小説
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覚え歌(記録の歌)
歌われることで名前・順序・作法に印が打たれ、息(声)の中に固定される記録。歌が途絶えれば印も消える。
ké lóima endríña simboselván?
読み:ケー ロイマ エンドリーニャ シンボセルヴァーン?
| ké | lóim-a | endríña | simboselvá-n? |
| <〜か> | 唱える-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 覚え歌-<対格> |
「「その子は覚え歌を唱えるのか。」」
日常の尋ね問。名詞は軽性の語幹に -n を添えて対格を作る。主語 endríña が軽性の単数なので動詞は -a を受ける。
ésa simboselvá lóimen.
読み:エーサ シンボセルヴァー ロイメン。
| és-a | simboselvá | lóim-en. |
| いる-<(軽いものが)> | 覚え歌<主格> | 唱える-<〜した・〜された> |
「「覚え歌は唱えられている。」」
儀礼・書物での改まった記述。動詞 lóim- の分詞 lóimen が述語となり、歌い終えられて声の中に留まっている状態を言う。主語は軽性の単数で、分詞は主格では語尾を変えない。
「息に印を打ったもの」の比喩で、歌の形に固定された記録を指す。証文(sáindar)に印(símbo)を押して権威を与えるのと同じように、この歌は歌われることそのもので名前や順序・作法に「印」を押し、声(息)の中に固定する。軽性の性は、本質がまだ息(声・言葉・昇るもの)であることに由来する。旧道の岩棚の名を順に数える荷担ぎ歌、系譜を瀬ごとに唱える歌、伐り出しの詞の節がこれにあたる。歌が途絶えれば印も消え、中身の名も順序も失われる。
軽性・a語幹(単主 símboselvá、対 símboselván、属 símboselvés、与 símboselvéi、双主対 símboselváu、双属与 símboselváun、複主 símboselvái、複対 símboselváis、複属 símboselvar、複与 símboselváil)
símbo「印」+selvá「息」の複合語。「息に印を打ったもの」の比喩。複合語の規則どおり、前の要素 símbo の強勢が落ち、後ろの要素 selvá の強勢だけが残る。
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