小説
左の目次から話を選んでください。
我々
話し手を含む複数の人々。聞き手を含むかどうかは文脈で決まる。
gélau némor dáun du orén.
読み:ゲーラウ ネーモル ダウン ドゥ オレーン。
| gél-au | némor | dáun | du | orén. |
| 行く-<双数> | <我々> | 二人 | 下手 | 縁<対格> |
「我ら二人は縁へ行く。」
双数の動詞は人称を区別しないので、主語の dáun は省けない。人称を言うときは複数の代名詞を前に添える(némor dáun「我ら二人」)。
lúin áura álmar, émbelimor fóndar némores.
読み:ルーイン アウラ アルマル、エンベリモル フォンダル ネーモレス。
| lúin | áur-a | álmar, | émbel-imor | fóndar | némor-es. |
| とき | 昇る-<(軽いものが)> | 白月<主格> | 祀る-<我々が> | 源<対格> | <我々>-<属格> |
「白月が昇ると、我々は我らの始祖を祀る。」
白月の満月の夜に祖先を祀る習わしを述べた文。fóndar は重性なので、目的語になっても主格と同じ形のまま。所有者を表す属格 némores は名詞の後ろに置く。lúin の節は主節の前に来る。
lóima lourvirár lóurul némores an fóndaros.
読み:ロイマ ロウルヴィラール ロールル ネーモレス アン フォンダロス。
| lóim-a | lourvirár | lóur-ul | némor-es | an | fóndar-os. |
| 唱える-<(軽いものが)> | 系譜読み<主格> | 瀬-<〜たちを> | <我々>-<属格> | 上手 | 源-<属格> |
「系譜読みは、源からの我らの世代を唱える。」
婚姻や祖先祀りの場で、家の系譜読みが系譜を唱えるようすを言う文。an+属格は「上手から」の意味になり、an fóndaros で「源から」。世代を言うときは、このように源を起点にする。系譜読みは年長の女性で、軽性なので動詞は -a をとる。
na éso tambór némorei.
読み:ナ エーソ タンボール ネーモレイ。
| na | és-o | tambór | némor-ei. |
| <〜ない> | いる-<(重いものが)> | 雑穀<主格> | 我々-<与格> |
「我々には雑穀がない。」
所有の言い方。「持つ」という動詞はなく、持ち主を与格 némorei で表す。動詞は持ち主ではなく、持たれている物 tambór(重性)に一致するので、3人称単数・重性の éso になる。凶作の年や倉が空になったときに、村でふつうに聞かれる言い方。
dúlo fáron némores du orén.
読み:ドゥーロ ファーロン ネーモレス ドゥ オレーン。
| dúl-o | fáron | némor-es | du | orén. |
| 下る-<(重いものが)> | 荷<主格> | 我々-<属格> | 下手 | 縁<対格> |
「我々の荷は縁へ下りていく。」
属格 némores「我々の」は名詞 fáron の後ろに置く。荷 fáron は重性なので、動詞は3人称単数・重性の -o をとる。崖道の商人どうしが、荷の段取りを確かめるときの言い方。némor は聞き手を含む場合も含まない場合も同じ形で、どちらなのかは文脈で決まる。
rímban brándalai némoran.
読み:リンバン ブランダライ ネーモラン。
| rímb-an | brándal-ai | némor-an. |
| 物のように扱う-<彼らが> | 司-<〜たちが> | <我々>-<対格> |
「お役所の連中は、俺たちを物のように扱う。」
運び人や森の民が、役所への不満を言う決まった言い方。人を数で扱うことは、相手を「下げる」行いとされる。そのため、炉や人数を数えて税を取ることへの反感が、この動詞で言い表される。
sén bélo gróm tó, máno tambór némores!
読み:セーン ベーロ グローン トー、マーノ タンボール ネーモレス!
| sén | bélo | gróm | tó, | mán-o | tambór | némor-es! |
| 見る<命令法><あなたが> | 欲<対格> | 重い | あの<重性> | 食べる-<(重いものが)> | 雑穀<対格> | <我々>-<属格> |
「あの欲張りを見ろ、俺たちの雑穀を食ってやがる!」
人を bélo gróm(重い欲)と呼ぶ陰口で、指示詞も動詞も重性の形(tó、máno)で受けている。人を重性の一致で受けるのは侮辱なので、強いあざけりの響きがある。主節を二つ並べているので、あいだに区切りを入れる。
lúin ráumimor an dún, ráuma ólmar an némorei.
読み:ルーイン ラウミモル アン ドゥーン、ラウマ オルマル アン ネーモレイ。
| lúin | ráum-imor | an | dún, | ráum-a | ólmar | an | némor-ei. |
| とき | 歩く-<我々が> | 上手 | 丘<対格> | 歩く-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 上手 | <我々>-<与格> |
「丘を上るときは、年長者が我々の上手を歩く。」
坂道の作法を説明する文。坂を上るときは目上の者が先(上の位置)を歩き、下るときは目下の者が先を歩く。lúin の節は主節の前に置く。an+対格の an dún は「丘の上手へ」、an+与格の an némorei は「我々の上手の側で」。
na vóila naþrenár té lisáis némores.
読み:ナ ヴォイラ ナスレナール テー リサイス ネーモレス。
| na | vóil-a | naþrenár | té | lis-áis | némor-es. |
| <〜ない> | 読む-<(軽いものが)> | 異邦人<主格> | あの<軽性> | 字-<〜たちを> | <我々>-<属格> |
「あの異邦人は我々の字を読めない。」
日常の会話。時制も「できる」の語形もないので、「読まない」と「読めない」は文脈で決まる。na は動詞の直前に置く。名詞句は「名詞+指示詞」「名詞+属格」の順。
ésa dráun símbo némores.
読み:エーサ ドラウン シンボ ネーモレス。
| és-a | dráun | símbo | némor-es. |
| いる-<(軽いものが)> | 狼<主格> | 印<主格> | <我々>-<属格> |
「狼は我々のしるしだ。」
森の氏族の者が、自分の氏族のしるしを言う文。繋辞の文は「és-+主語+述語」の順に並べる。繋辞は主語 dráun(軽性)に一致して -a をとり、述語の名詞 símbo は主格のままにする。
méira zímbra méldo némorei.
読み:メーラ ジンブラ メルド ネーモレイ。
| méir-a | zímbra | méldo | némor-ei |
| 与える-<(軽いものが)> | 蜜蜂<主格> | 蜜<対格> | <我々>-<与格> |
「蜜蜂は我々に蜜をくれる。」
VSO の語順で、受け手を与格で示す基本の文。単数の zímbra は、ここでは蜜蜂という生き物全体を指している。蜂は軽性なので、動詞は -a をとる。受け手は人称代名詞の与格 némorei で表す。森の蜂の巣から蜜と蝋をとる暮らしを言った文。
lúin na éso tambór némorei, éso bóula kúulen tambór némores.
読み:ルーイン ナ エーソ タンボール ネーモレイ、エーソ ボーラ クーレン タンボール ネーモレス。
| lúin | na | és-o | tambór | némor-ei, | és-o | bóula | kúul-en | tambór | némor-es. |
| とき | <〜ない> | いる-<(重いものが)> | 雑穀<主格> | <我々>-<与格>, | いる-<(重いものが)> | どんぐり<主格> | 煮る-<〜した・〜された> | 雑穀<主格> | <我々>-<属格> |
「雑穀がないときには、煮たどんぐりが我々の雑穀になる。」
凶作の年の暮らしを語る文。どんぐりは飢えの年の食べ物でもある。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物の tambór(重性)に一致する。lúin の節の中では、na が動詞の直前に来る。落ちた実を煮たどんぐりは重性で扱うので、繋辞は éso、分詞 kúulen は重性・単数・主格の形(語尾なし)になる。
fíndan aursárai viráis némores an élvarei.
読み:フィンダン アウルサーライ ヴィライス ネーモレス アン エルヴァレイ。
| fínd-an | aursár-ai | vir-áis | némor-es | an | élvar-ei. |
| 聞く-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 言葉-<〜たちを> | <我々>-<属格> | 上手 | 天-<与格> |
「祖先たちは天の上で、我々の言葉を聞いている。」
信仰を説く言い方。言葉は息なので上へ昇り、天にいる祖先の耳に届く、という考えを表している。時制がないので、いつでも成り立つ事柄として直説法で言う。an+与格で「上手の側で」。
mé dulénde þelá némores!
読み:メー ドゥレンデ セラー ネーモレス!
| mé | dul-énd-e | þelá | némor-es! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 下る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 名声<主格> | <我々>-<属格> |
「我が家の名が落ちることのないように。」
家の年長者が若い者を戒めるときの言い方。「名が下る」は評判が落ちるという意味で、「名が昇る」の反対にあたる。願望法の文なので mé で否定する。強勢は願望法の -énd- に移る。
lúin ésa snélo élvares dréum, lúuman aursárai némoran.
読み:ルーイン エーサ スネーロ エルヴァレス ドレウン、ルーマン アウルサーライ ネーモラン。
| lúin | és-a | snélo | élvar-es | dréum, | lúum-an | aurs-ár-ai | némor-an. |
| とき | いる-<(軽いものが)> | 天の屋根<主格> | 天-<属格> | 黒い | ご覧になる-<彼らが> | 昇る<〜し終えた>-<〜する人>-<〜たちが> | <我々>-<対格> |
「天の屋根が黒いときも、祖先は我々をご覧になっている。」
雨期に星が見えなくても不安がらない理由を説く、信仰の言い方。雲は上の層に属するので、祖先は屋根の上から変わらず下界を見ていると考えられている。snélo は重性の語形だが、この意味では一致が軽性になる(ésa)。lúum- は「見る」の尊敬の補充形。
lúuma elþá aursáres némoran.
読み:ルーマ エルサー アウルサーレス ネーモラン。
| lúum-a | elþá | aursár-es | némor-an. |
| ご覧になる-<(軽いものが)> | 火<主格> | 祖先-<属格> | <我々>-<対格> |
「祖先の火(星)が、我々をご覧になっている。」
白月の満月の夜に祖先を祀るときなどの、祀りの言葉。祖先の火(星)は目上のものなので、「見る」の尊敬の補充形 lúum- で受ける。
na ráina dalorár sárvo némores.
読み:ナ ライナ ダロラール サルヴォ ネーモレス。
| na | ráin-a | dalorár | sárvo | némor-es. |
| <〜ない> | 知る-<(軽いものが)> | 下の国の者<主格> | 禁忌<対格> | <我々>-<属格> |
「下の国の者は、我々の禁忌を知らない。」
干潟の人について、高原の人が言う決まり文句。どこか見下す響きがある。sárvo は重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。ここでは単数で「禁忌というもの」を総称している。「我々の」は代名詞 némor の属格 némores で表し、名詞の後ろに置く。
aldána aldár áuren lóuvan es némores.
読み:アルダーナ アルダール アウレン ローヴァン エス ネーモレス。
| aldán-a | aldár | áur-en | lóuvan | es | némor-es. |
| おわす-<(軽いものが)> | 座<主格> | 昇る-<〜した・〜された> | 隔たった | から | 我々-<属格> |
「高き座は、我々からは遠く隔たったところにおわす。」
身分の隔たりを言う、改まった文。王について述べるので、「いる」の尊敬の補充形 aldán- を繋辞に使っている。aldár áuren「高き座」の後ろに述語の lóuvan が並ぶ。es+人称代名詞の属格で「我々から」を表す。
sórel, kramboráumau némor dáun drúnoroi.
読み:ソーレル、クランボラウマウ ネーモル ダウン ドルーノロイ。
| sórel, | kramboráum-au | némor | dáun | drúnor-oi |
| 今日, | 走る-<双数> | <我々> | 二人 | 崖道-<与格> |
「今日は、我ら二人は崖道を崖山羊のように駆け抜ける。」
縁の人々の日常会話。双数の動詞は人称を区別しないので、主語の dáun を省けない。人称を明示するため némor を添えている。場面の枠としての時間表現は文頭に読点つきで置く。
senáurimor némor sílaran.
読み:セナウリモル ネーモル シーララン。
| senáur-imor | némor | sílar-an. |
| 見上げる-<我々が> | <我々・主格> | 月-<対格> |
「私たちは月を見上げる。」
日常の用法。夜空にある月をふと見上げる。一人称複数。月 sílar は軽性なので対格は -an。
lúin áurau sílarau, gélau némor dáun du krambóra.
読み:ルーイン アウラウ シーララウ、ゲーラウ ネーモル ダウン ドゥ クランボーラ。
| lúin | áur-au | sílar-au, | gél-au | némor | dáun | du | krambóra. |
| とき | 昇る-<双数> | 月-<双数> | 行く-<双数> | <我々> | 二人 | 下手 | クランボーラ<対格> |
「二つの月が昇ると、我ら二人はクランボーラへ下っていく。」
道筋や季節を記す書物的な文。lúin 節は読点で主節と区切る。双数の動詞 áurau・gélau は人称を表さないが、主節の némor が加わって話し手を含む二人であることがわかる。du + 対格で下手・南方向への動きを示す。krambóra は固有名詞として、対格でも語尾が立たない。
na þálo alfilrúndo némores.
読み:ナ サーロ アルフィルルンド ネーモレス。
| na | þál-o | alfilrúndo | némor-es. |
| <〜ない> | 止まる-<(重いものが)> | 細く絶えぬ流れ<主格> | <我々>-<属格> |
「私たちの細く絶えぬ流れは止まらない。」
詩語としての alfilrúndo。河川名を「細く絶えぬ流れ」として、家系のように細く続くものを詠む用法。némores は1人称複数属格で「私たちの」。直説法否定。
ésa dravéna sé kerél némores
読み:エーサ ドラヴェーナ セー ケレール ネーモレス
| és-a | dravéna | sé | kerél | némor-es |
| いる-<(軽いものが)> | 氏族の谷<主格> | この<軽性> | 谷<主格> | <我々>-<属格> |
「この森は我らの谷だ。」
氏族の谷を名指す用法の文。森の氏族の言葉では、dravéna は kerél「谷」と同義として「氏族の谷筋そのもの」を指す。存在動詞は主語 dravéna に合わせて軽性。述語名詞 kerél は主格のままで置かれ、指示語 sé は名詞の後ろに置く。系譜の語りや改まった自己紹介で、わが土地としての森を言う定型になる。
sán éndrai eulérenai es némores.
読み:サーン エンドライ エウレーレナイ エス ネーモレス。
| sán | éndr-ai | euléren-ai | es | némor-es. |
| いる<彼らが> | 人-<〜たちが> | 流れの違う-<〜たちが> | から | <我々>-<属格> |
「人々は我々とは違う(身内ではない)。」
人を指して euléren を使うと、単に性質が違うのではなく、「別の流れ」に属する、つまり身内でないという冷ややかな意味になる。es némoresは「我々から/我々の身内から」。
aldána aurél euléren es némores.
読み:アルダーナ アウレール エウレーレン エス ネーモレス。
| aldán-a | aurél | euléren | es | némor-es |
| おわす-<(軽いものが)> | あの方<主格> | 流れの違う | から | <我々>-<属格> |
「あの方は、我々とは筋が違う。」
高位者や部外者について、礼法を保ちながら身内ではないことを示す、やや冷たい言い方。語形は軽性単数。高位者を主語にする存在・判断の文では、通常の ésa ではなく尊敬の補充形 aldána を使う。
noumovírau némor dáun
読み:ノウモヴィーラウ ネーモル ダウン
| noumo-vír-au | némor | dáun |
| 顔-言う-<双数> | <我々> | 二人<主格> |
「我ら二人は顔で通じ合う。」
夫婦、きょうだい、旧知など、身内の二人が声に出さず意を合わせる場面。主語は双数短语 némor dáun「我ら二人」。双数動詞 -au は人称を表さないため、双数主語は省略しない。
1人称複数の人称代名詞。聞き手を含む「我々」と含まない「我々」を区別しない。動詞の語尾 -imor で主語がわかるので、主語として言うと「ほかでもない我々が」という強調になる。氏族や職人仲間が自分たちをまとめて言うときにも使う。
軽性・子音語幹型。主 némor、対 némoran、属 némores、与 némorei。
1人称単数 ném に、古い複数の接尾辞 *-or がついた形。動詞の1人称複数語尾 -imor の -or と同源。
左の一覧から語を選ぶか、上の検索欄に日本語またはローマ字を入れてください。
左の目次から課を選んでください。
左の一覧から選んでください。
高原語で書かれた読み物です。左の一覧から選んでください。
左の目次から話を選んでください。
小説・世界設定・翻訳から見つけた「辞書にない語」の候補です(uv run conlang dict-grow 名前 で作られます)。登録する語を選んでください。同義語として複数選べます。