小説
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刷る
木版で紙に字を刷る。
pán þéles? þélim sélvanan.
読み:パーン セーレス?セーリン セルヴァナン。
| pán | þél-es? | þél-im | sélvan-an. |
| 誰<対格> | 名乗る-<あなたが> | 名乗る-<私が> | セルヴァン-<対格> |
「「何と名乗る?」「セルヴァンと名乗る。」」
二人の発話(問いと答え)。疑問詞の対格 pán を文頭に出している。名は軽性なので、目的語では対格 -an がつく。
pán þéla endríña sé?
読み:パーン セーラ エンドリーニャ セー?
| pán | þél-a | endríña | sé? |
| 誰<対格> | 名乗る-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | この<軽性> |
「この子は何と名乗っているのか。」
þél- は名乗る名前を対格でとるので、名前を尋ねるときは疑問詞の対格 pán を文頭に出す。子どもは軽性。指示詞 sé は名詞の後ろに置く。目上の人には使わない問い方。
pán séires? séirim séulinan.
読み:パーン セーレス?セーリン セウリナン。
| pán | séir-es? | séir-im | séulin-an. |
| 誰<対格> | 待つ-<あなたが> | 待つ-<私が> | 友-<対格> |
「「誰を待っている?」「友を待っている。」」
日常のやりとり。疑問詞の対格 pán を文頭に出す。答えでは、問いの動詞を自分の人称に変えて繰り返す。
lúin pándan viráis éles, áura þelá éles.
読み:ルーイン パンダン ヴィライス エーレス、アウラ セラー エーレス。
| lúin | pánd-an | vir-áis | él-es, | áur-a | þelá | él-es. |
| とき | 刷る-<彼らが> | 言葉-<〜たちを> | <3人称単数・軽性>-<属格> | 昇る-<(軽いものが)> | 名声<主格> | <3人称単数・軽性>-<属格> |
「その人の言葉が版木で刷られると、その人の名声は高まる。」
詩合わせで勝った詩が刷られて広まることを言う文。「名が昇る」は、名声が高まるという意味の決まった言い方。前半の pándan は主語を言わない3人称複数で、「人々が刷る」という受け身に近い意味になる。
na pánda pandá rúgal lisáis séurilais.
読み:ナ パンダ パンダー ルーガル リサイス セウリライス。
| na | pánd-a | pand-á | rúgal | lis-áis | séuril-ais. |
| <〜ない> | 刷る-<(軽いものが)> | 刷る-<〜するもの(重)・主格> | 粗い | 字-<〜たちを> | 整った-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格> |
「粗い版木では、整った字は刷れない。」
彫り師の仲間で言われる言い回しで、作りの雑な版木を戒める。pandá「版木」は版の木で作られ、伐ったあとも軽性なので、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。
lúin tíla tilár pandán, lóima loimán.
読み:ルーイン ティーラ ティラール パンダーン、ロイマ ロイマーン。
| lúin | tíl-a | til-ár | pand-án, | lóim-a | loim-án. |
| とき | 彫る-<(軽いものが)> | 彫る-<〜する人> | 版木-<対格> | 唱える-<(軽いものが)> | 詞-<対格> |
「彫り師は版木を彫るとき、詞を唱える。」
彫り師が彫りはじめに、版の木へ「言葉を載せて運んでほしい」と願う短い詞を唱える習わし。lúin で始まる「〜とき」の節は、主節の前に置く。後半の主節では主語を言わないが、動詞の語尾から、前半と同じ彫り師が主語だとわかる。
ké pándes ombríl só?
読み:ケー パンデス オンブリール ソー?
| ké | pánd-es | ombríl | só? |
| <〜か> | 刷る-<あなたが> | 十拍の句<対格> | この<重性> |
「この句を刷るのか。」
詩合わせで勝った詩は木版で刷られて広まる。その刷りを話題にした、並びか下向きの問い。ombríl「十拍の句」は重性なので、主格と対格が同じ形になり、指示詞は só を使う。直説法には法の印がなく、時制もないので、「刷るのか」とも「刷っているのか」とも訳せる。
pándir téir lénais!
読み:パンディル テール レーナイス!
| pánd-ir | téir | lén-ais! |
| 刷る-<皆で〜せよ> | 三 | 枚-<〜たちを> |
「皆で三枚刷れ。」
刷りの工房で、上の者が下の者たちに言う命令。命令法の2人称複数は -ir をつけて作る。語幹の後ろに語尾が続くので、nd は削られずに残る。2人称単数なら語幹がむき出しになり、語末の nd が n に削られて pán となる。
orveléimin lisáis, pándim.
読み:オルヴェレーミン リサイス、パンディン。
| orveléim-in | lis-áis, | pánd-im. |
| 組み替える<〜し終えた>-<〜して・〜く> | 字-<〜たちを> | 刷る-<私が> |
「字を組み替え終えて、刷る。」
版組みの手順を表す定型。副動詞の orveléimin は、主節の pándim と同一の主語を持つ完了副動詞である。目的語の lisáis は活字・駒・字札などの複数対格。
版木に墨をのせ、紙を当てて字を刷ること。宮廷の詩集、暦、法典が刷られる。詩合わせに勝った詩が刷られて広まることは名誉とされる。
完了語根 páind-。命令2単 pán!(語末の nd が n に削られる)
古い語。「押す」の意味だったとも言われる。
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