ráun

品詞
名詞
意味
流れ(家系)
発音
[ˈraun]
読み
ラウン
分野
人・親族

意味

  1. 流れ(家系)

    源から続く家系、血筋。

    lóima lourvirár ráun némores an fóndaros.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール ラウン ネーモレス アン フォンダロス。

    lóim-alourvirárráunném-or-esanfóndar-os.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>流れ<対格>1-<〜ら(古い母音交替)>-<属格>上手源-<属格>

    「系譜読みが、我々の流れを源から唱える。」

    祖先祀りや婚姻の場で、系譜読みが家系を一瀬ずつ唱えることを言う文。ráun は重性の子音語幹なので、主格と対格が同じ形になる。an+属格は「上手から」で、源から下へたどる向きを表す。

    ké éses es ráunos ráimaros? ésim.

    読み:ケー エーセス エス ラウノス ライマロス?エーシン。

    kéés-esesráun-osráimar-os?és-im.
    <〜か>いる-<あなたが>から流れ-<属格>ライマル-<属格>いる-<私が>

    「「お前はライマルの流れの者か?」「そうだ。」」

    二人の発話。「〜の流れの者である」を、és-+es+流れの属格で「〜の流れから出ている」と言う。答えには「はい」にあたる語を使わない。動詞を自分の人称(1人称単数 ésim)に変えて繰り返す。2人称と ké を使っているので、同じ段か下の者への問いになる。

    éso fóndar ráimaros þéul ráunos némes.

    読み:エーソ フォンダル ライマロス セウル ラウノス ネーメス。

    és-ofóndarráimar-osþéulráun-osném-es.
    いる-<(重いものが)>源<主格>ライマル-<属格>清い始まり<主格>流れ-<属格><私>-<属格>

    「ライマルの源こそ、我が流れの清き始まりである。」

    系譜読みが家系を唱えるときの言い方。系譜を川の流れにたとえ、始祖を「まだ濁っていない湧き水」と言い表している。主語の fóndar が重性なので、繋辞は -o をとる。þéul はここでは比喩の意味で、名詞の述語になっている。

  2. 水の落ちた流れ(婉曲)

    ráun dóulen「下り終えた流れ」の形で、崖を下りて干潟へ移った縁の民を遠回しに言う。恥と悲しみをこめた言い方。

    dúlo ráun dúlen du dálor anlúin.

    読み:ドゥーロ ラウン ドゥーレン ドゥ ダーロル アンルーイン。

    dúl-oráundúl-endudáloranlúin.
    下る-<(重いものが)>水の落ちた流れ<主格>下る-<〜した・〜された>下手下の国<対格>昔

    「昔、水の落ちた流れが下の国へと下りていった。」

    約千二百年前の冷害で崖を下りた人々(干潟でいう縁の民)を、年代記や語りで遠回しに言う書き方。ráun dúlen は決まった言い回しで、分詞は規則どおり語根に -en をつけた形。ráun は重性なので、動詞も重性の -o で一致する。人を直接言わずに重性の名詞で言うところに、恥と悲しみがこもる。

    dróuma ólmar es ráunos dúlenos.

    読み:ドローマ オルマル エス ラウノス ドゥーレノス。

    dróum-aólmaresráun-osdúl-en-os.
    嘆く-<(軽いものが)>年長者<主格>から水の落ちた流れ-<属格>下る-<〜した・〜された>-<重性・属格>

    「「年長者は、水の落ちた流れのことを嘆く。」」

    村や家の会話での言い方。崖を下りた人々を正面から「下りた者たち」とは言わず、この婉曲表現を目的語にしている。重性の名詞と分詞は、対格でも語尾がつかない。

解説

家系、血筋。高原では家系を、源(始祖)から世代ごとに一瀬ずつ下っていく川の流れにたとえる。この語はその「流れ」全体を指す。「同じ流れか別の流れか」は親族の呼び分けの大事な基準で、父方か母方かよりも重んじられる。子は両親のうち段の高いほうの流れに属する。地上の水と同じく重性の名詞である。

そのほかの用例

lóima lourvirár ráun míres es fóndaros.

読み:ロイマ ロウルヴィラール ラウン ミーレス エス フォンダロス。

lóim-alourvirárráunmír-esesfóndar-os.
唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>流れ<対格>自分-<属格>から源-<属格>

「系譜読みは、源から自分の流れを唱える。」

祖先祀りや婚姻の場で、系譜を読み上げる様子を述べた文。属格の míres を名詞の後ろに置き、「主語自身の」という意味を表す。ráun「流れ(家系)」は重性なので、対格も主格と同じ形になる。éles と言うと、ほかの人の流れを唱えることになる。

raunérimor ráun ráimaros.

読み:ラウネーリモル ラウン ライマロス。

raunér-imorráunráimar-os.
従う-<我々が>流れ<対格>ライマル-<属格>

「私たちはライマルの流れ(家系)に従う。」

意味2の書物・系譜の唱え。抽象的な流れや家系を追う用法。目的語 ráun は重性語幹とされ、対格に語尾が付かない。属格 ráimaros は家名「ライマル」の属格。1人称複数動詞では人称が語尾に出、主語代名詞は省ける。

ké prénda líura némes ráun gléinaros?

読み:ケー プレンダ リーウラ ネーメス ラウン グレーナロス?

képrénd-alíuraném-esráungléinar-os?
<〜か>移る-<(軽いものが)>女<主格><私>-<属格>流れ<対格>グレイナル-<属格>

「娘はグレイナルの流れへ嫁いだのか。」

日常の会話を想定した是非問い。意味2では、家系を「流れ」と言い、結婚して配偶者側の家系へ入ることを prénd- で表す。目的語として置く「流れ」は移り先を示す道のりの対格で、家系名は属格で名詞句に後続する。

prénda líura ráun bréles es ráunos ráimaros.

読み:プレンダ リーウラ ラウン ブレーレス エス ラウノス ライマロス。

prénd-alíuraráunbrél-esesráun-osráimar-os.
移る-<(軽いものが)>女<主格>流れ<対格>兄弟-<属格>から流れ-<属格>ライマル-<属格>

「その女はライマルの流れから離れて、きょうだいの流れへ移った。」

記録文・儀式の文を想定する。意味2は離縁して元の家の流れへ戻る場合にも使う。行き先となる家系の流れを直接目的語に置き、離れていく家系を es と属格で表す。前置詞句では頭名詞「流れ」も属格になる。

kréima lourlisá ráun endríñei.

読み:クレーマ ロウルリサー ラウン エンドリーニェイ。

kréim-alourlisáráunendríñ-ei.
述べる-<(軽いものが)>系譜の巻<主格>家系<対格>子ども-<与格>

「系譜の巻は子どもに家系について述べる。」

書物・教育での用い方。家系の流れを詳しく叙述する書き言葉寄りの意味。主語 lourlisá が軽性なので動詞は軽性の -a。 ráun は重性単数で、対格は主格と同形だが、動詞の直接目的語として機能する。

文法

名詞(重性・子音語幹)。属 ráunos、複 ráunul。綴り〈rauna〉

語源

古高原語 *ráuna「流れる水」から。古い脱落で語末の母音が落ちた。

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