小説
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樹脂
脂の木からとる樹脂。
ésa pélsa sé gléin, táula kelár pelsó éles.
読み:エーサ ペルサ セー グレーン、タウラ ケラール ペルソー エーレス。
| és-a | pélsa | sé | gléin, | tául-a | kel-ár | pelsó | él-es. |
| いる-<(軽いものが)> | 脂の木<主格> | この<軽性> | 清い | 取る-<(軽いものが)> | 伐る-<〜する人・主格> | 樹脂<対格> | <3人称単数・軽性>-<属格> |
「この脂の木は清い。樵はその樹脂を採る。」
立ち木から樹脂を採る話。立ち木なので、pélsa を受ける繋辞も代名詞も軽性の形になる(ésa、éles)。樹脂 pelsó は重性o語幹の名詞で、主格と対格が同じ形になる。主節を二つ並べるので、あいだに区切りの印を打つ。
táula kelár pelsó es pélses.
読み:タウラ ケラール ペルソー エス ペルセス。
| tául-a | kel-ár | pelsó | es | péls-es |
| 取る-<(軽いものが)> | 伐る-<〜する人・主格> | 樹脂<対格> | から | 脂の木-<属格> |
「樵が脂の木から樹脂をとる。」
pelsó は pélsa「脂の木」に、重いものを表す -ó がついてできた重性o語幹の名詞で、主格と対格が同じ形になる。樹脂をとるのは生えている木からなので、pélsa は軽性の属格 -es のままになる。
dúlo pelsó du orén.
読み:ドゥーロ ペルソー ドゥ オレーン。
| dúl-o | pelsó | du | orén |
| 下る-<(重いものが)> | 樹脂<主格> | 下手 | 縁<対格> |
「樹脂が縁へと下りていく。」
乾風期に、下ろし荷として樹脂が崖の下へ運ばれることを言う文。樹脂は重性なので、動詞は -o をとる。du+対格で「下手へ」。orén も重性なので、対格は主格と同じ形になる。
duméiran kelárai meiró pelsós aldárei áurenei.
読み:ドゥメーラン ケラーライ メイロー ペルソース アルダーレイ アウレネイ。
| du-méir-an | kel-ár-ai | meiró | pels-ós | aldár-ei | áur-en-ei. |
| <〜させていただく>-与える-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> | 貢ぎ物<対格> | 樹脂-<属格> | 座-<与格> | 昇る-<〜した・〜された>-<軽性・与格> |
「樵たちは、高き座に樹脂の貢ぎ物を献上する。」
森の氏族が王に産物を納めることを述べる文。差し出す側を低める謙譲の du- を動詞につけ、受け手の「高き座」は与格で表す。分詞 áurenei は aldárei(軽性・単数・与格)に一致する。同じ meiró でも、受け手が王なら「貢ぎ物」、倉なら「税」と訳し分ける。
liníþa andaulóura pelsó.
読み:リニーサ アンダウローラ ペルソー。
| liníþ-a | andaulóura | pelsó |
| 塗る-<(軽いものが)> | 祖母<主格> | 樹脂<対格> |
「祖母は(継ぎ目などに)樹脂を塗っている。」
日常の作業の文。主語は人なので動詞は軽性・3人称単数の語尾 -a を受ける。目的語には塗るものを取り、被塗布面や対象は文脈で省略する。
ピッチ
樹脂を煮つめた目止め用の黒いもの。
éso pelsó kúulen dréum.
読み:エーソ ペルソー クーレン ドレウン。
| és-o | pelsó | kúul-en | dréum |
| いる-<(重いものが)> | ピッチ<主格> | 煮る-<〜した・〜された> | 黒い |
「煮つめた樹脂、つまりピッチは黒い。」
pelsó は、樹脂を煮つめて作る目止め用のピッチも指す。区別したいときは、分詞 kúulen「煮られた」を後ろに添える。他動詞の分詞は受け身の意味になる。
sén pelsó, ende.
読み:セーン ペルソー、エンデ。
| sén | pelsó, | ende |
| 見る<命令法><あなたが> | ピッチ | どうぞ |
「ピッチを見てくれ、頼む。」
縁の市の取引言葉。動詞は語幹そのままで言い、決まり文句の ende を添える。取引言葉では格語尾が落ちるが、pelsó はもともと主格と対格が同じ形なので、見た目は変わらない。市では、樽の目止めに使うピッチの質を確かめてから買う。
脂の木からとる樹脂と、それを煮つめたピッチ。松明、樽や船の目止め、運び人の草鞋の底のすべり止め、香料に使い、交易品にもなる。重く粘るものとして重性。
lísa lisár virán pélsei kélenoi.
読み:リーサ リサール ヴィラーン ペルセイ ケーレノイ。
| lís-a | lis-ár | vir-án | péls-ei | kél-en-oi |
| 書く-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 言葉-<対格> | 脂の木-<与格> | 伐る-<〜した・〜された>-<重性・与格> |
「書記は伐った脂の木(の札)に字を書く。」
pélsa「脂の木」は、名詞としては軽性の語形(与格 -ei)のまま。けれども伐られた材なので、分詞は重性の与格 -oi で一致する。荷札が重性になるのは、この規則による。
ésa lóna áuren an pélsei.
読み:エーサ ローナ アウレン アン ペルセイ。
| és-a | lóna | áur-en | an | péls-ei. |
| いる-<(軽いものが)> | 柱の木<主格> | 昇る-<〜した・〜された> | 上手 | 脂の木-<与格> |
「柱の木は脂の木より高い。」
性質の程度がまさるときは「an+与格」(〜の上手に)、劣るときは「du+与格」で比べる。「いちばん高い」は an lónail「柱の木々の上手に」と言う。立っている木なので軽性。下向きの性質(「より重い」)も規則どおり an で言うが、皮肉に響く(本文8節)。
sénim sóumbo pélsei.
読み:セーニン ソーンボ ペルセイ。
| sén-im | sóumbo | péls-ei. |
| 見る-<私が> | きのこ<対格> | 脂の木-<与格> |
「脂の木のところにきのこが見える。」
sóumbo は重性o語幹なので、対格も主格と同じ形になる。場所は前置詞を使わず与格で言う。pélsa「脂の木」は生えている木なので軽性で、与格は -ei。雨期の森できのこを見つけたときの言い方。
tául pélsan trúum!
読み:タウル ペルサン トルーン!
| tául | péls-an | trúum! |
| 取る<命令法><あなたが> | 脂の木-<対格> | 古びた |
「その古びた脂の木の板を取ってくれ!」
荷札にする板について言う文。pélsa は名詞の形としては軽性なので、対格 -an をとる。しかし伐られた材なので、形容詞は重性の一致になる。重性の対格には語尾がないので、trúum は語尾なしの形のまま。名詞と形容詞の語尾が食い違う典型的な例。
tául pélsan dréum, endríña.
読み:タウル ペルサン ドレウン、エンドリーニャ。
| tául | péls-an | dréum, | endríña. |
| 取る<命令法><あなたが> | 脂の木-<対格> | 黒い | 子ども |
「その黒い脂の木の板を取ってくれ、子どもよ。」
煤や脂で黒ずんだ板について言う日常の文。年長者が子どもに使う、下向きの命令法。伐られた材なので、形容詞は重性の一致になる。重性の対格には語尾がつかない。
重性・o語幹(-ó に強勢)。属 pelsós、与 pelsói。
pélsa「脂の木」+ -ó「〜するもの(重)」。
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