lóim-

品詞
動詞(他動詞)
意味
唱える
発音
[ˈloim]
読み
ロイム
分野
知覚・感情・思考・発話

意味

  1. 唱える

    詞や系譜を、決まった韻律で声に出す。

    lóima lourvirár þeláis an fóndaros.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール セライス アン フォンダロス。

    lóim-alourvirárþel-áisanfóndar-os.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>名前-<〜たちを>上手源-<属格>

    「系譜読みは、始祖から一瀬ずつ名を唱えていく。」

    婚姻の取り決めや祖先祀りで、系譜読みが家系を唱える場面を述べる文。系譜を言うときは「an fóndaros(源から)」を前に置くのが改まった言い方。この an は、流れの上手(始祖)から下っていく向きを表す。

    lóima lourvirár lóurul némores an fóndaros.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール ロールル ネーモレス アン フォンダロス。

    lóim-alourvirárlóur-ulnémor-esanfóndar-os.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>瀬-<〜たちを><我々>-<属格>上手源-<属格>

    「系譜読みは、源からの我らの世代を唱える。」

    婚姻や祖先祀りの場で、家の系譜読みが系譜を唱えるようすを言う文。an+属格は「上手から」の意味になり、an fóndaros で「源から」。世代を言うときは、このように源を起点にする。系譜読みは年長の女性で、軽性なので動詞は -a をとる。

    lúin lóima ráuvan loimán, kéla kelár gandér.

    読み:ルーイン ロイマ ラウヴァン ロイマーン、ケーラ ケラール ガンデール。

    lúinlóim-aráuvanloim-án,kél-akel-árgandér.
    とき唱える-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<対格>伐る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>硬木<対格>

    「森の巫が詞を唱えると、樵は硬木を伐る。」

    硬木を伐る作法を述べた文。「〜するとき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。kelár「樵」は kél- に「〜する人」の -ár がついた語。硬木は重性なので、主格と対格が同じ形 gandér になる。詞を唱えずに伐ることは禁忌とされる。

    lóima lourvirár þeláis an fóndaros ráimaros.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール セライス アン フォンダロス ライマロス。

    lóim-alourvirárþel-áisanfóndar-osráimar-os.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み名前-<〜たちを>〜から源-<属格>ライマル-<属格>

    「系譜読みが、ライマルの源から名を唱えていく。」

    婚姻や祖先祀りで系譜を唱える場面の文。an+属格は「上手から」の出どころを表す。系譜は源から下へ流れるものなので、始祖からの起点は es ではなく an で言うのが改まった言い方になる。

    lóima ráuvan loimán ré aurénde selvá.

    読み:ロイマ ラウヴァン ロイマーン レー アウレンデ セルヴァー。

    lóim-aráuvanloim-ánréaur-énd-eselvá.
    唱える-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<対格>ように昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>

    「森の巫は、息が昇るよう詞を唱える。」

    葬送の場面を述べた文。ré に願望法を続けると、「〜するように」という目的の節になる。aurénde は挨拶の aurénde と同じ形で、ここでは本来の「昇りますように」という意味で使われている。

    lóiman lourvirárai lóurul dáunaun.

    読み:ロイマン ロウルヴィラーライ ロールル ダウナウン。

    lóim-anlourvirár-ailóur-uldáun-aun.
    唱える-<彼らが>系譜読み-<〜たちが>瀬-<〜たちを>二人-<双数の〜の・〜に>

    「系譜読みたちが、二人の瀬を唱え交わす。」

    婚姻の取り決めで、両家の系譜読みが、結ばれる二人の系譜を源から一瀬ずつ読み交わす儀礼を述べた文。dáun の属格は、双数の語尾 -aun を重ねて dáunaun になる。属格は名詞 lóurul の後ろに置く。

    loimésa ráuvan loimán sérin.

    読み:ロイメーサ ラウヴァン ロイマーン セーリン。

    loim-és-aráuvanloim-ánsérin.
    唱える-<〜すべし>-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<対格>このように

    「森の巫は、このように詞を唱えるべし。」

    降ろし場の碑の文。法や作法を定めるための当為法で書かれている。sérin は、碑文でこのあとに刻まれている詞そのものを指す。

    lóima lourvirár ráun míres es fóndaros.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール ラウン ミーレス エス フォンダロス。

    lóim-alourvirárráunmír-esesfóndar-os.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>流れ<対格>自分-<属格>から源-<属格>

    「系譜読みは、源から自分の流れを唱える。」

    祖先祀りや婚姻の場で、系譜を読み上げる様子を述べた文。属格の míres を名詞の後ろに置き、「主語自身の」という意味を表す。ráun「流れ(家系)」は重性なので、対格も主格と同じ形になる。éles と言うと、ほかの人の流れを唱えることになる。

    lúin kélan kelárai gandér, loimésa ráuvan loimán téir fréimais.

    読み:ルーイン ケーラン ケラーライ ガンデール、ロイメーサ ラウヴァン ロイマーン テール フレーマイス。

    lúinkél-ankel-ár-aigandér,loim-és-aráuvanloim-ántéirfréim-ais.
    とき伐る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>唱える-<〜すべし>-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<対格>三度回-<〜たちを>

    「樵たちが硬木を伐るときは、森の巫が詞を三度唱えるべし。」

    降ろし場の碑に刻まれるような、儀礼の作法を定める当為法の文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。主節では主語を言っているので、それに一致して3人称単数・軽性になる。強勢は当為法の -és- に移り、語根の ´ は消える。三度は téir fréimais(複数対格)。

    lóima lourvirár ráun némores an fóndaros.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール ラウン ネーモレス アン フォンダロス。

    lóim-alourvirárráunném-or-esanfóndar-os.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>流れ<対格>1-<〜ら(古い母音交替)>-<属格>上手源-<属格>

    「系譜読みが、我々の流れを源から唱える。」

    祖先祀りや婚姻の場で、系譜読みが家系を一瀬ずつ唱えることを言う文。ráun は重性の子音語幹なので、主格と対格が同じ形になる。an+属格は「上手から」で、源から下へたどる向きを表す。

    lóima lourvirár virán anlóures téir lóurul.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール ヴィラーン アンローレス テール ロールル。

    lóim-alourvirárvir-ánanlóur-estéirlóur-ul.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>言葉-<対格>上の世代の血族-<属格>三瀬-<〜たちを>

    「系譜読みが、曾祖父(曾祖母)の言葉を唱える。」

    祖先祀りの場面の文。anlóur は属格の anlóures になるが、後ろの téir lóurul は道のりの対格のまま変わらない。

    lóima lourvirár þeláis aursárar an fóndaros.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール セライス アウルサーラル アン フォンダロス。

    lóim-alourvirárþel-áisaursár-aranfóndar-os.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み名前-<〜たちを>祖先-<〜らの>上手源-<属格>

    「系譜読みは、源から祖先たちの名を唱えていく。」

    婚姻の取り決めや祖先祀りで、系譜を読み上げる場面を言う文。lourvirár は lóur「瀬」+vír-「言う」+-ár「〜する人」からできた語で、軽性の子音語幹。an+属格で「上手から」。系譜は源から一瀬ずつ下へ向かって唱えるので、起点を an fóndaros で示す。

    lúin áura álmar, ésa aurþelá aursáres lóimen.

    読み:ルーイン アウラ アルマル、エーサ アウルセラー アウルサーレス ロイメン。

    lúináur-aálmar,és-aaurþeláaursár-eslóim-en.
    とき昇る-<(軽いものが)>白月<主格>いる-<(軽いものが)>昇名<主格>祖先-<属格>唱える-<〜した・〜された>

    「白月が昇ると、祖先の昇名が唱えられる。」

    祖先祀りの場面。生前の名前は二度と声に出さないので、祖先を口にするときはかならず昇名を使う。時を表す lúin の節は、ふつう主節の前に置く。後半は「és-+主語+分詞」で、受け身にあたる意味を表している。

    lóima lourvirár þeláis aursárar fóndelar.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール セライス アウルサーラル フォンデラル。

    lóim-alourvirárþel-áisaursár-arfóndel-ar.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>名前-<〜たちを>祖先-<〜らの>源に近い-<軽性・〜ら(古い母音交替)・属格>

    「系譜読みは、源に近い祖先たちの名を唱える。」

    祖先祀りで系譜を唱える場面の文。系譜について fóndel と言うと、始祖から下った瀬の数が少ないことを表す。古い詩の言い方で、改まった響きがある。形容詞は aursár の複数属格に合わせて -ar になる。

    lóima lourvirár lóurul an fóndaros ráimaros.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール ロールル アン フォンダロス ライマロス。

    lóim-alourvirárlóur-ulanfóndar-osráimar-os.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>瀬-<〜たちを>上手源-<属格>ライマル-<属格>

    「系譜読みが、ライマルの源から一瀬ずつ系譜を唱える。」

    婚姻の取り決めの場面。lóurul は重性の複数対格で、唱える世代の連なりを目的語にしている。系譜は十拍の韻律に乗せて唱える。

    lúin kélan kelárai gandér, lóima ráuvan loimán.

    読み:ルーイン ケーラン ケラーライ ガンデール、ロイマ ラウヴァン ロイマーン。

    lúinkél-ankel-ár-aigandér,lóim-aráuvanloim-án.
    とき伐る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>硬木<対格>唱える-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<対格>

    「樵たちが硬木を伐るとき、森の巫が詞を唱える。」

    硬木を伐るときの儀礼を説明する文。loimá「詞」は lóim- に -á「〜するもの」がついた派生語で、動詞の目的語に同じ語根の名詞をとっている。

    lóiman ráuvanai loimán sérin, ésa tróval fóndel.

    読み:ロイマン ラウヴァナイ ロイマーン セーリン、エーサ トローヴァル フォンデル。

    lóim-anráuvan-ailoim-ánsérin,és-atróvalfóndel.
    唱える-<彼らが>森の巫-<〜たちが>詞-<対格>このようにいる-<(軽いものが)>しきたり<主格>古い

    「森の巫たちはこのように詞を唱える。それが由緒あるしきたりなのだ。」

    儀式の手順を説明する文。接続詞なしで節を二つ並べ、読点で区切っている。fóndel は「由緒ある古さ」を表す形容詞で、主語の tróval(軽性・主格)に一致し、語尾はつかない。

    lúin élþa hóurna, loimésa ráuvan loimáis bróusais.

    読み:ルーイン エルサ ホールナ、ロイメーサ ラウヴァン ロイマイス ブローサイス。

    lúinélþ-ahóurna,loim-és-aráuvanloim-áisbróus-ais.
    とき燃える-<(軽いものが)>弔い<主格>唱える-<〜すべし>-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<〜たちを>多い-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格>

    「「弔いの火が焚かれるときは、森の巫は多くの詞を唱えるべし。」」

    葬送の作法を定めた書の文。魂を上へ送るために詞を唱える。霧期の火葬では、煙が霧に閉じこめられるので、とくに念入りに唱える。lúin の節は主節の前に置く。詞は軽性なので、形容詞は -ais で一致する。

    lóima ráuvan, ré aurénde selvá.

    読み:ロイマ ラウヴァン、レー アウレンデ セルヴァー。

    lóim-aráuvan,réaur-énd-eselvá.
    唱える-<(軽いものが)>森の巫<主格><〜と(節)>昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>

    「森の巫は、死者の息が昇るよう詞を唱える。」

    葬送の場面を述べた文。ráuvan は人を指すので軽性で、動詞は -a で一致する。「ré+願望法」は目的の「〜するように」を表す。この願望法は丁寧さではなく、そうなってほしいことを表している。selvá(息)は、ここでは死者の魂を指す。

    lúin rímba ilanár, ésa ilanrimbá lóimen.

    読み:ルーイン リンバ イラナール、エーサ イランリンバー ロイメン。

    lúinrímb-ailanár,és-ailanrimbálóim-en.
    とき数える-<(軽いものが)>星読み<主格>いる-<(軽いものが)>灯の数え<主格>唱える-<〜した・〜された>

    「星読みが数えるときには、灯の数えが唱えられる。」

    星の司の観測の作法を説明した文。星を数えることが許されるのは星読みだけで、そのときもふつうの数詞は使わず、灯の数えという古い数え方で唱える。後ろの節は「és-+主語+分詞」の形で、受け身にあたる。

    lóima ráuvan loimán anlúines.

    読み:ロイマ ラウヴァン ロイマーン アンルーイネス。

    lóim-aráuvanloim-ánanlúin-es.
    唱える-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<対格>昔-<属格>

    「森の巫が、昔の詞を唱える。」

    伐り出しや葬送の儀礼の場面。属格 anlúines を名詞の後ろに置いて「昔の〜」と言う。an-「上手」を含む語で、時を源から流れ下る川と見るので、古い時代ほど「上手」、つまり源に近い時とされる。

    lóima lourvirár þeláis aursárar trúinar.

    読み:ロイマ ロウルヴィラール セライス アウルサーラル トルーイナル。

    lóim-alourvirárþel-áisaursár-artrúin-ar.
    唱える-<(軽いものが)>系譜読み<主格>名前-<〜たちを>祖先-<〜らの>近しい-<〜らの>

    「系譜読みは、近しい祖先たちの名を唱える。」

    祖先を祀る場の文。trúin は、瀬の数が少ない(世代の近い)祖先を言っている。形容詞は修飾する aursárar(軽性・複数・属格)に一致して trúinar になる。名詞句の語順は「名詞–属格–形容詞」ではなく、「祖先-の・近しい-の」と属格の名詞の後ろに形容詞が続く。

    lúin tíla tilár pandán, lóima loimán.

    読み:ルーイン ティーラ ティラール パンダーン、ロイマ ロイマーン。

    lúintíl-atil-árpand-án,lóim-aloim-án.
    とき彫る-<(軽いものが)>彫る-<〜する人>版木-<対格>唱える-<(軽いものが)>詞-<対格>

    「彫り師は版木を彫るとき、詞を唱える。」

    彫り師が彫りはじめに、版の木へ「言葉を載せて運んでほしい」と願う短い詞を唱える習わし。lúin で始まる「〜とき」の節は、主節の前に置く。後半の主節では主語を言わないが、動詞の語尾から、前半と同じ彫り師が主語だとわかる。

    sarénei, loimésa ráuvan loimán gandéroi.

    読み:サレーネイ、ロイメーサ ラウヴァン ロイマーン ガンデーロイ。

    sarén-ei,loim-és-aráuvanloim-ángandér-oi.
    本番-<与格>唱える-<〜すべし>-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<対格>硬木-<与格>

    「本番には、森の巫が硬木に向かって詞を唱えるべし。」

    伐り出しの作法を書き記した文で、碑文や作法書の当為法。主語の ráuvan は人なので、当為法は軽性の -ésa になる。強勢は -és- に移るので、語根 lóim- の強勢は消える。下詠みや練習で詞を唱えても数に入らず、木の前で唱える本番の詞だけが儀式として成り立つ、という含みがある。

    lúin lóima ilanár, krailhóuma endríña.

    読み:ルーイン ロイマ イラナール、クライルホーマ エンドリーニャ。

    lúinlóim-ailanár,krailhóum-aendríña.
    とき唱える-<(軽いものが)>星読み<主格>,掴まる-<(軽いものが)>子ども<主格>

    「星読みが唱えると、子どもは掴まる(語りにのめり込む)。」

    比喩・くだけた用法。炉ばただけでなく、星読みの語りに子どもがのめり込んで動けなくなる。捕まる対象は文法上は表れず、状況から補う。

    lóima kelár loimán, senkráno senó keláres.

    読み:ロイマ ケラール ロイマーン、センクラーノ セノー ケラーレス。

    lóim-akel-árloim-án,senkrán-osenókel-ár-es.
    唱える-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>詞-<対格>,目が止まる-<(重いものが)>目<主格>伐る-<〜する人>-<属格>

    「樵が詞を唱えると、樵の目は思わず見開かれた。」

    儀礼の詞を唱える場面を想定した文。森の言葉ではこの語が通常の言い方として使われ、宮廷では「目が硬くなる」という語感が粗野に響くため、婉曲的な言い方に置き換えることがある。loimán は loimá「詞」の対格。

    lóima háun loimán.

    読み:ロイマ ハウン ロイマーン。

    lóim-aháunloim-án.
    唱える-<(軽いものが)>大人詞-<対格>

    「成人が詞を唱える。」

    儀礼の場面。主語の成人は人を指すため軽性で、動詞は3人称単数軽性の-aを取る。loimá「詞」は言葉を表す語として軽性a語幹に扱い、単数対格はloimánになる。成人儀礼を経て祭祀・詞への出席資格を得た個人の行為として使う。

    lóima kloimár pílmais sé.

    読み:ロイマ クロイマール ピルマイス セー。

    lóim-akloimárpílm-aissé
    唱える-<(軽いものが)>弟子<主格>字の読み-<〜たちを>この<軽性>

    「弟子がこれらの字の読みを唱える。」

    読み一覧や声出しの練習で用いる文。pílma の複数対格は pílmais。指示詞 sé は数を標識しないので、複数名詞句にもそのまま添えられる。

    lóima ilanár aldarviran aldáres áurenes.

    読み:ロイマ イラナール アルダルヴィラン アルダーレス アウレネス。

    lóim-ailanáraldarvir-analdár-esáur-en-es
    唱える-<(軽いものが)>星読み<主格>敬称-<対格>座-<属格>昇る-<〜した・〜された>-<属格>

    「星読みが高き座の座名を唱える。」

    宮廷儀礼の場面。名詞句の中心を対格 aldarviran とし、その後に「高き座の」という属格句 aldáres áurenes を修飾として置く。「高き座」の属格は aldáres áurenes。王や高位の人の座につけられた固有名を唱える用法。意味2。

    ké lóima endríña simboselván?

    読み:ケー ロイマ エンドリーニャ シンボセルヴァーン?

    kélóim-aendríñasimboselvá-n?
    <〜か>唱える-<(軽いものが)>子ども<主格>覚え歌-<対格>

    「「その子は覚え歌を唱えるのか。」」

    日常の尋ね問。名詞は軽性の語幹に -n を添えて対格を作る。主語 endríña が軽性の単数なので動詞は -a を受ける。

    ésa simboselvá lóimen.

    読み:エーサ シンボセルヴァー ロイメン。

    és-asimboselválóim-en.
    いる-<(軽いものが)>覚え歌<主格>唱える-<〜した・〜された>

    「「覚え歌は唱えられている。」」

    儀礼・書物での改まった記述。動詞 lóim- の分詞 lóimen が述語となり、歌い終えられて声の中に留まっている状態を言う。主語は軽性の単数で、分詞は主格では語尾を変えない。

    lóima ólmar þelán ráimaros, duói lóima ólmar þelán gléinaros.

    読み:ロイマ オルマル セラーン ライマロス、ドゥオイ ロイマ オルマル セラーン グレーナロス。

    lóim-aólmarþel-ánráimar-os,duóilóim-aólmarþel-ángléinar-os.
    唱える-<(軽いものが)>年長者<主格>名前-<対格>ライマル-<属格>その次に唱える-<(軽いものが)>年長者<主格>名前-<対格>グレイナル-<属格>

    「年長者がライマルの名を唱え、その次に、グレイナルの名を唱える。」

    系譜の名を一瀬ずつ唱える儀礼の場面。duóiは名と名を結び、前の名を上手、次の名を下手に置く。名は属格で「〜の名」とする。主語は年長者。

    loiménde andaulóura sé lourlisán.

    読み:ロイメンデ アンダウローラ セー ロウルリサーン。

    loim-énd-eandaulóurasélourlis-án.
    唱える-<〜しますように>-<(軽いものが)>祖母<主格>この<軽性>系譜の巻-<対格>

    「この祖母(家のおばあ)に、系譜の巻を唱えていただきたい。」

    年長者に直接命令せず、願望法・3人称単数・軽形の loiménde で上向きの依頼を表す。主語 andaulóura sé は軽性a語幹で、指示詞 sé を伴う。対象 lourlisá も軽性a語幹で、対格は lourlisán になる。家系の老女として系譜を預かる年長の女性を、敬意と親しみをこめてこの語で呼ぶ。

    lúin lóima ilanár virán, elþaséna senár kumbór.

    読み:ルーイン ロイマ イラナール ヴィラーン、エルサセーナ セナール クンボール。

    lúinlóim-ailanárvir-án,elþasén-asenárkumbór.
    とき唱える-<(軽いものが)>星読み<主格>言葉-<対格>,疵を確かめる-<(軽いものが)>目付<主格>青銅<対格>

    「星読みが詞を唱えるとき、目付は青銅を火に透かして疵を確かめる。」

    lúin は時の節を導き、節内も VSO。lóima は他動詞なので目的語枠を空けず、virán「ことば/詞」で埋める。lóima は主語 ilanár に一致し、elþaséna は senár に一致する。kumbór は重性なので対格語尾がない。

    lóimo mérvo lourlisán.

    読み:ロイモ メルヴォ ロウルリサーン。

    lóim-omérvolourlis-án.
    唱える-<(重いものが)>村の人々<主格>系譜の巻-ACC.

    「村の人々は系譜の巻を唱える。」

    系譜や儀礼を記す文脈でも、mérvo は村の住人全体を指す語として使える。動詞は grammatical に重性の単数で受ける。語順は動詞—主語—目的語。

    lóima kraselvá lisáres loimán.

    読み:ロイマ クラセルヴァー リサーレス ロイマーン。

    lóim-akraselvális-ár-esloim-án.
    唱える-<(軽いものが)>裂けた声<主格>書く-<〜する人>-<属格>詞-<対格>

    「書記の裂けた声が詞を唱える。」

    祭祀や書物の場の描写。主語は「裂けた声」で、その前に属格を置いて「書記の裂けた声」を作る。主語が軽性単数なので動詞は -a。

  2. 詠む

    詩句を作り、声に出して詠み上げる。

    lúin lóima endríña virán, glenésa ólmar.

    読み:ルーイン ロイマ エンドリーニャ ヴィラーン、グレネーサ オルマル。

    lúinlóim-aendríñavir-án,glen-és-aólmar.
    とき詠む-<(軽いものが)>子ども<主格>言葉-<対格>句を返す-<〜すべし>-<(軽いものが)>年長者<主格>

    「子どもが句を詠んだら、年長者が句を返すべし。」

    詩の挨拶の作法を述べる文。目下の者が先に詠み、目上の者が返す。「句を返す」の意味では、目的語を言わずに使うことが多い。virá「言葉」は、詠む動詞の目的語になると「句」の意味になる。

    lóimimor viráis aursárail.

    読み:ロイミモル ヴィライス アウルサーライル。

    lóim-imorvir-áisaursár-ail.
    詠む-<我々が>言葉-<〜たちを>祖先-<〜らに>

    「我々は祖先たちに詩句を詠む。」

    都の暮らしと祖先祀りを語る文。整った言葉は祖先への捧げものとされる。1人称複数の語尾 -imor には強勢がなく、強勢は語根に残る。受け手の祖先は複数与格で言う。

    lóimsa endríña virán an aursárais.

    読み:ロインサ エンドリーニャ ヴィラーン アン アウルサーライス。

    lóims-aendríñavir-ánanaursár-ais.
    詠む<〜し終えた>-<(軽いものが)>子ども<主格>言葉-<対格>上手祖先-<〜たちを>

    「子どもは祖先たちへ向けて、句を詠み終えた。」

    成人の儀を終えたことを伝える文。語根 lóim- は二重母音をもつので、完了相は -s- を足して lóims- にする。「an+対格」で、祖先のいる上方へ向けることを表す。

解説

決まった韻律の詞・系譜・詩を声に出して唱える、詠むことを表す。整った言葉は煙のように上へ昇って祖先に届くとされ、lóim- はただ話すことではなく、祖先への捧げものとして言葉を発することを指す。系譜読みが源から一瀬ずつ名を唱えること、森の巫が伐り出しの詞を唱えることなどに使う。

そのほかの用例

mé kelésa gandér an loiméi.

読み:メー ケレーサ ガンデール アン ロイメー。

mékel-és-agandéranloim-éi.
<禁止・願いの打ち消し>伐る-<〜すべし>-<(軽いものが)>硬木<対格>上手詞-<与格>

「詞を唱える前に、硬木を伐らぬこと。」

降ろし場の碑や森の司の定めに見える、当為法の禁止。主語を言わないので「人は〜すべし」の意味になり、軽性の形 -a をとる。an+与格は時間の「〜の前に」。生えている硬木も重性なので、対格は主格と同じ gandér になる。

rainíþa ólmar loimán dulóurei téir lóurul.

読み:ライニーサ オルマル ロイマーン ドゥローレイ テール ロールル。

rain-íþ-aólmarloim-ándulóur-eitéirlóur-ul.
知る-<〜させる>-<(軽いものが)>年長者<主格>詞-<対格>下の世代の血族-<与格>三瀬-<〜たちを>

「年長者が曾孫に詞を教える。」

森の村などで、古い詞を年長者から三世代下へ受け継ぐ場面。語順は動詞–主語–目的語–与格。dulóur は与格 dulóurei になるが、後ろの téir lóurul は道のりの対格のまま変わらない。

ráina ólmar loimán gandéros.

読み:ライナ オルマル ロイマーン ガンデーロス。

ráin-aólmarloim-ángandér-os.
心得ている-<(軽いものが)>年長者<主格>詞-<対格>硬木-<属格>

「年長者は硬木の詞を心得ている。」

硬木を伐るときに唱える詞のような、身につけた知識について言う。属格 gandéros は名詞の後ろに置く。

lúin tóra loimá, þalfínda ólmar loimán.

読み:ルーイン トーラ ロイマー、サルフィンダ オルマル ロイマーン。

lúintór-aloim-á,þalfínd-aólmarloim-án
とき来る-<(軽いものが)>詞-<主格>耳を澄ます-<(軽いものが)>年長者<主格>詞-<対格>

「詞が来るとき、年長者は詞に耳を澄ます。」

祀りの詞の場面。時節はlúinで導き、主節に先立つ。主節動詞は年長者に一致して軽性3単。語り詞の継ぎ目で、次の音を受けるために静止して聞く意。

dukrúnim auloimán aulisáres.

読み:ドゥクルーニン アウロイマーン アウリサーレス。

du-krún-imau-loim-ánau-lis-ár-es
<〜させていただく>-支える-<私が><お〜になる・御〜>-詞-<対格><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<属格>

「「書記の方の詞を、手前が支えます。」」

書簡・改まった場で、目上の書記の方の詞(公言・決まり文句・申し立て)を追認し、保障する意。敬語では所有者だけでなく所有されるものにも au- を添えるため、`loimán` を `auloimán` とする。動詞には謙譲の接頭辞 du- を添え、所有者名も au- 付き属格 aulisáres にしている。語順は VSO で、主語は語尾 -im から判別される。

kréima ólmar loimán torárei.

読み:クレーマ オルマル ロイマーン トラーレイ。

kréim-aólmarloim-ántorár-ei.
説明する-<(軽いものが)>年長者<主格>詞-<対格>客-<与格>

「年長者は客に詞について説明する。」

儀礼・法廷での用い方。唱えることそのものではなく、詞の内容や作法を言葉で説明する意味になる。受け手は与格。

文法

完了語根 lóims-。尊敬 aulóim-、謙譲 dulóim-。

語源

古高原語 *lóim- から

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