小説
左の目次から話を選んでください。
渡り氷
荷車も渡れる厚い湖の氷。
ké éso glünó véinoros tráumo?
読み:ケー エーソ グリュノー ヴェーノロス トラウモ?
| ké | és-o | glünó | véinor-os | tráumo? |
| <〜か> | いる-<(重いものが)> | 氷<主格> | 湖-<属格> | 渡り氷 |
「湖の氷は、もう荷車が渡れるほどか。」
凍りの頃に、湖畔の村でよく交わされる問い。はい・いいえで答える問いは、文頭の ké で作る。tráumo は述語の名詞。答えは動詞を繰り返し、「はい」は éso、「いいえ」は na éso と言う。
ráuman faronárai tráumoi véinoros.
読み:ラウマン ファロナーライ トラウモイ ヴェーノロス。
| ráum-an | faronár-ai | tráum-oi | véinor-os. |
| 歩く-<彼らが> | 運び人-<〜たちが> | 渡り氷-<与格> | 湖-<属格> |
「「運び人たちが、湖の厚い氷の上を歩いて渡る。」」
湖が厚く凍ると、氷の上が道にも市にもなる。tráumo は道のりの対格。重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。
anórel, plóursa funelár tráumo.
読み:アノーレル、プロールサ フネラール トラウモ。
| anórel, | plóurs-a | funel-ár | tráumo |
| 昨日 | 見下ろす<〜し終えた>-<(軽いものが)> | 綱-<〜する人・主格> | 渡り氷<対格> |
「昨日、綱番は渡り氷を見下ろして確かめた。」
書物・年代的記述向きの文。anórel を場面の枠として動詞の前に置いている。plóur- は二重母音を含む語根なので、完了相では語根に -s- を添えた plóurs- になる。意味2として、渡り氷の安全確認が済んだ事実を記録する文である。
monpúla faronár tráumo só.
読み:モンプーラ ファロナール トラウモ ソー。
| monpúl-a | faronár | tráumo | só. |
| 軽く打つ-<(軽いものが)> | 運び人<主格> | 渡り氷<対格> | この<重性> |
「運び人がこの渡り氷を軽く叩いて確かめる。」
崖道や渡り氷の張りを確かめる際の手順を示す文。打って離し、音と手応えを聞く動作に使う。
un tráumoi slúnan drólmul
読み:ウン トラウモイ スルーナン ドロルムル
| un | tráum-oi | slún-an | drólm-ul |
| 内に | 渡り氷-<与格> | 滑る-<彼らが> | 趾-<〜たちが> |
「渡り氷の上では趾先が滑る。」
凍りの頃の道や渡り氷についての注意文。tráumo は渡り氷。drólmul は趾を個別または複数として数えた重性名詞の複数主格で、動詞 slún- は複数主語を受けて 3PL の -an をとる。un + 与格で「渡り氷の中で/渡り氷の上で」。
tráumoi, tróma faronár.
読み:トラウモイ、トローマ ファロナール。
| tráum-oi, | tróm-a | faronár. |
| 渡り氷-<与格> | 踏みしめて確かめる-<(軽いものが)> | 運び人<主格> |
「渡り氷では、運び人が踏みしめて確かめる。」
書き言葉。動詞の前に場所の tráumoi を場面の枠として置き、読点で区切ったあとに基本の VSO が来る。tróma は自動詞用法。渡り氷の上では足で強く踏みしめ、地面の状態を確かめる意になる。
ké trómes tráumo?
読み:ケー トローメス トラウモ?
| ké | tróm-es | tráumo? |
| <〜か> | 踏みしめて確かめる-<あなたが> | 渡り氷<対格> |
「お前は渡り氷を踏みしめて確かめているのか。」
凍りの頃の渡口で、運び人が互いに掛ける問い。踏みしめて確かめる動詞 tróm- は、踏む対象を対格でとる。渡り氷は重性o語幹で、単数対格は主格と同形の tráumo。ké を添えた直説法は、同じくらいか目下に向けるくだけた問いの形。
確かな足場
信頼できる立場や約束の比喩。glüníño と対にして言う。
ésa sáindar sé tráumo, na ésa glüníño.
読み:エーサ サインダル セー トラウモ、ナ エーサ グリュニーニョ。
| és-a | sáindar | sé | tráumo, | na | és-a | glüníño. |
| いる-<(軽いものが)> | 証文<主格> | この<軽性> | 確かな足場 | <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 危うい足場 |
「この証文は渡り氷だ、薄氷ではない。」
縁の市で、約束が確かなことを請け合う決まり文句。tráumo と glüníño を対にして言う。証文 sáindar は紙に書かれたものなので軽性で、繋辞は -a、指示詞は軽性の sé をとる。
ésa séulin némes tráumo.
読み:エーサ セウリン ネーメス トラウモ。
| és-a | séulin | ném-es | tráumo. |
| いる-<(軽いものが)> | 友<主格> | <私>-<属格> | 確かな足場 |
「私の友は、渡り氷のように頼れる男だ。」
人を「確かな足場」にたとえる、ほめ言葉。述語の名詞は重性だが、主語が人なので繋辞は軽性の -a になる。人を重性の一致で受けると侮辱になるので、ここで性を取り違えてはいけない。
荷車や毛山羊の群れが渡れるほど厚く張った湖の氷。乾風期後半のいちばん寒い時期にでき、この氷の上で漁や市が開かれる。氷読みの占いもこの氷の割れ目で行う。比喩として、確かな足場、頼りにできる約束を言う。
重性・o語幹(④型)。属 tráumos、複 tráumul。
古高原語の動詞 *tráu-「渡る」から作られた名詞とされる。動詞そのものは今の高原語には残っていない。
左の一覧から語を選ぶか、上の検索欄に日本語またはローマ字を入れてください。
左の目次から課を選んでください。
左の一覧から選んでください。
高原語で書かれた読み物です。左の一覧から選んでください。
左の目次から話を選んでください。
小説・世界設定・翻訳から見つけた「辞書にない語」の候補です(uv run conlang dict-grow 名前 で作られます)。登録する語を選んでください。同義語として複数選べます。