orenvandár

品詞
名詞
意味
縁商人
発音
[orenvanˈdar]
読み
オレンバンダール
分野
人・親族

意味

  1. 縁商人

    縁の市で高原と干潟の取引を仲立ちする、干潟出身の商人。

    an nébros, na tóra orenvandár.

    読み:アン ネーブロス、ナ トーラ オレンヴァンダール。

    annébr-os,natór-aorenvandár.
    上手霧-<属格><〜ない>来る-<(軽いものが)>縁商人<主格>

    「霧の季節が来て以来、縁商人は来ない。」

    an+属格「〜の上手から」は、時の名詞では「〜以来」。時の句は場面の枠に置く。

    lúin tóro nébro, dúlan orenvandárai du dálor.

    読み:ルーイン トーロ ネーブロ、ドゥーラン オレンヴァンダーライ ドゥ ダーロル。

    lúintór-onébro,dúl-anorenvandár-aidudálor.
    とき来る-<(重いものが)>霧<主格>南へ行く-<彼らが>縁商人-<〜たちが>下手下の国<対格>

    「霧が来るころ、縁商人たちは下(干潟)へ帰っていく。」

    dúl- は、北が「上」の国では、そのまま「南へ行く・干潟へ行く」の意味になる。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。縁商人は軽性の人なので、複数主格は -ai になる。霧が崖を上りはじめると縁の市が閉じることを述べた文。

    ésa plána lísen orenvandáres.

    読み:エーサ プラーナ リーセン オレンヴァンダーレス。

    és-aplánalís-enorenvandár-es.
    いる-<(軽いものが)>帳簿<主格>書く-<〜した・〜された>縁商人-<属格>

    「帳簿は縁商人の手で書かれている。」

    受け身にあたる言い方。「és-+主語+分詞」で結果の状態を表し、誰がしたかは属格で添える。紙の帳簿は軽性なので、繋辞は -a をとり、分詞 lísen も軽性・単数・主格(語尾なし)になる。

    táulim sáko es orenvandáres.

    読み:タウリン サーコ エス オレンヴァンダーレス。

    tául-imsákoesorenvandár-es.
    取る-<私が>塩<対格>〜から縁商人-<属格>

    「私は縁商人から塩を受け取る。」

    es+属格は、方向を問わない「〜から」で、物の出どころや受け取る相手を表す。上手からは an、下手からも du ではなく、上下を問わないときは es を使う。sáko は干潟から借りた重性名詞なので、対格は主格と同じ形。

    tóra orenvandár él te sénim anórel.

    読み:トーラ オレンヴァンダール エール テ セーニン アノーレル。

    tór-aorenvandáréltesén-imanórel.
    来る-<(軽いものが)>縁商人<主格>あの<関係節>見る-<私が>昨日

    「昨日見かけた、あの縁商人が来る。」

    縁の市での会話。主語の orenvandár が主格なので、él も主格の形(語尾なし)。anórel は関係節の中に入っている(関係節は文の終わりまで続く)。目的語が抜けた穴は空けたままにする。

    meirésa orenvandár gandér térin lísen sáindarei.

    読み:メイレーサ オレンヴァンダール ガンデール テーリン リーセン サインダレイ。

    meir-és-aorenvandárgandértérinlís-ensáindar-ei.
    与える-<〜すべし>-<(軽いものが)>縁商人<主格>硬木<対格>そのとおりに書く-<〜した・〜された>証文-<与格>

    「縁商人は、証文に書かれたとおりに硬木を渡すべし。」

    証文の取り決めの一文。当為法で書かれている。「térin lísen」に与格の sáindarei を添えると、「証文に書かれたとおりに」の意味になる。縁商人は段の外の者だが、文法上は人として軽性で受ける。

    selvána ausenár ré lisésa orenvandár slúun, mé lisésa sélu.

    読み:セルヴァーナ アウセナール レー リセーサ オレンヴァンダール スルーン、メー リセーサ セール。

    selván-aau-sen-árrélis-és-aorenvandárslúun,mélis-és-asélu.
    おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>縁商人<主格>千<禁止・願いの打ち消し>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>泥の千

    「目付殿は、「縁商人は陸の千で書くべし、泥の千では書かぬこと」とおっしゃる。」

    市の目付の裁きを人に伝える言い方。ré の後ろの節は、決まりごとを表す当為法のまま引いている。後半は主語を言っていないが、前半と同じ縁商人のことを言っている。証文の数は高原の数え方で書く、という市の決まりを表す。

    lísa orenvandár sélu sáindarei.

    読み:リーサ オレンヴァンダール セール サインダレイ。

    lís-aorenvandársélusáindar-ei.
    書く-<(軽いものが)>縁商人<主格>当てにならない大きな数証文-<与格>

    「縁商人のやつ、証文にいい加減な大きな数を書いている。」

    陰口の文。sélu をここで1728の意味にとる必要はなく、「食い違いのありそうな、怪しい大きな数」という意味になる。sélu は干潟からの借用語で重性なので、目的語でも主格と同じ形のまま。

    ésa orenvandár naþrenár.

    読み:エーサ オレンヴァンダール ナスレナール。

    és-aorenvandárnaþrenár.
    いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>段の外の者

    「縁商人は段の外の者だ。」

    身分について説明する文。縁商人は干潟の人なので段の外にいるが、市の札を帯びて商いをしているあいだだけは、六段下りに準ずる仮の段として扱われる。naþrenár は否定の na-、þrén「段」、-ár「〜する人」からできた語で、文法上は人として軽性で受ける。

    pá éses? ésim orenvandár.

    読み:パー エーセス?エーシン オレンヴァンダール。

    páés-es?és-imorenvandár.
    誰<主格>いる-<あなたが>いる-<私が>縁商人<主格>

    「「お前は誰だ。」「縁商人だ。」」

    二人の発話。崖道の番人や市の者が素性を尋ね、相手が身分を答えるやりとり。疑問詞 pá は動詞の前に出る。答えは繋辞 és- の1人称単数 ésim に職名を続けた形で、主語の代名詞は言わない。縁商人は市の札を帯びていれば、六段下りに準ずる者として扱われる。

    lísa orenvandár sáindaran senárei.

    読み:リーサ オレンヴァンダール サインダラン セナーレイ。

    lís-aorenvandársáindar-ansen-ár-ei.
    書く-<(軽いものが)>縁商人<主格>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「縁商人が目付に証文を書く。」

    縁の市でよくある場面の文。基本の語順(動詞–主語–目的語–与格)のとおりに並んでいる。縁商人は高原の文字で読み書きができるので、市の目付に出す証文を自分で書く。時制の語形がないので、「書いた」とも訳せる。

    ésa orenvandár té fíñel.

    読み:エーサ オレンヴァンダール テー フィーニェル。

    és-aorenvandártéfíñel.
    いる-<(軽いものが)>縁商人あの<軽性>用心深い者

    「あの縁商人は抜け目がない。」

    縁の市で、取引の相手を評する言い方。fíñel を人に使うと、用心深さや抜け目のなさを言い、半分はほめ言葉、半分は警戒の言葉になる。縁商人の段は測りかねるものだが、人なので繋辞は軽性の -a で受ける。

    meirésa orenvandár sáindaran senárei.

    読み:メイレーサ オレンヴァンダール サインダラン セナーレイ。

    meir-és-aorenvandársáindar-ansen-ár-ei.
    渡す-<〜すべし>-<(軽いものが)>縁商人<主格>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「縁商人は、証文を目付に渡すこと。」

    市の決まりを記した文書の文体で、当為法を使う。強勢は -és- に移り、語根の強勢は消える(meirésa)。証文を目付に預けて検めてもらうことなので、所有が移るわけではない。

    ké táulses plíndo es orenvandáres?

    読み:ケー タウルセス プリンド エス オレンヴァンダーレス?

    kétáuls-esplíndoesorenvandár-es?
    <〜か>受け取る<〜し終えた>-<あなたが>札<対格>から縁商人-<属格>

    「縁商人から札はもう受け取ったか。」

    完了相の文。語根が二重母音なので、-s- を足して táuls- になる。ké で始めるはい・いいえの問いは、同じ段か目下の相手にだけ使う。答えるときは動詞を繰り返し、táulsim「受け取った」か na táulsim「受け取っていない」と言う。

    ésa orenvandár té þérno. séuril virá éles, gráis nourá éles.

    読み:エーサ オレンヴァンダール テー セルノ。セウリル ヴィラー エーレス、グライス ノウラー エーレス。

    és-aorenvandártéþérno.séurilviráél-es,gráisnouráél-es.
    いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>あの<軽性>陰で害する者<主格>美しい言葉<主格><3人称単数・軽性>-<属格>悪い心<主格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「あの縁商人は毒きのこだ。言葉はきれいだが、腹は黒い。」

    人を þérno と呼ぶのは強い悪口で、陰口に使う。主語が人なので繋辞は軽性の ésa になるが、重性の名詞を人に当てること自体が侮辱になる。後半は繋辞を落として述語の形容詞を先に置く、諺の語順。

    ké ésa orenvandár séndoi? na ésa, válsa.

    読み:ケー エーサ オレンヴァンダール センドイ?ナ エーサ、ヴァルサ。

    kéés-aorenvandársénd-oi?naés-a,váls-a.
    <〜か>いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>ここ-<与格><〜ない>いる-<(軽いものが)>行く<〜し終えた>-<(軽いものが)>

    「「縁商人はここにいるか?」「いない。もう行ってしまった。」」

    gél- を、行き先を言わずに使うと「立ち去る・いなくなる」の意味になる。時制の形がないので、géla だけで「行ってしまった」と訳せる。答えは問いの動詞を繰り返して na ésa とする。

    ké ráines orenvandáran té?

    読み:ケー ライネス オレンヴァンダーラン テー?

    kéráin-esorenvandár-anté?
    <〜か>面識がある-<あなたが>縁商人-<対格>あの<軽性>

    「あの縁商人と知り合いか。」

    人を対格の目的語にとると「見知っている」の意味になる。指示詞 té は格変化せず、名詞句の終わりに置く。

    víra senár viráis klérais orenvandárei.

    読み:ヴィーラ セナール ヴィライス クレーライス オレンヴァンダーレイ。

    vír-asen-árvir-áisklér-aisorenvandár-ei.
    言う-<(軽いものが)>見る-<〜する人>言葉-<〜たちを>よそよそしい-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格>縁商人-<与格>

    「目付は縁商人によそよそしい言葉をかける。」

    人の態度が冷ややかなことも klér で表す。この文では言葉を修飾している。語順は動詞–主語–目的語–与格(受け手)の基本どおり。段の外の相手に、改まってはいても打ち解けない話し方をする様子を言う。

    méiran orenvandárai sáko, méirimor kumbórul.

    読み:メーラン オレンヴァンダーライ サーコ、メーリモル クンボールル。

    méir-anorenvandár-aisáko,méir-imorkumbór-ul.
    与える-<彼らが>縁商人-<〜たちが>塩<対格>与える-<我々が>青銅器-<〜たちを>

    「縁商人は塩を出し、我々は青銅器を出す。」

    取引の取り決めを述べる文。二つの主節を接続詞なしで並べ、読点で区切っている。上げ荷の塩と下ろし荷の青銅器を対にして言うのは、帳簿の見開きの書き方にも通じる言い回しである。

    méira brándal plíndo orenvandárei.

    読み:メーラ ブランダル プリンド オレンヴァンダーレイ。

    méir-abrándalplíndoorenvandár-ei.
    与える-<(軽いものが)>司<主格>市の札<対格>縁商人-<与格>

    「司は縁商人に市の札を与える。」

    語順は動詞–主語–目的語–与格。市の札は青銅の札で重性なので、主格と対格が同じ形になる。札を受けた縁商人は、商いの場にかぎって六段下りに準ずる者として扱われる。

    ké ráines ré ésa orenvandár té sal þrénuls?

    読み:ケー ライネス レー エーサ オレンヴァンダール テー サル スレーヌルス?

    kéráin-esréés-aorenvandártésalþrén-uls?
    <〜か>知る-<あなたが><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>あの<軽性>〜の枠の外に段-<〜らに>

    「あの縁商人が段の外の者だと、お前は知っているか。」

    同じ段どうしの、くだけた問い。縁商人が仮の段の者として扱われるのは市の札が効く商いの場だけで、それ以外では段の外の者だ、ということを話題にしている。指示詞 té は強勢をもち、後ろに続くのが動詞ではなく前置詞なので、関係節の小辞 ti と取り違えることはない。

    ké þovonóres, orenvandár?

    読み:ケー ソヴォノーレス、オレンヴァンダール?

    kéþovonór-es,orenvandár?
    <〜か>顔を影へ向ける-<あなたが>縁商人<主格>

    「縁商人よ、顔を影へ向けるのか。」

    縁の市での公的な詰問の文。ké は文頭に置き、2人称-es は下向きの形。呼びかけ orenvandár は読点の後に置く。この語は市井では滅多に使われず、用いられるなら不信・拒絶を強く暗示する公的な場に向く。

    ké súndau orenvandár si faronár?

    読み:ケー スンダウ オレンヴァンダール シ ファロナール?

    késúnd-auorenvandársifaronár?
    <〜か>世間話する-<双数>縁商人<主格>と運び人<主格>

    「縁商人と運び人は世間話をしているか。」

    縁の市でのくだけた問い。ké は文頭に置く。顔見知りの二人を並べると動詞は双数になる。

    ké virfíla virá orenvandárei?

    読み:ケー ヴィルフィーラ ヴィラー オレンヴァンダーレイ?

    kévirfíl-aviráorenvandár-ei?
    <〜か>通じる-<(軽いものが)>言葉<主格>縁商人-<与格>

    「言葉は縁商人に通じるか。」

    縁の市の問合わせの場面。主語 virá は軽性なので、動詞は 3人称単数軽性の -a をとる。受け手は裸の与格で表す。通じる・教える・分かるのうち、ここでは意味が相手側へ渡っているかどうかだけを問う。

    króirau faronár si orenvandár.

    読み:クロイラウ ファロナール シ オレンヴァンダール。

    króir-aufaronársiorenvandár.
    近づく-<双数>運び人<主格>と縁商人<主格>

    「運び人と縁商人が近づいた。」

    意味2。単数の名詞二つを si で並べると、動詞は双数になる。運び人と縁商人はもともと立場や交際の距離が遠い二者なので、この言い方には関係・序列の間隔が縮まったという含みが出やすい。市での交際や、記録にあられた交流を言う文。

    þéura orenvandár torárei.

    読み:セウラ オレンヴァンダール トラーレイ。

    þéur-aorenvandártorár-ei
    背を向ける-<(軽いものが)>縁商人<主格>客-<与格>

    「縁商人は客に背を向けた。」

    縁の市での売り断りの所作。申し出に背を向ける社会的な意味として自然な用法。対象は与格で示す。torár は語幹として扱い、与格語尾だけ -ei を分ける。

    plúnim fáron orenvandárei.

    読み:プルーニン ファーロン オレンヴァンダーレイ。

    plún-imfáronorenvandár-ei.
    使いに出す-<私が>荷<対格>縁商人-<与格>

    「私は縁商人に荷を届けてやる。」

    物の受け渡しに使う日常文。物を送る場合、人づかいで届ける意味に傾く。縁商人への用向きとして自然。

    próum, na tóra orenvandár.

    読み:プローン、ナ トーラ オレンヴァンダール。

    próum,natór-aorenvandár.
    今夜<〜ない>来る-<(軽いものが)>縁商人<主格>

    「今夜、縁商人は来ない。」

    記録・報告調の文。時名詞 próum を場面の枠として文頭に置き、読点で区切っている。主語 orenvandár は人を指すため軽性で、否定直説法の語尾は軽性の -a。

解説

干潟に生まれ育ち、高原語を話し高原の文字で帳簿をつけて、縁の市で両方の側の取引を仲立ちする商人。段の外の者だが、道の司から青銅の「市の札」を受け、商いの場にかぎって六段下りに準ずる仮の段の者として扱われる。高原の人は縁商人に話すとき、相手の段を測りかねて話し方が揺れやすい。

文法

名詞(軽性・子音語幹、-ár に強勢)。対 orenvandáran、複 orenvandárai

語源

orén「縁」+ vánd-「量る」+ -ár「〜する人」。「縁で量る人」の意。

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