小説
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分かる
話や事柄の筋道を理解する。
lísin þíla endríña lisáis.
読み:リーシン シーラ エンドリーニャ リサイス。
| lís-in | þíl-a | endríña | lis-áis. |
| 書く-<〜して・〜く> | 分かる-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 字-<〜たちを> |
「その子は字が書ける。」
副動詞+þíl-「分かる」で、やり方を知っていて「できる」(能力)。
ké rímbin þíles?
読み:ケー リンビン シーレス?
| ké | rímb-in | þíl-es? |
| <〜か> | 数える-<〜して・〜く> | 分かる-<あなたが> |
「お前は数えられるのか。」
能力を尋ねる。2人称を使うので下向きの話し方。目上の人には使わない。
rímbin þílim, salóur na rímbin vúurim sórel.
読み:リンビン シーリン、サロール ナ リンビン ヴーリン ソーレル。
| rímb-in | þíl-im, | salóur | na | rímb-in | vúur-im | sórel. |
| 数える-<〜して・〜く> | 分かる-<私が> | しかし | <〜ない> | 数える-<〜して・〜く> | 届く-<私が> | 今日 |
「数え方は知っているが、今日は数えられない。」
能力の þíl- と、可能の vúur- を並べて使い分ける。
na þílim virán dáloros.
読み:ナ シーリン ヴィラーン ダーロロス。
| na | þíl-im | vir-án | dálor-os. |
| <〜ない> | 分かる-<私が> | 言葉-<対格> | 下の国-<属格> |
「下の国の言葉は分からん。」
都の人が干潟語について言う、くだけたひとこと。virán dáloros「下の国の言葉」は、「泥の言葉」ほどあからさまな蔑みではないが、距離を置いた言い方。属格は名詞の後ろに置く。
na þílim virán sé.
読み:ナ シーリン ヴィラーン セー。
| na | þíl-im | vir-án | sé. |
| <〜ない> | 分かる-<私が> | 言葉-<対格> | この<軽性> |
「この言葉がわからない。」
日常の言い切りの否定。na は直説法の動詞 þílim の直前に置く。主語は1人称単数の語尾 -im でわかるので、代名詞は言わない。指示詞 sé は名詞の後ろに置き、格では形が変わらない。
ké þíles virán némes?
読み:ケー シーレス ヴィラーン ネーメス?
| ké | þíl-es | vir-án | ném-es? |
| <〜か> | 分かる-<あなたが> | 言葉-<対格> | <私>-<属格> |
「私の言うことが分かるか。」
言葉が通じるかを確かめる、日常の問い。所有者は属格の代名詞 némes で表し、名詞の後ろに置く。
na þílim sáindaran sé.
読み:ナ シーリン サインダラン セー。
| na | þíl-im | sáindar-an | sé. |
| <〜ない> | 分かる-<私が> | 証文-<対格> | この<軽性> |
「この証文が分からない。」
書きものを読むときの言い方。くだけた話し方では、na þílim が縮んだ間投詞 naþíl「わからん」もよく使う。
ké þíles? naþíl.
読み:ケー シーレス?ナシール。
| ké | þíl-es? | naþíl. |
| <〜か> | 分かる-<あなたが> | わからん |
「「分かるか?」「わからん。」」
二人の発話。高原語には「いいえ」がないので、正式には動詞を繰り返して na þílim と答える。naþíl は否定の小辞 na と þíl-「分かる」の語幹がくっついて固まったくだけた言い方で、人称の語尾をつけない。森や崖道、市で使い、改まった場では使わない。
ké vóilin þíles sóndelan un þailviréi?
読み:ケー ヴォイリン シーレス ソンデラン ウン サイルヴィレー?
| ké | vóil-in | þíl-es | sóndel-an | un | þailvir-éi? |
| <〜か> | 読む-<〜して・〜く> | 分かる-<あなたが> | 書物-<対格> | 内に | 高原語(雅称)-<与格> |
「書物を高原語(雅称)で読めるか。」
学び舎で能力を尋ねる文。副動詞+þíl-「分かる」で、やり方を身につけていてできることを問う。ここでのþailviráは、都の改まった言葉としてだけでなく、高原語全体を雅に呼ぶ名として使う。
ké prambérin þíles dervó só?
読み:ケー プランベーリン シーレス デルヴォー ソー?
| ké | prambér-in | þíl-es | dervó | só? |
| <〜か> | 品定めする-<〜して・〜く> | 分かる-<あなたが> | 挽き石<対格> | この<重性> |
「この挽き石を品定めできるか。」
prambér-in þíl- は能力表現。主語の2人称は þíles の語尾で示す。対象の dervó só は重性単数の目的語。
了解した
完了形 þéilim などで、相手の言うことを受けとめたと答える応答の言い方。
ké þíles? þílim.
読み:ケー シーレス?シーリン。
| ké | þíl-es? | þíl-im. |
| <〜か> | 了解する-<あなたが> | 了解する-<私が> |
「「分かったか?」「承知した。」」
二人の発話。時制がないので、同じ形で「分かったか」とも「分かるか」とも言える。はい・いいえにあたる語がないので、問いの動詞を自分の人称に変えて繰り返す。目上の人には dómim「はっ」などを使う。
þílim, gélim du orén dórel.
読み:シーリン、ゲーリン ドゥ オレーン ドーレル。
| þíl-im, | gél-im | du | orén | dórel. |
| 了解する-<私が> | 行く-<私が> | 下手 | 縁<対格> | 明日 |
「了解した、明日縁へ下りていく。」
同じ段どうしの頼みに応じる言い方。時制がないので、明日のことも直説法 gélim で言える。gél- は方向をもたない「行く」だが、du で「下手へ」の向きを示す。
澄む
詩や古い言い方で、水が澄んで底まで見えるようになること。
lúin glǘno véinor, þílo ílmo véinoros.
読み:ルーイン グリューノ ヴェーノル、シーロ イルモ ヴェーノロス。
| lúin | glǘn-o | véinor, | þíl-o | ílmo | véinor-os. |
| とき | 凍る-<(重いものが)> | 湖<主格> | 澄む-<(重いものが)> | 水<主格> | 湖-<属格> |
「湖が凍るころ、湖の水は底まで澄む。」
湖畔で言われる古い言い方。lúin の節は主節の前に置く。「澄む」の意味では自動詞として使い、目的語をとらない。
þílo séimo, glóumo rúndo.
読み:シーロ セーモ、グローモ ルンド。
| þíl-o | séimo, | glóum-o | rúndo. |
| 澄む-<(重いものが)> | 静み水<主格> | 濁る-<(重いものが)> | 走り水<主格> |
「静み水は澄み、走り水は濁る。」
諺。落ち着いた心は澄み、急ぐ心は乱れる、という戒めとして引かれる。þíl- の「澄む」と対にして使う。
þílo þéul, áura selvá.
読み:シーロ セウル、アウラ セルヴァー。
| þíl-o | þéul, | áur-a | selvá. |
| 澄む-<(重いものが)> | 湧き水<主格> | 昇る-<(軽いものが)> | 息 |
「湧き水は澄み、息は昇る。」
詩の言い方。水は重性なので動詞は -o、息は軽性なので -a で受ける。重性と軽性の対を並べた句。
物事の筋道が見通せるようになる、理解することを表す。もとは「水が澄んで底まで見える」という意味の語で、高原では「分かる」を「澄む」になぞらえる。完了形 þéilim「分かった」は、相手の話を了解したことを示す応答として日常よく使われる(「はい」にあたる語がないので、この動詞の繰り返しで受け答えをする)。対になる「分からない・惑う」は glóum-「濁る」で言う。
完了語根 þéil-。理解の対象は対格、またはなくてもよい。尊敬 auþíl-、謙譲 duþíl-。
形容詞 þáil「澄んだ」と同じ語根の母音交替形。
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