小説
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あの方
目上の第三者を高めて指す3人称代名詞。
aldána aurél aldárei áurenei.
読み:アルダーナ アウレール アルダーレイ アウレネイ。
| aldán-a | aurél | aldár-ei | áur-en-ei. |
| お就きである-<(軽いものが)> | あの方 | 座-<与格> | 昇る-<〜した・〜された>-<軽性・与格> |
「あの方は、高き座にお就きであられる。」
王や高位の人が位にあることを言う。座は与格 aldárei で表し、分詞 áuren は軽性・単数・与格の -ei で一致する。今の王を個人名で呼ばず、aurél「あの方」と言っている。
aldanénde aurél aldárei áurenei.
読み:アルダネンデ アウレール アルダーレイ アウレネイ。
| aldan-énd-e | aurél | aldár-ei | áur-en-ei. |
| お就きである-<〜しますように>-<(軽いものが)> | あの方 | 座-<与格> | 昇る-<〜した・〜された>-<軽性・与格> |
「あの方が、高き座にお就きあそばしますように。」
即位の儀のころに宮廷で唱えられる言祝ぎ。願望法の3人称単数・軽性は -énde となり、強勢が語根から接尾辞へ移る(aldánа → aldanénde)。
glóira aurél es orénos.
読み:グロイラ アウレール エス オレーノス。
| glóir-a | aurél | es | orén-os. |
| お越しになる-<(軽いものが)> | あの方<主格> | から | 縁-<属格> |
「あの方は縁からお越しになる。」
目上の人が来ることを、第三者に伝える文。glóir- は tór-「来る」の尊敬の補充形で、au- をつけた形は使わない。主語の aurél「あの方」は人なので、軽性の -a をとる。
pón leunéim aurélei?
読み:ポーン レウネーン アウレーレイ?
| pón | leun-é-im | aurél-ei? |
| 何<対格> | 申す-<〜だろう>-<私が> | あの方-<与格> |
「あの方に何と申し上げればよいでしょう。」
目上の人の前で何を言うべきか迷うときの言い方。疑問詞 pó は動詞の前に出る。推量法の -él- は1人称の語尾 -im の前で l が落ちて -é- になり、強勢もそこに移る(léunim → leunéim)。言う相手は与格で表す。
selvána aurél virán fláinan.
読み:セルヴァーナ アウレール ヴィラーン フライナン。
| selván-a | aurél | vir-án | fláin-an. |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | あの方<主格> | 言葉-<対格> | 上品な-<軽性・対格> |
「あの方は上品なお言葉をおっしゃる。」
目上の人をほめる言い方。selván- は「言う」の尊敬の補充形。fláin は「軽い」から転じて、礼にかなった上品さを表す。軽い言葉ほど上へ昇る、という考え方がもとになっている。
an pó fleiréla aurél?
読み:アン ポー フレイレーラ アウレール?
| an | pó | fleir-él-a | aurél? |
| 上手 | どこ<対格> | お出ましになる-<〜だろう>-<(軽いものが)> | あの方 |
「あの方は、上手のどちらへお出ましになるのでしょうか。」
目上の人の行き先を尋ねる、上向きの問い。高原語には方向を決めない「どこへ」がないので、an pó「上手のどこへ」と前置詞句ごと文頭に出す。ké は使わず、推量法で推し量る形にする。fléir- は「行く」の尊敬の補充形で、強勢は推量法の -él- に移る。
fléira aurél an dún.
読み:フレーラ アウレール アン ドゥーン。
| fléir-a | aurél | an | dún. |
| お出ましになる-<(軽いものが)> | あの方<主格> | 上手 | 丘<対格> |
「あの方は丘の上へお出ましになる。」
目上の人の行き先を、同じ段の聞き手に伝える日常の文。aurél は él に尊敬の au- がついた語で、母音の前なので aur- の形になる。動詞にも「行く」の尊敬の補充形 fléir- を使い、主語と動詞の両方で相手を高めている。動詞は3人称単数・軽性。dún は重性なので、対格も主格と同じ形になる。
dulísim sáindaran aurélei.
読み:ドゥリーシン サインダラン アウレーレイ。
| du-lís-im | sáindar-an | aurél-ei. |
| <〜させていただく>-書く-<私が> | 証文-<対格> | あの方-<与格> |
「あの方に証文を書いて差し上げます。」
自分の動作には謙譲の du- をつけ、受け手の aurél は与格 -ei にする。こうして、上下の関係が一つの文の中にそろって表れる。aurél は él と同じく②型の語尾で変化する(aurélan・auréles・aurélei)。高め名詞なので、数詞や双数はつけない。
léunim virán sníran aurélei.
読み:レウニン ヴィラーン スニーラン アウレーレイ。
| léun-im | vir-án | snír-an | aurél-ei. |
| 申す-<私が> | 言葉-<対格> | わずかな-<軽性・対格> | あの方-<与格> |
「あの方に、わずかばかり申し上げます。」
目上の人への口上や手紙の書き出しで使う前置き。léun- は「言う」の謙譲の補充形。snír は軽性・単数・対格の virán に一致して sníran になる。自分の言葉を「わずかな」と低める言い方は、指小辞のついた viríña「拙い句」と並んで、改まった場の謙遜の定型である。
auflúuna aurél aumár.
読み:アウフルーナ アウレール アウマール。
| au-flúun-a | aurél | au-már. |
| <お〜になる・御〜>-洗う-<(軽いものが)> | あの方 | <お〜になる・御〜>-手<対格> |
「あの方は御手をお洗いになる。」
目上の人の体の部分には au- をつけて aumár「御手」と言い、動詞にも尊敬の au- をつける。aumár は重性なので、対格は主格と同じ形。御手を双数にして aumárou「御両手」と言うのは、人を数えることにならないので許される。
selvéna aurél viráis náumais.
読み:セルヴェーナ アウレール ヴィライス ナウマイス。
| selvén-a | aurél | vir-áis | náum-ais. |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | あの方<主格> | 言葉-<〜たちを> | 穏やかな-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格> |
「あの方は穏やかなお言葉をおかけになる。」
目上の人の話しぶりをほめる言い方。selvén- は「言う」の尊敬の補充形。形容詞 náum は viráis(軽性・複数・対格)に一致して náumais になる。
esénde lúsa sé aurélei.
読み:エセンデ ルーサ セー アウレーレイ。
| es-énd-e | lúsa | sé | aurél-ei. |
| いる-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 粥<主格> | この<軽性> | あの方-<与格> |
「この粥を、どうぞあの方に(お召し上がりくださいませ)。」
目上の人に食事を勧める、遠回しで改まった言い方。「食べよ」とは言わず、所有の構文「ある+持ち主の与格」を願望法にして、「この粥があの方のものとなりますように」と言う。強勢は願望法の -énd- に移る。
luuménde aurél kumbór ámbel só.
読み:ルーメンデ アウレール クンボール アンベル ソー。
| luum-énd-e | aurél | kumbór | ámbel | só. |
| ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)> | あの方<主格> | 青銅<対格> | 金色の | この<重性> |
「あの方に、この金色の青銅をご覧いただきたく存じます。」
上向きの依頼で、尊敬の補充形 lúum- の願望法を使う。青銅 kumbór は金属なので重性で、指示詞も重性の só になる。鋳物師の家の使いが器を差し出すような改まった場面の言い方。
glóira aurél bóralos áurenos.
読み:グロイラ アウレール ボーラロス アウレノス。
| glóir-a | aurél | bóral-os | áur-en-os. |
| お越しになる-<(軽いものが)> | あの方 | 館-<属格> | 昇る-<〜した・〜された>-<重性・属格> |
「高き館の方がお越しになる。」
目上の人の個人名は口にしないので、住んでいる館で遠回しに言う。bóral は重性なので、分詞 áuren も重性の属格 -os で一致する。動詞は人を受けるので軽性の -a をとる。丘の上にある家ほど身分が高いので、áuren「高き」を添えると大家の館の意味になる。
glóira aurél séndo anlúin.
読み:グロイラ アウレール センド アンルーイン。
| glóir-a | aurél | séndo | anlúin. |
| お越しになる-<(軽いものが)> | あの方<主格> | ここ | 以前に |
「あの方は、以前にもここへお越しになった。」
目上の人のことを第三者に話す文。主語の aurél「あの方」に合わせて、動詞は尊敬の補充形 glóir- を使う。副詞の anlúin も séndo「ここ」も、格語尾をつけずに文の後ろに並べる。
selvána aurél ré ésa mélna sé gléin.
読み:セルヴァーナ アウレール レー エーサ メルナ セー グレーン。
| selván-a | aurél | ré | és-a | mélna | sé | gléin |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | あの方<主格> | <〜と(節)> | いる-<(軽いものが)> | 詩<主格> | この<軽性> | 清い |
「あの方は、この詩は清いとおっしゃる。」
目上の人の言葉を伝える改まった言い方。selván- は「言う」の尊敬の補充形。ré の後ろの節も動詞で始まり、繋辞 ésa が主語 mélna(軽性)に一致する。
na ésa fírna dunémes séuril, mé augruunénde aurél.
読み:ナ エーサ フィルナ ドゥネーメス セウリル、メー アウグルーネンデ アウレール。
| na | és-a | fírna | duném-es | séuril, | mé | au-gruun-énd-e | aurél. |
| <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 書きぶり<主格> | 手前-<属格> | 美しい | <禁止・願いの打ち消し> | <お〜になる・御〜>-怒る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | あの方 |
「手前の書きぶりは拙うございますが、どうかお気を悪くなさいませぬよう。」
目上の人へ送る手紙の結びの決まり文句。前半では自分の書きぶりをへりくだる。後半は上向きの話し方なので2人称を使わず、相手を aurél「あの方」と3人称で言い、動詞に尊敬の au- をつける。禁止の mé は願望法と組み、強勢は願望法の -énd- に移る。
selvéna aurél ré tóro nébro.
読み:セルヴェーナ アウレール レー トーロ ネーブロ。
| selvén-a | aurél | ré | tór-o | nébro. |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | あの方 | <〜と(節)> | 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> |
「あの方は、霧が来るとおっしゃる。」
selvén- は「言う」の尊敬の補充形。言った内容は ré の節で主節の後ろに置き、その節も動詞で始める。節の中の動詞は、霧 nébro に合わせて重性の -o になる。
aldána aurél euléren es némores.
読み:アルダーナ アウレール エウレーレン エス ネーモレス。
| aldán-a | aurél | euléren | es | némor-es |
| おわす-<(軽いものが)> | あの方<主格> | 流れの違う | から | <我々>-<属格> |
「あの方は、我々とは筋が違う。」
高位者や部外者について、礼法を保ちながら身内ではないことを示す、やや冷たい言い方。語形は軽性単数。高位者を主語にする存在・判断の文では、通常の ésa ではなく尊敬の補充形 aldána を使う。
3人称単数の尊敬の代名詞。話題にのぼっている目上の人を指す。名前を口にできない目上の人を、役職名をくり返さずに受けるのに使う。高め名詞と同じく数えられないので、数詞も双数もつけられない。複数 aurélai は「あの方々」というひとまとまりの意味しか持たない。今の王には使わず、王は aldár「座」で受ける。
軽性・子音語幹型。主 aurél、対 aurélan、属 auréles、与 aurélei、複数主 aurélai。受ける動詞は尊敬の au- 形か補充形にする。
尊敬の接頭辞 au- +3人称単数 él。母音の前で au- が古い形 aur- をあらわす規則による(*au-él → aurél)。
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