小説
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橋
川や谷に架けて渡るための、石と硬木でできた構築物。長川の降ろし場の橋や、丸太道の枝道の橋がその代表である。
glǘno traumbél
読み:グリューノ トラウンベール
| glǘn-o | traumbél |
| 凍る-<(重いものが)> | 橋<主格> |
「橋が凍る。」
glǘn- が「凍る」の自動詞である。主語の traumbél が重性なので、動詞は3人称単数重性の語尾 -o をとる。時制標示はない。
préndim traumbél só
読み:プレンディン トラウンベール ソー
| prénd-im | traumbél | só |
| 渡る-<私が> | 橋<対格> | この<重性> |
「私はこの橋を渡る。」
traumbél は重性子音語幹で、対格が主格と同形なので traumbél só のまま目的語になる。指示詞 só は重性の名詞句に一致している。
(二つの流れをつなぐ)縁組み
系譜の言葉で、婚姻によって二つの家系が結ばれること、またその結びつき。系譜読みが縁談の席で使う改まった言い方。
lísa lourvirár traumbél lourliséi
読み:リーサ ロウルヴィラール トラウンベール ロウルリセー
| lís-a | lourvirár | traumbél | lourlis-éi |
| 書く-<(軽いものが)> | 系譜読み<主格> | 縁組み<対格> | 系譜巻-<与格> |
「系譜読みは、縁組みを系譜の巻に書く。」
書物の文。traumbél は婚姻による結びつきを表す。lourliséi は lourlisá の与格で、「系譜の巻に」の意味である。
川や谷の上に架けて、人や荷が向こう岸へ渡るための構築物。高原の橋は、灰色の硬い石で橋台を組み、その上に硬木の梁と板を渡して造るのがふつうである。とくに、長川に架かる二つの大きな橋(縁の大滝のすぐ上の降ろし場の橋と、森の帯で丸太道の枝道を渡す橋)を指すことが多い。森の帯の長川は深い峡谷を刻んで流れ、浅瀬も舟着き場もないので、橋は向こう岸へ渡るほとんど唯一の手立てであり、道の司や森の司が管理する。 文法上は重性である。石と硬木という重いものでできていて、水の上に低く横たわり、昇りも下りもせずに岸と岸をつなぐものとされる。硬木を柱や梁に使うのは、硬木が「下へ行きたがる木」で、水の上に身を置く務めにふさわしいと考えられているからである。一方で、橋の上から川へ物を投げ落とすのは、崖から物を落とすのと同じく、物を下の国へ送る行いとして嫌われる。 凍りの頃には、硬木の板に霜が降り、しぶきが凍りついて滑りやすくなる。橋が凍ることは、氷が張ること(glünó)と同じく、凍る(glǘn-)の主語で言う(glǘno traumbél「橋が凍る」)。橋のたもと(橋詰め)は、道の司が荷と人を検める場所でもある。 系譜の言葉では、婚姻によって二つの流れ(家系)がつながることを「流れに橋を架ける」と言い、この語が両家の結びつきや、その取り持ちを指すこともある。日本語話者には「トラウンベール」と聞こえ、語中の m が「ン」に聞こえるので、綴り〈traumbela〉と結びつけにくい。
重性・子音語幹(③型)。主格と対格は同じ形 traumbél。属格 traumbélos、与格 traumbéloi、双数 traumbélou、複数主格・対格 traumbélul、複数属格 traumbélur、複数与格 traumbéluls。綴りは古い形を残して〈traumbela〉と書く。
古高原語 *traumbéla から。*tráum-「水や氷の上を渡る」(tráumo「渡り氷」と同じ根)に、単独では残っていない古い語 *-béla「横木・梁」がついた複合語と考えられる。強勢のある音節の直後で l に続く語末の短い -a が古い脱落で落ちて、traumbél になった(*gandéra → gandér と同じ)。主格・対格以外の格には *-o- が入っていたので、-a は復元されなかった。
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