小説
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赤い
血や香の木の樹皮のような赤。
gléin álmar, rús rúsil.
読み:グレーン アルマル、ルース ルーシル。
| gléin | álmar, | rús | rúsil. |
| 清い | 白月<主格> | 赤い | 赤月<主格> |
「清きは白月、赤きは赤月。」
二つの月を並べて対比する諺。諺では繋辞 és- を落とし、述語の形容詞を先に置くので、「名詞+形容詞」のふつうの語順とは逆になる。白月は秩序と祖先の象徴、赤月は落ち着きのない「下の国の月」とされ、その違いを含ませている。
sén fóurelan rúsan téndo.
読み:セーン フォーレラン ルーサン テンド。
| sén | fóurel-an | rús-an | téndo. |
| 見る<命令法><あなたが> | 香の木-<対格> | 赤い-<軽性・対格> | あそこ |
「あそこの赤い香の木を見ろ。」
下向きの命令法2単数(むき出しの語幹 sén)。香の木 fóurel は赤い樹皮をもつ木で、生えているあいだは軽性なので、形容詞も軽性の対格 -an で一致する。形容詞は名詞のすぐ後ろに置く。
brúumo frúm rús es máros némes.
読み:ブルーモ フルーン ルース エス マーロス ネーメス。
| brúum-o | frúm | rús | es | már-os | ném-es. |
| 落ちる-<(重いものが)> | 血<主格> | 赤い | から | 手-<属格> | <私>-<属格> |
「私の手から赤い血が落ちる。」
血 frúm は体に属するものなので重性。動詞は3人称単数・重性の -o をとり、形容詞 rús は重性の主格なので語尾がつかない。樵が手を切ったときのような日常の一言。
茶色の
樹皮染めの茶、銅の色など、赤みのある褐色。
méir síndra rús, ende.
読み:メール シンドラ ルース、エンデ。
| méir | síndra | rús, | ende. |
| 与える<命令法><あなたが> | 帯 | 茶色の | どうぞ |
「茶色の帯をくれ、頼む。」
縁の市の取引言葉。格語尾が落ちて、宮廷語なら síndran rúsan となるところが síndra rús になる。動詞はむき出しの語幹で言い、ende を添える。市ではこの形でも無礼にはならない。
ésa tendá lisáres rús.
読み:エーサ テンダー リサーレス ルース。
| és-a | tend-á | lis-ár-es | rús. |
| いる-<(軽いものが)> | 織る-<〜するもの(重)> | 書く-<〜する人>-<属格> | 茶色の |
「書記の布は茶色に染めてある。」
樹皮で染めた茶色のこと。染めた色の布は、生成りの布より上の段の人に許される(書記は四段下り)。tendá「織物・布」は ténd-「織る」に -á「〜するもの(軽)」がついた語で、軽性。繋辞 éis- を先頭に置き、述語の形容詞 rús は軽性の主格(語尾なし)で主語に一致する。
ésa tendá kelárar kéum, na ésa rús.
読み:エーサ テンダー ケラーラル ケウン、ナ エーサ ルース。
| és-a | tend-á | kel-ár-ar | kéum, | na | és-a | rús. |
| いる-<(軽いものが)> | 織る-<〜するもの(重)> | 伐る-<〜する人>-<〜らの> | 生成りの | <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 茶色の |
「樵たちの布は生成りで、茶色ではない。」
染めていない布や毛の色をいう kéum の用法。八段下りの森の民は染めない布を着る。後半は主語を言わず、動詞の語尾で前半と同じ布が主語だとわかる。na は動詞の直前に置く。
赤から茶までを広く含む色彩語。血、香の木の樹皮、樹皮で染めた衣、銅の色に使う。樹皮で染めた赤・茶の衣は中くらいの段の人に許される色なので、衣について言うときは身分の含みがある。
形容詞。名詞の後ろに置き、性・数・格に一致する。
rúsil「赤月」は、この語に古い指小の語尾 *-il がついたもの。
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