si

品詞
小辞
意味
と
発音
[si]
読み
シ
分野
代名詞・指示詞・疑問詞

意味

  1. と

    二つ以上の名詞を「AとB」と並べてつなぐ。

    ésau éndra si fáron káilau.

    読み:エーサウ エンドラ シ ファーロン カイラウ。

    és-auéndrasifáronkáil-au.
    いる-<双数>人<主格>と荷<主格>乾いた-<双数>

    「人と荷は乾いている。」

    性の違う語を並べたとき、人が含まれれば形容詞は軽性にする。単数が二つなので双数。

    lísa lisár sáindaran si lúuma ausenár.

    読み:リーサ リサール サインダラン シ ルーマ アウセナール。

    lís-alis-ársáindar-ansilúum-aau-sen-ár.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>とご覧になる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「書記が証文を書き、目付殿がご覧になる。」

    si で文と文を並べる。二つめの文は、同じ目的語を受けるので目的語の枠を空けてよい(1.2節)。

    fléira aulisár si tóra faronár.

    読み:フレーラ アウリサール シ トーラ ファロナール。

    fléir-aau-lis-ársitór-afaron-ár.
    お出ましになる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>と来る-<(軽いものが)>荷-<〜する人>

    「書記の方がお出ましになり、運び人も来る。」

    目上の人と目下の人は、一つの主語に並べずに二つの文に分けるのが改まった言い方。

    gélimor ném si sélvan si silára du orén.

    読み:ゲーリモル ネーン シ セルヴァン シ シラーラ ドゥ オレーン。

    gél-imornémsisélvansisiláraduorén.
    行く-<我々が><私>とセルヴァン<主格>とシラーラ<主格>下手縁<対格>

    「私とセルヴァンとシラーラは縁へ行く。」

    三つ以上を並べた主語の人称は、1人称>2人称>3人称の順に優先する。「私」が入るので1人称複数。

    gélers tás si sélvan si silára du orén.

    読み:ゲーレルス タース シ セルヴァン シ シラーラ ドゥ オレーン。

    gél-erstássisélvansisiláraduorén.
    行く-<あなたがたが><あなた>とセルヴァン<主格>とシラーラ<主格>下手縁<対格>

    「お前とセルヴァンとシラーラは縁へ行く。」

    「お前」が入るので2人称複数。

    lúin brúuma éndra es orénos, dúlau gromó si selvá.

    読み:ルーイン ブルーマ エンドラ エス オレーノス、ドゥーラウ グロモー シ セルヴァー。

    lúinbrúum-aéndraesorén-os,dúl-augromósiselvá.
    とき落ちる-<(軽いものが)>人<主格>から縁-<属格>下る-<双数>体<主格>と魂<主格>

    「人が縁から落ちると、体も魂もともに下へ引かれていく。」

    崖から落ちて死ぬことが恐れられる理由を述べる、教えの文。単数の名詞を si で二つ並べたので、動詞は双数の dúlau になり、性を区別しない。重い体と軽い魂がそろって下るのは、高原の考えではいちばん不吉なことである。

    sénim fáron si sáindaran.

    読み:セーニン ファーロン シ サインダラン。

    sén-imfáronsisáindar-an.
    見張る・検める-<私が>荷<対格>と証文-<対格>

    「荷と証文を検めます。」

    市や倉で、荷とその書きつけを突き合わせて確かめるときの言い方。「AとB」は si で並べ、二つとも目的語にする。重性の fáron は対格でも語尾がなく、軽性の sáindar は -an をとる。

    ké ésau tambór si sáko tásei?

    読み:ケー エーサウ タンボール シ サーコ ターセイ?

    kéés-autambórsisákotás-ei?
    <〜か>いる-<双数>雑穀<主格>と塩<主格><あなた>-<与格>

    「お前のところに雑穀と塩はあるか?」

    市での品の問い合わせ。所有は「ある+持ち主の与格」で言う。単数の名詞を si で二つ並べたので、動詞は双数の ésau になる。si には強勢がなく、後ろの語に寄りかかって発音される。

    séna lisár sáindaran si fáron.

    読み:セーナ リサール サインダラン シ ファーロン。

    sén-alis-ársáindar-ansifáron.
    見る-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>と荷<対格>

    「書記は証文と荷を見る。」

    si で目的語を二つ並べた文。並べた語は、それぞれ文の中の役割に合う格をとる(どちらも対格。重性の fáron は主格と同じ形)。動詞は主語の書記に一致するので、双数にはならない。

    ésau ambrél dórin si dubrél dórin némei.

    読み:エーサウ アンブレール ドーリン シ ドゥブレール ドーリン ネーメイ。

    és-auambréldórinsidubréldórinném-ei.
    いる-<双数>兄・姉<主格>男<主格>と弟・妹<主格>男<主格><私>-<与格>

    「私には兄と弟が一人ずついる。」

    親族名称は性別を区別しないので、dórin を後ろに添えて「男の」であることを示す。添えた dórin も、親族名称と同じ格になる。単数のものを si で二つ並べたので、動詞は双数の ésau になる。

    áurau álmar si rúsil.

    読み:アウラウ アルマル シ ルーシル。

    áur-auálmarsirúsil.
    昇る-<双数>白月<主格>と赤月<主格>

    「白月と赤月が昇る。」

    単数の名詞を si で二つ並べると、動詞は双数になる。双数の動詞は人称も性も区別しない。月は星ではないので、二つ並べて双数で受けても禁忌にはならない。二つの月が重なって見える夜は秩序の乱れる夜とされ、人々は出歩かない。

    faronéra gúrnal té gandér si fáron.

    読み:ファロネーラ グルナル テー ガンデール シ ファーロン。

    faronér-agúrnaltégandérsifáron.
    担ぐ-<(軽いものが)>力の強いもの<主格>あの<軽性>硬木<対格>と荷<対格>

    「あの力持ちは、硬木も荷もいっしょに担ぐ。」

    運び人どうしで、大げさにほめたり冷やかしたりするときの言い方。gúrnal té の té は強勢のある指示詞で、後ろに動詞が来ないので、関係節の te ではない。si で目的語を二つ並べている。

    mánimor frélo si tambór.

    読み:マーニモル フレーロ シ タンボール。

    mán-imorfrélositambór
    食べる-<我々が>魚<対格>と雑穀<対格>

    「我々は魚と雑穀を食べる。」

    ふだんの食事についての文。frélo は重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。si は無強勢の等位の小辞で、目的語を二つ並べている。主語は動詞の語尾 -imor でわかるので、代名詞は言わない。

    mánimor tambór si frélo sórel.

    読み:マーニモル タンボール シ フレーロ ソーレル。

    mán-imortambórsifrélosórel.
    食べる-<我々が>雑穀<対格>と魚<対格>今日

    「今日は雑穀と魚を食べる。」

    家の中のふつうの会話。直説法には法の印がなく、語根に1人称複数の語尾 -imor が直接つく。二つの目的語を si で並べている。雑穀も魚も重性なので、主格と対格が同じ形になる。時を表す語 sórel は文末に置く。

    ráumau lisár si senár du orén.

    読み:ラウマウ リサール シ セナール ドゥ オレーン。

    ráum-aulis-ársisen-árduorén.
    旅をする-<双数>書く-<〜する人・主格>と見る-<〜する人・主格>下手縁<対格>

    「書記と目付は、縁へ旅をする。」

    単数の名詞二つを si で並べているので、動詞は双数の -au になる。双数の動詞は人称も性も区別しない。都から縁の市まで、何日もかけて下っていく旅を言う。

    flúuna líura már si nóumo.

    読み:フルーナ リーウラ マール シ ノーモ。

    flúun-alíuramársinóumo.
    洗う-<(軽いものが)>女<主格>手<対格>と顔<対格>

    「女が手と顔を洗う。」

    基本の VSO の文。主語の líura は人なので、動詞は軽性の -a をとる。体の部分 már・nóumo は重性なので、対格も主格と同じ形になる。目的語を二つ並べるときは si でつなぐ。

    flúun már si nóumo, endríña.

    読み:フルーン マール シ ノーモ、エンドリーニャ。

    flúunmársinóumo,endríña.
    洗う<命令法><あなたが>手<対格>と顔<対格>子ども

    「手と顔を洗いなさい、子よ。」

    下向きの命令法2人称単数は、むき出しの語幹 flúun で言う。呼びかけは呼格を使わず、読点で区切って文の終わりに添える。

    gremésa aursárar si aldáres áurenes.

    読み:グレメーサ アウルサーラル シ アルダーレス アウレネス。

    grem-és-aaursár-arsialdár-esáur-en-es.
    畏れる-<〜すべし>-<(軽いものが)>祖先-<〜らの>と座-<属格>昇る-<〜した・〜された>-<軽性・属格>

    「人は祖先と高き座を畏れるべし。」

    教えの書や詞に見える当為法の文。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、軽性の形をとる。強勢が -és- に移るので、語根の ´ は消える。畏れる対象は属格でとり、分詞 áurenes も aldáres の属格に一致する。

    ésau þovríl si kailó séndoi.

    読み:エーサウ ソヴリール シ カイロー センドイ。

    és-auþovrílsikailósénd-oi.
    いる-<双数>茶<主格>と乾酪<主格>ここ-<与格>

    「「ここに茶と乾酪がある。」」

    客を炉端に迎えて、茶と乾酪を出すときの言い方。存在の文で、繋辞 és- が先頭に来る。単数の名詞が si で二つ並んでいるので、動詞は双数 ésau になる。双数の動詞は性を区別しないので、この文からは þovríl の性はわからない。

    méirim kailó si sáko torárei.

    読み:メーリン カイロー シ サーコ トラーレイ。

    méir-imkailósisákotorár-ei.
    与える-<私が>乾酪<対格>と塩<対格>客-<与格>

    「客に乾酪と塩をさしあげる。」

    もてなしの言い方。語順は「動詞–目的語–受け手の与格」。kailó も sáko も重性なので、対格は主格と同じ形になる。客に塩をひとつまみ添えて出すのは、最高の礼とされる。

    kúulim nímbo si tambór.

    読み:クーリン ニンボ シ タンボール。

    kúul-imnímbositambór.
    煮る-<私が>乳<対格>と雑穀<対格>

    「乳と雑穀を煮る。」

    家で煮炊きするときの言い方。乳と雑穀を合わせて煮た粥は、湖盆の村でふだんから食べられている。どちらも重性なので、対格は主格と同じ形になる。主語は動詞の語尾 -im でわかるので言わない。

    ésau kéira si méldo némei.

    読み:エーサウ ケーラ シ メルド ネーメイ。

    és-aukéirasiméldoném-ei.
    いる-<双数>蜜蝋<主格>と蜜<主格><私>-<与格>

    「私には蜜蝋と蜜がある。」

    商人が手元の品を言う所有の文。所有は「持つ」という動詞を使わず、「ある+持ち主の与格」で言う。単数のもの二つを si で並べたので、動詞は双数 ésau になる。蜜蝋と蜜は、下ろし荷として並んで扱われることが多い。

    émbelau ráuvan si kelár aursárais.

    読み:エンベラウ ラウヴァン シ ケラール アウルサーライス。

    émbel-auráuvansikel-áraursár-ais.
    祀る-<双数>森の巫<主格>と伐る-<〜する人・主格>祖先-<〜たちを>

    「森の巫と樵が祖先を祀る。」

    祖先を祀る祭祀を述べる文。単数の名詞を si で二つ並べているので、動詞は双数の -au になる。双数の動詞は人称も性も区別しない。

    ésau rimblisá si freimvirá sáindarei.

    読み:エーサウ リンブリサー シ フレインヴィラー サインダレイ。

    és-aurimblisásifreimvirásáindar-ei.
    いる-<双数>数字<主格>と数字の念押し<主格>証文-<与格>

    「証文には数字と念押しが書いてある。」

    単数の名詞二つを si で並べているので、動詞は双数になる。帳簿・証文では、数字と念押しの言い換えが二通りに並んで書かれる。

    drénan kloimárai un krévan, duói léunan mélnan rainiþárei, si na rímba rainiþár virán gráisan.

    読み:ドレーナン クロイマーライ ウン クレーヴァン、ドゥオイ レウナン メルナン ライニサーレイ、シ ナ リンバ ライニサール ヴィラーン グライサン。

    drén-ankloimár-aiunkréva-n,duóiléun-anméln-anrainiþár-ei,sinarímb-arainiþárvir-ángráis-an.
    参る-<彼らが>弟子-<〜たちが>内に練習の場-<対格>それから申す-<彼らが>詩-<対格>師-<与格>と<〜ない>数える-<(軽いものが)>師<主格>言葉-<対格>悪い-<対格>

    「弟子たちは稽古の場へ参り、それから師に詩を申し上げる。師は言い誤りを数えない。」

    宮廷や学び舎での詩の稽古を言った文。弟子の行いは謙譲の補充形で表し、drén-「参る」と léun-「申す」を使っている。un krévan は「稽古の場へ」で、本番ではない場であることを示す。virán gráisan「悪い言葉」は、ここでは無礼な言葉ではなく、言い損なった語を指す。形容詞 gráis は名詞の後ろに置かれ、軽性・対格の -an で一致している。

    drélim aurbúl si aurénde selvá an ilánais.

    読み:ドレーリン アウルブール シ アウレンデ セルヴァー アン イラーナイス。

    drél-imaurbúlsiaur-énd-eselváanilán-ais
    焚く-<私が>薪<対格>と昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>息<主格>上手灯-<〜たちを>

    「薪を焚く。息が星々のもとへ昇りますように。」

    祀りの場で、炉に薪を焚いて祖先に祈りを届ける場面。drél-「焚く」は他動詞で、1人称単数は drélim(drél-im)。aurbúl(重性・子音語幹)が目的語。si は読点を伴わず、二つの文を同じ高さに並べる(統語論9.2節)。二つめの文は願望法で祈りの形にする。an ilánais は「星々のもとへ」で、挨拶の定型 aurénde selvá! ― an ilánais. と同じ前置詞句。星は数を言わず総称の複数 ilánai を用いる。

    lísa lisár kórvino si tambór plíndoi.

    読み:リーサ リサール コルヴィノ シ タンボール プリンドイ。

    lís-alis-árkórvinositambórplínd-oi.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>移動倉<対格>と雑穀<対格>札-<与格>

    「書記が、移動倉と雑穀を、札に書く。」

    帳簿や荷札の記録に使う文。plíndoi は与格(書かれる場所)。si は名詞の並列。

    krélau vrélmo só si tambór só

    読み:クレーラウ ヴレルモ ソー シ タンボール ソー

    krél-auvrélmosósitambórsó
    足りる-<双数>毛皮<主格>この<重性>と雑穀<主格>この<重性>

    「この毛皮とこの雑穀が足りている。」

    森の民や湖畔の市で、物々交換の持ち寄りを確かめる場面。単数の名詞を si で二つ並べると、動詞は双数になる。双数動詞 krélau は性を区別しないので、重性の vrélmo と tambór を並べてもこの形を使う。

    sórel, þréumau hílva si sírna.

    読み:ソーレル、スレウマウ ヒルヴァ シ シルナ。

    sórelþréum-auhílvasisírna
    今日積もる-<双数>雪<主格>と霜<主格>

    「今日、雪と霜が積もる。」

    日常の天候の話。動詞の前に場面の枠として時の名詞 sórel を置き、短い切れ目を入れる。二つの単数名詞句が si で並ぶので、動詞は双数の語尾 -au をもつ。

    trélau líura si endríña þúumo.

    読み:トレーラウ リーウラ シ エンドリーニャ スーモ。

    trél-aulíurasiendríñaþúumo.
    混ぜる-<双数>女<主格>と子ども<主格>汁<対格>

    「女と子どもが汁をかき混ぜている。」

    単数の主語が二つ並ぶので動詞は双数になる。女と子どもという二人組が粥や汁を混ぜる日常的な場面。þúumo は重性o語幹で対格同形。

    flélau selvá si tíula es múndos snálenos

    読み:フレーラウ セルヴァー シ ティーウラ エス ムンドス スナーレノス

    flél-auselvásitíulaesmúnd-ossnál-en-os
    漏れる-<双数>息<主格>と音<主格>から口-<属格>閉じる-<〜した・〜された>-<属格>

    「閉じた口から息と音が漏れている。」

    口を閉じたままで、意に反して息や音がわずかに漏れる場面。selvá「息」とtíula「音・声」の二単数主語をsiで並べ、動詞を双数-auにする。出所はes+属格の名詞句で、中心名詞múndos「口」の後に、重性・単数・属格に一致する分詞snálenos「閉じた」が続く。snál-en-osは動詞根snál-+PTCP+GENとして切る。

    virsnáles tás si na víres virán

    読み:ヴィルスナーレス タース シ ナ ヴィーレス ヴィラーン

    virsnál-estássinavír-esvir-án
    口をとがらせる-<あなたが><あなた・主格>CONN<〜ない>言う-<あなたが>言葉-<対格>

    「あなたは口をとがらせ、ひとことも言わない。」

    「言葉を閉じる」意を、物を言わない述語節で明示する文。主語を繰り返さず、同じ聞き手への否定節も人称語尾 -es を保つ。na は文ではなく動詞の直前に来る。

    súndau andaulóura si séulin hóumoi.

    読み:スンダウ アンダウローラ シ セウリン ホーモイ。

    súnd-auandaulóurasiséulinhóum-oi.
    世間話する-<双数>祖母<主格>と友<主格>炉-<与格>

    「祖母と友が炉で世間話をする。」

    炉ばたでの日常。場所を示す裸の与格。単数の主語を二人並べると動詞は双数で一致する。

    ké súndau orenvandár si faronár?

    読み:ケー スンダウ オレンヴァンダール シ ファロナール?

    késúnd-auorenvandársifaronár?
    <〜か>世間話する-<双数>縁商人<主格>と運び人<主格>

    「縁商人と運び人は世間話をしているか。」

    縁の市でのくだけた問い。ké は文頭に置く。顔見知りの二人を並べると動詞は双数になる。

    fǘrau ílmo si nímbo.

    読み:フューラウ イルモ シ ニンボ。

    fǘr-auílmosinímbo
    沸く-<双数>水<主格>と乳<主格>

    「水と乳が沸く。」

    日常。単数の名詞を si で二つ並べたので、動詞は双数。双数の動詞は人称・性を区別しない。

    kranérau dóulin kranó si sóila.

    読み:クラネーラウ ドーリン クラノー シ ソイラ。

    kranér-audóulinkranósisóila.
    伸びる-<双数>もう爪<主格>と髪<主格>

    「爪も髪ももう伸びている。」

    単数の二語を si で並べるので動詞は双数になる。相の副詞 dóulin は動詞の直後、主語の前に置く。

    virfílau amvirá si þailvirá.

    読み:ヴィルフィーラウ アンヴィラー シ サイルヴィラー。

    virfíl-auamvirásiþailvirá.
    通じる-<双数>高原語<主格>と都の言葉<主格>

    「高原語と都の言葉が通い合う。」

    二つの言語を並べる場面。単数名詞二語を si で結んでいるため、動詞は双数 -au をとる。「通い合う」の意味では、言葉どうしが互いに渡り合ってやり取りが成り立つ、というニュアンスになる。

    krínau fúnel si fáron.

    読み:クリーナウ フーネル シ ファーロン。

    krín-aufúnelsifáron.
    固めて動かない-<双数>綱<主格>と荷<主格>

    「綱と荷は、揺れずに張ったままだ。」

    状態を簡潔に記した記録向きの文。単数の名詞二つを si で並べると、動詞は双数になる。krín- の意味2で、綱や荷が風に振られず、同じ位置に保たれている状態を表す。

    króirau faronár si orenvandár.

    読み:クロイラウ ファロナール シ オレンヴァンダール。

    króir-aufaronársiorenvandár.
    近づく-<双数>運び人<主格>と縁商人<主格>

    「運び人と縁商人が近づいた。」

    意味2。単数の名詞二つを si で並べると、動詞は双数になる。運び人と縁商人はもともと立場や交際の距離が遠い二者なので、この言い方には関係・序列の間隔が縮まったという含みが出やすい。市での交際や、記録にあられた交流を言う文。

    krúno kravó múndo si grél

    読み:クルーノ クラヴォー ムンド シ グレール

    krún-okravómúndosigrél
    支える-<(重いものが)>顎<主格>口<対格>と喉<対格>

    「顎は口と喉を支える。」

    書物の解剖的記述の場面。kravó は主語でも重性なので動詞は3人称単数・重性の -o に一致する。múndo と grél も重性で、単数の直接目的語は無標。目的語を si で並べても、動詞の数は主語のみに一致する。

    monþálau krúndo si kailíña.

    読み:モンサーラウ クルンド シ カイリーニャ。

    monþál-aukrúndosikailíña.
    石固まる-<双数>泥<主格>と藁<主格>

    「泥と藁が固まる。」

    炉の継ぎ目や壁の下地のように、泥と藁を混ぜて乾かしたものがかたく締まる場面。単数の名詞二語を si で結ぶと動詞は双数になる。

    krásau dulóra si fleuróra.

    読み:クラーサウ ドゥローラ シ フレウローラ。

    krás-audulórasifleuróra.
    割れる-<双数>ドゥローラ<主格>とフレウローラ<主格>

    「ドゥローラとフレウローラが崩れた。」

    年代記や旧道の記録に多い、出来事を簡潔に述べる文。単数の固有名詞二つを si で並べると動詞は双数になる。krás- は自然物が裂けて崩れる自動詞。固有名詞は主格の辞書形のまま。

    ésau sáindar si plána sélenau.

    読み:エーサウ サインダル シ プラーナ セーレナウ。

    és-ausáindarsiplánasélen-au
    いる-<双数>証文<主格>と帳簿<主格>正しい-<双数>

    「証文と帳簿が合っている。」

    書面の相互確認。si で二つの単数名詞を並べると、動詞と述語形容詞は双数になる。sáindar と plána は名詞の単数主格で、語形を切らない。両名詞が軽性なので、形容詞は軽性双数 sélenau。

    vróelau fúnel si krélvo.

    読み:ヴローエラウ フーネル シ クレルヴォ。

    vróel-aufúnelsikrélvo
    揺れる-<双数>綱<主格>と鉤<主格>

    「綱と鉤が小刻みに揺れている。」

    作業場や倉で、吊り具二つが同じ風にわずかに揺れている場面。単数名詞が si で二つ並ぶと動詞は双数 -au を受ける。双数の動詞は人称と性を区別しない。vróel- の意味3として、それぞれが定位置の周りを小刻みに揺れる動きを指す。

    klámbau ánor si dúror lisáran.

    読み:クランバウ アーノル シ ドゥーロル リサーラン。

    klámb-auánorsidúrorlisár-an
    板挟みにする-<双数>上手と下手書記-<対格>

    「上手と下手が書記を板挟みにする。」

    比喩的な用い方。単数名詞 ánor と dúror を si で主語にすると、動詞は双数 -au。人を指す lisár は軽性なので、対格は -an。

    houméran endríñai si torárai ó

    読み:ホウメーラン エンドリーニャイ シ トラーライ オー

    houmér-anendríñ-aisitorár-aió
    囲む-<彼らが>子ども-<〜たちが>と客-<〜たちが><3人称単数・重性・対格>

    「子どもたちと客たちは、炉を囲んで炉ばたに集う。」

    本来は目的語 hóum「炉」を伴う他動詞用法。目的語を省略しないため、3人称重性の対格 ó を残す。

    glákau snélo si líra snúloi

    読み:グラーカウ スネーロ シ リーラ スヌーロイ

    glák-ausnélosilírasnúl-oi
    一瞬引っかかる-<双数>布<主格>と糸<主格>結び目-<与格>

    「布と糸が結び目に一瞬引っかかる。」

    VSOに従い動詞を文頭に置く。二つの単数名詞を並列した主語なので、動詞は双数を使う。

    glákau sóila si líra soilkrélvoi

    読み:グラーカウ ソイラ シ リーラ ソイルクレルヴォイ

    glák-ausóilasilírasoilkrélv-oi
    一瞬引っかかる-<双数>髪<主格>と糸<主格>髪留め-<与格>

    「髪と糸が髪留めで一瞬引っかかる。」

    VSOに従い動詞を文頭に置く。soilkrélvo の与格は soilkrélvoi。並列主語が二つの単数なので動詞は双数。

    prálan trúndul si kumbórul.

    読み:プラーラン トルンドゥル シ クンボールル。

    prál-antrúnd-ulsikumbór-ul.
    ぶつかる-<彼らが>杭-<〜たちが>と青銅-<〜たちが>

    「杭と青銅の塊とがぶつかり合った。」

    ぶつかり合う意味では、物の複数や群れを si で並べて主語にする。複数主語には動詞の3人称複数語形 -an をつける。

    prálan fáronul si fróumul.

    読み:プラーラン ファーロヌル シ フロームル。

    prál-anfáron-ulsifróum-ul.
    ぶつかる-<彼らが>荷-<〜たちが>と荷車-<〜たちが>

    「荷と荷車とがぶつかり合った。」

    荷や運び道具のように動きやすい物を並べ、双方の接触として述べる。文脈によって、荷積みの場や通路での偶然の触れ合いを示す。

    bóndim klónou némes si táulim fáron.

    読み:ボンディン クローノウ ネーメス シ タウリン ファーロン。

    bónd-imklón-ouném-essitául-imfáron
    曲げる-<私が>膝-<双数・対格><私>-<属格>と取る-<私が>荷<対格>

    「私は膝を曲げて、荷物を取る。」

    日常の荷上げの場面。膝 klóno は体部語として重性で、二つの膝を指す双数 klónou を直接目的語に取る。所有は名詞の後ろに人称代名詞の属格 némes を置く。si で二つの述語を並列し、主語は動詞の人称語尾だけで示す。

    wólau lisár si faronár.

    読み:ウォーラウ リサール シ ファロナール。

    wól-aulis-ársifaron-ár.
    迷う-<双数>書く-<〜する人・主格>と荷-<〜する人・主格>

    「書記も荷持ちも決めかねている。」

    帳簿や荷の手続きの場などで、判断が定まらない様子。faronár は fáron「荷」+-ár「〜する人」で、荷を扱う人=運び人ほどの意味。単数の名詞が二つ並ぶので、動詞は双数で受ける。

    houmkrúelau mérvo si houmbrúndo.

    読み:ホウンクルーエラウ メルヴォ シ ホウンブルンド。

    houmkrúel-aumérvosihoumbrúndo
    ざわつく-<双数>村<主格>と寄り合い<主格>

    「村も寄り合いもざわついている。」

    単数名詞 mérvo と houmbrúndo を si で結ぶと、動詞は双数語尾 -au をとる。二つの単数集団に同時にざわめきが及んでいる状態を表す。双数の動詞は人称・性を区別しないので、重性語幹同士でもこの形が使える。

    houmnílau andaulóura si brél elþán.

    読み:ホウンニーラウ アンダウローラ シ ブレール エルサーン。

    houmníl-auandaulóurasibrélelþ-án.
    炉を(火を)続ける-<双数>祖母<主格>と兄弟<主格>火-<対格>

    「祖母と兄弟は炉を続ける。」

    二つの単数名詞を si で並べると、動詞は双数になる。brél はきょうだいの総称。家庭の炉維持の日常語で、改まった場では使わない。

    núnim si nóurim élan

    読み:ヌーニン シ ノーリン エーラン

    nún-imsinóur-imél-an
    目を閉じる-<私が>と思う-<私が><3人称単数・軽性>-<対格>

    「目を閉じて、それを思う。」

    日常の内省の場面。nún- は、反射的な瞬きでも眠りに入る動作でもなく、意図的にしばらくまぶたを下ろす行為。同一主語の二つの動作を si で並べている。nóur- は他動詞なので、目的語の代名詞 él に対格語尾 -an を付けた él-an を補う。

    ké brínau síndra si fúnel?

    読み:ケー ブリーナウ シンドラ シ フーネル?

    kébrín-ausíndrasifúnel?
    <〜か>ゆるむ-<双数>帯<主格>と綱<主格>

    「帯と綱はゆるんでいるか。」

    日常で、手元の帯や綱のしまりを確かめる場面の単純疑問。動詞 brín- は二つの主格単数名詞を si で並べた主語を受けて双数 brínau になる。双数の動詞は性を区別しない。

    brínau unlóur rása si síndra.

    読み:ブリーナウ ウンロール ラーサ シ シンドラ。

    brín-auunlóurrásasisíndra
    ゆるむ-<双数>まだ衣<主格>と帯<主格>

    「衣と帯が、まだゆるんでいる。」

    衣類の手入れや寸法書きのような、記述的な一文。unlóur は動詞の直後に置き、事態が変わる瀬がまだ来ていない「まだ」を示す。brín- の sense 2、つまり布地や帯が使い古されて全体がしまりを失う意味で使う。

    un kumbóroi, snourwéinau dulsúm si þéum.

    読み:ウン クンボーロイ、スノウルウェーナウ ドゥルスーン シ セウン。

    unkumbór-oi,snourwéin-audulsúmsiþéum.
    内に青銅-<与格>現れる-<双数>錆<主格>と色づき<主格>

    「青銅では、錆と色づきとが現れる。」

    金属の表面に起る変化を語る文。前置詞句 un kumbóroi が文頭の場面の枠。二つの単数名詞を si で並べると動詞は双数。þéumo は見出し語 þéum に重性o語幹の語尾 -o が付いた単数主格で、形態素分離は þéum-o。

解説

名詞を並べる等位接続の小辞で、A si B の形で使う。無強勢で、後ろの語に寄りかかって発音される。単数のものを二つ並べると動詞は双数(性を区別しない)に、三つ以上なら複数になる。目上の人を役職名や座名で並べるときは、高め名詞を数えないよう双数を避け、複数で受ける。名詞と名詞のほか、文と文も並列でつなぐ(「そして」)。二つの文が同じ高さに並ぶ出来事のときに使い、順序をはっきりさせたいときは duói「それから」、逆接は salóur「しかし」、選択は orvél「または」、理由は esós「だから」を使う。

文法

等位接続の小辞(無強勢、後ろの語に寄りかかる)。

語源

古高原語 *si から。等位接続の小辞として古くからある語。

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