小説
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丘
盛り上がった小高い土地。
aldána aldár áuren an dúnoi.
読み:アルダーナ アルダール アウレン アン ドゥーノイ。
| aldán-a | aldár | áur-en | an | dún-oi |
| おわす-<(軽いものが)> | 座<主格> | 昇る-<〜した・〜された> | 上手 | 丘-<与格> |
「高き座は丘の上におわします。」
aldán- は「いる」の尊敬の補充形。áuren は軽性・単数・主格の分詞で、一致の語尾はつかない。an+与格で「上手の側で」。
dúlim an dún.
読み:ドゥーリン アン ドゥーン。
| dúl-im | an | dún. |
| 下る-<私が> | 上手 | 丘<対格> |
「私は丘の北側へ下る。」
都の言い方。an はいつも北を指すので、北へ下る斜面でも an を使う。森や縁の人は、その場の高さで du dún と言う。
éso dún náuren.
読み:エーソ ドゥーン ナウレン。
| és-o | dún | n-áur-en. |
| いる-<(重いものが)> | 丘<主格> | <〜ない>-昇る-<〜した・〜された> |
「丘は高からぬ(低い)。」
na- は母音の前で n- になる。
dúlan kelárai es dúnos.
読み:ドゥーラン ケラーライ エス ドゥーノス。
| dúl-an | kel-ár-ai | es | dún-os. |
| 下る-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> | から | 丘-<属格> |
「樵たちが丘から下りてくる。」
es+属格で、方向を問わない「〜から」を表す。主語の kelárai は軽性の複数(kél-「伐る」+-ár「〜する人」)なので、動詞は3人称複数の -an をとる。dún の属格は重性の -os になる。
sénim orén es dúnos.
読み:セーニン オレーン エス ドゥーノス。
| sén-im | orén | es | dún-os. |
| 見る-<私が> | 縁<対格> | から | 丘-<属格> |
「丘から縁を見下ろす。」
主語は動詞の語尾 -im でわかるので言わない。orén は重性なので、主格と対格が同じ形になる。丘の上から南の縁の方を見る、という高原の縦の地理らしい文。
dúlimor þrénul dúnos.
読み:ドゥーリモル スレーヌル ドゥーノス。
| dúl-imor | þrén-ul | dún-os. |
| 下る-<我々が> | 段-<〜たちを> | 丘-<属格> |
「我々は丘の石段を下りる。」
þrénul は、どこを下りるかを表す道のりの対格。dún「丘」の属格 dúnos を、名詞の後ろに置いている。坂や石段を下りるときは目下の者が先を歩き、上るときは目上の者が先を歩く。
gélimor an dún sórel.
読み:ゲーリモル アン ドゥーン ソーレル。
| gél-imor | an | dún | sórel. |
| 行く-<我々が> | 上手へ・上手で | 丘<対格> | 今日 |
「今日、我々は丘へ上がる。」
an+対格で、上手(北・高み)への移動を表す。gél-「行く」自体は上下を言わないので、方向は前置詞で決まる。dún は重性なので、対格は主格と同じ形。an は強勢をもたず、次の語に寄りかかって発音される。
na gélimor an dún es fáronos.
読み:ナ ゲーリモル アン ドゥーン エス ファーロノス。
| na | gél-imor | an | dún | es | fáron-os. |
| <〜ない> | 行く-<我々が> | 上手へ・上手で | 丘<対格> | 〜のゆえに | 荷-<属格> |
「荷があるので、我々は丘へは上がらない。」
es+属格で理由を表す。高原語では理由を「出どころ」と考えるので、es+属格は「〜から」とも「〜のゆえに」とも読め、どちらの意味かは文脈で決まる。否定の小辞 na は動詞の直前に置く。
éso dún tó lóuvan, éso dún só trúin.
読み:エーソ ドゥーン トー ローヴァン、エーソ ドゥーン ソー トルーイン。
| és-o | dún | tó | lóuvan, | és-o | dún | só | trúin. |
| いる-<(重いものが)> | 丘<主格> | あの<重性> | 遠い | いる-<(重いものが)> | 丘<主格> | この<重性> | 近い |
「あの丘は遠く、この丘は近い。」
重性の指示詞 tó「あの」と só「この」を並べた対比の文。繋辞 és- は主語 dún(重性)に一致して éso になる。述語の形容詞は重性・単数・主格なので、語尾がつかない。道案内でよく使われる形の文。
fléira aurél an dún.
読み:フレーラ アウレール アン ドゥーン。
| fléir-a | aurél | an | dún. |
| お出ましになる-<(軽いものが)> | あの方<主格> | 上手 | 丘<対格> |
「あの方は丘の上へお出ましになる。」
目上の人の行き先を、同じ段の聞き手に伝える日常の文。aurél は él に尊敬の au- がついた語で、母音の前なので aur- の形になる。動詞にも「行く」の尊敬の補充形 fléir- を使い、主語と動詞の両方で相手を高めている。動詞は3人称単数・軽性。dún は重性なので、対格も主格と同じ形になる。
ombéra endríña aurán te áura an dún.
読み:オンベーラ エンドリーニャ アウラーン テ アウラ アン ドゥーン。
| ombér-a | endríña | aur-án | te | áur-a | an | dún. |
| 指さす-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 縁鷲-<対格> | <関係節> | 昇る-<(軽いものが)> | 上手 | 丘<対格> |
「子どもが、丘の上手へ昇っていく縁鷲を指さす。」
鳥を指さすのはかまわない。指さすのが禁じられているのは、星と目上の人。aurá は語尾に強勢のあるa語幹なので、対格は aurán。関係節は te で始まり、主語の抜けた穴は空けたままにする。dún「丘」は重性なので、an の後ろの対格も主格と同じ形になる。
toréndes an gráun dúnos, séirim tásan.
読み:トレンデス アン グラウン ドゥーノス、セーリン ターサン。
| tor-énd-es | an | gráun | dún-os, | séir-im | tás-an. |
| 来る-<〜しますように>-<あなたが> | 上手 | 上端<対格> | 丘-<属格> | 待つ-<私が> | <あなた>-<対格> |
「丘のてっぺんまで来てくれないか。待っているから。」
同じ段の者どうしの約束の言い方。同じ段の相手なので、命令法ではなく願望法の2人称を使う。gráun に丘 dún の属格を添えて、「丘のてっぺん」と言う。坂の多い都では、待ち合わせの場所によく使われる言い方である。
lúin ráumimor an dún, ráuma ólmar an némorei.
読み:ルーイン ラウミモル アン ドゥーン、ラウマ オルマル アン ネーモレイ。
| lúin | ráum-imor | an | dún, | ráum-a | ólmar | an | némor-ei. |
| とき | 歩く-<我々が> | 上手 | 丘<対格> | 歩く-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 上手 | <我々>-<与格> |
「丘を上るときは、年長者が我々の上手を歩く。」
坂道の作法を説明する文。坂を上るときは目上の者が先(上の位置)を歩き、下るときは目下の者が先を歩く。lúin の節は主節の前に置く。an+対格の an dún は「丘の上手へ」、an+与格の an némorei は「我々の上手の側で」。
hoinéndes an dún, séulin.
読み:ホイネンデス アン ドゥーン、セウリン。
| hoin-énd-es | an | dún, | séulin. |
| 帰る-<〜しますように>-<あなたが> | 上手 | 丘<対格> | 友 |
「丘の上へ帰ってくれよ、友よ。」
同じ段の友に向けた「並び」の依頼。並びの話し方では、命令法ではなく願望法の2人称を使う。an+対格で「上手へ」。dún は重性なので、対格も主格と同じ形。日常では呼格を使わず、呼びかけの名詞を文末に読点で区切って添える。
áura álmar an dún.
読み:アウラ アルマル アン ドゥーン。
| áur-a | álmar | an | dún. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | 上手 | 丘<対格> |
「白月が丘の上手へ昇る。」
年代記や暦の記事にあるような、直説法だけの簡潔な文。白月は軽性なので、動詞は軽性の -a をとる。an+対格で「上手へ」。重性の dún「丘」は、対格でも主格と同じ形になる。白月は暦の基準になる月で、祖先のまなざしの象徴とされる。
áura hervíña an dún.
読み:アウラ ヘルヴィーニャ アン ドゥーン。
| áur-a | hervíña | an | dún. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 小鹿<主格> | 上手 | 丘<対格> |
「小鹿が丘を駆け上がっていく。」
森の村の日常の文。hervíña は hérvan「大鹿」に指小辞 -íña がついた軽性の a 語幹で、森の民が狩る小型の鹿を広く指す。獣は軽性なので、動詞は -a をとる。an+対格で「上手へ」。dún は重性なので、対格も主格と同じ形になる。
drénan dubrélai némes an dún sórel.
読み:ドレーナン ドゥブレーライ ネーメス アン ドゥーン ソーレル。
| drén-an | dubrél-ai | ném-es | an | dún | sórel. |
| 参る-<彼らが> | 弟妹-<〜たちが> | <私>-<属格> | 上手 | 丘<対格> | 今日 |
「今日、私の弟たちが丘の上へ参ります。」
話し手自身だけでなく、身内の行き先を目上の人に告げるときにも謙譲の drén- を使う。an+対格で「上手へ」。丘の上は身分の高い家の場所なので、丘へ上がる身内を低めて言う。
dufaronérim aufáron aulisáres an dún.
読み:ドゥファロネーリン アウファーロン アウリサーレス アン ドゥーン。
| du-faronér-im | au-fáron | au-lis-ár-es | an | dún. |
| <〜させていただく>-運ぶ-<私が> | <お〜になる・御〜>-荷<対格> | <お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<属格> | 上手 | 丘<対格> |
「「書記の方のお荷物を、丘の上まで運ばせていただきます。」」
自分の行いを謙譲の接頭辞 du- で低め、荷の持ち主を au- のついた属格 aulisáres で高めている。f- の前の du- は形が変わらない。an+対格は「上手へ」で、湖都の坂道では丘の上へ向かうことを表す。
lúin áura sílar ál, sénimor dún.
読み:ルーイン アウラ シーラル アール、セーニモル ドゥーン。
| lúin | áur-a | sílar | ál, | sén-imor | dún. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 月<主格> | 明るい | 見る-<我々が> | 丘<対格> |
「明るい月が昇ると、我々には丘が見える。」
月明かりについて言うとき、ál は「明るい」の意味になる。月は軽性なので、動詞は -a をとる。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。dún は重性なので、対格も主格と同じ形。
mé ráum du dún dréum!
読み:メー ラウン ドゥ ドゥーン ドレウン!
| mé | ráum | du | dún | dréum! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 歩く<命令法><あなたが> | 下手 | 丘<対格> | 暗い |
「暗い丘を下りていくな!」
禁止は「mé+命令法」で言う。du+対格で「下手へ」。丘 dún は重性なので、対格も主格と同じ形になり、形容詞にも語尾がつかない。
fléiran aubrándalai an dún.
読み:フレーラン アウブランダライ アン ドゥーン。
| fléir-an | au-brándal-ai | an | dún. |
| お出ましになる-<彼らが> | <お〜になる・御〜>-諸司-<〜たちが> | 上手 | 丘<対格> |
「宮廷の方々が丘の上へお出ましになる。」
複数形で宮廷の役人全体を漠然と指す、高めた言い方。高め名詞には数詞をつけられないので、何人かは言わず、ひとまとまりの複数で受ける。dún は重性で、対格は主格と同じ形。
léima ráuvan gleinó an dún.
読み:レーマ ラウヴァン グレイノー アン ドゥーン。
| léim-a | ráuvan | gleinó | an | dún. |
| 置く-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 境石<対格> | 上手 | 丘<対格> |
「森の巫が、丘の上手へ境石を据える。」
境を定める儀式を述べる文。an+対格で「上手へ」。重性の dún は、対格も主格と同じ形になる。
lúin glóira aurilanár es dúnos, dulísimor plánan.
読み:ルーイン グロイラ アウリラナール エス ドゥーノス、ドゥリーシモル プラーナン。
| lúin | glóir-a | aur-ilanár | es | dún-os, | du-lís-imor | plán-an. |
| とき | お越しになる-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-星読み<主格> | から | 丘-<属格> | <〜させていただく>-書く-<我々が> | 帳簿-<対格> |
「星読みの方が丘からお越しになるときは、我々が帳簿を書かせていただきます。」
目下の者が星読みについて話す改まった文。星読みは四段下りの役人なので、au- をつけて高める。au- は母音の前で aur- になるので、au-ilanár は aurilanár になる。glóir- は「来る」の尊敬の補充形。主節は謙譲の接頭辞 du- で自分たちの行いを低めている(du-lís-imor)。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。
sénim órunan es dúnos.
読み:セーニン オールナン エス ドゥーノス。
| sén-im | órun-an | es | dún-os. |
| 見る-<私が> | 東-<対格> | から | 丘-<属格> |
「私は丘の上から東を眺める。」
órun を、方角や東の土地を指す目的語として使った文。軽性名詞なので、対格は -an になる。órun「日の出・東」と órel「日・太陽」は似た響きなので、日本語話者は聞き違えやすい。
tóro nébro or dún.
読み:トーロ ネーブロ オル ドゥーン。
| tór-o | nébro | or | dún. |
| 来る-<(重いものが)> | 霧<主格> | 日の出側 | 丘<対格> |
「霧が丘の日の出側へやって来る。」
ものの動きを方角で言う文。or+対格で、目印になるものの日の出側(東側)へ向かうことを表す。or は órun「日の出」から来た語で、強勢がなく、次の語に寄りかかって発音される。主語の nébro「霧」は重性なので、動詞は重性の -o をとる。
lúin áura álmar or dún, émbelan ólmarai aursárais.
読み:ルーイン アウラ アルマル オル ドゥーン、エンベラン オルマライ アウルサーライス。
| lúin | áur-a | álmar | or | dún, | émbel-an | ólmar-ai | aursár-ais. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | 日の出側 | 丘<対格> | 祀る-<彼らが> | 年長者-<〜たちが> | 祖先-<〜たちを> |
「白月が丘の日の出側に昇ると、年長者たちは祖先を祀る。」
天体の位置を言う決まった言い方。星や月は指さしてはいけないので、よく知られた目印と方向の前置詞で位置を示す。or+対格で「〜の日の出側へ」を表す。lúin で始まる時の節は主節の前に置く。
lúin tóra vélun, hóinan kelárai an dún.
読み:ルーイン トーラ ヴェールン、ホイナン ケラーライ アン ドゥーン。
| lúin | tór-a | vélun, | hóin-an | kel-ár-ai | an | dún. |
| とき | 来る-<(軽いものが)> | 日の入り<主格> | 帰る-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> | 上手 | 丘<対格> |
「日が沈むと、樵たちは丘の上へ帰っていく。」
vélun は軽性の子音語幹として変化する。lúin の節は主節の前に置く。「日の入りが来る」という言い方で「夕方になる」を表す。日常の語り口の文。
ésa nóra, áura ilanár an dún.
読み:エーサ ノーラ、アウラ イラナール アン ドゥーン。
| és-a | nóra, | áur-a | ilanár | an | dún. |
| いる-<(軽いものが)> | 夜分<主格> | 昇る-<(軽いものが)> | 星読み<主格> | 上手 | 丘<対格> |
「夜分となり、星読みが丘の上へ昇った。」
年代記に見られる、直説法の短い文を並べた記事の書きぶり。時制がないので、文脈から過去と読む。an+対格で「上手へ」。dún は重性なので、対格は主格と同じ形になる。
snéimim. drénim an dún.
読み:スネーミン。ドレーニン アン ドゥーン。
| snéimim. | drén-im | an | dún. |
| 前を失礼します | 参る-<私が> | 上手 | 丘<対格> |
「前を失礼いたします。丘の上へ参ります。」
坂道や石段で、人の前を横切ったり追い越したりするときの言い方。高原では目上の人より上の位置を歩くことが嫌われるので、上り坂で前に出るときにはとくに欠かせない。an+対格で「上手へ」。dún は重性なので、主格と対格が同じ形になる。
éso kéumo dúnos fóndel.
読み:エーソ ケウモ ドゥーノス フォンデル。
| és-o | kéumo | dún-os | fóndel. |
| いる-<(重いものが)> | 碑<主格> | 丘-<属格> | 古い |
「丘の碑は由緒あるものだ。」
王の丘の統一の碑のような、古い碑について述べた文。「AはBだ」の文も、繋辞 és- で始める。主語の kéumo が重性なので、繋辞は éso、述語の形容詞 fóndel は重性・単数・主格の形(語尾なし)になる。dúnos は「丘の」という属格。
tróuno món es dúnos.
読み:トローノ モーン エス ドゥーノス。
| tróun-o | món | es | dún-os. |
| 転がる<〜し終えた>-<(重いものが)> | 石<主格> | から | 丘-<属格> |
「石が丘から転がった。」
記録文のような平叙。完了相は u の語根 trún- が ou に変わる。es+属格で「〜から」を表し、出どころを示す。
senáura endríña dún.
読み:セナウラ エンドリーニャ ドゥーン。
| senáur-a | endríña | dún. |
| 見上げる-<(軽いものが)> | 子<主格> | 丘<対格> |
「子どもは丘を見上げる。」
日常の基本的な用法。上方にあるものへ視線と顔を向ける。endrína は人を指し、動詞は3人称単数軽性で一致する。dún は重性子音語幹で、対格は主格と同じ形。
vóloi, dunþréman dǘn.
読み:ヴォーロイ、ドゥンスレーマン デューン。
| vól-oi, | dunþrém-an | dǘn. |
| 地面-<与格> | 腫れる-<彼らが> | 丘<〜ら(古い母音交替)><主格> |
「地面に、丘々が盛り上がっている。」
書物的な地形描写風。dún の複数主格 dǘn は接辞をもたない母音交替形で、複数を表す独立の形態素が存在しない。そのため dǘn のグロスは、一つの語形に grammatical categories を付す書き方として丘.PL.NOM とする。地面は与格 vóloi で場所を示す。主語が複数なので、動詞は3人称複数 -an で受ける。
górno dún nébroi.
読み:ゴルノ ドゥーン ネーブロイ。
| górn-o | dún | nébr-oi |
| 消える-<(重いものが)> | 丘<主格> | 霧-<与格> |
「丘は霧の中に消える。」
霧によって丘の輪郭が薄れ、視界から失われる、意図を含まない自動詞の用法。主語 dún は重性子音語幹なので、動詞は重性単数の górn-o をとる。霧の中の場所は前置詞なしの与格 nébr-oi で表す。霧の中で遠景が消える描写には、澄みが薄れて輪郭が湿り気に溶かされるような不吉な含みが出ることがある。
éso dún só ául
読み:エーソ ドゥーン ソー アウル
| és-o | dún | só | ául |
| いる-<(重いものが)> | 丘<主格> | この<重性> | 高い |
「この丘は高い。」
ふだんの会話で使われる文。重性名詞 dún を指示詞 só までで主語とし、述語形容詞 ául をその後ろに置く。指示詞を先行させ、形容詞を名詞句内の修飾語ではなく述語として読む語順。
þrála dórin an dún.
読み:スラーラ ドーリン アン ドゥーン。
| þrál-a | dórin | an | dún. |
| 登る-<(軽いものが)> | 男<主格> | 上手 | 丘<対格> |
「男が丘へ登っていく。」
日常の移動の場面。dún「丘」へ向かう上り方を表す。anは単に丘の位置を言うだけでなく、上方・上手方面へ向かう方向性を与える。人を指す主語には動詞が軽性-aで一致する。
éso dún dúlen.
読み:エーソ ドゥーン ドゥーレン。
| és-o | dún | dúlen |
| いる-<(重いものが)> | 丘<主格> | 低い |
「丘は低い。」
存在文を兼ねた述語文。主語 dún は重性なので、繋辞は 3単数・重性の -o。述語形容詞 dúlen は主格単数で無語尾。
王の丘
湖都の北の、王の居所がある丘。an dúnoi「丘の上に」。
lúin fléira aldár áuren es dúnos, snéiman éndrai.
読み:ルーイン フレーラ アルダール アウレン エス ドゥーノス、スネーマン エンドライ。
| lúin | fléir-a | aldár | áur-en | es | dún-os, | snéim-an | éndr-ai. |
| とき | お出ましになる-<(軽いものが)> | 座<主格> | 昇る-<〜した・〜された> | から | 王の丘-<属格> | 身をかがめる-<彼らが> | 人-<〜たちが> |
「高き座が王の丘からお出ましになると、人々は身をかがめる。」
都での王の行幸を言う文。単に dún と言っても、文脈から湖都の北の、王の居所がある丘を指す。fléir- は「行く」の尊敬の補充形。lúin の時の節は主節の前に置く。
drénim an dún sórel.
読み:ドレーニン アン ドゥーン ソーレル。
| drén-im | an | dún | sórel. |
| 参る-<私が> | 上手 | 王の丘<対格> | 今日 |
「今日、王の丘へ参ります。」
an+対格で「上手へ」。王の丘へ行くときは、行き先の主が高い方なので、「行く」の謙譲の補充形 drén-「参る」を使う。重性名詞なので、対格は主格と同じ形 dún。
盛り上がった土地、丘。とくに湖都の北にある王の丘を指すことが多い。王の居所は丘の頂にあり、身分の高い家ほど丘の上に建つので、「丘の上」は高い身分を思わせる。複数は語根の母音を変えて作る古い型。
重性・子音語幹。単数:主格・対格 dún、属 dúnos、与 dúnoi。複数は母音交替で、主格・対格 dǘn、属 dǘnur、与 dǘnuls。
古い一音節語。複数の dǘn は、古い複数語尾の i に引かれたウムラウトの名残。
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