小説
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村
湖盆の湖のほとりや段々畑のあいだにある、農民や漁師の小さな集落。
éso mérvo só ulvenkeréla.
読み:エーソ メルヴォ ソー ウルヴェンケレーラ。
| és-o | mérvo | só | ulvenkeréla |
| いる-<(重いものが)> | 村<主格> | この<重性> | 狼の谷の村<主格> |
「この村はウルヴェンケレーラです。」
固有名詞を述語名詞に取った系辞文。動詞 és- は主語 mérvo に一致して重性の形になる。述語名詞 ulvenkeréla は主格のまま置く。
ké éso mérvo só lárno?
読み:ケー エーソ メルヴォ ソー ラルノ?
| ké | és-o | mérvo | só | lárno? |
| <〜か> | いる-<(重いものが)> | 村<主格> | この<重性> | 湖畔<主格> |
「この村は湖畔の集落か。」
名詞述文による尋ね。lárno は水際そのものではなく、湖畔の低い土地・集落を指す用法。述語名詞は主語に一致せず、主格のまま置く。
houmkrúelo mérvo só.
読み:ホウンクルーエロ メルヴォ ソー。
| houmkrúel-o | mérvo | só |
| ざわめく-<(重いものが)> | 村<主格> | この<重性> |
「この村がざわめいている。」
単数の集団名詞 mérvo「村」を主語に取る用法。炉ばたや広場に集まった人々を、村という一つの単位として受ける。重性o語幹の単数主格 mérvo に対して、動詞は重性単数語尾 -o で一致する。指示詞 só は重性名詞句の後に置く。
houmkrúelo mérvo, duói houmkrúelo houmbrúndo.
読み:ホウンクルーエロ メルヴォ、ドゥオイ ホウンクルーエロ ホウンブルンド。
| houmkrúel-o | mérvo, | duói | houmkrúel-o | houmbrúndo |
| ざわつく-<(重いものが)> | 村<主格> | それから | ざわつく-<(重いものが)> | 寄り合い<主格> |
「村がざわつき、それから寄り合いがざわつく。」
duói「それから」で出来事の順序を示し、ざわつきが村から寄り合いへと及んでいく感覚を出す。書き言葉や年代記風に、同じ動詞を繰り返して広がりや厚みを表すことができる。節は主節として duói の前に区切りの読点を打つ。
houmkrúelau mérvo si houmbrúndo.
読み:ホウンクルーエラウ メルヴォ シ ホウンブルンド。
| houmkrúel-au | mérvo | si | houmbrúndo |
| ざわつく-<双数> | 村<主格> | と | 寄り合い<主格> |
「村も寄り合いもざわついている。」
単数名詞 mérvo と houmbrúndo を si で結ぶと、動詞は双数語尾 -au をとる。二つの単数集団に同時にざわめきが及んでいる状態を表す。双数の動詞は人称・性を区別しないので、重性語幹同士でもこの形が使える。
村の人々
村に住む炉の人々をひとまとめにして言う言い方。動詞は重性の形で受けるが、人を指しているので、軽性で受ける話し手もいる。
sáilo mérvo só.
読み:サイロ メルヴォ ソー。
| sáil-o | mérvo | só. |
| 喜ぶ-<(重いものが)> | 村の人々<主格> | この<重性> |
「この村の人々は喜んでいる。」
mérvo は村そのものではなく、村の住人をひとまとまりの集合として指す用法。動詞は文法上は重性の単数で受けるが、住人が人であることを強く意識する話者は軽性の形を使うこともある。指示詞 só は grammatical に重性名詞句を閉じる。
lóimo mérvo lourlisán.
読み:ロイモ メルヴォ ロウルリサーン。
| lóim-o | mérvo | lourlis-án. |
| 唱える-<(重いものが)> | 村の人々<主格> | 系譜の巻-ACC. |
「村の人々は系譜の巻を唱える。」
系譜や儀礼を記す文脈でも、mérvo は村の住人全体を指す語として使える。動詞は grammatical に重性の単数で受ける。語順は動詞—主語—目的語。
田舎(の)
おもに属格 mérvos の形で、都から見た「田舎の・田舎くさい」という見下した意味。改まった場で人に向けて使うと無礼になる。
fíndim virán mérvos.
読み:フィンディン ヴィラーン メルヴォス。
| fínd-im | vir-án | mérv-os. |
| 聞く-<私が> | 言葉-<対格> | 田舎-<属格> |
「私は田舎の言葉が聞こえる。」
名詞に後置された属格 mérvos は「田舎の」。日常では単に都の外、とくに湖盆の村由来であることを示すだけだが、改まった場で人やその言葉・持ち物に対して使うと、田舎くさいという見下した含みを持つ。
湖盆の湖のまわりにある、段々畑の農民や湖の漁師が住む村を指す、ふつうの語。いくつかの炉(世帯)が石垣の段々畑や岸辺に寄り集まった集落で、町(市の立つ所)より小さい。土地と石垣に結びついた語なので重性で、霧 nébro と同じ重性o語幹の変化をする(mérvo/属 mérvos/与 mérvoi/複 mérvul)。属格 mérvos は「村の」で、éndra mérvos「村の人」、さらに名詞を添えずに mérvos だけで「村の者」と言うことが多い。都の人の口では mérvos が「田舎の・田舎くさい」という見下した含みを帯び、村の人自身は「どこそこの村の」と村の名を添えて言うのをよしとする。森の帯の谷あいの集落は、ふつう谷 kerél の名で呼び(kerél dráunes など)、mérvo とはあまり言わない。縁の肩の町や崖道の町も mérvo とは呼ばない。そのため mérvo には、湖と畑のある「湖盆の村」の手ざわりがある。税と兵役のために数えるのは村ではなく炉 hóum なので、村の大きさも「炉がいくつの村」と言う。
名詞(重性・o語幹)。単 主対 mérvo/属 mérvos/与 mérvoi、双 主対 mérvou/属与 mérvoun、複 主対 mérvul/属 mérvur/与 mérvuls。例文の区切りでは主格・対格は語全体を書き、ほかの格は mérv-os のように切る。
古高原語 *mérva「石を積んだ段(の岸)」にさかのぼるとされる。もとは湖岸から斜面へ積み上げた段々畑の石垣を指し、そこから、石垣に沿って並ぶ炉の集まり、つまり村を指すようになった。土地と石の語なので重性に入り、古い性の接辞 *-o- が語幹の末尾に残って o語幹になった(*mérv-o)。
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