小説
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座る
腰を下ろす。座る場所は与格で示す(héla houmár an hóumoi「家の主が炉の上手に座る」)。
héla houmár aldárei áurenei.
読み:ヘーラ ホウマール アルダーレイ アウレネイ。
| hél-a | houm-ár | aldár-ei | áur-en-ei. |
| 座る-<(軽いものが)> | 炉-<〜する人> | 座-<与格> | 昇る-<〜した・〜された>-<軽性・与格> |
「家の主は、高い座に座る。」
家の中の上座を言う。炉の北側(上手)の一段高い座が、家の主と年長者の席である。分詞 áuren は修飾する aldárei(軽性・単数・与格)に一致して -ei をとる。houmár は hóum「炉」に -ár「〜する人」がついた語。
mé hél an aulisárei!
読み:メー ヘール アン アウリサーレイ!
| mé | hél | an | au-lis-ár-ei! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 座る<命令法><あなたが> | 上手へ・上手で | <お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<与格> |
「書記の方の上手の側に座るな。」
作法を教えるときの禁止。an+与格で「〜の上手の側で」という場所を表す。炉や座敷の北側(上手)は上座なので、目上の人より上手に座るのは無礼にあたる。禁止は mé+命令法で言う。
hél órelei, éso nébro klér.
読み:ヘール オーレレイ、エーソ ネーブロ クレール。
| hél | órel-ei, | és-o | nébro | klér. |
| 座る<命令法><あなたが> | 日の光-<与格> | いる-<(重いものが)> | 霧<主格> | 冷たい |
「日なたに座れ。霧が冷たい。」
家族や目下の者への、くだけた気づかいの言葉。órel の与格 órelei は「日の当たる所で」、つまり日なたの意味になる。hél- の命令法2人称単数は語幹そのままの形。後半の主語 nébro は重性なので、繋辞は éso になり、述語の形容詞 klér は一致の語尾をとらない。
mé hél an ólmarei!
読み:メー ヘール アン オルマレイ!
| mé | hél | an | ólmar-ei! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 座る<命令法><あなたが> | 上手 | 年長者-<与格> |
「年長者より上手に座るな。」
子どもや目下の者をたしなめるときの禁止の言い方で、mé+命令法の形。an+与格は「〜の上手で」を表す。目上の人より高いところ、北側の座に座るのは無礼とされる。
héla lisár an kelárei.
読み:ヘーラ リサール アン ケラーレイ。
| hél-a | lis-ár | an | kel-ár-ei. |
| 座る-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 上手 | 伐る-<〜する人>-<与格> |
「書記は樵の上手に座る。」
an+与格で「〜の上手(北側)で」。家でも宮廷でも北側の高い座が上座なので、段の高い書記(四段下り)が樵(八段下り)の上手に座る。
lúin ráumsan faronárai téir lóurul, hélan.
読み:ルーイン ラウンサン ファロナーライ テール ロールル、ヘーラン。
| lúin | ráums-an | faron-ár-ai | téir | lóur-ul, | hél-an. |
| とき | 旅をする<〜し終えた>-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> | 三 | 瀬-<〜たちを> | 座る-<彼らが> |
「瀬を三つたどり終えると、運び人たちは腰を下ろす。」
ráum- の語根は二重母音をもつので、完了相は -s- を足して ráums- にする。téir lóurul は、どれだけの道のりをたどったかを表す道のりの対格で、téir「三」の後ろの重性名詞は複数 -ul になる。川沿いの道を、瀬をひとつずつ数えながら進む言い方。
mé hél ánorei!
読み:メー ヘール アーノレイ!
| mé | hél | ánor-ei! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 座る<命令法><あなたが> | 上座-<与格> |
「上座に座ってはいけない。」
家の中で年長者が子どもをたしなめる禁止。「mé+命令法」の形。炉の北側の一段高い座は、家の主と年長者の場所とされる。
hoinénde, endríña! hél!
読み:ホイネンデ、エンドリーニャ!ヘール!
| hoin-énd-e, | endríña! | hél! |
| 帰る-<〜しますように>-<(軽いものが)>, | 子<主格>! | 座る<命令法><あなたが> |
「「おかえり、子ども。座れ。」」
炉辺で、外から帰った子どもに使う日常的な定型。hoinénde は帰ってきた人そのものの帰還を、願望法で成立したものと認める挨拶。呼びかけは名詞のまま。後半は目下の子どもへの命令法。
lúin héla éndra, éso heló klér.
読み:ルーイン ヘーラ エンドラ、エーソ ヘロー クレール。
| lúin | hél-a | éndra, | és-o | heló | klér. |
| とき | 座る-<(軽いものが)> | 人<主格> | 居る-<(重いものが)> | 尻<主格> | 冷たい |
「人が座ると、尻は冷たい。」
暮らしの心得や書物のような場面を想定した文。lúin で「〜とき」節を導き、節内も動詞を先頭に置いた VSO とする。heló は重性単数の主語で、klér はそれに一致して単数主格形のまま。
hélau dáun kráumoi só
読み:ヘーラウ ダウン クラウモイ ソー
| hél-au | dáun | kráum-oi | só |
| 座る-<双数> | 二人<主格> | 露岩-<与格> | この<重性> |
「二人はこの岩棚に休む。」
移動中の短い休憩を表す日常文。双数の主語 dáun は省略できない。自然の棚として与格 kráumoi を裸で受ける。人工の棚板には kráum を使わない。
hél hóumes krélei!
読み:ヘール ホーメス クレーレイ!
| hél | hóum-es | krél-ei! |
| 座る<命令法><あなたが> | 炉-<属格> | 向かい-<与格> |
「炉の向かいに座れ。」
屋内で炉を挟んだ反対側を指示する日常の命令。kréla は関係名詞「向かい」で、語幹は krél-。参照点となる hóumes「炉の」を伴い、単数与格は krél-ei(krélei)となる。命令法は下向きの話し方として使う。
位に就く
役職や座に就く。改まった言い方で、完了形 héela「位に就いた」の形でよく使う。
héla lisár senárei.
読み:ヘーラ リサール セナーレイ。
| hél-a | lis-ár | sen-ár-ei. |
| 位に就く-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 見る-<〜する人>-<与格> |
「書記が目付の位に就く。」
就く役職は、座る場所と同じように与格で示す。「座る」と「位に就く」が同じ動詞なのは、位を座の高さで考える高原の見方の表れ。時制がないので「就いた」とも訳せる。
héla sélvan lisárei.
読み:ヘーラ セルヴァン リサーレイ。
| hél-a | sélvan | lis-ár-ei. |
| 位に就く-<(軽いものが)> | セルヴァン<主格> | 書く-<〜する人>-<与格> |
「セルヴァンは書記の位に就いた。」
役職に就いたことを知らせる文。就く役職は与格で示す。目下の人や同じ段の人について言う形なので、敬語の接頭辞はつけない。
腰を下ろして座ることを表す。高原では座る場所の高さが身分を表し、炉の北側(上手)の一段高い座には、家の主や年長者が座る。目上の人より高い所に座るのは無礼である。目上の人が座ることは、尊敬の形 auél-(h が落ちた形)で言う。客を迎えるときは、相手の段に合わせて、どの高さに座ってもらうかを決める。
完了語根は héel-。尊敬は auél-「お座りになる」で、接頭辞 au- の後ろで h が落ちる不規則な形。謙譲は duhél-。座る場所は与格か、前置詞+与格で示す。
古高原語から受け継いだ語。aldár「座」とは語源のつながりがない。
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