houmár

品詞
名詞
意味
家の主
発音
[houˈmar]
読み
ホウマール
分野
人・親族

意味

  1. 家の主

    一つの家(炉)を治める者。

    méira houmár tambór kelárail ínin.

    読み:メーラ ホウマール タンボール ケラーライル イーニン。

    méir-ahoumártambórkel-ár-ailínin.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>雑穀<対格>伐る-<〜する人>-<〜らに>それぞれ

    「「家の主は、樵たちそれぞれに雑穀を分け与える。」」

    炉ばたで食べ物を分ける場面。受け手を与格 íninei で言い、誰のそれぞれかを複数属格 kelárar で添える。ínin は子音語幹の軽性として変化する。

    méira houmár tambór faronárei, ré eséndo gromó éles krán.

    読み:メーラ ホウマール タンボール ファロナーレイ、レー エセンド グロモー エーレス クラーン。

    méir-ahoumártambórfaronár-ei,rées-énd-ogromóél-eskrán.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>雑穀<対格>運び人-<与格><〜と(節)>いる-<〜しますように>-<(重いものが)>体<主格><3人称単数・軽性>-<属格>硬い

    「家の主は、体が丈夫であるようにと、運び人に雑穀を与える。」

    「ré+願望法」で目的を表す文。ここでの願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしいこと」を表す。主語の gromó は重性なので、願望法の語尾は -o になる。

    mé vrinésa houmáran.

    読み:メー ヴリネーサ ホウマーラン。

    mévrin-és-ahoumár-an.
    <禁止・願いの打ち消し>ないがしろにする-<〜すべし>-<(軽いものが)>家の主-<対格>

    「家の主をないがしろにせぬこと。」

    家の決まりを書いた戒めの文。当為法で主語を言わないので、「人は〜すべし」という一般の主語になり、軽性の形をとる。当為法の否定には mé を使う。

    ésa anlóur némes houmár.

    読み:エーサ アンロール ネーメス ホウマール。

    és-aanlóurném-eshoumár.
    いる-<(軽いものが)>親<主格><私>-<属格>家の主

    「私の親は家の主だ。」

    「AはBだ」の文で、繋辞 és- を先頭に置いている。anlóur は人を指すので軽性の子音語幹で、動詞は軽性の -a をとる。父か母かは区別しない。同じ流れの、親と同じ世代の親族(おじ・おばにあたる人)も指せる。

    ké éses houmár? ésim.

    読み:ケー エーセス ホウマール?エーシン。

    kéés-eshoumár?és-im.
    <〜か>いる-<あなたが>家の主いる-<私が>

    「「お前がこの家の主か?」「そうだ。」」

    二人の発話。戸口で訪ねてきた者が家の者に尋ねる、くだけた問い。「AはBだ」の文も繋辞 és- で始める。高原語に「はい」にあたる語はないので、問いの動詞を自分の人称に変えて繰り返して答える(éses → ésim)。2人称を使っているので下向きか並びの話し方で、目上の人には使わない。

    méira houmár sáko torárei.

    読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。

    méir-ahoumársákotorár-ei.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>塩<対格>客-<与格>

    「家の主は客に塩を出す。」

    もてなしの作法を述べる文。小さな皿に塩をひとつまみ載せて出すのが、客への最高の礼とされる。語順は動詞–主語–目的語–与格。sáko「塩」は干潟から借りた語で重性なので、主格と対格が同じ形。

    lúin mána houmár, mánimor tambór.

    読み:ルーイン マーナ ホウマール、マーニモル タンボール。

    lúinmán-ahoumár,mán-imortambór.
    とき食べる-<(軽いものが)>家の主<主格>食べる-<我々が>雑穀<対格>

    「家の主が箸をつけてから、我々は雑穀を食べる。」

    家の中の食事の作法を言う文。年長の者、家の主が先に箸をつける。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。houmár は人を指すので軽性で、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。tambór は重性なので、対格も主格と同じ形。

    méira houmár sáko torárei.

    読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。

    méir-ahoumársákotorár-ei.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>塩<対格>客-<与格>

    「家の主が客に塩を与える。」

    基本の語順「動詞–主語–目的語–与格」。受け手は与格で言う。sáko「塩」は干潟から借りた重性名詞で、対格は主格と同じ形。客に小皿で塩をひとつまみ出すのは、もてなしの最高の礼とされる。

    lúin élþa elþá, dróumimor es houmáres.

    読み:ルーイン エルサ エルサー、ドローミモル エス ホウマーレス。

    lúinélþ-aelþá,dróum-imoreshoumár-es.
    とき燃える-<(軽いものが)>火<主格>悼む-<我々が>から家の主-<属格>

    「火が燃えるあいだ、我らは家の主を悼む。」

    火葬の場での言い方。死後一年は死者の名前を口にしないので、家の主のように立場で言い表す。悼む対象も es+属格で示す。

    sáila houmár sáindarei sé.

    読み:サイラ ホウマール サインダレイ セー。

    sáil-ahoumársáindar-eisé.
    喜ぶ-<(軽いものが)>家の主<主格>証文-<与格>この<軽性>

    「家の主はこの証文を喜んでいる。」

    喜ぶ理由は与格で示す。書かれた言葉が重い国なので、取り決めが証文に残ったことは喜ばれる。指示詞 sé は名詞句の終わりに置く。

    grúuna houmár némei.

    読み:グルーナ ホウマール ネーメイ。

    grúun-ahoumárném-ei.
    怒る-<(軽いものが)>家の主<主格><私>-<与格>

    「家の主が私に怒っている。」

    日常の言い方。怒りを向ける相手は与格で示す。主語の houmár は人なので、動詞は軽性の -a をとる。時制がないので、「怒った」とも「怒っている」とも訳せる。

    dúmarim tambór sáun, houmár.

    読み:ドゥーマリン タンボール サウン、ホウマール。

    dúmar-imtambórsáun,houmár.
    いただく-<私が>雑穀<対格>良い家の主

    「よい雑穀をいただきます、ご主人。」

    招かれた家で食事を受けるときの言い方。dúmar- は「食べる」の謙譲の補充形。tambór は重性なので主格と対格が同じ形になり、それに一致する sáun にも語尾がつかない。日常の呼びかけには呼格を使わず、役職や立場の名を文末に読点で区切って添える。

    dróuma houmár ré ésa dulóur éles krán.

    読み:ドローマ ホウマール レー エーサ ドゥロール エーレス クラーン。

    dróum-ahoumárréés-adulóurél-eskrán.
    嘆く-<(軽いものが)>家の主<主格><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>子<主格><3人称単数・軽性>-<属格>頑固な

    「家の主は、息子が頑固だと嘆いている。」

    ré は「〜と」の節を導く。節の中も動詞で始まる。人を重性で受けると侮辱になるので、頑固さを責める文であっても、主語の子は軽性の éisa で受ける。

    méira houmár sáko torárei.

    読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。

    méir-ahoumársákotorár-ei.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>もてなしの塩<対格>客-<与格>

    「家の主は客に塩を出して、手厚くもてなす。」

    「塩を出す(与える)」は、小皿にひとつまみの塩を載せて出す最高の礼を言う慣用句で、手厚い歓迎そのものを指す。受け手の客は与格 torárei で、目的語の後ろに置く。

    kéla houmár árnelais, ré esénde lúsa élei.

    読み:ケーラ ホウマール アルネライス、レー エセンデ ルーサ エーレイ。

    kél-ahoumárárnel-ais,rées-énd-elúsaél-ei.
    伐る-<(軽いものが)>家の主<主格>木-<〜たちを><〜と(節)>いる-<〜しますように>-<(軽いものが)>日々の糧<主格><3人称単数・軽性>-<与格>

    「家の主は、粥に困らぬよう木を伐る。」

    「ré+願望法」は目的を表す。所有は「ある+持ち主の与格」で言うので、「その人に粥がある」が「暮らしに困らない」という意味になる。élei は家の主を指す。ここでの lúsa は、日々の食い扶持を広く指している。

    élþa elþá, kúula houmár tambór.

    読み:エルサ エルサー、クーラ ホウマール タンボール。

    élþ-aelþá,kúul-ahoumártambór.
    燃える-<(軽いものが)>火<主格>煮る-<(軽いものが)>家の主<主格>雑穀<対格>

    「火が燃え、家の主が雑穀を煮ている。」

    日々の炊事を言う文。主節を二つ、接続詞なしで読点で区切って並べている。どちらの節も VSO で、動詞が先に来る。tambór は重性なので、対格は主格と同じ形。

    funeléra lisár tambór houmárar.

    読み:フネレーラ リサール タンボール ホウマーラル。

    funelér-alisártambórhoumár-ar.
    書き留める-<(軽いものが)>書記<主格>雑穀<対格>家の主-<〜らの>

    「書記は家の主たちの雑穀を書き留める。」

    役所の書記の務めを言う文。税として納められた雑穀を、家ごとに書き留めておく。tambór は重性なので、対格は主格と同じ形。houmárar は複数属格で「家の主たちの」。

    méiran houmárai tambór brándalei.

    読み:メーラン ホウマーライ タンボール ブランダレイ。

    méir-anhoumár-aitambórbrándal-ei.
    与える-<彼らが>家の主-<〜たちが>雑穀<対格>司-<与格>

    「家の主たちは司に雑穀を納める。」

    乾風期の前半に、倉の司が税の雑穀を取り立てることを言う文。受け手の司は与格 -ei で言う。

    tílan þelán houmáres.

    読み:ティーラン セラーン ホウマーレス。

    tíl-anþel-ánhoumár-es.
    刻む-<彼らが>名前-<対格>家の主-<属格>

    「家の主の名を刻む。」

    鋳物師が青銅の器に持ち主の名を入れる習わしを述べた文。銘は鋳型に刻んでから鋳こむ。主語を言わない3人称複数で、「(鋳物師たちは)〜する」という一般的な事柄を表す。名前を書いたり刻んだりするのは息を使わないので、禁忌には当たらない。

    kánþa dóulin houmár tambór.

    読み:カンサ ドーリン ホウマール タンボール。

    kánþ-adóulinhoumártambór.
    立っている穀物を刈る-<(軽いものが)>もう家の主<主格>雑穀<対格>

    「家の主はもう雑穀を刈った。」

    帳簿的な記録に近い言い方。相を表す語尾はないが、副詞 dóulin が「もう」を表し、干し上げ・脱穀へ送る前の収穫作業が済んだことを示す。

    noumosénan houmárai.

    読み:ノウモセーナン ホウマーライ。

    noumosén-anhoumár-ai
    顔色をうかがう-<彼らが>家の主-<〜たちが>

    「家の主たちが顔色をうかがい合った。」

    集まりや相談の場面、また書物の記述に多い言い方。複数の者が判断の手がかりを得るため互いの顔を読む意。主語が複数なので動詞は3複数。noumosén- の第二義。

    plúna houmár faronáran du orén.

    読み:プルーナ ホウマール ファロナーラン ドゥ オレーン。

    plún-ahoumárfaronár-anduorén.
    使いに出す-<(軽いものが)>家の主<主格>運び人-<対格>下手縁<対格>

    「家の主は運び人を縁へ使いに出す。」

    家庭・職場での日常の文。段の低い運び人を、所定の用向きに遣る言い方。やや直截だが、この範囲では普通に使える。

    ésa brál houmár

    読み:エーサ ブラール ホウマール

    és-abrálhoumár
    いる-<(軽いものが)>父<主格>家の主<主格>

    「父は家の主である。」

    家や炉の秩序を言う場面。存在・繋辞の文は és-+主語+述語の順になり、述語の名詞は自分の主格のままである。brál 自体は母方の父・父方の父を語形では区別しない。家系の流れや段を明確にする場面では、流れの属格や関係節を添えて区別する。

    bála houmár nórlo.

    読み:バーラ ホウマール ノルロ。

    bál-ahoumárnórlo.
    空ける-<(軽いものが)>家の主<主格>寝床<対格>

    「家の主が寝床を空ける。」

    日常の家の場面。主語は人を指す名詞で軽性、動詞は3人称単数軽性。寝床を次の者が使えるように残す基本義。

    bála houmár aldáran torárei.

    読み:バーラ ホウマール アルダーラン トラーレイ。

    bál-ahoumáraldár-antorár-ei.
    空ける-<(軽いものが)>家の主<主格>座-<対格>客-<与格>

    「家の主が客のために座を空ける。」

    炉ばたの上座の作法。席を次の人、ここでは客に譲るため空ける。与格単数で利益者を示す。

    hoinkráila houmár toráran fándoi.

    読み:ホインクライラ ホウマール トラーラン ファンドイ。

    hoinkráil-ahoumártorár-anfánd-oi
    出迎える-<(軽いものが)>家の主<主格>客-<対格>戸口-<与格>

    「家の主は戸口で客を出迎える。」

    もてなしや礼法の記述。fándoi は迎え場の与格。torár は軽性子音語幹の客で、対格単数は toráran。主語 houmár は人なので軽性。

    kreuléla houmár, un houmbrúndoi.

    読み:クレウレーラ ホウマール、ウン ホウンブルンドイ。

    kreul-él-ahoumár,unhoumbrúnd-oi.
    拒む-<〜だろう>-<(軽いものが)>家の主<主格>中に寄り合い-<与格>

    「寄り合いの席では、家の主は拒むのでございましょう。」

    改まった場での推し量り。直説法で断定せず、推量法で述べる。un+与格で「寄り合いの中で」。上位者や目上の人の行為を直接的に報告しない作法を示す。

  2. 世帯主

    税や役所の記録の上で、世帯を代表する者。

    lísa lisár þeláis houmárar.

    読み:リーサ リサール セライス ホウマーラル。

    lís-alis-árþel-áishoumár-ar.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格>名前-<〜たちを>世帯主-<〜らの>

    「書記は世帯主たちの名を書き記す。」

    税の取り立ての記録を述べる文。人は数えずに炉(世帯)を数えるので、役所の記録では世帯主の名を一つずつ書き並べる。名詞句は「名詞+属格」の順で、þeláis houmárar は「名・世帯主たちの」。

    meirésan houmárai meiró tambóros brándalei.

    読み:メイレーサン ホウマーライ メイロー タンボーロス ブランダレイ。

    meir-és-anhoumár-aimeirótambór-osbrándal-ei.
    与える-<〜すべし>-<彼らが>世帯主-<〜たちが>税<対格>雑穀-<属格>司-<与格>

    「世帯主は、雑穀の税を司に納めるべし。」

    法典の条文の文体。当為法 -és- で「〜すべし」を表す。強勢が接尾辞に移るので、語根 méir- の ´ は消える。受け手の司は与格 -ei で表す。

解説

一つの炉(世帯)の主。炉の北側の一段高い座に座る。税と兵役では人を数えずに炉を数えるので、役所に対して世帯を代表するのも houmár である。

そのほかの用例

snénim houmárei.

読み:スネーニン ホウマーレイ。

snén-imhoumár-ei
泊まる-<私が>炉の主-<与格>

「私は炉の主人のところに泊まる。」

客人として炉の主人の許しを得て一晩を預かる、一人称の日常的な言い方。炉の主を受益者として与格にとる。

sneníþa houmár toráran.

読み:スネニーサ ホウマール トラーラン。

snen-íþ-ahoumártorár-an
泊まる-<〜させる>-<(軽いものが)>炉の主<主格>客-<対格>

「炉の主人が客を泊める。」

基本語順 VSO に従い、動詞を文頭に置く。使役形 snen-íþ- で「泊める」。客人 torár は軽性子音語幹なので対格 toráran。

houmselván léunim, houmár.

読み:ホウンセルヴァーン レウニン、ホウマール。

houmselv-ánléun-im,houmár.
ただいま-<対格>,申す-<私が>,主

「「ただいま」と申し上げます、主よ。」

儀礼的・書面的な発話。houmselvá を名詞として引用し、軽性a語幹の対格形 houmselván にする。謙譲の léun- を用い、直接呼かけの houmár は無標のまま末尾に添える。実際の帰宅挨拶では、普通は無標主格 houmselvá を単独、または主格のまま用いる。

houmsíla houmár endríñan

読み:ホウンシーラ ホウマール エンドリーニャン

houmsíl-ahoumárendríñ-an
炉ばたで諫める-<(軽いものが)>家主<主格>子-<対格>

「家の主が炉ばたで子どもを諫めている。」

日常の家庭内の文。動詞 houmsíl- が軽性の主語 houmár に一致し、目的語 endríña は軽性 a 語幹の対格 -an をとる。声高に叱るのではなく、炉での所作を直し、越えてはならない線を静かに引かえすニュアンス。

文法

名詞(軽性・子音語幹、-ár に強勢)。対 houmáran、複 houmárai

語源

hóum「炉」+ -ár「〜する人」。

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