tíl-

品詞
動詞(他動詞)
意味
彫る
辞書形
tíla
発音
[ˈtila]
読み
ティーラ
分野
文字・書物・学び

意味

  1. 彫る

    版木に字を彫る。

    tilésa lisáis flaindélei, mé tilésa gandér.

    読み:ティレーサ リサイス フラインデーレイ、メー ティレーサ ガンデール。

    til-és-alis-áisflaindél-ei,métil-és-agandér.
    彫る-<〜すべし>-<(軽いものが)>字-<〜たちを>版の木-<与格>,<禁止・願いの打ち消し>彫る-<〜すべし>-<(軽いものが)>硬木<対格>

    「字は版の木に彫るべし。硬木は彫らぬこと。」

    彫り師の作法を説く教えの言葉で、法典や碑文と同じ当為法を使う。主語を言わないので「人は〜すべし」の意味になり、動詞は軽性の -a をとる。flaindél は軽性の子音語幹なので与格は -ei。後半の gandér は重性なので、主格と対格が同じ形のまま目的語になる。言葉は上へ昇るもので、版の木はそれを載せる木、硬木は下へ行く木なので彫らない、という考えを述べた文。

    tílim lisáis flaindélei náumei.

    読み:ティーリン リサイス フラインデーレイ ナウメイ。

    tíl-imlis-áisflaindél-eináum-ei.
    彫る-<私が>字-<〜たちを>版の木-<与格>柔らかい-<軽性・与格>

    「柔らかな版の木に字を彫る。」

    彫り師の仕事を言う文。版の木は伐って寝かせたあとも軽性のままなので、形容詞は軽性の与格 -ei で一致する。伐った脂の木なら重性の -oi で一致するので、その違いが比べどころになる。

    éso gandér krán an flaindélei, na tílim gandér.

    読み:エーソ ガンデール クラーン アン フラインデーレイ、ナ ティーリン ガンデール。

    és-ogandérkránanflaindél-ei,natíl-imgandér.
    いる-<(重いものが)>硬木<主格>硬い上手版の木-<与格><〜ない>彫る-<私が>硬木<対格>

    「硬木は版の木より硬い。硬木は彫らない。」

    彫り師の言葉。性質の程度がまさることは「an+与格」(〜の上手に)で言う。主語の gandér は重性なので、繋辞は és-o になり、形容詞 krán も重性・主格の形(語尾なし)になる。後半の gandér は目的語で、重性なので主格と同じ形。硬木を彫らないのは、硬すぎるからでもあり、禁忌だからでもある。

    lúin tíla tilár pandán, lóima loimán.

    読み:ルーイン ティーラ ティラール パンダーン、ロイマ ロイマーン。

    lúintíl-atil-árpand-án,lóim-aloim-án.
    とき彫る-<(軽いものが)>彫る-<〜する人>版木-<対格>唱える-<(軽いものが)>詞-<対格>

    「彫り師は版木を彫るとき、詞を唱える。」

    彫り師が彫りはじめに、版の木へ「言葉を載せて運んでほしい」と願う短い詞を唱える習わし。lúin で始まる「〜とき」の節は、主節の前に置く。後半の主節では主語を言わないが、動詞の語尾から、前半と同じ彫り師が主語だとわかる。

    ésa pandá tilárei.

    読み:エーサ パンダー ティラーレイ。

    és-apandátil-ár-ei.
    いる-<(軽いものが)>版木<主格>彫る-<〜する人>-<与格>

    「彫り師には版木がある。」

    所有を「ある+持ち主の与格」で言う文。tilár「彫り師」は tíl-「彫る」に -ár「〜する人」がついた語。pandá は版の木から作るので、伐ったあとも軽性のまま。そのため繋辞は軽性の ésa になる。

    mé tíl gandér!

    読み:メー ティール ガンデール!

    métílgandér!
    <禁止・願いの打ち消し>彫る<命令法><あなたが>硬木<対格>

    「硬木を彫るな。」

    硬木に文字を彫ることを禁じる言い方で、年長者が若い者を戒めるときに使う。禁止は「mé+命令法」で言う。tíl- は語末に削られる子音のつながりがないので、命令形も tíl のまま。重性名詞 gandér は、主格と対格が同じ形になる。

  2. 刻む

    石や青銅の鋳型に字や銘を刻む。

    tíla brándal viráis.

    読み:ティーラ ブランダル ヴィライス。

    tíl-abrándalvir-áis.
    刻む-<(軽いものが)>司<主格>言葉-<〜たちを>

    「司が言葉を刻む。」

    碑の由来を記す書き言葉の文。時制がないので、「刻む」とも「刻んだ」とも読める。石に刻んだ言葉は、昇りも消えもせず、その場所に据えておくものとされる。

    tílan þelán houmáres.

    読み:ティーラン セラーン ホウマーレス。

    tíl-anþel-ánhoumár-es.
    刻む-<彼らが>名前-<対格>家の主-<属格>

    「家の主の名を刻む。」

    鋳物師が青銅の器に持ち主の名を入れる習わしを述べた文。銘は鋳型に刻んでから鋳こむ。主語を言わない3人称複数で、「(鋳物師たちは)〜する」という一般的な事柄を表す。名前を書いたり刻んだりするのは息を使わないので、禁忌には当たらない。

解説

版木や石に字を刻むこと。彫り師は彫りはじめに、版の木へ「言葉を載せて運んでほしい」と願う短い詞を唱える。碑文を石に刻むことにも使う。硬木に字を彫ることは禁忌である。

文法

完了語根 téil-。派生 tilár「彫り師」

語源

古い語。

語幹の異形

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