小説
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市
売り買いをする市場。
gélim du kéndor.
読み:ゲーリン ドゥ ケンドル。
| gél-im | du | kéndor. |
| 行く-<私が> | 下手 | 市<対格> |
「(坂を下って)市へ行く。」
湖都では市場が丘の下の湖のほとりにあるので、市へ行くときは du「下手へ」で言う。高原語には方向を決めない「〜へ」がない。kéndor は重性の子音語幹なので、対格は主格と同じ形になる。
ké tóres es kéndoros? tórim.
読み:ケー トーレス エス ケンドロス?トーリン。
| ké | tór-es | es | kéndor-os? | tór-im. |
| <〜か> | 来る-<あなたが> | から | 市-<属格> | 来る-<私が> |
「「市から来たのか?」「来た。」」
二人の発話。同じ段どうしか、目上から目下へのくだけた問いで、はい・いいえを問う ké を文のいちばん前に置く。高原語には「はい」がないので、答えは動詞を自分の人称にして繰り返す。重性の kéndor の属格は -os になる。
trúno fáron sáunin un kéndoroi.
読み:トルーノ ファーロン サウニン ウン ケンドロイ。
| trún-o | fáron | sáun-in | un | kéndor-oi. |
| 転がる-<(重いものが)> | 荷<主格> | 良い-<〜して・〜く> | 内に | 市-<与格> |
「荷が市の中でうまく回る。」
市や取引の場で、商いが順調に進むことを「荷がうまく転がる」と言って表す。形容詞 sáun に -in をつけて「よく・うまく」の意の副詞を作る。un+与格で「〜の中で」。
ké ráuman faronárai drúnoroi es orénos du kéndor?
読み:ケー ラウマン ファロナーライ ドルーノロイ エス オレーノス ドゥ ケンドル?
| ké | ráum-an | faron-ár-ai | drúnor-oi | es | orén-os | du | kéndor? |
| <〜か> | 歩く-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> | 縁の石段道-<与格> | から | 縁-<属格> | 下手 | 市<対格> |
「運び人たちは、縁の石段道を、縁から市まで歩いているのか。」
日常の問いかけ。faronárai は faronár の複数。drúnor は重性子音語幹として与格単数 drúnoroi を取る。 ráum-「歩く」は道・経路を裸の与格で取るため un は用いない。 es orénos du kéndor が両端を指定することで、縁の石段道をひと続きの区間として指す用法を示す。
縁の市
kéndor orénos の形で、崖の麓に乾風期だけ立つ高原と干潟の市。
vandésa grúndo kéndoros orénos.
読み:ヴァンデーサ グルンド ケンドロス オレーノス。
| vand-és-a | grúndo | kéndor-os | orén-os. |
| 量る-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 掛け<対格> | 縁の市-<属格> | 縁-<属格> |
「縁の市の掛けは、量って(精算して)おくべし。」
度量衡の碑に刻まれた市の決まりを思わせる、当為法の文。主語を言わないので一般の人が主語になり、軽性の形をとる。kéndor orénos で「縁の市」を表し、ここでは grúndo「掛け」にかかる属格になっている。
lúin dúlo gandér du dálor, drénimor du kéndor orénos.
読み:ルーイン ドゥーロ ガンデール ドゥ ダーロル、ドレーニモル ドゥ ケンドル オレーノス。
| lúin | dúl-o | gandér | du | dálor, | drén-imor | du | kéndor | orén-os. |
| とき | 下る-<(重いものが)> | 硬木<主格> | 下手 | 下の国<対格> | 参る-<我々が> | 下手 | 縁の市<対格> | 縁-<属格> |
「硬木が下の国へ下りるころ、私どもは縁の市へ下って参ります。」
崖道の商人が目上の人に、最初の下ろしのころに市へ出ることを告げる言い方。「行く」の謙譲の補充形 drén- を使う。縁の市は崖の麓にあるので、かならず du で言う。lúin の節は主節の前に置く。
þundésa senár grúndo kéndoros orénos.
読み:スンデーサ セナール グルンド ケンドロス オレーノス。
| þund-és-a | senár | grúndo | kéndor-os | orén-os. |
| 裁く-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 目付<主格> | 掛け<対格> | 縁の市-<属格> | 縁-<属格> |
「目付は縁の市の掛け(の揉め事)を裁くべし。」
碑文の文体の当為法。碑文や法典では、役職を au- をつけずに一般の名として書く。senár は軽性なので、当為法の動詞も軽性の -a をとる。
lísa lisár dulfáron kéndoros orénos.
読み:リーサ リサール ドゥルファーロン ケンドロス オレーノス。
| lís-a | lisár | dulfáron | kéndor-os | orén-os. |
| 書く-<(軽いものが)> | 帳付け<主格> | 下ろし荷<対格> | 縁の市-<属格> | 縁-<属格> |
「帳付けが縁の市の下ろし荷を書きつける。」
商家や市で帳簿をつける者を言う文。帳簿の見開きの片側には下ろし荷を、もう片側には上げ荷を書く。dulfáron は重性で、対格は主格と同じ形。
物を売り買いする市。都の湖のほとりの市場も指すが、とくに乾風期に崖の麓に立つ『縁の市』kéndor orénos を言う。市は段に乗らない場とされ、くだけた取引言葉が飛び交う。
重性・子音語幹。属 kéndoros、与 kéndoroi、複 kéndorul。
古高原語 *kéndor から
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