小説
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怒る
人や祖先が怒る、憤る。相手は与格で示す。
es pós grúunes?
読み:エス ポース グルーネス?
| es | pós | grúun-es? |
| 〜のゆえに | 何<属格> | 怒る-<あなたが> |
「なぜ怒っているのか。」
es pós「何から」は「どこから」と「なぜ」の両方を表す。理由を出どころとしてとらえる言い方。目上の人にじかに「なぜ」と尋ねるのは子どもっぽく失礼とされるので、この問いは同輩か目下にだけ使う。目上には推量法で事柄だけを尋ねる。
es pós grúunes?
読み:エス ポース グルーネス?
| es | pós | grúun-es? |
| から | なぜ<属格> | 怒る-<あなたが> |
「なんで怒ってるんだ?」
es pós は文字どおりには「何から」で、理由を「出どころ」として尋ねる。同じ言い方で「どこから」も表すが、この文では動詞の意味から理由の問いだとわかる。目上の人に「なぜ」と尋ねるのは子どもっぽく失礼なので、同じ段か目下の相手にだけ使う。
mé tául méldo, gruunéla zímbra.
読み:メー タウル メルド、グルーネーラ ジンブラ。
| mé | tául | méldo, | gruun-él-a | zímbra |
| <禁止・願いの打ち消し> | 取る<命令法><あなたが> | 蜜<対格> | 怒る-<〜だろう>-<(軽いものが)> | 蜜蜂<主格> |
「蜜を取るな、蜂が怒るぞ。」
子どもや仲間に向けたくだけた禁止。禁止は「mé+命令法」で言う。後半は推量法で「〜だろう」を表す。推量法の -él- に強勢が移るので、語根の長母音 uu の ´ は消える。
bruumíre kelár, mé grúun.
読み:ブルーミーレ ケラール、メー グルーン。
| bruum-ír-e | kel-ár, | mé | grúun. |
| 転ぶ-<もし〜なら>-<(軽いものが)> | 伐る-<〜する人・主格> | <禁止・願いの打ち消し> | 怒る<命令法><あなたが> |
「樵が転んでも、怒るな。」
凍った坂道や森の道での日常の文。条件の節は接続詞を使わず、動詞を仮定法にするだけで作る。仮定法の3人称単数・軽性は -e で終わる(bruumíre)。人は軽性なので、樵には軽性の形を使う。禁止は「mé+命令法」で、grúun はむき出しの語幹。
grúuna houmár némei.
読み:グルーナ ホウマール ネーメイ。
| grúun-a | houmár | ném-ei. |
| 怒る-<(軽いものが)> | 家の主<主格> | <私>-<与格> |
「家の主が私に怒っている。」
日常の言い方。怒りを向ける相手は与格で示す。主語の houmár は人なので、動詞は軽性の -a をとる。時制がないので、「怒った」とも「怒っている」とも訳せる。
viríres lúdro, gruunélan aursárai tásei.
読み:ヴィリーレス ルードロ、グルーネーラン アウルサーライ ターセイ。
| vir-ír-es | lúdro, | gruun-él-an | aursár-ai | tás-ei. |
| 言う-<もし〜なら>-<あなたが> | 嘘<対格> | 怒る-<〜だろう>-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | <あなた>-<与格> |
「嘘をつけば、ご先祖様がお前にお怒りになるだろう。」
年長者が子どもを戒めるときの言い方。条件は接続詞を使わず、仮定法で表す。帰結の部分は推量法になる。法の接尾辞 -ír-・-él- は強勢をもつので、語根の ´ は消える(grúun- → gruunélan)。
ésa séulin némes náum, na grúuna.
読み:エーサ セウリン ネーメス ナウン、ナ グルーナ。
| és-a | séulin | ném-es | náum, | na | grúun-a. |
| いる-<(軽いものが)> | 友<主格> | <私>-<属格> | 穏やかな | <〜ない> | 怒る-<(軽いものが)> |
「私の友は穏やかな人で、怒ることがない。」
人柄を言う日常の文。後半の主語は言っていないが、動詞の語尾 -a から、前半と同じ友が主語だとわかる。時制がないので、習慣としての「怒らない」の意味になる。
þundéla senár grúndo, na gruunéimor.
読み:スンデーラ セナール グルンド、ナ グルーネーモル。
| þund-él-a | sen-ár | grúndo, | na | gruun-é-imor. |
| 決着をつける-<〜だろう>-<(軽いものが)> | 見る-<〜する人・主格> | 掛け<対格> | <〜ない> | 怒る-<〜だろう>-<我々が> |
「目付が掛けの決着をつけてくれよう。そうなれば我々も腹を立てずにすむ。」
市で言い争う二人をなだめるときの、並びの話し方。senár は軽性なので、動詞は軽性の -a をとる。後半の推量法は na で否定し、1人称の語尾の前では -él- の l が落ちる。
na ésa fírna dunémes séuril, mé augruunénde aurél.
読み:ナ エーサ フィルナ ドゥネーメス セウリル、メー アウグルーネンデ アウレール。
| na | és-a | fírna | duném-es | séuril, | mé | au-gruun-énd-e | aurél. |
| <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 書きぶり<主格> | 手前-<属格> | 美しい | <禁止・願いの打ち消し> | <お〜になる・御〜>-怒る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | あの方 |
「手前の書きぶりは拙うございますが、どうかお気を悪くなさいませぬよう。」
目上の人へ送る手紙の結びの決まり文句。前半では自分の書きぶりをへりくだる。後半は上向きの話し方なので2人称を使わず、相手を aurél「あの方」と3人称で言い、動詞に尊敬の au- をつける。禁止の mé は願望法と組み、強勢は願望法の -énd- に移る。
grúuno ráuvo.
読み:グルーノ ラウヴォ。
| grúun-o | ráuvo. |
| 怒る-<(重いものが)> | 森の氏族<主格> |
「森の氏族が怒っている。」
炉ばたでの日常会話。森そのものではなく、森の氏族・領分を換喩で指す。集団を単数として扱う。
うなる
獣や強い風が低い音を立てる。
grúuna dráun téndoi.
読み:グルーナ ドラウン テンドイ。
| grúun-a | dráun | ténd-oi. |
| うなる-<(軽いものが)> | 狼<主格> | あそこ-<与格> |
「「あそこで狼がうなっている。」」
森で獣の声を耳にしたときの言い方。獣は軽性なので、動詞は -a をとる。「怒る」と同じ動詞を使い、獣が低い声を立てることを言う。
lúin grúuno duléumo, mé gélir du orén.
読み:ルーイン グルーノ ドゥレウモ、メー ゲーリル ドゥ オレーン。
| lúin | grúun-o | duléumo, | mé | gél-ir | du | orén. |
| とき | うなる-<(重いものが)> | 下の風<主格> | <禁止・願いの打ち消し> | 行く-<皆で〜せよ> | 下手 | 縁<対格> |
「下の風がうなるときは、皆、縁のほうへ行くな。」
崖の上の番人や運び人の間での戒め。duléumo「下の風」は重性o語幹なので、動詞は重性の -o をとる。軽性の léuma「風」なら grúuna になる。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。禁止は「mé+命令法・複数」。
怒る、憤ることを表す。もとは獣や風が低くうなることを言う語。誓いを破った者に対する祖先の怒りも、この語で言う。怒りの向かう相手は与格。改まった場で目上の人が怒っていることを言うときは、尊敬形 augrúun- を使い、「お心を曇らせる」のような遠回しな言い方を添える。
完了語根 grúuns-(長母音の語根なので -s- を足す)。相手は与格。尊敬 augrúun-、謙譲 dugrúun-。
古高原語 *grúun- から(もとは獣や風の低い唸りを表す擬音語)
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