小説
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待つ
人や物事が来るのを待つ(séiran ombára ilánais「十の灯(が昇るの)を待つ」)。
séir! na ésa selvá némei.
読み:セール!ナ エーサ セルヴァー ネーメイ。
| séir! | na | és-a | selvá | ném-ei. |
| 待つ<命令法><あなたが> | <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 息<主格> | <私>-<与格> |
「待ってくれ、息が切れた。」
坂道や崖道を上るときの、くだけた言い方。所有は「持つ」という動詞を使わず「ある+持ち主の与格」で言うので、「私には息がない」が「息が切れた」の意味になる。動詞は持たれている物 selvá(軽性)に一致する。
séirim tásan, lúin áura sílar.
読み:セーリン ターサン、ルーイン アウラ シーラル。
| séir-im | tás-an, | lúin | áur-a | sílar. |
| 待つ-<私が> | <あなた>-<対格> | とき | 昇る-<(軽いものが)> | 月<主格> |
「月が昇るころ、お前を待っている。」
同じ段の者どうしの、くだけた言い方。tás は②型の語尾で格変化し、対格は tásan になる。lúin は「〜とき」の節を導き、節の中も動詞で始まる。目上の人には tás を使わず、役職名などを3人称で言う。
té, séir! na sénim nóumo táses.
読み:テー、セール!ナ セーニン ノーモ ターセス。
| té, | séir! | na | sén-im | nóumo | tás-es. |
| そこの方 | 待つ<命令法><あなたが> | <〜ない> | 見る-<私が> | 顔<対格> | <あなた>-<属格> |
「そこの方、待て!顔が見えない。」
霧の濃い道で、正体のわからない相手を呼び止める言い方。呼びかけの té は文の頭に置くこともでき、そのときは読点で区切る。目上の人かもしれない相手には、命令法の séir ではなく、決まり文句の seirénde「しばしお待ちを」を使う。
séiran faronárai társan.
読み:セーラン ファロナーライ タルサン。
| séir-an | faronár-ai | társ-an. |
| 待つ-<彼らが> | 運び人-<〜たちが> | お前たち-<対格> |
「運び人たちがお前たちを待っている。」
語順は「動詞–主語–目的語」。társ の対格は、子音語幹と同じく -an をつけて társan とする。2人称複数の代名詞なので下向きか並びの話し方で、目上の人たちには使わない。
toréndes an gráun dúnos, séirim tásan.
読み:トレンデス アン グラウン ドゥーノス、セーリン ターサン。
| tor-énd-es | an | gráun | dún-os, | séir-im | tás-an. |
| 来る-<〜しますように>-<あなたが> | 上手 | 上端<対格> | 丘-<属格> | 待つ-<私が> | <あなた>-<対格> |
「丘のてっぺんまで来てくれないか。待っているから。」
同じ段の者どうしの約束の言い方。同じ段の相手なので、命令法ではなく願望法の2人称を使う。gráun に丘 dún の属格を添えて、「丘のてっぺん」と言う。坂の多い都では、待ち合わせの場所によく使われる言い方である。
pán séires? séirim séulinan.
読み:パーン セーレス?セーリン セウリナン。
| pán | séir-es? | séir-im | séulin-an. |
| 誰<対格> | 待つ-<あなたが> | 待つ-<私が> | 友-<対格> |
「「誰を待っている?」「友を待っている。」」
日常のやりとり。疑問詞の対格 pán を文頭に出す。答えでは、問いの動詞を自分の人称に変えて繰り返す。
séira lisár senáran du aldárei.
読み:セーラ リサール セナーラン ドゥ アルダーレイ。
| séir-a | lis-ár | sen-ár-an | du | aldár-ei. |
| 待つ-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 見る-<〜する人>-<対格> | 下手 | 座-<与格> |
「書記は上座の手前で目付を待つ。」
日常の文。待つ相手は対格で示す。senár「目付」は軽性の子音語幹なので、対格は -an になる。du+与格で「〜の下手で」と言い、目上の座より低い位置で待っていることを表す。
séir! nóurim selúin.
読み:セール!ノーリン セルーイン。
| séir! | nóur-im | selúin. |
| 待つ<命令法><あなたが> | 思案する-<私が> | 今 |
「待て、今考えているところだ。」
目的語をとらないと「あれこれ考える」の意味になる。命令法を使っているので、下向きか、くだけた場での言い方。
séirimor órelan sáunan ré liséndimor sáindaran.
読み:セーリモル オーレラン サウナン レー リセンディモル サインダラン。
| séir-imor | órel-an | sáun-an | ré | lis-énd-imor | sáindar-an. |
| 待つ-<我々が> | 日-<対格> | 吉い-<軽性・対格> | <〜と(節)> | 書く-<〜しますように>-<我々が> | 証文-<対格> |
「証文を書くために、我々は吉い日を待つ。」
大事な取り決めを結ぶ日取りについて言う文。この意味の sáun は、日取りや兆しの縁起が良いことを表す。「〜するように」という目的は、ré+願望法で表す。願望法の -énd- は強勢をもつ。
ké tóra ráuvan? na tóra. séiran kelárai.
読み:ケー トーラ ラウヴァン?ナ トーラ。セーラン ケラーライ。
| ké | tór-a | ráuvan? | na | tór-a. | séir-an | kel-ár-ai. |
| <〜か> | 来る-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | <〜ない> | 来る-<(軽いものが)> | 待つ-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> |
「「巫は来たか?」「まだ来ていない。樵たちが待っている。」」
伐り出しの前の、森の村での日常のやりとり。二人の発話を一つにまとめている。儀式の詞を唱えずには硬木を伐れないので、樵たちは森の巫の到着を待つ。「はい/いいえ」にあたる語はなく、問いの動詞を繰り返して答える(否定なら na tóra)。時制がないので、tóra は「来た」とも「来ている」とも訳せる。
tór, lúin tóra nóra! séirim tásan.
読み:トール、ルーイン トーラ ノーラ!セーリン ターサン。
| tór, | lúin | tór-a | nóra! | séir-im | tás-an. |
| 来る<命令法><あなたが> | とき | 来る-<(軽いものが)> | 夜分<主格> | 待つ-<私が> | <あなた>-<対格> |
「晩になったら来い。待っているぞ。」
親しい目下の相手への、くだけた誘い。lúin tóra nóra「夜分が来るとき」で「晩になったら」を表す。命令法の2人称単数は語幹そのままの tór。
aurénde, séulin! séirim séndoi dórel.
読み:アウレンデ、セウリン!セーリン センドイ ドーレル。
| aurénde, | séulin! | séir-im | sénd-oi | dórel. |
| さようなら | 友 | 待つ-<私が> | ここ-<与格> | 明日 |
「「さようなら、友よ。明日ここで待っている。」」
親しい者どうしの別れ際。別れの aurénde にも「相手の息が無事に昇るように」という願いがこもるが、日常ではただの「さようなら」として使う。séir- は直説法で、時制がないので、「明日待つ」という未来の予定もこの形で言える。
hóu! séir, faronár.
読み:ホー!セール、ファロナール。
| hóu! | séir, | faron-ár. |
| おーい | 待つ<命令法><あなたが> | 荷-<〜する人> |
「おーい!待て、運び人。」
崖道や市で、離れた所にいる運び人を呼び止める言い方。hóu は文頭で独立して叫ぶ。呼びかけの相手は呼格を使わず、役職や職の名を文末に読点で区切って添える。下向きの話し方なので命令法のむき出しの語幹 séir を使う。
séira unlóur toráran.
読み:セーラ ウンロール トラーラン。
| séir-a | unlóur | tor-ár-an. |
| 待つ-<(軽いものが)> | まだ | 来る-<〜する人>-ACC. |
「客をまだ待っている。」
séir- は他動詞で目的語を要するため、torár は主語ではなく目的語にする。軽性の -ár 名詞の単数対格は -an を取る。動詞 séira の -a は省略された三人称軽性主語の一致である。
séira toráran fándoi.
読み:セーラ トラーラン ファンドイ。
| séir-a | torár-an | fánd-oi |
| 待つ-<(軽いものが)> | 客-<対格> | 戸口-<与格> |
「戸口で客を待つ。」
迎え場としての用法。場所を示す fándoi は与格。toráran は目的語の対格で、目的語の枠を埋める。主語は動詞語尾から読み取れる3人称単数・軽性で、省略している。
séir þaló!
読み:セール サロー!
| séir | þaló |
| 待つ<命令法><あなたが> | 正午<対格> |
「正午を待て!」
日常会話の命令。2人称単数の命令法は語幹のみで、語尾に人称標示がつかない。対象は正午の時点。重性o語幹なので対格は主格と同形。
控えて待つ
目上の人の言葉や指図を、そばで控えて待つ。この意味では謙譲の duséir- を使うことが多い。
duséiran lisárai aldáran áurenan.
読み:ドゥセーラン リサーライ アルダーラン アウレナン。
| du-séir-an | lis-ár-ai | aldár-an | áur-en-an. |
| <〜させていただく>-控えて待つ-<彼らが> | 書く-<〜する人>-<〜たちが> | 座-<対格> | 昇る-<〜した・〜された>-<軽性・対格> |
「書記たちは高き座(のお指図)を控えて待つ。」
宮廷の記録の文体。王に仕える者の行いを、王に対して低めて謙譲の duséir- で書く。aldár áuren「高き座」は対格になり、分詞 áuren も軽性・対格の -an で一致する。
duséirim aulisáran.
読み:ドゥセーリン アウリサーラン。
| du-séir-im | au-lis-ár-an. |
| <〜させていただく>-控えて待つ-<私が> | <お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<対格> |
「書記の方を、控えてお待ちしております。」
上向きの改まった言い方。謙譲の du- をつけた duséir- で自分の行いを低め、待つ相手の役職名には尊敬の au- をつけて高める。「私が・目上の人を」という上下の関係が、動詞と名詞の両方に表れる。
人や事柄が来るのを待つことを表す。待つ相手は対格で示す。高原の暦では、十の灯が昇る日や、霧が晴れて最初の星が見える夜を待つことが、大事な節目になっている。縁の市では、取引の精算を霧が来る前に済ませなければならないので、「霧まで待つ」ことは「約束を反故にする」に近い悪い響きをもつ。
完了語根は séirs-。目上の人を待つことは謙譲の duséir- で言う。
古高原語から受け継いだ語。
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