小説
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石
石ころ、岩のかけら、建材の石など、石一般。重いもの、下へ向かうものの代表とされる。
éso houmíño aldáres áurenes món ál.
読み:エーソ ホウミーニョ アルダーレス アウレネス モーン アール。
| és-o | houmíño | aldár-es | áur-en-es | món | ál. |
| いる-<(重いものが)> | 椀<主格> | 座-<属格> | 昇る-<〜した・〜された>-<軽性・属格> | 石<主格> | 白い |
「高き座の椀は白い石(の器)である。」
宮廷の器の記述。aldár áuren(高き座)の属格が椀の持ち主をなす。述語の名詞句 món ál は自分の性・主格のまま置かれ、主語に一致しない。白い石英(聖なる石)を素材とする王の器の記述。
éso þúlno mónos klér.
読み:エーソ スルノ モーノス クレール。
| és-o | þúlno | món-os | klér. |
| いる-<(重いものが)> | 床<主格> | 石-<属格> | 冷たい |
「石の床は冷たい。」
日常の会話。重性子音語幹 món の属格単数は mónos。名詞句では中心語 þúlno の後ろに属格を置いて「石の床」と言い表す。述語形容詞 klér は名詞句の後に置かれる。
éso món þrúnen.
読み:エーソ モーン スルーネン。
| és-o | món | þrún-en. |
| いる-<(重いものが)> | 石<主格> | 表面を整える-<〜した・〜された> |
「石は表面を整えられて平らになっている。」
仕上げの結果状態。存在+分詞で受け身に相当する。主語 món は重性なので、分詞 þrúnen に主格接語はつかない。
tróuno món es dúnos.
読み:トローノ モーン エス ドゥーノス。
| tróun-o | món | es | dún-os. |
| 転がる<〜し終えた>-<(重いものが)> | 石<主格> | から | 丘-<属格> |
「石が丘から転がった。」
記録文のような平叙。完了相は u の語根 trún- が ou に変わる。es+属格で「〜から」を表し、出どころを示す。
sénim món sálen.
読み:セーニン モーン サーレン。
| sén-im | món | sál-en |
| 見る-<私が> | 石<対格> | ならす-<〜した・〜された> |
「私は平らな石を見る。」
日常の場面。VSOで動詞が文頭。目的語の món は重性子音語幹で、単数対格が主格と同型である。修飾する sálen も重性単数対格では語尾がつかない。
klúno món un drúmoi.
読み:クルーノ モーン ウン ドルーモイ。
| klún-o | món | un | drúm-oi. |
| 埋もれる-<(重いものが)> | 石<主格> | 内に | 苔-<与格> |
「石は苔に埋もれている。」
日常。主語は埋もれる対象。un+与格で「〜の中に」を示し、苔を覆い層として述べる。mónは重性子音語幹で、主格単数は無標。
monpúla endríña món só.
読み:モンプーラ エンドリーニャ モーン ソー。
| monpúl-a | endríña | món | só. |
| 軽く打つ-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 石<対格> | この<重性> |
「子どもがこの石を軽く叩く。」
硬い石の表面を断続的に当てる基本的な用法。主語が人なので動詞は軽性の3人称単数を取る。重性単数の対格は無標で、指示詞 só が性を示す。
éso món só pármo.
読み:エーソ モーン ソー パルモ。
| és-o | món | só | pármo. |
| いる-<(重いものが)> | 石<主格> | この<重性> | 道印<主格> |
「この石は道印だ。」
物を同定する文。繋辞 és- が主語 món「石」に一致して -o をとり、述語名詞 pármo は主格のまま後ろに置く。指示詞 só は名詞 món を受ける。
éso món só gáil.
読み:エーソ モーン ソー ガイル。
| és-o | món | só | gáil |
| いる-<(重いものが)> | 石<主格> | これ<重性> | 広い |
「この石(板石)は広い。」
建築・帳簿の記述で、床面や敷石に使う板石の面の広さを評す表現。物の体積ではなく、人が置く・通うための面の広さを言う。述語形容詞は主語に一致して重性単数の無標識形。
kráso món só.
読み:クラーソ モーン ソー。
| krás-o | món | só. |
| ひびが入る-<(重いものが)> | 石<主格> | この<重性> |
「この石にひびが入った。」
石が層に沿って割れ目が入った文。món は重性なので、動詞は重性の kráso をとる。粉々に砕けた意味ではなく、割れ目が入った意味。
klambíres ó dáu mónoun táses, táules ó.
読み:クランビーレス オー ダウ モーノウン ターセス、タウレス オー。
| klamb-ír-es | ó | dáu | món-oun | tás-es, | tául-es | ó |
| 挟む-<もし〜なら>-<あなたが> | <3人称単数・重性・対格> | 二 | 石-<双数・与格> | <あなた・所有>-<属格> | 取る-<あなたが> | <3人称単数・重性・対格> |
「自分の石二つでそれを挟めば、それを取れる。」
星盤の用語。盤の石は重性で、目的語は ó と受ける。押さえる自分の石二つは与格双数 món-oun、所有は名詞句末尾の tás-es。盤上の石は星と呼ばず、重性の名詞として扱う。
houmér món só!
読み:ホウメール モーン ソー!
| houmér | món | só |
| 囲む<命令法><あなたが> | 石<対格> | この<重性> |
「この石を囲め!」
星盤の手を指示する言い方。klámb-「挟む」が線の上で両側から押さえる手なのに対し、houmer- は輪にして取り巻く手。
sán mǘn trémul
読み:サーン ミューン トレームル
| sán | mǘn | trém-ul |
| いる<彼らが> | 石<〜ら(古い母音交替)> | 平ら-<〜ら(古い母音交替)> |
「石は平らだ。」
日常で、道の石や材木としての石を見立てる場での文。sán は és-「いる」の不規則な3人称複数形で、語根と人称・数の語尾が融合した一形態素として いる.3PL とグロスする。món の母音交替形 mǘn が重性の複数主格になる。述語形容詞 trém は重性複数主格の語尾 -ul を受ける。
盤の石(駒)
星盤や数え盤の上に置いて動かす白・黒の石。星とは呼ばず、白は món ál、黒は món dréum と言う。複数は規則形 mónul がよく使われる。
rímbim mónul.
読み:リンビン モーヌル。
| rímb-im | món-ul. |
| 数える-<私が> | 盤の石-PL.ACC. |
「私は盤の石を数えている。」
帳場や遊び場での日常的な文。món の盤の石の意味では、規則形の複数 mónul がよく使われる。目的語は重性複数で主格と対格が同形。動詞 rímb-「数える」の人称語尾 -im で主語がわかる。
石をいう基本の語。地面に転がる石ころ、割れた岩のかけら、石畳や土台に使う切り石まで、広く指す。石は世界観の上で「重いもの」の代表で、文法上も重性に属する。灰色の硬い石・薄く割れる黒い石・白い石英などの呼び分けは別の語が受け持ち、món はそれらをまとめて言う総称である。 転じて、盤上遊戯の星盤や、計算に使う数え盤の上に置いて動かす白・黒の石(駒)も món と呼ぶ。星盤の盤は星座を描いたものだが、動かす石は星ではない。そのため石を ilána「灯(星)」と呼ぶことは無作法とされ、かならず món と言う。石を「星」と呼ばないかぎり、石を数えて勝ち負けを決めても、星を数える禁忌には当たらないとされる。白い石は món ál、黒い石は món dréum と、形容詞を後ろに置いて言い分ける。数え盤では白い石が「一」、黒い石が「五」にあたる。 複数形は二通りある。石一般の意味では、古い母音交替の複数 mǘn を使う。盤の石の意味では、帳場の者や遊び手のあいだで規則形の mónul が広まっている。書の司や都の年長者は、盤の石についても mǘn が正しいとし、mónul を帳場言葉と見なす。日本語話者には món と mǘn が「モン」と「ミュン」の区別しにくい組に聞こえ、単数と複数を取り違えやすい。
重性・子音語幹。単数:主・対 món、属 mónos、与 mónoi。双数:主・対 mónou、属・与 mónoun。複数(石一般):主・対 mǘn(母音交替)、属 mǘnur、与 mǘnuls。複数(盤の石):主・対 mónul、属 mónur、与 mónuls の規則形も広く使われる。数詞と組む例:téir mónul「石三つ(盤の石)」。
古高原語 *móna から。強勢のある音節の直後で n に続く語末母音が、古い脱落によって落ちた。主格・対格にしか -a がなく、ほかの格は重性の接辞 *-o- をとった(*món-o-s)ので、語末母音は復元されなかった。綴りは〈mona〉。複数 mǘn は、古い複数語尾の i によるウムラウト(*o > ö > ü)の名残。派生語に moníño「小石」(指小 -íño)、monér-「石を敷く」(名詞から動詞を作る -ér-)がある。盤の石の規則複数 mónul は、帳場で石を数えるうちに、ふつうの重性名詞の型にならって新しく作られた形である。
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