torár

品詞
名詞
意味
客
発音
[toˈrar]
読み
トラール
分野
人・親族

意味

  1. 客

    家や館に招かれた、または訪ねてきた人。

    méirim torárei nímbo te níla endríña.

    読み:メーリン トラーレイ ニンボ テ ニーラ エンドリーニャ。

    méir-imtorár-einímboteníl-aendríña.
    与える-<私が>客-<与格>乳<対格><関係節>飲む-<(軽いものが)>子ども<主格>

    「子どもが飲む乳を、私は客に出す。」

    関係節のついた名詞句は節のいちばん最後に置くので、与格の torárei が目的語より前に出る。

    níla torár ílmo gléin.

    読み:ニーラ トラール イルモ グレーン。

    níl-atorárílmogléin.
    飲む-<(軽いものが)>客<主格>水<対格>清い

    「客は清い水を飲む。」

    VSO の基本の文。ílmo は重性o語幹で主格と対格が同じ形なので、形容詞も重性・対格の形(語尾なし)になる。客に清い水を出すのは、もてなしの場面でよく使う言い方。

    na néulimor torárais grómais.

    読み:ナ ネウリモル トラーライス グローマイス。

    nanéul-imortorár-aisgróm-ais.
    <〜ない>好む-<我々が>客-<〜たちを>粗野な-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格>

    「我々は粗野な客を好まない。」

    直説法の否定なので、na を動詞の直前に置く。形容詞は語根に強勢を残したまま、軽性・複数・対格の -ais で名詞に一致する。

    duméirim sáko snír autorárei.

    読み:ドゥメーリン サーコ スニール アウトラーレイ。

    du-méir-imsákosnírau-torár-ei.
    <〜させていただく>-与える-<私が>塩<対格>わずかな<お〜になる・御〜>-客-<与格>

    「お客様に、わずかばかりの塩を差し上げます。」

    客をもてなすとき、小皿の塩を出しながら言う決まった言い方。謙譲の du- は m- の前でそのままの形になる。sáko は干潟から借りた重性名詞なので、対格は主格と同じ形で、形容詞 snír にも語尾がつかない。最高の礼である塩をわざと「わずかな」と言うのは、差し出す物を控えめに言う謙遜である。

    auelénde torár an hóum.

    読み:アウエレンデ トラール アン ホーン。

    au-el-énd-etoráranhóum.
    <お〜になる・御〜>-座る-<〜しますように>-<(軽いものが)>客<主格>上手炉<対格>

    「お客人には、炉の上手へお座りいただきたく存じます。」

    家の主が客を上座へ招く、改まった言い方。炉の北側(上手)が一段高い上座なので、an+対格の an hóum「炉の上手へ」で上座を指す。hóum は重性なので、対格も主格と同じ形になる。尊敬の接頭辞 au- が h で始まる語根につくと、h が落ちる(au-hél- → auél-)。目上の客には2人称を使わず、願望法の3人称で頼む。

    dulíþes nóumo némes un torárail.

    読み:ドゥリーセス ノーモ ネーメス ウン トラーライル。

    dul-íþ-esnóumoném-esuntorár-ail.
    下る-<〜させる>-<あなたが>体面<対格><私>-<属格>内に客-<〜らに>

    「お前は客たちの前で、私の顔をつぶした。」

    相手をとがめる言い方。慣用句 nóumo dúlo の動詞を使役の dulíþ-「下ろす」に変えて、「人の面目を失わせる」の意味にしている。2人称の直説法を使っているので、下向きか、同じ段の相手への言い方になる。

    lúin méira muró torárei, mé krailésa drál.

    読み:ルーイン メーラ ムロー トラーレイ、メー クライレーサ ドラール。

    lúinméir-amurótorár-ei,mékrail-és-adrál.
    とき与える-<(軽いものが)>濁り酒<対格>客-<与格><禁止・願いの打ち消し>持つ-<〜すべし>-<(軽いものが)>器の首<対格>

    「客に濁り酒を注ぐときは、器の首をつかまぬこと。」

    もてなしの作法を述べた文。lúin の節は主節の前に置く。主節は当為法を mé で否定した禁止の形。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、lúin の節の動詞も主節の動詞も軽性の形をとる。

    méira houmár sáko torárei.

    読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。

    méir-ahoumársákotorár-ei.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>塩<対格>客-<与格>

    「家の主は客に塩を出す。」

    もてなしの作法を述べる文。小さな皿に塩をひとつまみ載せて出すのが、客への最高の礼とされる。語順は動詞–主語–目的語–与格。sáko「塩」は干潟から借りた語で重性なので、主格と対格が同じ形。

    ké tórau dáu torárau dórel? tórau.

    読み:ケー トーラウ ダウ トラーラウ ドーレル?トーラウ。

    kétór-audáutorár-audórel?tór-au.
    <〜か>来る-<双数>二客-<双数>明日来る-<双数>

    「「明日はお客が二人来るのか?」「来る。」」

    二人の発話。家の中での打ち合わせ。数詞 dáu「二」の後ろの名詞は双数になり、動詞も双数(人称・性の区別なし)。答えは問いの動詞を繰り返す。客が目上の人なら au- をつけた高め名詞にし、数えずに言う。

    nelisénde autorár nímbo só.

    読み:ネリセンデ アウトラール ニンボ ソー。

    nelis-énd-eau-torárnímbosó.
    お飲みになる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-客乳<対格>この<重性>

    「お客人には、この乳をお飲みいただきたく存じます。」

    もてなしの決まった言い方。客を高めて au- をつけ、願望法の3人称で勧める。nímbo「乳」は重性o語幹なので、指示詞は重性の só になる。くだけた場なら níl-「飲む」の命令法を使うが、改まった場では尊敬の補充形 nélis- を使う。

    méira houmár sáko torárei.

    読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。

    méir-ahoumársákotorár-ei.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>塩<対格>客-<与格>

    「家の主が客に塩を与える。」

    基本の語順「動詞–主語–目的語–与格」。受け手は与格で言う。sáko「塩」は干潟から借りた重性名詞で、対格は主格と同じ形。客に小皿で塩をひとつまみ出すのは、もてなしの最高の礼とされる。

    méira houmár sáko torárei.

    読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。

    méir-ahoumársákotorár-ei.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>もてなしの塩<対格>客-<与格>

    「家の主は客に塩を出して、手厚くもてなす。」

    「塩を出す(与える)」は、小皿にひとつまみの塩を載せて出す最高の礼を言う慣用句で、手厚い歓迎そのものを指す。受け手の客は与格 torárei で、目的語の後ろに置く。

    méirim kailó si sáko torárei.

    読み:メーリン カイロー シ サーコ トラーレイ。

    méir-imkailósisákotorár-ei.
    与える-<私が>乾酪<対格>と塩<対格>客-<与格>

    「客に乾酪と塩をさしあげる。」

    もてなしの言い方。語順は「動詞–目的語–受け手の与格」。kailó も sáko も重性なので、対格は主格と同じ形になる。客に塩をひとつまみ添えて出すのは、最高の礼とされる。

    nelisénde autorár kailó só.

    読み:ネリセンデ アウトラール カイロー ソー。

    nelis-énd-eau-torárkailósó.
    召し上がる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-客<主格>乾酪<対格>この<重性>

    「お客様に、この乾酪を召し上がっていただきたく存じます。」

    段の高い客への上向きの言い方。命令の代わりに願望法の3人称を使い、目の前の客を au- のついた3人称の主語として扱う。nélis- は「食べる」の尊敬の補充形で、強勢が -énd- に移る。kailó は重性なので、指示詞は重性の só になる。

    aldanénde autorár ánorei.

    読み:アルダネンデ アウトラール アーノレイ。

    aldan-énd-eau-toráránor-ei.
    おわす-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-客<主格>上座-<与格>

    「お客様には、どうぞ上座においでいただきたく存じます。」

    客を迎えるときの改まった勧め。目の前の相手を3人称の主語として扱い、願望法で言う。aldán- は「いる」の尊敬の補充形。強勢は願望法の -énd- に移る。場所は前置詞なしの与格で表す。

    tóra torár es dáloros lóuvanos.

    読み:トーラ トラール エス ダーロロス ローヴァノス。

    tór-atoráresdálor-oslóuvan-os.
    来る-<(軽いものが)>客<主格>から下の国-<属格>遠い-<重性・属格>

    「遠い下の国から客が来た。」

    日常の知らせ。es+属格で「〜から」を表す。形容詞 lóuvan は、名詞の後ろで dáloros(重性・単数・属格)に一致して lóuvanos になる。時制の語形がないので、「来た」とも「来る」とも訳せる。

    glóiren! duméirim sáko autorárei.

    読み:グロイレン!ドゥメーリン サーコ アウトラーレイ。

    glóiren!du-méir-imsákoau-torár-ei.
    ようこそ<〜させていただく>-与える-<私が>塩<対格><お〜になる・御〜>-客-<与格>

    「ようこそ。お客人に塩を差し上げます。」

    客に小皿の塩をひとつまみ出す、最高のもてなしのときの言い方。謙譲の du- をつけた動詞と、au- で高めた与格の「お客人に」を並べ、自分と相手の上下を文法の上でも示す。sáko「塩」は重性なので、対格も主格と同じ形になる。

    na mombrúumo unlóur brés toráres.

    読み:ナ モンブルーモ ウンロール ブレース トラーレス。

    namombrúum-ounlóurbréstorár-es.
    <〜ない>石落ちる-<(重いものが)>まだ胸<主格>客-<属格>

    「客の胸はまだすっとしない(心配が残り、ほっとしていない)。」

    長い懸念がまだ解けていないことを言う、くだけた観察・愚痴。否定のnaは動詞の前に置き、unlóur「まだ」は動詞の直後に置く。主語「客の胸」が重性なので動詞は3人称単数・重性の-oで受ける。

    un sélnarail, snénan torárai.

    読み:ウン セルナライル、スネーナン トラーライ。

    unsélnar-ail,snén-antorár-ai.
    内宿場-<〜らに>泊まる-<彼らが>客-<〜たちが>

    「宿場では客が泊まる。」

    意味2。宿場の複数与格un sélnarailを場面枠として動詞前に置く。toráraiは客の複数主格。

    sneníþa houmár toráran.

    読み:スネニーサ ホウマール トラーラン。

    snen-íþ-ahoumártorár-an
    泊まる-<〜させる>-<(軽いものが)>炉の主<主格>客-<対格>

    「炉の主人が客を泊める。」

    基本語順 VSO に従い、動詞を文頭に置く。使役形 snen-íþ- で「泊める」。客人 torár は軽性子音語幹なので対格 toráran。

    funelkráilim toráran

    読み:フネルクライリン トラーラン

    funelkráil-imtorár-an
    綱に持つ-<私が>客-<対格>

    「私は客を綱の荷として引き受ける。」

    引き受けを宣言する文。1人称の引き受け手は語尾 -im に現れる。torár-an は語基 torár と単数対格 -an の組み合わせなので、グロスは 客-ACC とする。人を目的語に取るため、単に荷を預かる意味ではなく、綱に掛かったものとして引き渡すまで責任を負う意味になる。縁の市では、この語で引き受けを述べたかどうかが争点になりうる。

    múna torár un munándo

    読み:ムーナ トラール ウン ムナンド

    mún-atorárunmunándo
    入る-<(軽いものが)>客<主格>中に土間<対格>

    「客が土間の中へ入る。」

    日常。「入る」mún- に方向句 un+対格を添える。munándo は重性o語幹で、単数対格が主格と同形。

    méirim krailílmo torárei.

    読み:メーリン クライリルモ トラーレイ。

    méir-imkrailílmotorár-ei
    与える-<私が>水袋<対格>客-<与格>

    「私は客に水袋を渡す。」

    通行中や作業の合間に人へ差し出す水として扱う場面。méir-「与える」は、与えられる物 krailílmo に対して対格、受け手 torár に対して与格をとる。重性の名詞の対格は主格と同形で、krailílmo のままになる。

    ké senkríla endríña es toráres?

    読み:ケー センクリーラ エンドリーニャ エス トラーレス?

    késenkríl-aendríñaestorár-es?
    <〜か>目を逸らす-<(軽いものが)>子ども<主格>から客-<属格>

    「その子は客から目を逸らすのか。」

    日常会話での yes/no 問い。`es` に属格を添え、視線を外す対象を「〜から」で示す。主語の `endríña` は人なので動詞は軽性の `senkríla` を取る。

    þéura orenvandár torárei.

    読み:セウラ オレンヴァンダール トラーレイ。

    þéur-aorenvandártorár-ei
    背を向ける-<(軽いものが)>縁商人<主格>客-<与格>

    「縁商人は客に背を向けた。」

    縁の市での売り断りの所作。申し出に背を向ける社会的な意味として自然な用法。対象は与格で示す。torár は語幹として扱い、与格語尾だけ -ei を分ける。

    tiuléra faronár torárei.

    読み:ティウレーラ ファロナール トラーレイ。

    tiulér-afaron-ártorár-ei.
    声を上げる-<(軽いものが)>荷-<〜する人>客-DAT.

    「運び人が客に声を届ける。」

    離れた相手へ、大きな声で注意や応答を届ける用法。宛先は与格に取る。声が届く距離での呼びかけを tiulér- で表すと、音量と遠達性が焦点になる。

    ésa aldár slóura torárei.

    読み:エーサ アルダール スローラ トラーレイ。

    és-aaldárslóuratorár-ei.
    いる-<(軽いものが)>座<主格>空欄<主格>客-<与格>

    「客用の座は、空欄になっている。」

    座席・役割の扱いが決まっていない状態。与格 torárei は受益者「客にとって」を表す。

    salóur, na és-a torár.

    読み:サロール、ナ エーサ トラール。

    salóur,naés-atorár.
    とはいえ<〜ない>いる-<(軽いものが)>客<主格>

    「とはいえ、お客様はいません。」

    相手の発言を受けて文頭に salóur を置き、留保・反論を切り出す用法。「とはいえ」を表す。torár は人を指す軽性なので存在動詞は és-a。na は直説法・推量法・仮定法を否定する小辞で、動詞の前に立つ。

    salóur, gloiréla torár.

    読み:サロール、グロイレーラ トラール。

    salóur,gloir-él-atorár.
    とはいえお越しになる-<〜だろう>-<(軽いものが)>客<主格>

    「とはいえ、お客様はおいでになるでしょう。」

    改まった場・上向きの話し方。salóur のあとの文を推量法と敬語の補充形 glóir-「お越しになる」で和らげる用法。「とはいえ」を表す。torár は人を指す軽性なので、3人称単数・軽性の語尾 -a をとる。glóir- は「来る」の尊敬の補充形。

    ésa torár sé ormároi aldáres áurenes.

    読み:エーサ トラール セー オルマーロイ アルダーレス アウレネス。

    és-atorárséormár-oialdár-esáur-en-es.
    いる-<(軽いものが)>客<主格>この<軽性>左-<与格>座-<属格>昇る-<〜した・〜された>-<属格・軽性>

    「この客は高き座の左側にいる。」

    儀礼・書物での位置記述。人を指す名詞 torár には軽性の動詞形が対応する。左側を ormároi で示し、その持ち主を属格句 aldáres áurenes「高き座の」で後に受ける。左は尊い側とされる。

    mé þulaurésa torárei

    読み:メー スラウレーサ トラーレイ

    méþulaur-és-atorár-ei
    <禁止・願いの打ち消し>得意がる-<〜すべし>-<(軽いものが)>客-<与格>

    「客に対して偉そうにしてはならない。」

    作法書のような無主語の当為法。人は軽性なので -és-a。mé と組んで規範的な禁止を表す。torárei は態度の向かう先。当為接尾辞が強勢を取り、語幹の元の強勢は消える。

    na éso prámbo torárei sé.

    読み:ナ エーソ プランボ トラーレイ セー。

    naés-oprámbotorár-eisé
    <〜ない>いる-<(重いものが)>値打ち<主格>客-<与格>この<軽性>

    「この客には値打ちがない。」

    torár の与格 torárei に指示詞 sé を添える。torár は軽性。人をこの形にすると「この人は値打ちがない」という当てこすりになる。

    ké ésa torár sé þelvéun?

    読み:ケー エーサ トラール セー セルヴェウン?

    kéés-atorárséþelvéun?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>客<主格>この<軽性>名知らぬ

    「この客は、名知らぬ方でしょうか。」

    日常で、客がまだ名を告げていないことを、名なしと断じずに確認する言い方。torár は軽性単数なので動詞は és-a。指示詞 sé が名詞の直後に置かれ、その後の þelvéun は修飾語ではなく述語として読む。ké を使うのは同等・目下への問いで、客そのものではなく、同伴者や主人へ向けた確認とする。

    gánimor tambór torárei.

    読み:ガーニモル タンボール トラーレイ。

    gán-imortambórtorár-ei.
    贈る-<我々が>雑穀<対格>客-<与格>

    「我らは客に雑穀を贈る。」

    客をもてなす場面での人情としての贈与を表す文。1人称複数で、家や炉ぐるみでの行為を示す。市での取引や値の約束ではなく、好意として渡すことを含みを持つ。

    lúin gloiréla torár, gánimor sáko torárei.

    読み:ルーイン グロイレーラ トラール、ガーニモル サーコ トラーレイ。

    lúingloir-él-atorár,gán-imorsákotorár-ei.
    ときお越しになる-<〜だろう>-<(軽いものが)>客<主格>贈る-<我々が>塩<対格>客-<与格>

    「客がおいでになると、我らは客に塩を贈る。」

    作法や習わしを記すような文。時節の出来事を表す文では、lúin の後ろに動詞を続ける。客の来訪を glóir- で言い、主節では人情として塩を渡す。取引語ではなく、客への礼としての贈与を示す。

    houméran endríñai si torárai ó

    読み:ホウメーラン エンドリーニャイ シ トラーライ オー

    houmér-anendríñ-aisitorár-aió
    囲む-<彼らが>子ども-<〜たちが>と客-<〜たちが><3人称単数・重性・対格>

    「子どもたちと客たちは、炉を囲んで炉ばたに集う。」

    本来は目的語 hóum「炉」を伴う他動詞用法。目的語を省略しないため、3人称重性の対格 ó を残す。

    kréva ólmar slóvo torárei.

    読み:クレーヴァ オルマル スローヴォ トラーレイ。

    krév-aólmarslóvotorár-ei
    預かる-<(軽いものが)>年長者<主格>取り置き分<対格>客-<与格>

    「年長者が客の取り置き分を預かっておく。」

    まだ来ていない者や予定者のために、先に一人分を確保しておく意味。動詞 krév- は「預かる・責任を持つ」。与格 torárei は受益者を示し、slóvo は重性単数の対格形。

    dórel, éso unlóur slóvo torárei.

    読み:ドーレル、エーソ ウンロール スローヴォ トラーレイ。

    dórel,és-ounlóurslóvotorár-ei
    明日存在-<(重いものが)>まだ取り置き分<主格>客-<与格>

    「明日の分も、客の取り置き分がまだある。」

    予定者分を示す文。場面の枠として dórel を前に置き、主節では unlóur が動詞の直後に残置を添える。éso は és-o、slóvo は重性単数の主格。

    ésa seiraldár toráres véun.

    読み:エーサ セイラルダール トラーレス ヴェウン。

    és-aseiraldártorár-esvéun
    いる-<(軽いものが)>待席<主格>客-<属格>空の

    「客の待席が空いている。」

    家中の場の状況報告。存在・述語の文で、主語 seiraldár が軽性単数なので動詞は ésa。torár の属格 toráres が「誰の分の席か」を示す。形容詞 véun は属格より後ろにあるため、名詞句の外に出て述語と読む。

    ésa brím torárei.

    読み:エーサ ブリーン トラーレイ。

    és-abrímtorár-ei
    いる-<(軽いものが)>多弁<主格>客-<与格>

    「客は多弁だ。」

    brímを礼法上の評価として「多弁」を指す名詞に使う用法。toráreiは人の属性を表す与格で、存在文と組んで「客に多弁がある」ことを示す。brímは軽性の名詞として扱う。

    tína torár séndoi.

    読み:ティーナ トラール センドイ。

    tín-atorársénd-oi
    落ち着く-<(軽いものが)>客<主格>ここ-<与格>

    「客はここに落ち着く。」

    書物・地の文のような場面。人の身や心が、動揺・緊張・違和感を失ってその場に自然に立てるようになる意。tín- は慣れる対象を裸の与格で示す。séndo は副詞ではなく、sénd- の与格 séndoi を使う。

    foumtáula torár þúumo sórel

    読み:フォウンタウラ トラール スーモ ソーレル

    foumtául-atorárþúumosórel
    いただく-<(軽いものが)>客<主格>汁<対格>今日

    「客は今日、汁物をいただく。」

    客をもてなす場面、あるいは礼法書・記録のような改まった叙述での用例。 foumtául- は温かい汁物を含む流質食物の食事を指す婉曲表現である。 foumtáula は三人称単数軽性で、主語 torár が人なので軽性語尾をとり、目的語 þúumo の性は影響しない。 þúumo は重性の o 語幹で、目的語(対格)でも主格と同形になる。

    marméirim houmíño torárei

    読み:マルメーリン ホウミーニョ トラーレイ

    marméir-imhoumíñotorár-ei
    手で差し出す-<私が>椀<対格>客-<与格>

    「(私は)客に椀を差し出す。」

    marméir- は、まだ受取人が受け取っていない段階で用いる。受取人は与格で示す。houmíño は重性 o 語幹で、直接格には語尾がつかない。torár の与格は torárei。

    bála houmár aldáran torárei.

    読み:バーラ ホウマール アルダーラン トラーレイ。

    bál-ahoumáraldár-antorár-ei.
    空ける-<(軽いものが)>家の主<主格>座-<対格>客-<与格>

    「家の主が客のために座を空ける。」

    炉ばたの上座の作法。席を次の人、ここでは客に譲るため空ける。与格単数で利益者を示す。

    hoinkráila houmár toráran fándoi.

    読み:ホインクライラ ホウマール トラーラン ファンドイ。

    hoinkráil-ahoumártorár-anfánd-oi
    出迎える-<(軽いものが)>家の主<主格>客-<対格>戸口-<与格>

    「家の主は戸口で客を出迎える。」

    もてなしや礼法の記述。fándoi は迎え場の与格。torár は軽性子音語幹の客で、対格単数は toráran。主語 houmár は人なので軽性。

    séira toráran fándoi.

    読み:セーラ トラーラン ファンドイ。

    séir-atorár-anfánd-oi
    待つ-<(軽いものが)>客-<対格>戸口-<与格>

    「戸口で客を待つ。」

    迎え場としての用法。場所を示す fándoi は与格。toráran は目的語の対格で、目的語の枠を埋める。主語は動詞語尾から読み取れる3人称単数・軽性で、省略している。

    nóumaura torár selúin.

    読み:ノーマウラ トラール セルーイン。

    nóumaur-atorárselúin
    ほてる-<(軽いものが)>客<主格>今

    「客は、いま顔がほてっている。」

    torár「客」は人の軽性名詞なので、動詞は3人称単数・軽性語尾 -a をとる。selúin「今」は時間表現として述語節の後に来る。ここでは内面の照れよりも、顔の上気という外見描写として使う。

    lúin tóra torár, houmníla sélvan viráis.

    読み:ルーイン トーラ トラール、ホウンニーラ セルヴァン ヴィライス。

    lúintór-atorár,houmníl-asélvanvir-áis.
    とき来る-<(軽いものが)>客<主格>炉ばたの話を盛り上げる-<(軽いものが)>セルヴァン<主格>言葉-<〜たちを>

    「客が来ると、セルヴァンは炉ばたの話を盛り上げる。」

    lúin の従属節で、客の来訪という炉ばたの場面を置く。torár が加わることで、人との距離を縮める比喩用法が立つ。sélvan は軽性の名として動詞 -a を受ける。

    kréima ólmar loimán torárei.

    読み:クレーマ オルマル ロイマーン トラーレイ。

    kréim-aólmarloim-ántorár-ei.
    説明する-<(軽いものが)>年長者<主格>詞-<対格>客-<与格>

    「年長者は客に詞について説明する。」

    儀礼・法廷での用い方。唱えることそのものではなく、詞の内容や作法を言葉で説明する意味になる。受け手は与格。

  2. 来訪者・よそ者

    土地の外からやってきた人。旅人を含む。

    pá ésa torár té?

    読み:パー エーサ トラール テー?

    páés-atorárté?
    誰<主格>いる-<(軽いものが)>来訪者<主格>あの<軽性>

    「あのよそ者は誰だ。」

    見慣れない人を見かけたときの、くだけた問い。疑問詞 pá は動詞の前に出る。指示詞 té は名詞の後ろに置き、格では形が変わらない。torár はもとは「来る者」で、招かれた客にも、土地の外から来た旅人にも使う。

    þelésa torár þelán senárei.

    読み:セレーサ トラール セラーン セナーレイ。

    þel-és-atorárþel-ánsenár-ei.
    名乗る-<〜すべし>-<(軽いものが)>来訪者<主格>名前-<対格>目付-<与格>

    「来訪者は目付に名を名乗るべし。」

    市や崖道の決まりを書いた札や碑の文体。当為法で、主語の torár を明示している。þél-「名乗る」は名乗る名を対格でとり、名乗る相手を与格で言う。

解説

よそから訪ねてきた人、客。客を迎えるときは相手の段に合わせて座る段の高さを変え、塩をひとつまみ載せた小皿を出すのが最高の礼とされる。目上の客には尊敬形 auþorár ではなく glóir-「お越しになる」から作った言い方を避け、ふつう aurtorár ではなく au- を規則どおりにつけた autorár「お客人」と言う。

文法

名詞(軽性・子音語幹、-ár に強勢)。対 toráran、複 torárai。尊敬形 autorár

語源

tór-「来る」+ -ár「〜する人」。「来る人」の意。名詞には敬語の補充形を使わない。

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