selvá

品詞
名詞
意味
息
発音
[selˈva]
読み
セルバー
分野
身体

意味

  1. 息

    呼吸の息。体の中の軽いもの。

    áura selvá an ilánais.

    読み:アウラ セルヴァー アン イラーナイス。

    áur-aselváanilán-ais
    昇る-<(軽いものが)>息<主格>上手灯-<〜たちを>

    「息は星々のもとへ昇る。」

    selvá は軽性a語幹なので、動詞は軽性の -a をとる。星を数を問わずに総称しているので、複数対格の ilánais を使う。

    aurénde selvá! an ilánais.

    読み:アウレンデ セルヴァー!アン イラーナイス。

    aur-énd-eselvá!anilán-ais.
    昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>上手灯-<〜たちを>

    「「ごきげんよう(あなたの息が昇りますように)。」「星々へ。」」

    二人の発話(挨拶と返し)。会ったときと別れるときの挨拶。返しは、動詞を省いた前置詞句だけで答える。語尾 -énde が、市で聞く ende と同じ響きなので、尋はここで二つのつながりに気づくかもしれない。

    áura selvá, salóur dúlo ílmo.

    読み:アウラ セルヴァー、サロール ドゥーロ イルモ。

    áur-aselvá,salóurdúl-oílmo.
    昇る-<(軽いものが)>息<主格>しかし下る-<(重いものが)>水<主格>

    「息は昇る。しかし、水は下る。」

    salóur「瀬の外に」は逆接。強勢があり、後ろに短い切れ目が入る。

    dúlo gromó du dálor, áura selvá.

    読み:ドゥーロ グロモー ドゥ ダーロル、アウラ セルヴァー。

    dúl-ogromódudálor,áur-aselvá.
    下る-<(重いものが)>体<主格>下手地の底<対格>昇る-<(軽いものが)>息<主格>

    「体は地の底へ沈み、息は昇る。」

    弔いのときに森の巫や系譜読みが唱える句。重性の gromó「体」と軽性の selvá「息」が、動詞の語尾 -o/-a でも対になっている。dálor はここでは干潟ではなく、上・中・下の三層の「下」、重いものが沈んでいく地の底を指す。

    ésa selvá némes ál.

    読み:エーサ セルヴァー ネーメス アール。

    és-aselváném-esál.
    いる-<(軽いものが)>息<主格><私>-<属格>白い

    「息が白い。」

    凍りの頃によく聞く日常のひとこと(逐語訳は「私の息は白い」)。「AはBだ」の文も繋辞 és- で始める。息は軽性なので、繋辞は -a、形容詞 ál は語尾なしになる。

    séir! na ésa selvá némei.

    読み:セール!ナ エーサ セルヴァー ネーメイ。

    séir!naés-aselváném-ei.
    待つ<命令法><あなたが><〜ない>いる-<(軽いものが)>息<主格><私>-<与格>

    「待ってくれ、息が切れた。」

    坂道や崖道を上るときの、くだけた言い方。所有は「持つ」という動詞を使わず「ある+持ち主の与格」で言うので、「私には息がない」が「息が切れた」の意味になる。動詞は持たれている物 selvá(軽性)に一致する。

    lóima ráuvan loimán ré aurénde selvá.

    読み:ロイマ ラウヴァン ロイマーン レー アウレンデ セルヴァー。

    lóim-aráuvanloim-ánréaur-énd-eselvá.
    唱える-<(軽いものが)>森の巫<主格>詞-<対格>ように昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>

    「森の巫は、息が昇るよう詞を唱える。」

    葬送の場面を述べた文。ré に願望法を続けると、「〜するように」という目的の節になる。aurénde は挨拶の aurénde と同じ形で、ここでは本来の「昇りますように」という意味で使われている。

    áura selvá élaures.

    読み:アウラ セルヴァー エーラウレス。

    áur-aselváélaur-es.
    昇る-<(軽いものが)>息<主格>昇りゆく人-<属格>

    「昇りゆく方の息が、昇っていく。」

    火葬や喪の祀りで唱える詞の一句。死者の魂を軽い息 selvá として言う。selvá は軽性なので、動詞は -a をとる。昇名が定まる前の一年は、名の代わりにこの語を使う。

    élþo gromó, áura selvá.

    読み:エルソ グロモー、アウラ セルヴァー。

    élþ-ogromó,áur-aselvá.
    燃える-<(重いものが)>亡骸<主格>昇る-<(軽いものが)>息<主格>

    「亡骸は燃え、息は昇る。」

    火葬を語る弔いの言い回し。重性の亡骸と軽性の息を並べ、動詞の語尾 -o と -a で、下へ残るものと上へ行くものを対比している。火葬は村の北側の高い場所で行う。

    gróm kréin, fláin selvá.

    読み:グローン クレーン、フライン セルヴァー。

    grómkréin,fláinselvá.
    重い骨<主格>軽い息<主格>

    「骨は重く、息は軽い。」

    諺。繋辞 és- を落として述語の形容詞を先に置く、格言の語順になっている。体(骨)は下へ沈み、息(魂)は上へ昇るという世界観を言い表す。弔いの席でも引かれる。

    aurénde selvá élaures an élvaran.

    読み:アウレンデ セルヴァー エーラウレス アン エルヴァラン。

    aur-énd-eselváélaur-esanélvar-an.
    昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>昇りゆく人-<属格>上手天-<対格>

    「昇りゆく人の息が、天へ昇りますように。」

    火葬の場で唱える送りの詞の一句。死後一年は名前を口にしないので、死者は élaur「昇りゆく人」と言い表す。願望法の3人称単数・軽性の語尾は -e になる。an+対格で「上手へ」。

    hóina selvá an élvaran, an aursárais.

    読み:ホイナ セルヴァー アン エルヴァラン、アン アウルサーライス。

    hóin-aselváanélvar-an,anaursár-ais.
    帰る-<(軽いものが)>息<主格>上手天-<対格>上手祖先-<〜たちを>

    「息は天へ、祖先たちのもとへ帰っていく。」

    死と魂についての教えを説く書物によく出る文。前置詞句を二つ並べて、天と祖先が同じ場所であることを示している。魂が天へ行くことを、「行く」ではなく hóin-「帰る」で言うのが決まった言い方である。

    ésa él dulána, na áura selvá éles. elþíþimor fáron éles.

    読み:エーサ エール ドゥラーナ、ナ アウラ セルヴァー エーレス。エルシーシモル ファーロン エーレス。

    és-aéldulána,naáur-aselváél-es.elþ-íþ-imorfáronél-es.
    いる-<(軽いものが)><3人称単数・軽性>落ちてきた者<主格><〜ない>昇る-<(軽いものが)>息<主格><3人称単数・軽性>-<属格>燃える-<〜させる>-<我々が>荷<対格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「その人は落ちた者だ。その息は昇らない。だから我々は、その人の荷を燃やす。」

    弔いの場での言い方。崖から落ちて死んだ者は、魂が体と一緒に下へ引かれて昇れなくなるとされ、dulána と呼ばれる。遺体が見つからないときは、持ち物を燃やして魂を上へ送る。dulána は人を指すので、繋辞も代名詞も軽性の形(ésa、él)で受ける。elþ-íþ- は「燃える」の使役で「燃やす」の意味で、直説法では -íþ- に強勢が置かれる。

    þílo þéul, áura selvá.

    読み:シーロ セウル、アウラ セルヴァー。

    þíl-oþéul,áur-aselvá.
    澄む-<(重いものが)>湧き水<主格>昇る-<(軽いものが)>息

    「湧き水は澄み、息は昇る。」

    詩の言い方。水は重性なので動詞は -o、息は軽性なので -a で受ける。重性と軽性の対を並べた句。

    gléin nourá, fláin selvá.

    読み:グレーン ノウラー、フライン セルヴァー。

    gléinnourá,fláinselvá.
    清い心軽い息

    「清きは心、軽きは息。」

    諺。繋辞を落とし、形容詞を先に出す格言の語順。心が清ければ息(言葉)は軽く昇る、という教え。

    gróm hémbro, fláin selvá.

    読み:グローン ヘンブロ、フライン セルヴァー。

    grómhémbro,fláinselvá.
    重い恥<主格>軽い息<主格>

    「重きは恥、軽きは息。」

    諺。繋辞を落とし、述語の形容詞を先に置くのは格言の形。恥は人を重くして下へ引くものとされ、重性名詞になる。

    séuril tíula virár, gléin selvá.

    読み:セウリル ティーウラ ヴィラール、グレーン セルヴァー。

    séuriltíulavir-ár,gléinselvá.
    美しい響き<主格>言葉-<〜らの>清い息<主格>

    「美しきは言葉の響き、清きは息。」

    整った言葉をほめるときに引く、格言ふうの詩句。諺や詩では繋辞を落として形容詞を先に置くので、それだけで格言だとわかる。この意味の tíula は、人の声や詩句の音としての美しさを言う。

    fóndel aursár, gléin selvá éles.

    読み:フォンデル アウルサール、グレーン セルヴァー エーレス。

    fóndelaursár,gléinselváél-es.
    源に近い祖先<主格>清い息<主格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「源に近きは祖、清きはその息。」

    諺や詩の形。繋辞を落とし、述語の形容詞を先に置く。ふつうの名詞句は「名詞–形容詞」の順なので、形容詞が先頭に来ると、格言や詩句だとわかる。

    gróm grúndo, fláin selvá.

    読み:グローン グルンド、フライン セルヴァー。

    grómgrúndo,fláinselvá.
    重い負い目<主格>軽い息<主格>

    「重きは負い目、軽きは息。」

    諺。繋辞を落とし、述語の形容詞を先に置いているので、格言だとわかる。負い目は人を「重く」して下へ引くものとされる。形容詞は主語に一致するが、どちらも単数の主格なので語尾はつかない。

    lóima ráuvan, ré aurénde selvá.

    読み:ロイマ ラウヴァン、レー アウレンデ セルヴァー。

    lóim-aráuvan,réaur-énd-eselvá.
    唱える-<(軽いものが)>森の巫<主格><〜と(節)>昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>

    「森の巫は、死者の息が昇るよう詞を唱える。」

    葬送の場面を述べた文。ráuvan は人を指すので軽性で、動詞は -a で一致する。「ré+願望法」は目的の「〜するように」を表す。この願望法は丁寧さではなく、そうなってほしいことを表している。selvá(息)は、ここでは死者の魂を指す。

    áura selvá es méndales an élvaran.

    読み:アウラ セルヴァー エス メンダレス アン エルヴァラン。

    áur-aselváesméndal-esanélvar-an.
    昇る-<(軽いものが)>息<主格>から中の世界-<属格>上手天-<対格>

    「「息は中の世界から天へと昇る。」」

    弔いの詞や祈りによく出る一句。méndal は重性の子音語幹として変化する(属格 méndalos)。人の住む高原を、天と下の国にはさまれた層として言う。

    aurénde selvá! aurénde.

    読み:アウレンデ セルヴァー!アウレンデ。

    auréndeselvá!aurénde.
    ごきげんよう息<主格>ごきげんよう

    「「ごきげんよう(あなたの息が昇りますように)。」「ごきげんよう。」」

    二人の発話。aurénde に selvá「息」を添えた改まった形と、それへの返し。aurénde はもとは áur-「昇る」の願望法3人称単数・軽性で、selvá がその主語にあたる。高原語には「はい」がなく、答えるときは相手の語を繰り返すので、挨拶も同じ語を返す。

    aurénde, élaur! áura selvá, na dúla.

    読み:アウレンデ、エーラウル!アウラ セルヴァー、ナ ドゥーラ。

    aurénde,élaur!áur-aselvá,nadúl-a.
    さようなら昇りゆく人昇る-<(軽いものが)>息<主格><〜ない>下る-<(軽いものが)>

    「さようなら、昇りゆく人よ。息は昇り、下りはしない。」

    火葬の場で死者に別れを告げる言い方。死後一年は生前の名前を口にできないので、名前を呼ばずに élaur「昇りゆく人」と呼びかける。後半の二つの動詞は、どちらも軽性の selvá を主語として受ける。aurénde がもとから持つ「息が上へ昇るように」という意味が、ここではそのまま生きている。

    vérin áura selvá.

    読み:ヴェーリン アウラ セルヴァー。

    vérináur-aselvá.
    まことに昇る-<(軽いものが)>息<主格>

    「まことに、息は昇る。」

    弔いや祀りの場で、死者の魂が軽い息となって上へ昇ることを請け合う改まった言い方。文頭の vérin は事柄の確かさを強める。selvá は軽性なので、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。

    drelésa aurbúl un aurándoi, ré aurénde selvá an ilánais.

    読み:ドレレーサ アウルブール ウン アウランドイ、レー アウレンデ セルヴァー アン イラーナイス。

    drel-és-aaurbúlunauránd-oi,réaur-énd-eselváanilán-ais
    焚く-<〜すべし>-<(軽いものが)>薪<対格>内に社-<与格><〜と(節)>昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>上手灯-<〜たちを>

    「社は薪を焚くべし。息が星々のもとへ昇りますように。」

    社の碑文や祀りの手引書に刻まれる当為法の文。主語を言わないので「人は」の意味になり、軽性の形をとる(当為法・3SG.LT)。ré+願望法で目的(祈り)を示す。aurándo「社」は重性o語幹で与格 -oi。度量衡の碑の mé duliþésa… と同じく、法定的・規範的な文書に当為法が用いられる例。

    drélim aurbúl si aurénde selvá an ilánais.

    読み:ドレーリン アウルブール シ アウレンデ セルヴァー アン イラーナイス。

    drél-imaurbúlsiaur-énd-eselváanilán-ais
    焚く-<私が>薪<対格>と昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>上手灯-<〜たちを>

    「薪を焚く。息が星々のもとへ昇りますように。」

    祀りの場で、炉に薪を焚いて祖先に祈りを届ける場面。drél-「焚く」は他動詞で、1人称単数は drélim(drél-im)。aurbúl(重性・子音語幹)が目的語。si は読点を伴わず、二つの文を同じ高さに並べる(統語論9.2節)。二つめの文は願望法で祈りの形にする。an ilánais は「星々のもとへ」で、挨拶の定型 aurénde selvá! ― an ilánais. と同じ前置詞句。星は数を言わず総称の複数 ilánai を用いる。

    ké þóla endríña selván?

    読み:ケー ソーラ エンドリーニャ セルヴァーン?

    kéþól-aendríñaselv-án
    <〜か>息を止める-<(軽いものが)>子ども<主格>息-<対格>

    「子どもは息を止めていますか。」

    日常会話の疑問文。疑問小辞 ké は文頭に置く。主語 endríña は人を指す軽性名詞なので、動詞は 3人称単数・軽性の語尾 -a を受ける。目的語は selván。

    aurénde selvá es grélos.

    読み:アウレンデ セルヴァー エス グレーロス。

    aur-énd-eselváesgrél-os.
    昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>からのど-<属格>

    「息がのどから昇りますように。」

    声・息・言葉が上へ昇るという信仰に基づく祝祷文。aur- の願望法軽性3人称単数は軽性の主語 selvá に一致する。前置詞 es に重性名詞 grél の属格 grélos をとり、出所「のどから」を表す。

    flélau selvá si tíula es múndos snálenos

    読み:フレーラウ セルヴァー シ ティーウラ エス ムンドス スナーレノス

    flél-auselvásitíulaesmúnd-ossnál-en-os
    漏れる-<双数>息<主格>と音<主格>から口-<属格>閉じる-<〜した・〜された>-<属格>

    「閉じた口から息と音が漏れている。」

    口を閉じたままで、意に反して息や音がわずかに漏れる場面。selvá「息」とtíula「音・声」の二単数主語をsiで並べ、動詞を双数-auにする。出所はes+属格の名詞句で、中心名詞múndos「口」の後に、重性・単数・属格に一致する分詞snálenos「閉じた」が続く。snál-en-osは動詞根snál-+PTCP+GENとして切る。

    nébroi, selvatáula endríña selván.

    読み:ネーブロイ、セルヴァタウラ エンドリーニャ セルヴァーン。

    nébr-oi,selvatául-aendríñaselv-án
    霧-<与格>聞き取る-<(軽いものが)>子<主格>息-<対格>

    「霧の中では、子どもが息づかいを聞き取る。」

    霧の中の描写。主語 endríña は人を指す軽性で、動詞は3人称単数軽性 -a と一致する。

    aurselvéra selvá táses!

    読み:アウルセルヴェーラ セルヴァー ターセス!

    aurselvér-aselvátás-es!
    息が白む-<(軽いものが)>息<主格><あなた>-<属格>

    「お前の息が白む。」

    日常会話で、親しい者や目下の者の息に気づいて言う。二人称属格 táses は名詞の後ろに置く。

    aurselvéra selvá aursárar.

    読み:アウルセルヴェーラ セルヴァー アウルサーラル。

    aurselvér-aselváaursár-ar.
    息が白む-<(軽いものが)>息<主格>祖先-<〜らの>

    「祖先の息は、天の息になる。」

    詩・祀りの詞の一節。祖先の息は昇るものとして軽性の主語になる。所属複数は名詞の複数属格 aursár-ar を名詞の後ろに置く。

    un fíndoi ésa selvá selvapúl.

    読み:ウン フィンドイ エーサ セルヴァー セルヴァプール。

    unfínd-oiés-aselváselvapúl.
    内に耳-<与格>いる-<(軽いものが)>息<主格>(息による)くすぐったい

    「耳のあたりでは息がくすぐったい。」

    耳元や首筋にかすかに触れる息に向く用法。述語形容詞の句に場所を添える場合は、前置詞+与格を動詞の前に出すと、存在文ではなく述語形容詞の句として読みやすい。

    dulþól selván nébroi!

    読み:ドゥルソール セルヴァーン ネーブロイ!

    dulþólselv-ánnébr-oi!
    息を伏せ殺す<命令法><あなたが>息-<対格>霧-<与格>

    「霧の中では、息を伏せ殺せ。」

    霧の中で気配を断つよう命じる、一人称への日常の命令文。命令の二人称単数はむき出しの語幹で言う。場所としての霧は前置詞を伴わない与格で表す。

    dulþóla éndra selván nébroi.

    読み:ドゥルソーラ エンドラ セルヴァーン ネーブロイ。

    dulþól-aéndraselv-ánnébr-oi.
    息を伏せ殺す-<(軽いものが)>人<主格>息-<対格>霧-<与格>

    「人は霧の中で息を伏せ殺す。」

    習俗や一般の行為について記す直説法。総称的な主語「人」を軽性の単数として受け、無時制で習慣的な行為を表す。目的語の「息」と場所の与格が文の後半に続く。

    sléva þelasnéla selván.

    読み:スレーヴァ セラスネーラ セルヴァーン。

    slév-aþelasnélaselv-án.
    守る-<(軽いものが)>名布<主格>息-<対格>

    「名布は息を守る。」

    比喩用法。頭巾を「息を守る布」として名布と呼ぶ言い方。動詞 slév- の主語 þelasnéla が軽性なので sléva、目的語 selvá は対格 selván。selván は selv-án の形。

    sénim þelasnélan te sléva selván.

    読み:セーニン セラスネーラン テ スレーヴァ セルヴァーン。

    sén-imþelasnél-anteslév-aselv-án.
    見る-<私が>名布-<対格><関係節>守る-<(軽いものが)>息-<対格>

    「私は息を守る名布を見る。」

    関係節 te を用いた比喩的な言い表し。関係節内の動詞 sléva は、先行詞 þelasnéla が軽性であることから軽性の語尾をとる。この用法は「名布=その人の息を守るもの」という含みを明示する。selván は selv-án の形。

    un aurselvándoi ésa selvá gléin.

    読み:ウン アウルセルヴァンドイ エーサ セルヴァー グレーン。

    unaurselvánd-oiés-aselvágléin
    内に息の通路-<与格>いる-<(軽いものが)>息<主格>清い

    「息の通路の中で、息は清い。」

    儀礼・詩の場面。aurselvándo を「息の通路」として、息が清まる場所を示す比喩用法。述語の形容詞の文に場所を添えるとき、un+与格は動詞の前に出す(統語論3.2、例文48)。動詞の後ろに置くと存在文として読まれる。主語 selvá は軽性なので copula は -a をとる。

    kréuna nóra, salóur áura selvá

    読み:クレウナ ノーラ、サロール アウラ セルヴァー

    kréun-anóra,salóuráur-aselvá
    更ける-<(軽いものが)>夜<主格>しかし昇る-<(軽いものが)>息<主格>

    「夜は更ける。しかし、息は昇る。」

    詩文・儀礼語のような対句。逆接の salóur は第二節頭に立つ。夜 nóra も息 selvá も軽性の主語として扱われ、動詞はいずれも軽性の3人称単数語尾 -a をとる。夜の「更ける」と息の「昇る」を上下の対として並べる型である。

  2. 言葉・名の息

    口に出された言葉や名前を、息の形のものとしてとらえた言い方。

    ésa þelá selvá éndres.

    読み:エーサ セラー セルヴァー エンドレス。

    és-aþeláselváéndr-es.
    いる-<(軽いものが)>名前<主格>息<主格>人-<属格>

    「名前は、その人の息そのものである。」

    書物や師の教えに出てくる格言ふうの文。名前は息の形だと考えられているので、目上の人の名、死後一年の名、霧の中の名を口にしない禁忌の理由として引かれる。書くことは息を使わないので、禁忌に当たらない。

    toríro nébro, mé vír þelán! ésa þelá selvá, fíndo dálor.

    読み:トリーロ ネーブロ、メー ヴィール セラーン!エーサ セラー セルヴァー、フィンド ダーロル。

    tor-ír-onébro,mévírþel-án!és-aþeláselvá,fínd-odálor.
    来る-<もし〜なら>-<(重いものが)>霧<主格><禁止・願いの打ち消し>言う<命令法><あなたが>名前-<対格>いる-<(軽いものが)>名前<主格>息<主格>聞く-<(重いものが)>下の国<主格>

    「霧が来たら名を呼ぶな。名は息だ、下の国が聞きつける。」

    霧期の禁忌を子どもに教える言い方。口に出した名前を selvá「息」としてとらえている。条件の節は動詞を仮定法にするだけで作る。dálor は重性なので、動詞 fínd- は重性の -o をとる。

  3. 魂

    死ぬと上へ昇っていく軽い息としての魂。

    aurénde selvá éles.

    読み:アウレンデ セルヴァー エーレス。

    aur-énd-eselváél-es.
    昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>魂<主格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「その魂が昇りますように。」

    火葬で煙が昇るのを見送るときの祈り。願望法の3人称単数・軽性は -énde で終わる。挨拶の aurénde selvá!「ごきげんよう」も同じ形で、もとは相手の息(魂)が昇ることを願う言葉である。

    lúin brúuma éndra es orénos, dúlau gromó si selvá.

    読み:ルーイン ブルーマ エンドラ エス オレーノス、ドゥーラウ グロモー シ セルヴァー。

    lúinbrúum-aéndraesorén-os,dúl-augromósiselvá.
    とき落ちる-<(軽いものが)>人<主格>から縁-<属格>下る-<双数>体<主格>と魂<主格>

    「人が縁から落ちると、体も魂もともに下へ引かれていく。」

    崖から落ちて死ぬことが恐れられる理由を述べる、教えの文。単数の名詞を si で二つ並べたので、動詞は双数の dúlau になり、性を区別しない。重い体と軽い魂がそろって下るのは、高原の考えではいちばん不吉なことである。

解説

口や鼻から出入りする息。高原の信仰では、息は軽く上へ昇るもので、言葉も名前も息の形をしたものとされる。そのため「その人の言葉」「その人の名」の意味にも通じ、魂ともほとんど重なる。挨拶の aurénde selvá!「あなたの息が昇りますように」に使われる。

文法

軽性・a語幹(語尾に強勢)。対 selván、属 selvés、与 selvéi、双 selváu、複 selvái。

語源

「おっしゃる」の補充形 selvén-、人名 sélvan と同じ源。

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