小説
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舌打ちする
舌の先を上歯に当てて弾き、「tsk」のような短く尖った無言の音を出す。苛立ち・呆れ・急かしの合図。
þráka ólmar.
読み:スラーカ オルマル。
| þrak-a | ólmar. |
| 舌打ちする-<(軽いものが)> | 年長者<主格> |
「年長者が舌打ちをした。」
日常の平叙。炉ばたや帳場など、改まりの薄い場で、無言のまま短く苛立ちや急かしを示す行為を述べる。主語は人のため、動詞は3人称単数軽性で一致する。
mé þrákir un aurándoi!
読み:メー スラーキル ウン アウランドイ!
| mé | þrak-ir | un | auránd-oi! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 舌打ちする-<皆で〜せよ> | 内に | 社-<与格> |
「社の中では、舌打ちをしてはならない。」
祀りや社の場での禁止表現。命令法の2複語尾 -ir を用いて、複数人に発された制約を示す。無言でも尖った音は「沈む」ものとして嫌われ、改まった詞や朗唱の間では避ける。
呆れる・あきれる
音を出す行為そのものより、それを含む感情表現として「呆れる・あきれる」という意味で使う。くだけた言葉ではこの比喩義が優勢になる。
na þrakim unlóur sórel.
読み:ナ スラキン ウンロール ソーレル。
| na | þrak-im | unlóur | sórel. |
| <〜ない> | 呆れる-<私が> | まだ | 今日 |
「私は今日、まだ呆れていない。」
くだけた日常会話での一人称の否定文。否定の na は動詞の直前に置き、相の副詞 unlóur は動詞の直後に置く。主語代名詞は人称語尾 -im で省略できる。呆れる義では、実際には舌打ちを出さないで、表情や態度だけを示すことも多い。
þraka endríña sé.
読み:スラカ エンドリーニャ セー。
| þrak-a | endríña | sé. |
| 呆れる-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | この<軽性> |
「この子は呆れている。」
家庭や暮らしの場面での三人称文。主語の endríña は人で軽性なので、動詞は軽性の語尾 -a をとる。指示詞 sé は名詞の後ろに置かれ、名詞句を閉じる。呆れる義では、ため息や眉をひそめる表情を含んだ無言の態度を指すことがある。
舌の先を上歯に当てて弾き、短く尖った音を出す行為。声(発話)ではなく無言の音として、苛立ち・呆れ・急かしの合図に使う。炉の前では粗野な音とされ、改まった場では避けられる。森の言葉や崖道のくだけた言葉では日常的に発されるが、宮廷の詩の朗唱や祀りの詞の間では、音そのものが「沈む」ものとして嫌われる。運び人の荷担ぎ歌の間、荷を置く拍子に無意識に出ることがあり、これは市の言葉の域と通じるとされる。
自動詞。擬音の語根。完了語幹は þráik-(a→ai)。
古高原語 *þrák- から。舌が歯に当たって弾ける短く尖った音を写した擬音語。þの歯摩擦音と r の舌の動き、-k の閉鎖が、音の三つの特徴(息の漏れ・舌の接触・閉鎖の解放)に対応する。
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