小説
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数える
物の数を一つずつ数える。
ké rímbin þíles?
読み:ケー リンビン シーレス?
| ké | rímb-in | þíl-es? |
| <〜か> | 数える-<〜して・〜く> | 分かる-<あなたが> |
「お前は数えられるのか。」
能力を尋ねる。2人称を使うので下向きの話し方。目上の人には使わない。
rímbin þílim, salóur na rímbin vúurim sórel.
読み:リンビン シーリン、サロール ナ リンビン ヴーリン ソーレル。
| rímb-in | þíl-im, | salóur | na | rímb-in | vúur-im | sórel. |
| 数える-<〜して・〜く> | 分かる-<私が> | しかし | <〜ない> | 数える-<〜して・〜く> | 届く-<私が> | 今日 |
「数え方は知っているが、今日は数えられない。」
能力の þíl- と、可能の vúur- を並べて使い分ける。
ké rímbes slúun sáindarar?
読み:ケー リンベス スルーン サインダラル?
| ké | rímb-es | slúun | sáindar-ar? |
| <〜か> | 数える-<あなたが> | 千 | 証文-<〜らの> |
「証文を千通、数えるのか。」
役所や市で、仲間か目下の者に尋ねる問い。ké で始め、2人称を使っている。slúun は名詞として働き、数えるものを複数属格でとる。sáindar は軽性なので、複数属格は -ar になる。帳簿では量の名詞を入れることが多いが、会話ではこのように省く。
rímba brándal réum hóumul.
読み:リンバ ブランダル レウン ホームル。
| rímb-a | brándal | réum | hóum-ul. |
| 数える-<(軽いものが)> | 司<主格> | 九 | 炉-<〜たちを> |
「司は九つの炉を数える。」
税を取り立てるときの戸数調べの言い方。人は数えないので、世帯の「炉」hóum を数える。hóum は重性なので、複数対格は -ul になる。
rimbéla senár sénþar sáindarar dórel.
読み:リンベーラ セナール センサル サインダラル ドーレル。
| rimb-él-a | sen-ár | sénþar | sáindar-ar | dórel. |
| 数える-<〜だろう>-<(軽いものが)> | 見る-<〜する人> | 百 | 証文-<〜らの> | 明日 |
「目付は明日、百通の証文を数えるだろう。」
sénþar は名詞として働くので、数えるもの(証文)を複数属格でとる。sáindar は軽性なので、複数属格は -ar。未来のことは推量法で言う。強勢が -él- に移るので、語根の強勢は消える。
rímba senár fáron.
読み:リンバ セナール ファーロン。
| rímb-a | sen-ár | fáron. |
| 数える-<(軽いものが)> | 見る-<〜する人・主格> | 荷<対格> |
「目付が荷を数える。」
縁の市の検めを述べる文。直説法なので語幹 rímb- がそのまま残る。命令法で語幹をむき出しにすると、語末の mb が m に削られて rím になる(rím fáron, ende.「荷を数えてくれ、頼む」)。
mé rimbésa ausenárais!
読み:メー リンベーサ アウセナーライス!
| mé | rimb-és-a | au-sen-ár-ais! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 数える-<〜すべし>-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<〜たちを> |
「目付の方々を数えてはならぬ。」
目上の人を数で数えることを戒める言い方。数えることは相手を物のように扱い、「下げる」行いとされる。当為法で主語を言わないので「人は〜すべし」という一般の主語になり、軽性の形をとる。強勢は -és- に移る。同じ理屈で、星を数えることも禁じられる。
rímba lisár dáumbar téir hóumul.
読み:リンバ リサール ダウンバル テール ホームル。
| rímb-a | lis-ár | dáumbar | téir | hóum-ul. |
| 数える-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 二十 | 三 | 世帯-<〜たちを> |
「書記は二十三の世帯(炉)を数えた。」
倉の司の書記が、税のために村を調べたことを述べる文。人を数えることは相手を下げることになるので、人数ではなく「炉」を数える。数詞 dáumbar téir の後ろなので複数。重性の複数対格は -ul。
mé rimbésa rúsilan, rimbésa álmaran.
読み:メー リンベーサ ルーシラン、リンベーサ アルマラン。
| mé | rimb-és-a | rúsil-an, | rimb-és-a | álmar-an. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 数える-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 赤月の巡り-<対格> | 数える-<〜すべし>-<(軽いものが)> | ひと月-<対格> |
「赤月の巡りで日を数えぬこと、白月の月で数えること。」
都の年長者が、崖道帰りの若者などをたしなめるときに使う、戒めの決まった言い方。当為法で主語を言わないので「人は〜すべし」の意味になり、動詞は軽性の形をとる。禁止の前半は mé で否定する。赤月で日を数えるのは、都では田舎くさい、下の国に染まった習慣とされる。
rímba lisár grúndo.
読み:リンバ リサール グルンド。
| rímb-a | lis-ár | grúndo. |
| 数える-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 掛け<対格> |
「書記が掛けを数え合わせる。」
grúndo は重性o語幹なので、対格も主格と同じ形になる。ここでは単数で、掛けの全体をひとまとまりとして言っている。帳面の見開きの片側に下ろし荷を、もう片側に上げ荷を書き、両方を突き合わせて掛けを精算する。
mé rimbéndes, endríña! rímban ilanárai.
読み:メー リンベンデス、エンドリーニャ!リンバン イラナーライ。
| mé | rimb-énd-es, | endríña! | rímb-an | ilanár-ai. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 数える-<〜しますように>-<あなたが> | 子ども | 数える-<彼らが> | 星読み-<〜たちが> |
「数えてはいけませんよ。数えるのは星読みたちです。」
星を数えようとする子を、親がたしなめるときの言い方。命令法の代わりに「mé+願望法2人称」を使った、やわらかい禁止になっている。強勢は願望法の -énd- に移る。呼びかけの endríña は読点で区切る。後ろの文は ilanárai が主語で、「数えてよいのは星読みたちだけだ」という対比を表す。何を数えるかは言わなくても文脈でわかる。
lúin rímba ilanár, ésa ilanrimbá lóimen.
読み:ルーイン リンバ イラナール、エーサ イランリンバー ロイメン。
| lúin | rímb-a | ilanár, | és-a | ilanrimbá | lóim-en. |
| とき | 数える-<(軽いものが)> | 星読み<主格> | いる-<(軽いものが)> | 灯の数え<主格> | 唱える-<〜した・〜された> |
「星読みが数えるときには、灯の数えが唱えられる。」
星の司の観測の作法を説明した文。星を数えることが許されるのは星読みだけで、そのときもふつうの数詞は使わず、灯の数えという古い数え方で唱える。後ろの節は「és-+主語+分詞」の形で、受け身にあたる。
drénan kloimárai un krévan, duói léunan mélnan rainiþárei, si na rímba rainiþár virán gráisan.
読み:ドレーナン クロイマーライ ウン クレーヴァン、ドゥオイ レウナン メルナン ライニサーレイ、シ ナ リンバ ライニサール ヴィラーン グライサン。
| drén-an | kloimár-ai | un | kréva-n, | duói | léun-an | méln-an | rainiþár-ei, | si | na | rímb-a | rainiþár | vir-án | gráis-an. |
| 参る-<彼らが> | 弟子-<〜たちが> | 内に | 練習の場-<対格> | それから | 申す-<彼らが> | 詩-<対格> | 師-<与格> | と | <〜ない> | 数える-<(軽いものが)> | 師<主格> | 言葉-<対格> | 悪い-<対格> |
「弟子たちは稽古の場へ参り、それから師に詩を申し上げる。師は言い誤りを数えない。」
宮廷や学び舎での詩の稽古を言った文。弟子の行いは謙譲の補充形で表し、drén-「参る」と léun-「申す」を使っている。un krévan は「稽古の場へ」で、本番ではない場であることを示す。virán gráisan「悪い言葉」は、ここでは無礼な言葉ではなく、言い損なった語を指す。形容詞 gráis は名詞の後ろに置かれ、軽性・対格の -an で一致している。
rímbim dulglüno só.
読み:リンビン ドゥルグリュノ ソー。
| rímb-im | dulglüno | só. |
| 数える-<私が> | つらら<対格> | この<重性> |
「「私がつららを数えている。」」
記録・勘定の場面。重性o語幹の単数対格は主格と同じ見出し形。指示詞 só は性を示す。
rímba senár téir lénais plénur.
読み:リンバ セナール テール レーナイス プレーヌル。
| rímb-a | sen-ár | téir | lén-ais | plén-ur |
| 数える-<(軽いものが)> | 見る-<〜する人> | 三 | 枚-<〜たちを> | 板-<〜らの> |
「目付が板材を三枚数える。」
検めの場面。平らな部材を数える量の名詞 lén は軽性で、目的語としての三枚は lén-ais。数えられる板は複数属格 plénur にして量の名詞の後ろに置く。
rímbim dreumó
読み:リンビン ドレウモー
| rímb-im | dreumó |
| 数える-<私が> | 炭<対格> |
「炭を数える。」
帳場・在庫・取り引きの場面を想定した短文。rímbim は rímb-「数える」に1人称単数語尾 -im をつけた形。dreumó は重性o語幹で単数主格と対格が同じ形のため、語順から目的語として読む。
rímbim dáu þrónou
読み:リンビン ダウ スローノウ
| rímb-im | dáu | þrón-ou |
| 数える-<私が> | 二 | 弓矢一式-<双数・対格> |
「弓矢一式を二つ、数える。」
帳簿・納め・持ち物の勘定の場面。þrón は弓と矢をひとまとまりの装備として数える意味にもなる。dáu「二」に合わせて名詞は双数 þrónou。 þrón-ou は þrón と -ou の二形態素であり、-ou は重性双数の主格・対格語尾である。ここでは目的語の数えられるものとして役割を反映し、逐語訳では弓矢一式-DU.ACCとする。動詞 rímbim は主語「私」に一致し、数量は数詞と名詞の双数で表す。
rímbim téir monplénul.
読み:リンビン テール モンプレーヌル。
| rímb-im | téir | monplén-ul |
| 数える-<私が> | 三 | 石瓦-<〜たちを> |
「私は石瓦を三枚数える。」
材料書きや数えの場面を想定した用法。数詞 téir の後ろでは重性名詞を複数形 monplénul にする。1人称単数の rímbim は主語代名詞を省略した言い方である。
rímbim téir lourílmul.
読み:リンビン テール ロウリルムル。
| rímb-im | téir | lourílm-ul. |
| 数える-<私が> | 三 | 落ち瀬-<〜たちを> |
「落ち瀬を三つ数える。」
帳簿・河川測量などの場面で、一つの川筋がもつ複数の落ちを数える用法。数詞 téir が重性o語幹の複数対格 lourílm-ul を受ける。
rímba ráuvan traimfiláis sé
読み:リンバ ラウヴァン トラインフィライス セー
| rímb-a | ráuvan | traimfil-áis | sé |
| 数える-<(軽いものが)> | 森の巫<主格> | 年輪-<〜たちを> | この<軽性> |
「森の巫がこれらの年輪を数えている」
森の巫が年輪を数える場面を示す文。主語 ráuvan は人なので軽性とし、動詞は軽性3人称単数 -a で受ける。目的語が複数なので traimfiláis を使い、指示詞 sé は名詞句の末尾に置く。
rímbim ombár fáronul.
読み:リンビン オンバール ファーロヌル。
| rímb-im | ombár | fáron-ul. |
| 数える-<私が> | 十 | 担ぎ-<〜たちを> |
「十担ぎを数える。」
帳簿や仕分けで単位を数える場面。数詞 ombár は「十」で、重性名詞 fáron の複数(主格・対格) fáronul に掛かる。動詞 rímb- は1人称単数。
rímbim lím márul fúnelos.
読み:リンビン リーン マールル フーネロス。
| rímb-im | lím | már-ul | fúnel-os. |
| 数える-<私が> | 五 | 手(長さの単位)-<〜たちを> | 綱-<属格> |
「綱の五手分を数える。」
帳簿・記録での数量の言い方。数詞+単位 márul+対象の属格 fúnelos という定型で、「五手分の綱」を表す。単位としての már は重性の名詞として働く。
du nebroþaló, na rímba vándar grúndo.
読み:ドゥ ネブロサロー、ナ リンバ ヴァンダル グルンド。
| du | nebroþaló, | na | rímb-a | vándar | grúndo. |
| 下手 | 霧明け<対格> | <〜ない> | 数える-<(軽いものが)> | 商人<主格> | 掛け<対格> |
「霧明けまでは、商人は掛け勘定を数えない。」
帳簿・市の記述で、霧明けを期限として、それまで掛け勘定を数えないことを言う文。du+対格は時間上の「〜まで」を表す。nebroþalóは重性名詞で、単数主格・対格は同形。主語のvándarは軽性なので動詞は3人称単数軽性の-aをとり、grúndoは重性名詞の単数対格で無標識。
rímbim ín puló.
読み:リンビン イーン プロー。
| rímb-im | ín | puló |
| 数える-<私が> | 一 | 拍<対格> |
「拍を一つ数える。」
市井の帳場や数えの場で、刻みを一つずつ数え上げる場面。数詞 ín は名詞の前に置き、数える名詞は単数のまま。puló は重性o語幹の単数で、主格と対格が同形であるため目的語も puló のまま立つ。
rímbim mónul.
読み:リンビン モーヌル。
| rímb-im | món-ul. |
| 数える-<私が> | 盤の石-PL.ACC. |
「私は盤の石を数えている。」
帳場や遊び場での日常的な文。món の盤の石の意味では、規則形の複数 mónul がよく使われる。目的語は重性複数で主格と対格が同形。動詞 rímb-「数える」の人称語尾 -im で主語がわかる。
rímbim térnul, duói sálim térno.
読み:リンビン テルヌル、ドゥオイ サーリン テルノ。
| rímb-im | térn-ul, | duói | sál-im | térno |
| 数える-<私が> | 弦-<〜たちを> | それから | 鳴らす-<私が> | 弦<対格> |
「弦(複数)を数え、それから弦を鳴らす。」
楽器の張弦を数えてから一本を試すような、張替・調弦の場面。térno の複数主格・対格は térnul で、segmented では térn-ul と分ける。duói で二つの手順を並べる。sál- は「ならす」の他動詞で、弦楽器の弦を弾いて鳴らす文脈に合う。
rím mélvul!
読み:リーン メルヴル!
| rím | mélv-ul |
| 数える<命令法><あなたが> | 板戸-<〜たちを> |
「板戸を数えろ。」
倉や作業場での日常的な指示。数える語 rímb の命令法単数は、語末の閉鎖音の簡略化で rím になる。mélvo を板戸・仕切り板の意味で用いる場合、対象が複数になることが多く、複数対格 mélvul を取る。
rímbim þaló.
読み:リンビン サロー。
| rímb-im | þaló |
| 数える-<私が> | 昼<対格> |
「昼を数える。」
暦・帳簿の場面。経過した日数として昼の回数を数える意。対象語は対格単数で、主格と同形。
物のように扱う
人について使うと、相手を物のように数える、軽んじるという非難の意味になる。
ké rímbes néman?
読み:ケー リンベス ネーマン?
| ké | rímb-es | ném-an? |
| <〜か> | 物のように扱う-<あなたが> | <私>-<対格> |
「お前、俺を物扱いするのか。」
人を目的語にとると、「数える」は「物のように扱う、軽んじる」という非難の意味になる。2人称と問いの小辞 ké を使っているので、同じ段か下の段の相手に、腹を立てて言う言い方。
rímban brándalai némoran.
読み:リンバン ブランダライ ネーモラン。
| rímb-an | brándal-ai | némor-an. |
| 物のように扱う-<彼らが> | 司-<〜たちが> | <我々>-<対格> |
「お役所の連中は、俺たちを物のように扱う。」
運び人や森の民が、役所への不満を言う決まった言い方。人を数で扱うことは、相手を「下げる」行いとされる。そのため、炉や人数を数えて税を取ることへの反感が、この動詞で言い表される。
「数える」という他動詞。物や家畜、丸太、紙などを数えるときに広く使う。目上の人を数えること、星をふだんの数詞で数えることは禁忌とされ、そうした文脈でこの動詞を使うこと自体が無礼になる。否定の分詞 narímben「数えぬ」は elþái narímbenai「数えぬ火」(星を指す婉曲な言い方)に現れる。星の司が星を数えるときの特別な数詞の系列は「灯の数え」と呼ばれ、ふつうの rímb- とは区別して言う。
他動詞。命令法2単は語末の mb が m に削られて rím!。完了語根 réimb-。分詞 rímben、否定分詞 narímben。
古高原語 *rímb- から
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