nár-

品詞
動詞(他動詞・自動詞)
意味
しのぐ
発音
[ˈnar]
読み
ナール
分野
基本動作

意味

  1. しのぐ

    一時的な不快感(渇き・寒さ・痛み・空腹)を、完全に解消せず一時凌ぐ。不快感を対格で取る。

    nárim velíman nílin ílmo

    読み:ナーリン ヴェリーマン ニーリン イルモ

    nár-imvel-ím-anníl-inílmo
    しのぐ-<私が>渇く-<〜の技・〜さ>-<対格>飲む-<〜して・〜く>水<対格>

    「私は水を飲んで渇きをしのぐ。」

    日常会話で、喉の渇きを完全に止めるまでではないが、水を含んで取り急ぎやりすごす動作を示す。velím は véli- の語根 vel- に抽象名詞化の -ím をつけた軽性名詞で、対格単数は -an。副動詞 nílin は主語が後ろの動詞と同一であることを示す。ílmo は重性名詞で、対格単数は同形。

    nárim þaló.

    読み:ナーリン サロー。

    nár-imþaló
    しのぐ-<私が>昼<対格>

    「昼をしのぐ。」

    日常の言い方。昼の時間帯を直接の対象としてとる。重性o語幹の対格単数は主格と同形で、格語尾が表れない。

  2. 凌ぐ・持ちこたえる

    困難な状況(冬・飢え・病)を、完全に解決せず一時耐える。自動詞として「凌げる」の意味にもなる。

    dunárim houmdulún

    読み:ドゥナーリン ホウンドゥルーン

    du-nár-imhoumdulún
    <〜させていただく>-しのぐ-<私が>端境期<対格>

    「私は(へりくだって)端境期をしのぎます。」

    改まった場での申し立て。接頭辞 du- が話し手を低める。houmdulún は炉の底が空く端境期を指す重性名詞で、対格単数は同形。不快感そのものではなく、空腹・乏しさといった困難な状況を意味2で受ける。

解説

一時的な不快感(渇き・寒さ・痛み・空腹)を、完全に解消せず一時凌ぐ動作。状態を表す「渇く」vél-や「寒い」frél-とは異なり、不快感に対して能動的に何かをして(かじる・擦る・身を寄せる)、その場を乗り切るときの動詞である。高原では乾風期の後半(凍りの頃)に雑穀が切れる時期に日常的に用いられる。改まった場では「不快感をしのいだ」と言うのは、それを「重いもの(下へ行くもの)」として認めることになるため、ややへりくだった響きがある。くだけた言葉では、単独で nár. 「凌げる」「しのぐよ」の短い返答にも使う。つららをかじって喉の渇きをしのぐ、最後の一塊の乾酪で空腹を凌ぐ、といった場面が典型。

文法

他動詞。不快感を対格で取る。自動詞としても用いる(「凌げる」)。完了は語根の母音交替 a→ai(náin-)。

語源

古高原語 *nár- から。母語に語源的な対応語は確認されていない。

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