té

品詞
指示詞
意味
あの
発音
[ˈte]
読み
テ
分野
代名詞・指示詞・疑問詞

意味

  1. あの

    軽性の名詞の後ろに置いて、離れたものを指す。

    lisáran té, séna senár.

    読み:リサーラン テー、セーナ セナール。

    lis-ár-anté,sén-asen-ár.
    書く-<〜する人>-<対格>あの<軽性>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

    「あの書記をこそ、目付が見る。」

    前に出した名詞句が té で終わるときは、té の後ろに区切りを入れる。区切りがないと関係節(te)と読まれる。

    ésa faronár té gróm.

    読み:エーサ ファロナール テー グローン。

    és-afaronártégróm.
    いる-<(軽いものが)>運び人<主格>あの<軽性>粗野な

    「あの運び人は粗野だ。」

    人をけなす用法で、陰口に使う。人を指すので繋辞は軽性の -a のまま、形容詞も軽性の形になる。ここで動詞まで重性の éso にすると、人を「重いもの」扱いすることになり、ずっと強い侮辱になる。

    nóurim ré ésa lisár té fláin.

    読み:ノーリン レー エーサ リサール テー フライン。

    nóur-imréés-alis-ártéfláin.
    思う-<私が><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人>あの<軽性>上品な

    「あの書記は上品だと思う。」

    ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。ré の後ろの節も動詞で始まる。指示詞 té は強勢をもち、名詞句の終わりの目印になる。

    tóra senár té.

    読み:トーラ セナール テー。

    tór-asen-árté.
    来る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>あの<軽性>

    「あの目付が来る。」

    縁の市で、近づいてくる役人を指して言う日常の言い方。指示詞 té は名詞の後ろに置く。性によって形が変わるが、格では変わらない。後ろに動詞が続かないので、関係節の te ではない。

    ésa aurá té séuril.

    読み:エーサ アウラー テー セウリル。

    és-aaurátéséuril.
    いる-<(軽いものが)>縁鷲あの<軽性>美しい

    「あの縁鷲は美しい。」

    繋辞 és- を文頭に置く「AはBだ」の文。縁鷲 aurá は軽性なので、指示詞は té、繋辞は -a の形になり、述語の形容詞は語尾のない主格形になる。重性の名詞なら「あの」は tó になる(gandér tó)。

    tóra dórin té es orénos.

    読み:トーラ ドーリン テー エス オレーノス。

    tór-adórintéesorén-os.
    来る-<(軽いものが)>男<主格>あの<軽性>から縁-<属格>

    「あの男が縁のほうから来る。」

    dórin は軽性の子音語幹なので、指示詞は軽性の té になる。目下か同じ段の相手について言う、ふつうの言い方である。目上の人をこの語で指すと無礼になり、役職名に au- をつけて言う。

    kúula líura té tambór.

    読み:クーラ リーウラ テー タンボール。

    kúul-alíuratétambór.
    煮る-<(軽いものが)>女<主格>あの<軽性>雑穀<対格>

    「あの女の人が雑穀を煮ている。」

    líura は軽性の a 語幹の名詞で、語根に強勢がある。指示詞 té は名詞の後ろに置く。tambór は重性なので、対格に語尾がつかない。時制がないので、「煮ている」とも「煮た」とも訳せる。

    pá ésa torár té?

    読み:パー エーサ トラール テー?

    páés-atorárté?
    誰<主格>いる-<(軽いものが)>来訪者<主格>あの<軽性>

    「あのよそ者は誰だ。」

    見慣れない人を見かけたときの、くだけた問い。疑問詞 pá は動詞の前に出る。指示詞 té は名詞の後ろに置き、格では形が変わらない。torár はもとは「来る者」で、招かれた客にも、土地の外から来た旅人にも使う。

    na vóila naþrenár té lisáis némores.

    読み:ナ ヴォイラ ナスレナール テー リサイス ネーモレス。

    navóil-anaþrenártélis-áisnémor-es.
    <〜ない>読む-<(軽いものが)>異邦人<主格>あの<軽性>字-<〜たちを><我々>-<属格>

    「あの異邦人は我々の字を読めない。」

    日常の会話。時制も「できる」の語形もないので、「読まない」と「読めない」は文脈で決まる。na は動詞の直前に置く。名詞句は「名詞+指示詞」「名詞+属格」の順。

    tóra hervíña té, tául élan ré brolénde ráuvan gleinó.

    読み:トーラ ヘルヴィーニャ テー、タウル エーラン レー ブロレンデ ラウヴァン グレイノー。

    tór-ahervíñaté,táulél-anrébrol-énd-eráuvangleinó.
    来る-<(軽いものが)>麝香鹿<主格>あの<軽性>取る<命令法><あなたが><3人称単数・軽性>-<対格><〜と(節)>作る-<〜しますように>-<(軽いものが)>森の巫<主格>護符<対格>

    「あの麝香鹿が来る。森の巫が護符を作れるよう、あれを獲れ。」

    森の氏族の長が狩人に命じる、下向きの言い方。hervíña は軽性なので、指示詞は軽性の té になる。té には強勢を置き、読点で区切るので、関係節ではないとわかる。目的は「ré+願望法」で表す。この願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしいこと」を表す。護符 gleinó は重性の o 語幹なので、対格も主格と同じ形になる。

    ésa orenvandár té fíñel.

    読み:エーサ オレンヴァンダール テー フィーニェル。

    és-aorenvandártéfíñel.
    いる-<(軽いものが)>縁商人あの<軽性>用心深い者

    「あの縁商人は抜け目がない。」

    縁の市で、取引の相手を評する言い方。fíñel を人に使うと、用心深さや抜け目のなさを言い、半分はほめ言葉、半分は警戒の言葉になる。縁商人の段は測りかねるものだが、人なので繋辞は軽性の -a で受ける。

    faronéra gúrnal té gandér si fáron.

    読み:ファロネーラ グルナル テー ガンデール シ ファーロン。

    faronér-agúrnaltégandérsifáron.
    担ぐ-<(軽いものが)>力の強いもの<主格>あの<軽性>硬木<対格>と荷<対格>

    「あの力持ちは、硬木も荷もいっしょに担ぐ。」

    運び人どうしで、大げさにほめたり冷やかしたりするときの言い方。gúrnal té の té は強勢のある指示詞で、後ろに動詞が来ないので、関係節の te ではない。si で目的語を二つ並べている。

    ésa lóiva té ámbel.

    読み:エーサ ロイヴァ テー アンベル。

    és-alóivatéámbel.
    いる-<(軽いものが)>森の髭<主格>あの<軽性>黄色い

    「あの森の髭は黄色い。」

    染め物の材料を見定めるときの言い方。地衣類を煮出すと黄や緑の染料がとれる。黄色は、段が上がると着ることを許される色である。木に垂れ下がっている森の髭は軽性なので、繋辞は ésa、指示詞は軽性の té になり、述語の形容詞 ámbel も軽性・単数・主格の形(語尾なし)で一致する。

    ésa orenvandár té þérno. séuril virá éles, gráis nourá éles.

    読み:エーサ オレンヴァンダール テー セルノ。セウリル ヴィラー エーレス、グライス ノウラー エーレス。

    és-aorenvandártéþérno.séurilviráél-es,gráisnouráél-es.
    いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>あの<軽性>陰で害する者<主格>美しい言葉<主格><3人称単数・軽性>-<属格>悪い心<主格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「あの縁商人は毒きのこだ。言葉はきれいだが、腹は黒い。」

    人を þérno と呼ぶのは強い悪口で、陰口に使う。主語が人なので繋辞は軽性の ésa になるが、重性の名詞を人に当てること自体が侮辱になる。後半は繋辞を落として述語の形容詞を先に置く、諺の語順。

    ké ráines orenvandáran té?

    読み:ケー ライネス オレンヴァンダーラン テー?

    kéráin-esorenvandár-anté?
    <〜か>面識がある-<あなたが>縁商人-<対格>あの<軽性>

    「あの縁商人と知り合いか。」

    人を対格の目的語にとると「見知っている」の意味になる。指示詞 té は格変化せず、名詞句の終わりに置く。

    na ráinim éndran té. ké ráines élan?

    読み:ナ ライニン エンドラン テー。ケー ライネス エーラン?

    naráin-iméndr-anté.kéráin-esél-an?
    <〜ない>面識がある-<私が>人-<対格>あの<軽性><〜か>面識がある-<あなたが><3人称単数・軽性>-<対格>

    「あの人は知らない。お前は知っているか。」

    日常の会話。二度目は代名詞の対格 élan で、前に出た人を受けている。目上の人を指すときは、代名詞を使わず役職名で言う。

    ésa houmár té ível.

    読み:エーサ ホウマール テー イーヴェル。

    és-ahoum-ártéível.
    いる-<(軽いものが)>炉-<〜する人>あの<軽性>成り上がりの

    「あの家の主は成り上がりだ。」

    陰口で使う言い方。家柄や流れについて ível と言うと、「新しくて浅い」と軽んじる含みが出る。本人の前では言わない。

    ké ráines ré ésa orenvandár té sal þrénuls?

    読み:ケー ライネス レー エーサ オレンヴァンダール テー サル スレーヌルス?

    kéráin-esréés-aorenvandártésalþrén-uls?
    <〜か>知る-<あなたが><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>あの<軽性>〜の枠の外に段-<〜らに>

    「あの縁商人が段の外の者だと、お前は知っているか。」

    同じ段どうしの、くだけた問い。縁商人が仮の段の者として扱われるのは市の札が効く商いの場だけで、それ以外では段の外の者だ、ということを話題にしている。指示詞 té は強勢をもち、後ろに続くのが動詞ではなく前置詞なので、関係節の小辞 ti と取り違えることはない。

    ésa faronár té murár.

    読み:エーサ ファロナール テー ムラール。

    és-afaron-ártémur-ár.
    いる-<(軽いものが)>荷-<〜する人>あの<軽性>濁った-<〜する人>

    「あの運び人は間抜けだ。」

    本人のいない所での陰口。「és-+主語+述語の名詞」の文で、述語の murár は軽性の主格のまま置く。繋辞は主語の運び人(人なので軽性)に合わせて -a をとる。これを重性の éso で受けると、人を「泥の者」扱いすることになり、ずっと強い侮辱になる。指示詞 té の後ろに動詞が来ていないので、関係節の te とは紛れない。

    anórel, níla faronár té muró bróus, esós ésa él murár sórel.

    読み:アノーレル、ニーラ ファロナール テー ムロー ブロース、エソース エーサ エール ムラール ソーレル。

    anórel,níl-afaron-ártémuróbróus,esósés-aélmur-ársórel.
    昨日飲む-<(軽いものが)>荷-<〜する人>あの<軽性>濁り酒<対格>多いだからいる-<(軽いものが)><3人称単数・軽性>濁った-<〜する人>今日

    「昨日、あの運び人は濁り酒をしこたま飲んだ。だから今日のあいつは、まるで酔いどれだ。」

    崖道の宿などで交わす、くだけた噂話。muró「濁り酒」と murár の音が近いことを使った当てこすりで、ここでは「酔ってぼんやりしている者」の意味になる。時の語 anórel は場面の枠に置いて読点で区切る。esós「だから」は二つめの文の頭に置く。主語の代名詞 él をわざわざ言っているので、「あいつときたら」という強調の響きがある。

    ruunáura senár té

    読み:ルーナウラ セナール テー

    ruun-áur-asen-árté
    背-昇-<(軽いものが)>見る-<〜する人>あの<軽性>

    「あの目付は軽く断った。」

    宮廷の作法を記すような改まった描写。字義は身振りの描写にすぎないが、改まった場面では軽い辞退として読まれる。áur- の本来の「天へ昇る」意味への自覚的な皮肉を含み、祭祀や祈りでは決して使われない。

    ké ésa anrása té fóndel?

    読み:ケー エーサ アンラーサ テー フォンデル?

    kéés-aanrásatéfóndel?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>上着<主格>あの古い

    「その上着は由緒ある古いものか。」

    書物・家系・古着市のように、衣服の由来を確かめる場面。疑問の小辞 ké を文頭に置き、述語形容詞 fóndel には軽性単数主格の語尾がつかない。

    sénim plánan sívalan té

    読み:セーニン プラーナン シーヴァラン テー

    sén-implán-ansíval-anté
    見る-<私が>帳簿-<対格>青い-<対格>あの<軽性>

    「あの青い帳簿を見る。」

    帳簿・書物を扱う場面。目的語 plána は軽性a語幹で、対格 plánan。形容詞 síval も軽性対格の語尾 -an を取って sívalan と一致する。指示詞 té は名詞句の末尾に置かれる。主語「私」は語尾 -im に現れる。

    ésa virá té þulklér.

    読み:エーサ ヴィラー テー スルクレール。

    és-avirátéþulklér.
    いる-<(軽いものが)>言葉<主格>あの<軽性>半端な

    「あの言葉は半端だ。」

    取引きや約束の場で、言葉に決意や熱が欠けていると遠回しに指摘する文。virá は軽性なので存在動詞 ésa を使う。指示詞 té が名詞句を閉じ、þulklér は主語に一致して単数主格の無語尾形となる。

    mé vír raumvirán té

    読み:メー ヴィール ラウンヴィラーン テー

    mévírraumvir-ánté
    <禁止・願いの打ち消し>言う<命令法><あなたが>噂-<対格>あの<軽性>

    「あの噂を言うな。」

    日常の叱責・制止。他動詞 vír- の直接目的語には対格が必要で、軽性 a 語幹の単数対格は -án になる。指示詞 té は「いま話題になっている、例の」という限定を表す。

    ésa snóur té séuril.

    読み:エーサ スノール テー セウリル。

    és-asnóurtéséuril.
    いる-<(軽いものが)>整い<主格>あの<軽性>美しい

    「あの整いは美しい。」

    書物・美の批評での用法。この snóur は「整い」と訳し、鋳物・書・衣などで輪郭の取り方として乱れなくととのっていることを評価する。主語 snóur が軽性子音語幹なので、繋辞は軽性の ésa、指示詞も軽性の té をとる。

  2. そこの方

    単独で使う呼びかけ。名前を口にできない霧の中などで、名前の代わりに相手を呼ぶ。

    té, séir! na sénim nóumo táses.

    読み:テー、セール!ナ セーニン ノーモ ターセス。

    té,séir!nasén-imnóumotás-es.
    そこの方待つ<命令法><あなたが><〜ない>見る-<私が>顔<対格><あなた>-<属格>

    「そこの方、待て!顔が見えない。」

    霧の濃い道で、正体のわからない相手を呼び止める言い方。呼びかけの té は文の頭に置くこともでき、そのときは読点で区切る。目上の人かもしれない相手には、命令法の séir ではなく、決まり文句の seirénde「しばしお待ちを」を使う。

    té! pá éses?

    読み:テー!パー エーセス?

    té!páés-es?
    そこの方誰<主格>いる-<あなたが>

    「そこの方!誰だ?」

    霧の中で名前を呼ぶと、その人が下の国へ引かれるとされる。そのため、名前の代わりに強勢のある té だけを言って呼びかける。後ろの問いで2人称の動詞を使っているので、同じ段か下向きの話し方。

解説

軽性の名詞につく指示詞「あの」。強勢をもち、格では変化せず、名詞の後ろに置く。単独で「そこの方」「おい」という呼びかけになり、名前を呼べない霧の中などで使う。関係節の小辞 te はこの語が固まったもので、文字では同じ字になるが、té には強勢と短い切れ目があり、te は無強勢で次の動詞に寄りかかる。té te と同じ音が重なるのを嫌って、関係節の te の前には置かず、代わりに代名詞 él を使う。重性の名詞には tó を使う。

文法

指示詞(軽性)。強勢をもち、格変化しない。重性は tó。強勢があり後ろに切れ目が入る点で、無強勢の関係節の小辞 te と区別される。

語源

関係節の小辞 te の源。

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