小説
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何か
特定しないものを指す。
mé þraunésa póin es orénos.
読み:メー スラウネーサ ポイン エス オレーノス。
| mé | þraun-és-a | póin | es | orén-os. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 投げる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 何か<対格> | から | 崖の際-<属格> |
「崖の際から何も投げ落とさぬこと。」
碑文や法の文体。当為法は mé で否定する。主語を言わないので一般の人が主語になり、軽性の形をとる。強勢は当為法の -és- に移る(þraunésa)。崖から物を投げ落とすのは、下の国を呼び寄せる行いとして禁じられている。
mé þraunésa póin es orénos.
読み:メー スラウネーサ ポイン エス オレーノス。
| mé | þraun-és-a | póin | es | orén-os. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 投げる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 何か<対格> | 〜から | 縁-<属格> |
「縁から物を投げ落とさぬこと。」
碑文に刻まれる型の禁止の文。当為法の -és- が強勢をとるので、語根 þráun- の強勢は消える。崖の縁から物を投げ落とすことは、決められた降ろし場の作法の外では禁忌とされる。
ké éso póin tásei?
読み:ケー エーソ ポイン ターセイ?
| ké | és-o | póin | tás-ei? |
| <〜か> | いる-<(重いものが)> | 何か<主格> | <あなた>-<与格> |
「何か持っているか。」
所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持たれている物 póin(重性)に一致するので éso になる。2人称 tás を使っているので、下向きか、ごく親しい相手への問い。
ké fíndes póin?
読み:ケー フィンデス ポイン?
| ké | fínd-es | póin? |
| <〜か> | 聞く-<あなたが> | 何か<対格> |
「何か聞こえるか?」
霧期の夜、不安になって連れに尋ねる言い方。はい・いいえで答える問いなので、文のいちばん前に ké を置く。póin は重性なので、主格と対格が同じ形になる。霧の中では名前を呼ばないので、正体のわからないものは póin や指示詞で指すことが多い。
mé þraunésa póin es orénos.
読み:メー スラウネーサ ポイン エス オレーノス。
| mé | þraun-és-a | póin | es | orén-os. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 投げ捨てる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 何か<対格> | から | 縁-<属格> |
「縁から何ものも投げ捨てぬこと。」
碑文や決まりごとの文体。当為法 -és- で「〜すべし」、mé で否定して禁止になる。主語を言わないので一般の人が主語になり、軽性の形をとる。崖から物を投げ落とすのは禁忌なので、崖について þráun- を使うと、この「投げ捨てる」の意味になる。
lúin ésa sílar dréum, na sénim póin.
読み:ルーイン エーサ シーラル ドレウン、ナ セーニン ポイン。
| lúin | és-a | sílar | dréum, | na | sén-im | póin. |
| とき | いる-<(軽いものが)> | 月<主格> | 暗い | <〜ない> | 見る-<私が> | 何か |
「月が暗いときは、何も見えない。」
光がなくて暗いことを言う文。月は軽性なので、繋辞は -a をとり、形容詞は語尾なしで一致する。否定の小辞 na は動詞の直前に置く。
ké éso só fírna? na éso. na éso só póin sal árnelei.
読み:ケー エーソ ソー フィルナ?ナ エーソ。ナ エーソ ソー ポイン サル アルネレイ。
| ké | és-o | só | fírna? | na | és-o. | na | és-o | só | póin | sal | árnel-ei. |
| <〜か> | いる-<(重いものが)> | この<重性> | 筆 | <〜ない> | いる-<(重いものが)> | <〜ない> | いる-<(重いものが)> | この<重性> | 何か | 外 | 木-<与格> |
「「これはペン(書く道具)ですか?」 「いいえ。これはただの木の棒です」」
直訳は「これは筆か?」「(筆では)ない。これは木の外の何ものでもない」。辞書の語だけで訳せたので、仮置きの語はありません。既存の用例と照らし合わせましたが、食い違いは見つからなかったので、元の訳のまま返します。 1. 「ペン」:辞書の fírna(筆)を使いました。「書く道具」の意味にちょうど合います。 2. 「これ」:指示詞 só を単独で「これ」として使いました(定型句 póso「これは何だ」と同じ使い方)。重性の só にしたのは、指している物が伐った木の切れ端だからです。伐った木は荷札と同じく重性で受けます(既存の sén gandér só と同じ)。繋辞も só に合わせて重性の éso にしました。述語の fírna は軽性の名詞ですが、述語の名詞は自分の性・主格のまま置くので、形は変えていません(既存の na éso nébro fléura と同じ組み立て)。 3. 問いの形:目上かどうか分からない相手へのふつうの問いとして、文頭に ké を置きました(既存の ké éso fóndar só gléin? と同じ形)。目上の人に聞くなら、ké を使わず推量法で尋ねます。 4. 「いいえ」:高原語には「はい」「いいえ」にあたる語がありません。そこで問いの動詞を繰り返して na をつけ、na éso としました。動詞は物に一致しているので、人称は変わりません(既存の「na éso tambór némei」と同じ)。 5. 「ただの木の棒」は言い換えました。「棒」にあたる語はないので、árnel(木・材木)で「木切れ」の意味にしました。「ただの」にあたる語もないので、na … póin sal árnelei「木の外の何ものでもない」と否定で言い換えました。前置詞 sal(〜の外に)がとる格は決まっていません。ほかの前置詞が「その場にあること」を与格で言うのにならって、与格にしました。 6. 性の決め方:árnel は生えている木と同じ軽性の子音語幹とみて、与格を -ei にしました。名詞の形は伐っても軽性のままで、一致だけが重性になります。póin(何か)は疑問詞 pó にならって重性とし、主語 só と同じく、繋辞は重性の éso にしました。
mé kún póin ói!
読み:メー クーン ポイン オイ!
| mé | kún | póin | ói! |
| <禁止・願いの打ち消し> | する<命令法><あなたが> | 何か | <3人称単数・重性・与格>! |
「それに手を出すな。」
禁止は mé+命令法。ó-i ではなく、与格代名詞 ói を語として用いる。
何も(〜ない)
否定の na と組んで、全否定を表す。
na mánim póin anórel.
読み:ナ マーニン ポイン アノーレル。
| na | mán-im | póin | anórel. |
| <〜ない> | 食べる-<私が> | 何も<対格> | 昨日 |
「昨日は何も食べていない。」
日常会話の文。mán-「食べる」を na で否定し、póin と組み合わせて「何も〜ない」と言う。時制がないので、anórel「昨日」で過去のことだとわかる。
na lísa lisár póin sáindarei sórel.
読み:ナ リーサ リサール ポイン サインダレイ ソーレル。
| na | lís-a | lis-ár | póin | sáindar-ei | sórel. |
| <〜ない> | 書く-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 何も<対格> | 証文-<与格> | 今日 |
「書記は今日、証文に何も書かなかった。」
取引のなかった日の帳場の様子を言う文。語順は動詞–主語–目的語–与格–時で、na は動詞の直前に置く。sórel「今日」のような時の語は文の後ろに回す。
不特定のものを指す不定代名詞。否定の na と組むと「何も〜ない」になる。物は重性で受けるのがふつうなので重性の形をとる。
重性。主・対 póin、属 póinos、与 póinoi。
疑問代名詞 pó「何」+数詞 ín「一」。
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