小説
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黒い
夜・黒い石・硬木の黒い芯のような色。
tóra fléura dréum es orénos.
読み:トーラ フレウラ ドレウン エス オレーノス。
| tór-a | fléura | dréum | es | orén-os. |
| 来る-<(軽いものが)> | 雲<主格> | 黒い | から | 縁-<属格> |
「縁のほうから黒い雲がやって来る。」
雨期の初めに、雨が近いことを知らせる言い方。雲は上に属するものなので軽性で、動詞は -a をとる。形容詞 dréum は軽性・主格の形なので語尾がない。同じように下から来るものでも、霧 nébro は重性なので、動詞は tóro になる。
ésa þóvra dréum.
読み:エーサ ソーヴラ ドレウン。
| és-a | þóvra | dréum. |
| いる-<(軽いものが)> | 影の木<主格> | 黒い |
「影の木は黒々としている。」
「AはBだ」の文で、繋辞 és- が文頭に来る。生えている木は軽性なので、繋辞は -a をとり、述語の形容詞 dréum も軽性・主格の形(語尾なし)になる。
dulíþan kelárai téir gandérul dréumul.
読み:ドゥリーサン ケラーライ テール ガンデールル ドレウムル。
| dul-íþ-an | kel-ár-ai | téir | gandér-ul | dréum-ul. |
| 下る-<〜させる>-<彼らが> | 伐る-<〜する人>-<〜たちが> | 三 | 硬木-<〜たちを> | 黒い-<重性・〜ら(古い母音交替)・対格> |
「樵たちは黒い硬木を三本下ろす。」
心材の黒い硬木を言う文。会話なので、量の名詞を省いている。三より上の数の後ろでは名詞が複数になり、形容詞も重性・複数・対格の -ul で一致する。
tául pélsan dréum, endríña.
読み:タウル ペルサン ドレウン、エンドリーニャ。
| tául | péls-an | dréum, | endríña. |
| 取る<命令法><あなたが> | 脂の木-<対格> | 黒い | 子ども |
「その黒い脂の木の板を取ってくれ、子どもよ。」
煤や脂で黒ずんだ板について言う日常の文。年長者が子どもに使う、下向きの命令法。伐られた材なので、形容詞は重性の一致になる。重性の対格には語尾がつかない。
ésa snélo élvares dréum, na sénimor sílaran.
読み:エーサ スネーロ エルヴァレス ドレウン、ナ セーニモル シーララン。
| és-a | snélo | élvar-es | dréum, | na | sén-imor | sílar-an. |
| いる-<(軽いものが)> | 天の屋根<主格> | 天-<属格> | 黒い | <〜ない> | 見る-<我々が> | 月-<対格> |
「天の屋根が黒く、月が見えない。」
snélo élvares「天の屋根」は高い雲を言う詩的な表現。名詞の形は重性の o語幹のままだが、雲は上に属するものなので一致は軽性になり、繋辞は ésa、述語の形容詞 dréum も軽性の形をとる。雨期の夜によく言う言い方。
lúin ésa snélo élvares dréum, lúuman aursárai némoran.
読み:ルーイン エーサ スネーロ エルヴァレス ドレウン、ルーマン アウルサーライ ネーモラン。
| lúin | és-a | snélo | élvar-es | dréum, | lúum-an | aurs-ár-ai | némor-an. |
| とき | いる-<(軽いものが)> | 天の屋根<主格> | 天-<属格> | 黒い | ご覧になる-<彼らが> | 昇る<〜し終えた>-<〜する人>-<〜たちが> | <我々>-<対格> |
「天の屋根が黒いときも、祖先は我々をご覧になっている。」
雨期に星が見えなくても不安がらない理由を説く、信仰の言い方。雲は上の層に属するので、祖先は屋根の上から変わらず下界を見ていると考えられている。snélo は重性の語形だが、この意味では一致が軽性になる(ésa)。lúum- は「見る」の尊敬の補充形。
éso pelsó kúulen dréum.
読み:エーソ ペルソー クーレン ドレウン。
| és-o | pelsó | kúul-en | dréum |
| いる-<(重いものが)> | ピッチ<主格> | 煮る-<〜した・〜された> | 黒い |
「煮つめた樹脂、つまりピッチは黒い。」
pelsó は、樹脂を煮つめて作る目止め用のピッチも指す。区別したいときは、分詞 kúulen「煮られた」を後ろに添える。他動詞の分詞は受け身の意味になる。
暗い
光がなく暗いこと。
mé ráum du dún dréum!
読み:メー ラウン ドゥ ドゥーン ドレウン!
| mé | ráum | du | dún | dréum! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 歩く<命令法><あなたが> | 下手 | 丘<対格> | 暗い |
「暗い丘を下りていくな!」
禁止は「mé+命令法」で言う。du+対格で「下手へ」。丘 dún は重性なので、対格も主格と同じ形になり、形容詞にも語尾がつかない。
lúin ésa sílar dréum, na sénim póin.
読み:ルーイン エーサ シーラル ドレウン、ナ セーニン ポイン。
| lúin | és-a | sílar | dréum, | na | sén-im | póin. |
| とき | いる-<(軽いものが)> | 月<主格> | 暗い | <〜ない> | 見る-<私が> | 何か |
「月が暗いときは、何も見えない。」
光がなくて暗いことを言う文。月は軽性なので、繋辞は -a をとり、形容詞は語尾なしで一致する。否定の小辞 na は動詞の直前に置く。
黒を表す基本の色彩語。屋根や墓碑に使う薄く割れる黒い石、硬木の黒い芯、夜の色。暗さにも使う。下の層の重さと結びつく色なので、兆しについて言うと「不吉な」の含みが出る。ただし硬木の黒い芯は、上等の材のしるしとして良い意味で言われる。
kekéla lisár dreumán.
読み:ケケーラ リサール ドレウマーン。
| kekél-a | lis-ár | dreum-án. |
| こねる-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 墨-<対格> |
「書記が墨を練る。」
書記が書き仕事のために墨を練る場面。主語 lisár は軽性単数なので、動詞は軽性の3人称単数形 kekéla。墨 dreumá の対格は dreum-án。
形容詞。名詞の後ろに置き、性・数・格に一致する。
古高原語 *dréum- から。基本の色彩語で、派生・複合の構造は確認できない。
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