜と(節)> | 祀る-<〜しますように>-<我々が> | 祖先-<〜たちを> |
「我々は、祖先を祀るために北の高みへ参る。」
北の高みの納骨所へ向かうときの言い方。drén- は「行く」の謙譲の補充形で、聖地に向かう行いを低めて言う。ré+願望法で目的を表す。an ánoran は「上手の北の地へ」で、前置詞と名詞が同じ方向を重ねて表している。
émbela ólmar houmíño aursárail.
読み:エンベラ オルマル ホウミーニョ アウルサーライル。
| émbel-a | ólmar | houmíño | aursár-ail. |
| 祀る-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 椀<対格> | 祖先-<〜らに> |
「年長の方は、(恵みの)椀を祖先に供する。」
祖先祀りの場面。houmíño は供えられる食物そのものを指す詩的用法。aursár(「昇った者=祖先」)は複合名詞として1語の語根で、複数与格語尾 -ail が付く。動詞は主語の年長者(人・軽性)に一致。炉の北側の座から火のうえへ置く行為の婉曲な言い方。
捧げる
詩や祈りの言葉を祖先に捧げる。
dulémbelim virán aursárail.
読み:ドゥレンベリン ヴィラーン アウルサーライル。
| dul-émbel-im | vir-án | aursár-ail. |
| <〜させていただく>-捧げる-<私が> | 言葉-<対格> | 祖先-<〜らに> |
「ご先祖さまに、言葉を捧げさせていただきます。」
祖先を祀る場で詩を捧げるときの前置き。謙譲の du- は母音の前で dul- になる。捧げる相手は与格で表す。
lúin hóinan faronárai, émbelan virán aursárail.
読み:ルーイン ホイナン ファロナーライ、エンベラン ヴィラーン アウルサーライル。
| lúin | hóin-an | faron-ár-ai, | émbel-an | vir-án | aursár-ail. |
| とき | 帰る-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> | 捧げる-<彼らが> | 言葉-<対格> | 祖先-<〜らに> |
「運び人たちは帰ってくると、祖先に言葉を捧げる。」
崖道から戻った者が、改まった言葉を祖先に捧げる習わしを説明する文。後半の主語は前半と同じなので言わない。
祖先や星を敬って祀る。白月の満月の夜の祖先祀り、二つの月が重なる夜の宮廷の祀り、家の炉での祀りなどに使う。対格で祀る相手をとる(émbelan aursárais「祖先たちを祀る」)。詩や祈りの紙を捧げる行為にも広がる。
他動詞。完了語根 éembel-(e→ee)。母音で始まるので、尊敬形は aurémbel-、謙譲形は dulémbel-(「祀らせていただく」)。
語源未詳。古い祭祀の語。
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