小説
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濃霧
隣の人も見えないほど濃い霧。
éso þúumo séndoi, na sénim tásan.
読み:エーソ スーモ センドイ、ナ セーニン ターサン。
| és-o | þúumo | sénd-oi, | na | sén-im | tás-an. |
| いる-<(重いものが)> | 濃霧<主格> | ここ-<与格> | <〜ない> | 見る-<私が> | <あなた>-<対格> |
「「ここは濃霧だ。お前が見えない。」」
霧期に、すぐそばの相手に話しかける日常の言い方。þúumo は重性なので、存在の動詞は éso になる。読点で区切って主節を二つ並べている。後半は直説法なので na で否定する。2人称の tás を使っているので、同輩か目下の相手への話し方になる。
toríro þúumo, mé hál þelán!
読み:トリーロ スーモ、メー ハール セラーン!
| tor-ír-o | þúumo, | mé | hál | þel-án! |
| 来る-<もし〜なら>-<(重いものが)> | 濃霧<主格> | <禁止・願いの打ち消し> | 呼ぶ<命令法><あなたが> | 名前-<対格> |
「濃霧が来たら、名を呼ぶな。」
霧の中で名前を大声で呼ぶと下の国に聞かれる、という禁忌を戒める言い方。条件の節は接続詞を使わず、動詞を仮定法にするだけで作る。þúumo は重性なので -o をとる。禁止は mé+命令法。þúumo は、ふつうの霧 nébro より濃く、隣の人も見えない霧を言う。
trélau líura si endríña þúumo.
読み:トレーラウ リーウラ シ エンドリーニャ スーモ。
| trél-au | líura | si | endríña | þúumo. |
| 混ぜる-<双数> | 女<主格> | と | 子ども<主格> | 汁<対格> |
「女と子どもが汁をかき混ぜている。」
単数の主語が二つ並ぶので動詞は双数になる。女と子どもという二人組が粥や汁を混ぜる日常的な場面。þúumo は重性o語幹で対格同形。
na éso vrunó þúumo
読み:ナ エーソ ヴルノー スーモ
| na | és-o | vrunó | þúumo |
| <〜ない> | いる-<(重いものが)> | 巻き胴<主格> | 車輪<主格> |
「巻き胴は車輪ではない。」
作法書や技術書で、巻き胴と車輪の違いを区別する定義文。否定の繋辞文では否定の語 na を文頭に置き、動詞は語根 és と3人称単数重性の語尾 -o に分けて分析する。主語 vrunó と述語名詞 þúumo は主格で置く。
foumtáula torár þúumo sórel
読み:フォウンタウラ トラール スーモ ソーレル
| foumtául-a | torár | þúumo | sórel |
| いただく-<(軽いものが)> | 客<主格> | 汁<対格> | 今日 |
「客は今日、汁物をいただく。」
客をもてなす場面、あるいは礼法書・記録のような改まった叙述での用例。 foumtául- は温かい汁物を含む流質食物の食事を指す婉曲表現である。 foumtáula は三人称単数軽性で、主語 torár が人なので軽性語尾をとり、目的語 þúumo の性は影響しない。 þúumo は重性の o 語幹で、目的語(対格)でも主格と同形になる。
隣に立つ人の姿も見えないほど濃い霧。霧期の霧のうちもっとも重く、下の国の息がもっとも濃く満ちた状態とされる。霧は濃さで呼び分け、足もとが見える程度の薄い霧は nébro に指小辞をつけて言い、ふつうの霧は nébro、手も見えないほどになると þúumo と言う。この霧の中では名前を呼ばず、鈴を鳴らして歩く。
重性・o語幹(④型)。属 þúumos、与 þúumoi。
古高原語 *þúumo から。
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