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森の巫
森の氏族の祭司。伐り出し・狩り・葬送の詞を受け持つ。
lúin lóima ráuvan loimán, kéla kelár gandér.
読み:ルーイン ロイマ ラウヴァン ロイマーン、ケーラ ケラール ガンデール。
| lúin | lóim-a | ráuvan | loim-án, | kél-a | kel-ár | gandér. |
| とき | 唱える-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 詞-<対格> | 伐る-<(軽いものが)> | 伐る-<〜する人・主格> | 硬木<対格> |
「森の巫が詞を唱えると、樵は硬木を伐る。」
硬木を伐る作法を述べた文。「〜するとき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。kelár「樵」は kél- に「〜する人」の -ár がついた語。硬木は重性なので、主格と対格が同じ形 gandér になる。詞を唱えずに伐ることは禁忌とされる。
lóima ráuvan loimán ré aurénde selvá.
読み:ロイマ ラウヴァン ロイマーン レー アウレンデ セルヴァー。
| lóim-a | ráuvan | loim-án | ré | aur-énd-e | selvá. |
| 唱える-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 詞-<対格> | ように | 昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 息<主格> |
「森の巫は、息が昇るよう詞を唱える。」
葬送の場面を述べた文。ré に願望法を続けると、「〜するように」という目的の節になる。aurénde は挨拶の aurénde と同じ形で、ここでは本来の「昇りますように」という意味で使われている。
loimésa ráuvan loimán sérin.
読み:ロイメーサ ラウヴァン ロイマーン セーリン。
| loim-és-a | ráuvan | loim-án | sérin. |
| 唱える-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 詞-<対格> | このように |
「森の巫は、このように詞を唱えるべし。」
降ろし場の碑の文。法や作法を定めるための当為法で書かれている。sérin は、碑文でこのあとに刻まれている詞そのものを指す。
lúin kélan kelárai gandér, loimésa ráuvan loimán téir fréimais.
読み:ルーイン ケーラン ケラーライ ガンデール、ロイメーサ ラウヴァン ロイマーン テール フレーマイス。
| lúin | kél-an | kel-ár-ai | gandér, | loim-és-a | ráuvan | loim-án | téir | fréim-ais. |
| とき | 伐る-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> | 硬木<対格> | 唱える-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 詞-<対格> | 三 | 度回-<〜たちを> |
「樵たちが硬木を伐るときは、森の巫が詞を三度唱えるべし。」
降ろし場の碑に刻まれるような、儀礼の作法を定める当為法の文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。主節では主語を言っているので、それに一致して3人称単数・軽性になる。強勢は当為法の -és- に移り、語根の ´ は消える。三度は téir fréimais(複数対格)。
táula ráuvan gleinó es drálos faronáres.
読み:タウラ ラウヴァン グレイノー エス ドラーロス ファロナーレス。
| tául-a | ráuvan | gleinó | es | drál-os | faronár-es. |
| 取る-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 護符<対格> | から | 首-<属格> | 運び人-<属格> |
「森の巫が、運び人の首から護符を外す。」
まじないの場面の文。es+属格で「〜から」を表す。首 drál は体の部分なので重性で、属格は -os。gleinó は重性o語幹で、主格と対格が同じ形になる。
tóra hervíña té, tául élan ré brolénde ráuvan gleinó.
読み:トーラ ヘルヴィーニャ テー、タウル エーラン レー ブロレンデ ラウヴァン グレイノー。
| tór-a | hervíña | té, | tául | él-an | ré | brol-énd-e | ráuvan | gleinó. |
| 来る-<(軽いものが)> | 麝香鹿<主格> | あの<軽性> | 取る<命令法><あなたが> | <3人称単数・軽性>-<対格> | <〜と(節)> | 作る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 護符<対格> |
「あの麝香鹿が来る。森の巫が護符を作れるよう、あれを獲れ。」
森の氏族の長が狩人に命じる、下向きの言い方。hervíña は軽性なので、指示詞は軽性の té になる。té には強勢を置き、読点で区切るので、関係節ではないとわかる。目的は「ré+願望法」で表す。この願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしいこと」を表す。護符 gleinó は重性の o 語幹なので、対格も主格と同じ形になる。
mána kelár þérno! hál ráuvanan!
読み:マーナ ケラール セルノ!ハール ラウヴァナン!
| mán-a | kel-ár | þérno! | hál | ráuvan-an! |
| 食べる-<(軽いものが)> | 伐る-<〜する人・主格> | 毒きのこ<対格> | 呼ぶ<命令法><あなたが> | 森の巫-<対格> |
「樵が毒きのこを食べた!森の巫を呼べ!」
急を告げるくだけた言い方。動詞に時制の形がないので、mána だけで「食べた」の意味になる。重性名詞の þérno は、対格でも形が変わらない。命令法の2人称単数は、むき出しの語幹 hál。森の村では、毒や葬送のことは森の巫に任される。
dróuma ráuvan es gandéros kélenos.
読み:ドローマ ラウヴァン エス ガンデーロス ケーレノス。
| dróum-a | ráuvan | es | gandér-os | kél-en-os. |
| 悼む-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | から | 硬木-<属格> | 伐る-<〜した・〜された>-<重性・属格> |
「森の巫は、伐られた硬木を悼む。」
硬木を伐るときに、上へ伸びてきた木をねぎらう詞の場面。分詞 kélen は gandér(重性)の属格に一致して -os をとる。
lúin kélan kelárai gandér, lóima ráuvan loimán.
読み:ルーイン ケーラン ケラーライ ガンデール、ロイマ ラウヴァン ロイマーン。
| lúin | kél-an | kel-ár-ai | gandér, | lóim-a | ráuvan | loim-án. |
| とき | 伐る-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> | 硬木<対格> | 唱える-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 詞-<対格> |
「樵たちが硬木を伐るとき、森の巫が詞を唱える。」
硬木を伐るときの儀礼を説明する文。loimá「詞」は lóim- に -á「〜するもの」がついた派生語で、動詞の目的語に同じ語根の名詞をとっている。
kráila ráuvan gleinó ál.
読み:クライラ ラウヴァン グレイノー アール。
| kráil-a | ráuvan | gleinó | ál. |
| 手に持つ-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 護符<対格> | 白い |
「森の巫は白い護符を手にしている。」
白い石英の護符を言う文。石である gleinó は重性o語幹なので、対格も主格と同じ形になり、形容詞にも語尾がつかない。白は聖なる石英の色でもある。
émbelau ráuvan si kelár aursárais.
読み:エンベラウ ラウヴァン シ ケラール アウルサーライス。
| émbel-au | ráuvan | si | kel-ár | aursár-ais. |
| 祀る-<双数> | 森の巫<主格> | と | 伐る-<〜する人・主格> | 祖先-<〜たちを> |
「森の巫と樵が祖先を祀る。」
祖先を祀る祭祀を述べる文。単数の名詞を si で二つ並べているので、動詞は双数の -au になる。双数の動詞は人称も性も区別しない。
lúin kélan kelárai gandér, áura aurvirá ráuvanes.
読み:ルーイン ケーラン ケラーライ ガンデール、アウラ アウルヴィラー ラウヴァネス。
| lúin | kél-an | kel-ár-ai | gandér, | áur-a | aurvirá | ráuvan-es. |
| とき | 伐る-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> | 硬木<対格> | 昇る-<(軽いものが)> | 祈り<主格> | 森の巫-<属格> |
「樵たちが硬木を伐るとき、森の巫の祈りが昇る。」
硬木を伐るときの儀式を述べる文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。属格 ráuvanes は名詞の後ろに置く。
léima ráuvan gleinó an dún.
読み:レーマ ラウヴァン グレイノー アン ドゥーン。
| léim-a | ráuvan | gleinó | an | dún. |
| 置く-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 境石<対格> | 上手 | 丘<対格> |
「森の巫が、丘の上手へ境石を据える。」
境を定める儀式を述べる文。an+対格で「上手へ」。重性の dún は、対格も主格と同じ形になる。
lóiman ráuvanai loimán sérin, ésa tróval fóndel.
読み:ロイマン ラウヴァナイ ロイマーン セーリン、エーサ トローヴァル フォンデル。
| lóim-an | ráuvan-ai | loim-án | sérin, | és-a | tróval | fóndel. |
| 唱える-<彼らが> | 森の巫-<〜たちが> | 詞-<対格> | このように | いる-<(軽いものが)> | しきたり<主格> | 古い |
「森の巫たちはこのように詞を唱える。それが由緒あるしきたりなのだ。」
儀式の手順を説明する文。接続詞なしで節を二つ並べ、読点で区切っている。fóndel は「由緒ある古さ」を表す形容詞で、主語の tróval(軽性・主格)に一致し、語尾はつかない。
lúin élþa hóurna, loimésa ráuvan loimáis bróusais.
読み:ルーイン エルサ ホールナ、ロイメーサ ラウヴァン ロイマイス ブローサイス。
| lúin | élþ-a | hóurna, | loim-és-a | ráuvan | loim-áis | bróus-ais. |
| とき | 燃える-<(軽いものが)> | 弔い<主格> | 唱える-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 詞-<〜たちを> | 多い-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格> |
「「弔いの火が焚かれるときは、森の巫は多くの詞を唱えるべし。」」
葬送の作法を定めた書の文。魂を上へ送るために詞を唱える。霧期の火葬では、煙が霧に閉じこめられるので、とくに念入りに唱える。lúin の節は主節の前に置く。詞は軽性なので、形容詞は -ais で一致する。
ái, dúla hóurna du orén! hálimor ráuvanan.
読み:アイ、ドゥーラ ホールナ ドゥ オレーン!ハーリモル ラウヴァナン。
| ái, | dúl-a | hóurna | du | orén! | hál-imor | ráuvan-an. |
| おや | 下る-<(軽いものが)> | 送りの煙<主格> | 下手 | 縁<対格> | 呼ぶ-<我々が> | 森の巫-<対格> |
「おや、送りの煙が縁のほうへ下りていく!森の巫を呼ぼう。」
風で煙が南(下)へ流れたときの驚きの声。これは不吉なこととされ、魂を上へ引き上げる詞を唱えてもらうために祭司を呼ぶ。du+対格で「下手へ」。
ké tóra ráuvan? na tóra. séiran kelárai.
読み:ケー トーラ ラウヴァン?ナ トーラ。セーラン ケラーライ。
| ké | tór-a | ráuvan? | na | tór-a. | séir-an | kel-ár-ai. |
| <〜か> | 来る-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | <〜ない> | 来る-<(軽いものが)> | 待つ-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> |
「「巫は来たか?」「まだ来ていない。樵たちが待っている。」」
伐り出しの前の、森の村での日常のやりとり。二人の発話を一つにまとめている。儀式の詞を唱えずには硬木を伐れないので、樵たちは森の巫の到着を待つ。「はい/いいえ」にあたる語はなく、問いの動詞を繰り返して答える(否定なら na tóra)。時制がないので、tóra は「来た」とも「来ている」とも訳せる。
lóima ráuvan, ré aurénde selvá.
読み:ロイマ ラウヴァン、レー アウレンデ セルヴァー。
| lóim-a | ráuvan, | ré | aur-énd-e | selvá. |
| 唱える-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | <〜と(節)> | 昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 息<主格> |
「森の巫は、死者の息が昇るよう詞を唱える。」
葬送の場面を述べた文。ráuvan は人を指すので軽性で、動詞は -a で一致する。「ré+願望法」は目的の「〜するように」を表す。この願望法は丁寧さではなく、そうなってほしいことを表している。selvá(息)は、ここでは死者の魂を指す。
lúin kélan kelárai gandér, áura loimá ráuvanes.
読み:ルーイン ケーラン ケラーライ ガンデール、アウラ ロイマー ラウヴァネス。
| lúin | kél-an | kel-ár-ai | gandér, | áur-a | loimá | ráuvan-es. |
| とき | 伐る-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> | 硬木<対格> | 昇る-<(軽いものが)> | 詞<主格> | 森の巫-<属格> |
「樵たちが硬木を伐るときには、森の巫の詞が立ちのぼる。」
硬木を伐る作法を述べた文。詞は息なので、煙のように上へ昇るものとされ、動詞 áur-「昇る」の主語になる。loimá は軽性なので、動詞は軽性の -a をとる。硬木 gandér は重性なので、主格と対格が同じ形になる。
ésa loimá ráuvanes gléin.
読み:エーサ ロイマー ラウヴァネス グレーン。
| és-a | loimá | ráuvan-es | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 詞<主格> | 森の巫-<属格> | 清い |
「森の巫の詞は清い。」
「AはBだ」の文も、繋辞 és- を文頭に置く。順序は「és-–主語–述語」。主語 loimá は軽性なので、繋辞は -a、述語の形容詞 gléin は軽性・主格の語尾のない形になる。属格 ráuvanes は名詞の後ろに置く。
ké ésa loimá kéumos só ráuvanes?
読み:ケー エーサ ロイマー ケウモス ソー ラウヴァネス?
| ké | és-a | loimá | kéum-os | só | ráuvan-es? |
| <〜か> | いる-<(軽いものが)> | 碑の詞<主格> | 碑-<属格> | この<重性> | 森の巫-<属格> |
「この碑の詞は、森の巫のものか?」
古い碑の前で交わす問い。降ろし場の碑のように、森の巫の詞をそのまま刻んだ碑がある。名詞句の終わりの指示詞 só は重性の形なので、軽性の loimá ではなく、重性の kéumo(碑)にかかる。そのため「この碑の」と読む。答えは動詞を繰り返して ésa、または na ésa と言う。
lóima ráuvan loimán anlúines.
読み:ロイマ ラウヴァン ロイマーン アンルーイネス。
| lóim-a | ráuvan | loim-án | anlúin-es. |
| 唱える-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 詞-<対格> | 昔-<属格> |
「森の巫が、昔の詞を唱える。」
伐り出しや葬送の儀礼の場面。属格 anlúines を名詞の後ろに置いて「昔の〜」と言う。an-「上手」を含む語で、時を源から流れ下る川と見るので、古い時代ほど「上手」、つまり源に近い時とされる。
toríþa ráuvan kelárais un krévan, salóur na kélan kelárai árnelan.
読み:トリーサ ラウヴァン ケラーライス ウン クレーヴァン、サロール ナ ケーラン ケラーライ アルネラン。
| tor-íþ-a | ráuvan | kel-ár-ais | un | kréva-n, | salóur | na | kél-an | kel-ár-ai | árnel-an. |
| 来る-<〜させる>-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 伐る-<〜する人>-<〜たちを> | 内に | 練習の場-<対格> | しかし | <〜ない> | 伐る-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> | 木-<対格> |
「森の巫は樵たちを稽古の場へ呼び寄せるが、樵たちは木を伐らない。」
un と対格を組み合わせると「〜の中へ」の意味になり、un krévan は「稽古の場へ」となる。伐り出しの詞を稽古で唱えても本番の儀式にはならず、樵はそこでは斧を入れない。そのことを言った文である。使役の toríþ-「呼び寄せる」は、後ろに強勢のある接辞がないので、-íþ- が強勢をとる。逆接の salóur は二つめの文の頭に置く。立っている木 árnel は軽性なので、対格は -an になる。
sarénei, loimésa ráuvan loimán gandéroi.
読み:サレーネイ、ロイメーサ ラウヴァン ロイマーン ガンデーロイ。
| sarén-ei, | loim-és-a | ráuvan | loim-án | gandér-oi. |
| 本番-<与格> | 唱える-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 詞-<対格> | 硬木-<与格> |
「本番には、森の巫が硬木に向かって詞を唱えるべし。」
伐り出しの作法を書き記した文で、碑文や作法書の当為法。主語の ráuvan は人なので、当為法は軽性の -ésa になる。強勢は -és- に移るので、語根 lóim- の強勢は消える。下詠みや練習で詞を唱えても数に入らず、木の前で唱える本番の詞だけが儀式として成り立つ、という含みがある。
dulpovéra ráuvan dálor.
読み:ドゥルポヴェーラ ラウヴァン ダーロル。
| dulpovér-a | ráuvan | dálor. |
| 下手を問うように見下ろす-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 下の国<対格> |
「森の巫が、下の国を下手を問うように見下ろす。」
儀礼や祀りの場での言い方。下界へまっすぐ見下ろす禁忌を避け、下にあるものに配慮しながら、問いかけるような視線で気配を探る含みがある。dálor は重性で、対格も同名。
flúuna ráuvan frumó.
読み:フルーナ ラウヴァン フルモー。
| flúun-a | ráuvan | frumó. |
| 洗う-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 傷<対格> |
「森の巫が傷を洗う。」
治癒儀礼の手当て。動詞 flúun- の語尾は軽性の主語 ráuvan に合わせて -a。対象の傷 frumó は重性名詞で、対格は主格と同形。
senkríla ráuvan es faronáres.
読み:センクリーラ ラウヴァン エス ファロナーレス。
| senkríl-a | ráuvan | es | faronár-es. |
| 視線を断つ-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | から | 運び人-<属格> |
「森の巫は運び人から視線を断つ。」
儀礼的な場面で、続いていた視線の接触を切る意。単に「相手を見ない」のではなく、交わされていた視線を形式的に絶つニュアンス。`faronár` は人なので、文法上の扱いも軽性。
marléuma ráuvan an aurándo.
読み:マルレウマ ラウヴァン アン アウランド。
| marléum-a | ráuvan | an | aurándo |
| 手を振る-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 上手 | 社<対格> |
「森の巫は社へ向かって手を振る。」
儀礼の場面。主語 ráuvan は軽性。前置詞 an に社 aurándo を対格で受け、「上手(北)の社へ」という方向を表す。aurándo は -ando 系の場所名詞で、重性o語幹、単数対格は主格と同じ形。
auliníþa ráuvan sléumo.
読み:アウリニーサ ラウヴァン スレウモ。
| au-liníþ-a | ráuvan | sléumo |
| <お〜になる・御〜>-塗る-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 油<対格> |
「森の巫が(灯のために)油を塗っていらっしゃる。」
儀礼・書面的な場面の文。尊敬の接頭辞 au- を動詞に付けて、話題の高位者を高める。主語 ráuvan は人なので軽性で、動詞は 3人称単数 -a を受ける。
rímba ráuvan traimfiláis sé
読み:リンバ ラウヴァン トラインフィライス セー
| rímb-a | ráuvan | traimfil-áis | sé |
| 数える-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 年輪-<〜たちを> | この<軽性> |
「森の巫がこれらの年輪を数えている」
森の巫が年輪を数える場面を示す文。主語 ráuvan は人なので軽性とし、動詞は軽性3人称単数 -a で受ける。目的語が複数なので traimfiláis を使い、指示詞 sé は名詞句の末尾に置く。
síl-a ráuvan elþíñan es máros.
読み:シーラ ラウヴァン エルシーニャン エス マーロス。
| síl-a | ráuvan | elþíñ-an | es | már-os |
| 払う(弾いて落とす)-<(軽いものが)> | 巫<主格> | 火の粉-<対格> | から | 手-<属格> |
「森の巫が手から火の粉を払う。」
elþíña「火の粉」を目的語とする。炉仕事や儀礼のあと、手についていた小さな火の粉を軽く弾いて落とす場面。拭くのではなく、何回か軽く叩いて外へ落とす動作である。
森の氏族ごとにいる祭司。木の伐り出し、狩り、葬送の詞を受け持ち、古い歌や古高原語の詞を伝えている。硬木を伐るときには木の前で決まった韻律の詞を唱える。年輪読みの占いもこの祭司の技である。都の星読みとは系統が違い、宮廷からは少し田舎びた存在と見られている。
軽性・子音語幹(②型)。対 ráuvanan、複 ráuvanai。
語源未詳。森の氏族の古い語で、森の言葉から都の語彙に入った。
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