小説
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洗う
水でものの汚れを落とす。
flúuna faronár míran.
読み:フルーナ ファロナール ミーラン。
| flúun-a | faronár | mír-an. |
| 洗う-<(軽いものが)> | 運び人<主格> | 自分-<対格> |
「運び人は自分の体を洗う。」
再帰代名詞 mír の対格 míran が、主語自身を目的語として受けている。él を使って flúuna faronár élan と言うと、別の人を洗う意味になる。mír は主語を指し返す語なので、主格では使わない。
flúun már, endríña.
読み:フルーン マール、エンドリーニャ。
| flúun | már, | endríña. |
| 洗う<命令法><あなたが> | 手<対格> | 子ども |
「手を洗いなさい、坊や。」
食事の前に子どもに言う日常の命令。már は重性の子音語幹名詞なので、対格は主格と同じ形。呼びかけには呼格を使わず、名詞を文末に読点で区切って添える。
auflúuna aurél aumár.
読み:アウフルーナ アウレール アウマール。
| au-flúun-a | aurél | au-már. |
| <お〜になる・御〜>-洗う-<(軽いものが)> | あの方 | <お〜になる・御〜>-手<対格> |
「あの方は御手をお洗いになる。」
目上の人の体の部分には au- をつけて aumár「御手」と言い、動詞にも尊敬の au- をつける。aumár は重性なので、対格は主格と同じ形。御手を双数にして aumárou「御両手」と言うのは、人を数えることにならないので許される。
flúun nóumo táses, endríña.
読み:フルーン ノーモ ターセス、エンドリーニャ。
| flúun | nóumo | tás-es, | endríña. |
| 洗う<命令法><あなたが> | 顔<対格> | <あなた>-<属格> | 子ども |
「顔を洗いなさい、坊や。」
親が子に言う下向きの命令。日常では呼格を使わないので、呼びかけの名詞は読点で区切って文の終わりに添える。nóumo は重性o語幹で、主格と対格が同じ形。
flúun drál táses!
読み:フルーン ドラール ターセス!
| flúun | drál | tás-es! |
| 洗う<命令法><あなたが> | 首<対格> | <あなた>-<属格> |
「首を洗いなさい。」
親が子に言う下向きの命令で、命令法2単はむき出しの語幹 flúun。drál は体の部分なので重性で、対格は主格と同じ形。
grómim, fluunéndes rúun némes.
読み:グローミン、フルーネンデス ルーン ネーメス。
| grómim, | fluun-énd-es | rúun | ném-es. |
| すまない | 洗う-<〜しますように>-<あなたが> | 背<対格> | <私>-<属格> |
「すまない、背中を洗ってくれないか。」
同じ段の相手に頼む「並び」の話し方で、願望法の2人称を使う。願望法の -énd- が強勢をとるので、語根 flúun- の強勢記号は消える。決まり文句の grómim を前に置くと、頼みがやわらかくなる。
ésa sóila némes flúunen sórel.
読み:エーサ ソイラ ネーメス フルーネン ソーレル。
| és-a | sóila | ném-es | flúun-en | sórel. |
| いる-<(軽いものが)> | 髪<主格> | <私>-<属格> | 洗う-<〜した・〜された> | 今日 |
「今日は髪を洗ってある。」
日常の文。繋辞 és- が先頭に来て、主語の sóila(軽性・単数・主格)を受けている。持ち主は、属格の代名詞 némes を名詞の後ろに置いて表す。分詞 flúunen は「洗われた(状態にある)」の意味で、軽性・単数・主格なので一致の語尾はつかない。
flúuna faronár fréun.
読み:フルーナ ファロナール フレウン。
| flúun-a | faronár | fréun. |
| 洗う-<(軽いものが)> | 運び人<主格> | 額<対格> |
「運び人が額を洗う。」
崖道を上りきった運び人が汗をぬぐう、日常の動作。fréun は体の部分なので重性の子音語幹で、対格は主格と同じ形。主語の faronár は人なので、動詞は軽性の -a をとる。語順は動詞–主語–目的語。
flúunim frúm es máros.
読み:フルーニン フルーン エス マーロス。
| flúun-im | frúm | es | már-os. |
| 洗う-<私が> | 血<対格> | から | 手-<属格> |
「手から血を洗い流す。」
狩りで獲物をさばいたあとなどの日常の言い方。重性の frúm は対格も主格と同じ形。洗い落とす元の場所は es+属格で示す。
flúuna líura már si nóumo.
読み:フルーナ リーウラ マール シ ノーモ。
| flúun-a | líura | már | si | nóumo. |
| 洗う-<(軽いものが)> | 女<主格> | 手<対格> | と | 顔<対格> |
「女が手と顔を洗う。」
基本の VSO の文。主語の líura は人なので、動詞は軽性の -a をとる。体の部分 már・nóumo は重性なので、対格も主格と同じ形になる。目的語を二つ並べるときは si でつなぐ。
flúun már si nóumo, endríña.
読み:フルーン マール シ ノーモ、エンドリーニャ。
| flúun | már | si | nóumo, | endríña. |
| 洗う<命令法><あなたが> | 手<対格> | と | 顔<対格> | 子ども |
「手と顔を洗いなさい、子よ。」
下向きの命令法2人称単数は、むき出しの語幹 flúun で言う。呼びかけは呼格を使わず、読点で区切って文の終わりに添える。
flúuna ráuvan frumó.
読み:フルーナ ラウヴァン フルモー。
| flúun-a | ráuvan | frumó. |
| 洗う-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 傷<対格> |
「森の巫が傷を洗う。」
治癒儀礼の手当て。動詞 flúun- の語尾は軽性の主語 ráuvan に合わせて -a。対象の傷 frumó は重性名詞で、対格は主格と同形。
清める
雨水などの清い水で、器や体を祀りのために清める。
lúin áurau sílarau, fluunésa kumbór.
読み:ルーイン アウラウ シーララウ、フルーネーサ クンボール。
| lúin | áur-au | sílar-au, | fluun-és-a | kumbór. |
| とき | 昇る-<双数> | 月-<双数> | 清める-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 青銅<対格> |
「二つの月が昇るときには、青銅を清めるべし。」
作法書や詞に見られる当為法の文。強勢は -és- に移り、語根の ´ は消える。主語を言わないので「人は〜すべし」の意味で、軽性の -a をとる。月は星ではないので双数で言える。二つの月が重なる夜は秩序が乱れる夜とされ、祀りの器を清める。
lúin émbelimor aursárais, flúunimor nóumo.
読み:ルーイン エンベリモル アウルサーライス、フルーニモル ノーモ。
| lúin | émbel-imor | aursár-ais, | flúun-imor | nóumo. |
| とき | 祀る-<我々が> | 祖先-<〜たちを> | 清める-<我々が> | 顔<対格> |
「祖先を祀るとき、我々は顔を清める。」
lúin の節を主節の前に置いている。祀りのための清めは、ふつう軒で集めた雨水で行う。体の部分 nóumo「顔」は重性o語幹なので、対格も同じ形になる。
flúunim manó téir fréimai.
読み:フルーニン マノー テール フレーマイ。
| flúun-im | manó | téir | fréim-ai. |
| 清める-<私が> | 椀<対格> | 三 | 度-<〜たちが> |
「一日三回、椀を清める(=三食の食事をいただく)。」
比喩用法。manóが椀そのものではなく、椀に盛られた食事(食の行為)を指す。flúun-「洗う・清める」が食後の感謝の意を含む。食の文脈での定型に近い表現で、椀を清める=食事をいただく、という比喩が定着している。数詞 téir(三)の後ろの名詞は複数主格 fréimai(軽性子音語幹②型の複数主格 -ai)になる。
水でものを洗うことを表す。雨期に軒で集めた雨水は「上から来た水」で清いとされ、祀りの器を清めたり墨をすったりするのに使われる。そのため、雨水で洗うことは「清める」という宗教的な意味を帯びる。霧期の湿り気は「まとわりつくもの」で洗い流さないとされ、霧について flúun- を使うことはない。
完了語根は、長母音の語根なので -s- を足した flúuns-。洗うのに使う水は与格で示す(flúunim aumárou réinei「雨水で御両手を清める」)。
古高原語から受け継いだ語。
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