小説
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あの(重)
離れたところにある重性のもの、すでに話に出た重性のものを指す。
ké sénes gandér tó? éso ó fóndel.
読み:ケー セーネス ガンデール トー?エーソ オー フォンデル。
| ké | sén-es | gandér | tó? | és-o | ó | fóndel. |
| <〜か> | 見る-<あなたが> | 硬木<対格> | あの<重性> | いる-<(重いものが)> | <3人称単数・重性> | 古い |
「あの硬木が見えるか?あれは由緒ある古木だ。」
樵が森で若い者に話しかける言い方。生えている木はふつう軽性だが、硬木だけは生えていても重性で受けるので、指示詞は重性の tó、代名詞も重性の ó、繋辞も重性の éso になる。fóndel は、由緒があって尊い「古い」。
éso dún tó lóuvan, éso dún só trúin.
読み:エーソ ドゥーン トー ローヴァン、エーソ ドゥーン ソー トルーイン。
| és-o | dún | tó | lóuvan, | és-o | dún | só | trúin. |
| いる-<(重いものが)> | 丘<主格> | あの<重性> | 遠い | いる-<(重いものが)> | 丘<主格> | この<重性> | 近い |
「あの丘は遠く、この丘は近い。」
重性の指示詞 tó「あの」と só「この」を並べた対比の文。繋辞 és- は主語 dún(重性)に一致して éso になる。述語の形容詞は重性・単数・主格なので、語尾がつかない。道案内でよく使われる形の文。
sén fáron tó!
読み:セーン ファーロン トー!
| sén | fáron | tó! |
| 見る<命令法><あなたが> | 荷<対格> | あの<重性> |
「あの荷を見ろ。」
下向きの命令。命令法の2人称単数は、むき出しの語幹 sén だけで言う。tó は重性の名詞の後ろに置き、格では形が変わらない。荷 fáron は重性なので、主格と対格が同じ形。縁の市で同じ用件を言うときは sén fáron, ende のように ende を添える。
sén bélo gróm tó, máno tambór némores!
読み:セーン ベーロ グローン トー、マーノ タンボール ネーモレス!
| sén | bélo | gróm | tó, | mán-o | tambór | némor-es! |
| 見る<命令法><あなたが> | 欲<対格> | 重い | あの<重性> | 食べる-<(重いものが)> | 雑穀<対格> | <我々>-<属格> |
「あの欲張りを見ろ、俺たちの雑穀を食ってやがる!」
人を bélo gróm(重い欲)と呼ぶ陰口で、指示詞も動詞も重性の形(tó、máno)で受けている。人を重性の一致で受けるのは侮辱なので、強いあざけりの響きがある。主節を二つ並べているので、あいだに区切りを入れる。
tóro dalorár tó es orénos.
読み:トーロ ダロラール トー エス オレーノス。
| tór-o | dalorár | tó | es | orén-os. |
| 来る-<(重いものが)> | 泥の者<主格> | あの<重性> | から | 縁-<属格> |
「あの泥の者が縁から上がってくるぞ。」
陰口やからかいの言い方。dalorár そのものは軽性の語形のままだが、動詞を重性の -o(tóro)で、指示詞を重性の tó で受けている。人を重性で一致させることで、相手を石や泥のような「重いもの」として見下す。軽性で受ける tóra dalorár té なら、ただの「あの下の国の者が来る」になる。
éso þráin tó áuren.
読み:エーソ スライン トー アウレン。
| és-o | þráin | tó | áur-en. |
| いる-<(重いものが)> | 峰<主格> | あの<重性> | 昇る-<〜した・〜された> |
「あの峰は高い。」
一年じゅう雪の消えない峰を見上げて言う日常の文。「AはBだ」の文も繋辞 és- を先頭に置く。þráin は重性なので、繋辞は -o、指示詞は重性の tó になる。述語の分詞 áuren は重性・単数・主格なので一致の語尾がつかない。
víra kelár ré éso nébro tó gráis.
読み:ヴィーラ ケラール レー エーソ ネーブロ トー グライス。
| vír-a | kel-ár | ré | és-o | nébro | tó | gráis. |
| 言う-<(軽いものが)> | 伐る-<〜する人> | <〜と(節)> | いる-<(重いものが)> | 霧<主格> | あの<重性> | 不吉な |
「樵は、あの霧は不吉だと言う。」
人から聞いた兆しを伝える言い方。ré の節の中も、動詞で始まる語順を保つ。tó は重性の指示詞「あの」。
þróumo dórin tó.
読み:スローモ ドーリン トー。
| þróum-o | dórin | tó. |
| 死ぬ<〜し終えた>-<(重いものが)> | 男<主格> | あの<重性> |
「あの男はくたばった。」
人に対して þrúm- をわざと使う荒い陰口。人を重性の一致で受けるのと同じ種類の罵倒で、魂が昇らずに沈んだという含みがある。
éso raumvirá tó gróm.
読み:エーソ ラウンヴィラー トー グローン。
| és-o | raumvirá | tó | gróm. |
| いる-<(重いものが)> | 噂<主格> | あの<重性> | 重い |
「あの陰口は、品がなくて重い。」
日常の炉ばたで、特定の中傷を断じる言い方。語そのものは本来軽性だが、指示詞 tó・動詞 éso・形容詞 gróm をわざと重性で受け、「下へ落ちる言葉」「泥の言葉」として蔑む。語形 raumvirá は元の軽性の形のまま。
un nébroi, éso raumvirá tó múr.
読み:ウン ネーブロイ、エーソ ラウンヴィラー トー ムール。
| un | nébr-oi, | és-o | raumvirá | tó | múr. |
| 内に | 霧-<与格> | いる-<(重いものが)> | 噂<主格> | あの<重性> | 濁った |
「霧の中では、あの陰口は濁っている。」
霧期を背景にした日常的な評。un nébroi は「霧の中」と場を限定する。重性一致により、霧が下の国から湧くものとされる含みが重なり、múr は内容の根も葉なさにも転じている。
éso snúlvo tó pír.
読み:エーソ スヌルヴォ トー ピール。
| és-o | snúlvo | tó | pír. |
| いる-<(重いものが)> | 穴<主格> | あの<重性> | 小さい |
「あの穴は小さい。」
記録や注記のように、既知の穴を指示して寸法を述べる文。指示詞 tó は重性名詞 snúlvo を指示する。述語形容詞 pír は主語に一致し、重性単数では基辞のまま。
lísa lisár ré éso puló tó múel
読み:リーサ リサール レー エーソ プロー トー ムーエル
| lís-a | lis-ár | ré | és-o | puló | tó | múel |
| 書く-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | <〜と(節)> | いる-<(重いものが)> | 拍<主格> | あの<重性> | 遅い |
「書記は、あの拍は遅いと書いている。」
書物・手習い・韻律論の場面。補文は ré で導し、元の文の法と語形をそのまま保つ。引用節の中でも形容詞述語は存在動詞+主語+形容詞の形になる。あの.HV は重性の指示詞 tó。
遠くのもの、話題になっている既知のものを指す指示詞の重性形。軽性の té と対になる。名詞の後ろに置き、性によってだけ形が変わり、格では変わらない(gandér tó「あの硬木」)。軽性の té と違って関係節の小辞 te の前にそのまま置ける(gandér tó te …「〜した、あの硬木」)。霧の海や崖下の干潟など、下にあるものを指すときに多く聞かれる。
重性の名詞を修飾する。強勢あり。格変化しない。関係節がなければ名詞句の終わりの目印になる。
遠称の指示語 *t- に重性の *-o がついた形。軽性の té と対をなす。
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