小説
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夜
日の入りから日の出までの時間。
lúin tóra nóra, sénimor dáu sílarau.
読み:ルーイン トーラ ノーラ、セーニモル ダウ シーララウ。
| lúin | tór-a | nóra, | sén-imor | dáu | sílar-au. |
| とき | 来る-<(軽いものが)> | 夜<主格> | 見る-<我々が> | 二 | 月-<双数> |
「夜が来れば、我々は二つの月を見る。」
乾風期の澄んだ夜を言う日常の文。nóra は軽性a語幹で、強勢は語根にあり、動詞は軽性の -a をとる。月は星ではないので、dáu「二」と双数 sílarau で数えてよい。
ésa nóra sé klér, élþa elþá.
読み:エーサ ノーラ セー クレール、エルサ エルサー。
| és-a | nóra | sé | klér, | élþ-a | elþá. |
| いる-<(軽いものが)> | 夜<主格> | この<軽性> | 冷たい | 燃える-<(軽いものが)> | 火<主格> |
「今夜は冷える。火が燃えている。」
凍りの頃の家の中の会話。nóra sé「この夜」で「今夜」を表す。指示詞は軽性の sé で、格では変化しない。述語の形容詞 klér は主語の nóra に一致する。
ésa nóra bún.
読み:エーサ ノーラ ブーン。
| és-a | nóra | bún. |
| いる-<(軽いものが)> | 夜<主格> | 深い |
「夜が深い。」
夜が更け、暗がりが奥まで続いていることを述べる日常表現。nóra は軽性a語幹とみなし、存在・繋辞 ésa が軽性単数で一致する。bún は単に夜が遅いことではなく、入口から奥行きまで続いているさを表す。
kréuna dóulin nóra
読み:クレウナ ドーリン ノーラ
| kréun-a | dóulin | nóra |
| 更ける-<(軽いものが)> | もう | 夜<主格> |
「夜がもう更けている。」
日常用法の文。相の副詞 dóulin は動詞の直後に置かれ、主語の前に現れる。時制のない文で、話者の場面で現在進行として理解される。夜 nóra は軽性なので、動詞は軽性の3人称単数語尾 -a をとる。
kréuna nóra, salóur áura selvá
読み:クレウナ ノーラ、サロール アウラ セルヴァー
| kréun-a | nóra, | salóur | áur-a | selvá |
| 更ける-<(軽いものが)> | 夜<主格> | しかし | 昇る-<(軽いものが)> | 息<主格> |
「夜は更ける。しかし、息は昇る。」
詩文・儀礼語のような対句。逆接の salóur は第二節頭に立つ。夜 nóra も息 selvá も軽性の主語として扱われ、動詞はいずれも軽性の3人称単数語尾 -a をとる。夜の「更ける」と息の「昇る」を上下の対として並べる型である。
夜分・晩
夜のうちのある時刻。与格の nórei で「夜に」を表す。
tór, lúin tóra nóra! séirim tásan.
読み:トール、ルーイン トーラ ノーラ!セーリン ターサン。
| tór, | lúin | tór-a | nóra! | séir-im | tás-an. |
| 来る<命令法><あなたが> | とき | 来る-<(軽いものが)> | 夜分<主格> | 待つ-<私が> | <あなた>-<対格> |
「晩になったら来い。待っているぞ。」
親しい目下の相手への、くだけた誘い。lúin tóra nóra「夜分が来るとき」で「晩になったら」を表す。命令法の2人称単数は語幹そのままの tór。
ésa nóra, áura ilanár an dún.
読み:エーサ ノーラ、アウラ イラナール アン ドゥーン。
| és-a | nóra, | áur-a | ilanár | an | dún. |
| いる-<(軽いものが)> | 夜分<主格> | 昇る-<(軽いものが)> | 星読み<主格> | 上手 | 丘<対格> |
「夜分となり、星読みが丘の上へ昇った。」
年代記に見られる、直説法の短い文を並べた記事の書きぶり。時制がないので、文脈から過去と読む。an+対格で「上手へ」。dún は重性なので、対格は主格と同じ形になる。
日の入りから日の出までの時間を指す。高原では星と月が見える時間なので、恐れるものではなく、むしろ澄んだ尊い時間とされる。宮廷では昼と夜をそれぞれ十に分け、夜の時刻はどの星が昇ったかでも言い表す。誓いは星の見える晴れた夜に立てる。nóra nébros「霧の夜」は、星が隠れて祖先に言葉が届かない夜で、そのような夜の誓いは無効とされる。
séima dóulin ólmar un nórloi.
読み:セーマ ドーリン オルマル ウン ノルロイ。
| séim-a | dóulin | ólmar | un | nórl-oi. |
| 身を横たえる-<(軽いものが)> | もう | 年長者<主格> | 中に | 寝床-<与格> |
「年長者はもう寝床についている。」
炉ばたの語りが済んだ後の家庭の描写。人語の主語に合わせて動詞は軽性三人称単数の語尾 -a をとる。相の副詞 dóulin は動詞の直後に置く。un+与格は、寝床という落ち着く場所を示す。
séim un nórloi!
読み:セーン ウン ノルロイ!
| séim | un | nórl-oi! |
| 身を横たえる<命令法><あなたが> | 中に | 寝床-<与格> |
「寝床について。」
家庭で、床につくよう穏やかに促す二人称単数命令法。語根のみの形。un+与格は、命令であっても動き先というより、落ち着く位置を示す。くだけた日常の呼びかけより、静かな寝つきを促す改まった家庭の言葉として聞かれる。
軽性・a語幹(①型、語根に強勢)。対格 nóran、属格 nóres、与格 nórei(「夜に」の副詞としてよく使う)。
古高原語 *nóra から
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