gléin

品詞
形容詞
意味
清い
発音
[ˈglein]
読み
グレーン
分野
性質・状態

意味

  1. 清い

    汚れがなく清らかなこと。雨水や祀りの器など、物が澄んで清いさまを言う。

    ésa lisím sélvanes gléin.

    読み:エーサ リシーン セルヴァネス グレーン。

    és-alis-ímsélvan-esgléin.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜の技・〜さ>セルヴァン-<属格>清い

    「セルヴァンの書法は清い。」

    「AはBだ」の文も、繋辞 és- を先頭に置く。順序は「és-–主語–述語」。主語の lisím「書法」が軽性なので、繋辞は -a、述語の形容詞 gléin も軽性・主格の形(語尾なし)になる。

    lísa lisár plánan gléinin.

    読み:リーサ リサール プラーナン グレーニン。

    lís-alis-árplán-angléin-in.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>帳簿-<対格>清い-<〜して・〜く>

    「書記は帳簿を清く書く。」

    形容詞+-in で副詞「〜く」。

    na éso ílmo nagléin.

    読み:ナ エーソ イルモ ナグレーン。

    naés-oílmona-gléin.
    <〜ない>いる-<(重いものが)>水<主格><〜ない>-清い

    「水は清からぬものではない(悪くない水だ)。」

    二重否定。目上の人の持ち物や行いを、直接ほめずに控えめに評価する言い方。

    ké éso fóndar só gléin? éso gléin.

    読み:ケー エーソ フォンダル ソー グレーン?エーソ グレーン。

    kéés-ofóndarsógléin?és-ogléin.
    <〜か>いる-<(重いものが)>源<主格>この<重性>清いいる-<(重いものが)>清い

    「「この泉は清いか?」「清い。」」

    二人の発話。はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前に ké を置いて作る。fóndar は重性なので、繋辞は éso になる。述語の形容詞 gléin は重性・単数・主格に一致するが、この形には語尾がつかない。高原語には「はい」にあたる語がないので、答えでは問いの動詞をそのまま繰り返す。

    éso lóur só gléin.

    読み:エーソ ロール ソー グレーン。

    és-olóursógléin.
    いる-<(重いものが)>瀬<主格>この<重性>清い

    「この瀬は清い。」

    川辺や漁の場面のくだけた文。「AはBだ」の文も繋辞 és- で始める。lóur「瀬」は重性なので、繋辞は -o をとり、指示詞は só を使う。述語の形容詞 gléin は、重性・単数・主格の形で語尾がつかない。

    áura virá gléin, dúla virá rúgal.

    読み:アウラ ヴィラー グレーン、ドゥーラ ヴィラー ルーガル。

    áur-avirágléin,dúl-avirárúgal.
    昇る-<(軽いものが)>言葉<主格>清い下る-<(軽いものが)>言葉<主格>粗い

    「清い言葉は昇り、粗い言葉は下る。」

    言葉は息であり上へ昇る、という信仰を述べた言い習わし。粗い言葉は下へ沈むとされるが、virá は文法上つねに軽性なので、動詞 dúl- も重性の -o ではなく軽性の -a をとる。

    ésa virá sílares sé gléin.

    読み:エーサ ヴィラー シーラレス セー グレーン。

    és-avirásílar-ességléin.
    いる-<(軽いものが)>詩句<主格>月-<属格>この<軽性>清い

    「この月の句は清い。」

    詩の挨拶で返された句をほめる言い方。名詞句は「名詞–属格–指示詞」の順に並ぶ。指示詞 sé は格で形が変わらず、名詞句の終わりの目印になる。

    ésa pélsa sé gléin, táula kelár pelsó éles.

    読み:エーサ ペルサ セー グレーン、タウラ ケラール ペルソー エーレス。

    és-apélsaségléin,tául-akel-árpelsóél-es.
    いる-<(軽いものが)>脂の木<主格>この<軽性>清い取る-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>樹脂<対格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「この脂の木は清い。樵はその樹脂を採る。」

    立ち木から樹脂を採る話。立ち木なので、pélsa を受ける繋辞も代名詞も軽性の形になる(ésa、éles)。樹脂 pelsó は重性o語幹の名詞で、主格と対格が同じ形になる。主節を二つ並べるので、あいだに区切りの印を打つ。

    ésa lisím sé gléin.

    読み:エーサ リシーン セー グレーン。

    és-alis-ímségléin.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜の技・〜さ>この<軽性>清い

    「この書法は清い。」

    書の出来をほめる言い方。lisím「書法」は軽性なので、指示詞は軽性の sé を名詞の後ろに置く。sé は格では形が変わらない。関係節がないときは、指示詞が名詞句の終わりの目印になる。繋辞 és- が文頭に来て、述語の形容詞 gléin は主語に一致する。

    éso þéul gléin.

    読み:エーソ セウル グレーン。

    és-oþéulgléin.
    いる-<(重いものが)>湧き水<主格>清い

    「湧き水は清い。」

    「AはBだ」の文で、繋辞 és- を文頭に置く。地を流れる水は重性なので、繋辞は -o をとり、形容詞は重性・主格の形(語尾なし)になる。

    níla torár ílmo gléin.

    読み:ニーラ トラール イルモ グレーン。

    níl-atorárílmogléin.
    飲む-<(軽いものが)>客<主格>水<対格>清い

    「客は清い水を飲む。」

    VSO の基本の文。ílmo は重性o語幹で主格と対格が同じ形なので、形容詞も重性・対格の形(語尾なし)になる。客に清い水を出すのは、もてなしの場面でよく使う言い方。

    ésa rimbá sáindares sé gléin.

    読み:エーサ リンバー サインダレス セー グレーン。

    és-arimbásáindar-ességléin.
    いる-<(軽いものが)>数の欄<主格>証文-<属格>この<軽性>清い

    「この証文の数の欄は、書き損じもなくきれいだ。」

    検めで証文の書きぶりをほめる言い方。名詞句は「名詞–属格–指示詞」の順に並ぶ。rimbá は軽性なので、指示詞は sé、述語の gléin も軽性・主格の形になる。

    ésa sóila dubréles gléin.

    読み:エーサ ソイラ ドゥブレーレス グレーン。

    és-asóiladubrél-esgléin.
    いる-<(軽いものが)>髪<主格>弟妹-<属格>清い

    「妹の髪は清らかだ。」

    「AはBだ」の文で、és-・主語・述語の順に並ぶ。dubrél は人を指すので軽性で、属格は -es。述語の形容詞 gléin は、軽性の主語 sóila に一致する(単数主格なので語尾はない)。

    sén lámo, ende. éso sáko gléin.

    読み:セーン ラーモ、エンデ。エーソ サーコ グレーン。

    sénlámo,ende.és-osákogléin.
    見る<命令法><あなたが>掌<対格>どうぞいる-<(重いものが)>塩<主格>清い

    「掌を見てくれ、頼む。塩は清いぞ。」

    縁の市の取引言葉。むき出しの語幹 sén に ende を添える。lámo は重性o語幹の名詞なので、対格も主格と同じ形になる。sáko「塩」は干潟から借りた重性名詞なので、繋辞は重性の éso になり、gléin も重性・主格の形(語尾なし)をとる。掌に塩をひとつまみ載せて見せるのは、品を確かめさせるときのしぐさ。

    fíndan aursárai viráis gléinais.

    読み:フィンダン アウルサーライ ヴィライス グレーナイス。

    fínd-anaursár-aivir-áisgléin-ais.
    聞く-<彼らが>祖先-<〜たちが>言葉-<〜たちを>清い-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格>

    「祖先たちは、清い言葉を聞き届ける。」

    整った言葉は息となって上へ昇り、天の祖先に届くという信仰を表す、格言のような一句。主語の複数主格 aursárai に合わせて、動詞は3人称複数の -an をとる。形容詞 gléin は、修飾する viráis に合わせて軽性・複数・対格の -ais で一致する。

    gléin álmar, rús rúsil.

    読み:グレーン アルマル、ルース ルーシル。

    gléinálmar,rúsrúsil.
    清い白月<主格>赤い赤月<主格>

    「清きは白月、赤きは赤月。」

    二つの月を並べて対比する諺。諺では繋辞 és- を落とし、述語の形容詞を先に置くので、「名詞+形容詞」のふつうの語順とは逆になる。白月は秩序と祖先の象徴、赤月は落ち着きのない「下の国の月」とされ、その違いを含ませている。

    éso þéul só gléin.

    読み:エーソ セウル ソー グレーン。

    és-oþéulsógléin.
    いる-<(重いものが)>湧き水<主格>この<重性>清い

    「この湧き水は清い。」

    繋辞 éis- を先頭に置いた「AはBだ」の文。þéul は重性なので、繋辞は -o、指示詞は重性の só になる。述語の形容詞 gléin は、重性・主格の形(語尾なし)で一致している。泉の水が清いことは、日常でもよく話題にされる。

    gléin þéul, múr dálor.

    読み:グレーン セウル、ムール ダーロル。

    gléinþéul,múrdálor.
    清い清い始まり<主格>濁った下の国<主格>

    「清きは始まり、濁れるは下の国。」

    格言・詩句の形。繋辞を落とし、述語の形容詞を先に置いている。源に近いものほど清く、下るほど濁るという、川と系譜の見方を一句にまとめたもの。会話に引くと、形容詞が先頭に来る語順から格言だとわかる。

    ké ésa réina gléin tásei?

    読み:ケー エーサ レーナ グレーン ターセイ?

    kéés-aréinagléintás-ei?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>雨水<主格>清い<あなた>-<与格>

    「清い雨水はお前のところにあるか。」

    墨をするときや祀りの器を清めるときに、家の者に尋ねる言い方。所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持ち主ではなく、持たれている雨水 réina(軽性)に一致する。答えは éisa か na éisa。

    esésa réina gléin.

    読み:エセーサ レーナ グレーン。

    es-és-aréinagléin.
    いる-<〜すべし>-<(軽いものが)>雨水<主格>清い

    「雨水は清くあるべし。」

    祀りの作法を記した書の一句。当為法の動詞が主語の réina(軽性)に一致して、-a をとる。強勢は -és- に移る。軒で集めた雨水を祀りに使うときの決まりを述べたもの。

    gléin anléuma, gróm duléumo.

    読み:グレーン アンレウマ、グローン ドゥレウモ。

    gléinanléuma,grómduléumo.
    清い上の風<主格>重い下の風<主格>

    「清きは上の風、重きは下の風。」

    諺の形の文。諺や詩では繋辞 és- を落とし、述語の形容詞を先に置く。ふつうの名詞句は「名詞+形容詞」の順なので、形容詞で始まる文はそれだけで格言だとわかる。gléin は軽性の anléuma に、gróm は重性の duléumo に一致しているが、どちらも単数・主格なので語尾はつかない。上から来る風と下から来る風の良し悪しを対にして言う。

    élþo fóurel, éso aurándo gléin.

    読み:エルソ フォーレル、エーソ アウランド グレーン。

    élþ-ofóurel,és-oaurándogléin.
    燃える-<(重いものが)>香の木<主格>いる-<(重いものが)>社<主格>清い

    「香の木がくすぶり、社は清らかである。」

    香として焚かれる香の木は伐られた材なので、動詞は重性の -o で一致する。社 aurándo も重性なので、繋辞は éso になり、形容詞 gléin は重性・主格の形(語尾なし)になる。香の煙は上へ昇るものとして、祀りに欠かせない。

    gléin nourá, fláin selvá.

    読み:グレーン ノウラー、フライン セルヴァー。

    gléinnourá,fláinselvá.
    清い心軽い息

    「清きは心、軽きは息。」

    諺。繋辞を落とし、形容詞を先に出す格言の語順。心が清ければ息(言葉)は軽く昇る、という教え。

    ésa aunourá aulisáres gléin.

    読み:エーサ アウノウラー アウリサーレス グレーン。

    és-aau-nouráau-lis-ár-esgléin.
    いる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-思い<お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<属格>清い

    「書記の方のお考えは筋が通っている。」

    目上の人の考えには、持ち物と同じく au- をつけて高める。nourá は軽性なので、繋辞は -a、述語の形容詞 gléin も軽性・主格の形になる。「清い」は考えについて言うと「筋が通っている、濁りがない」の意味になる。

    ké ésa tíula sé gléin?

    読み:ケー エーサ ティーウラ セー グレーン?

    kéés-atíulaségléin?
    <〜か>いる-<(軽いものが)>音<主格>この<軽性>清い

    「この音は澄んでいるか?」

    日常の問い。繋辞 és- を先頭に置き、「és-–主語–述語」の順に並べる。tíula「音」は軽性なので、繋辞は -a、述語の gléin も軽性・主格の形になる。軽性の指示詞 sé は格によって形が変わらず、名詞句の最後に置く。

    séuril tíula virár, gléin selvá.

    読み:セウリル ティーウラ ヴィラール、グレーン セルヴァー。

    séuriltíulavir-ár,gléinselvá.
    美しい響き<主格>言葉-<〜らの>清い息<主格>

    「美しきは言葉の響き、清きは息。」

    整った言葉をほめるときに引く、格言ふうの詩句。諺や詩では繋辞を落として形容詞を先に置くので、それだけで格言だとわかる。この意味の tíula は、人の声や詩句の音としての美しさを言う。

    ésa tíula ombrílur sélvanes gléin.

    読み:エーサ ティーウラ オンブリールル セルヴァネス グレーン。

    és-atíulaombríl-ursélvan-esgléin.
    いる-<(軽いものが)>響き<主格>句-<〜らの>セルヴァン-<属格>清い

    「「セルヴァンの句の響きは清らかだ。」」

    人の詩をほめるときの言い方。詩は句と拍で数え、句の響き(強勢と音節の重さの並び)が整っていることが教養の証とされる。名詞句の中では、中心の名詞 tíula の後ろに属格が続く。繋辞と述語の形容詞は、軽性の主語 tíula に一致している。

    fóndel aursár, gléin selvá éles.

    読み:フォンデル アウルサール、グレーン セルヴァー エーレス。

    fóndelaursár,gléinselváél-es.
    源に近い祖先<主格>清い息<主格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「源に近きは祖、清きはその息。」

    諺や詩の形。繋辞を落とし、述語の形容詞を先に置く。ふつうの名詞句は「名詞–形容詞」の順なので、形容詞が先頭に来ると、格言や詩句だとわかる。

    ésa rása sé gléin.

    読み:エーサ ラーサ セー グレーン。

    és-arásaségléin.
    いる-<(軽いものが)>衣<主格>この<軽性>清い

    「この衣は清らかだ。」

    繋辞の文。rása は軽性なので、繋辞は -a、指示詞は sé、形容詞 gléin は軽性・主格の形(語尾なし)になる。

    gléin dreumá, áuren virá.

    読み:グレーン ドレウマー、アウレン ヴィラー。

    gléindreumá,áur-envirá.
    清い墨<主格>昇る-<〜した・〜された>言葉<主格>

    「清きは墨、高きは言葉。」

    書の手ほどきで引かれる諺。諺では繋辞を落として述語を先に置くので、形容詞が文頭に来る。雨水ですった清い墨で書いた字は上へ昇りやすい、という信仰をふまえている。

    toríro nébro, na eséla meirtaulá gléin.

    読み:トリーロ ネーブロ、ナ エセーラ メイルタウラー グレーン。

    tor-ír-onébro,naes-él-ameirtaulágléin.
    来る-<もし〜なら>-<(重いものが)>霧<主格><〜ない>いる-<〜だろう>-<(軽いものが)>取引<主格>清い

    「霧が来てから結んだ取引は、清いものとはされまい。」

    条件の節は接続詞を使わず、仮定法だけで作る。霧 nébro は重性なので -o をとる。帰結の節は推量法で、na で否定する。主語の meirtaulá は軽性なので -a をとる。霧の中で結んだ約束は重んじられないので、精算は霧の前に済ませる。

    lúin éso nébro, na ésa þondá gléin.

    読み:ルーイン エーソ ネーブロ、ナ エーサ ソンダー グレーン。

    lúinés-onébro,naés-aþondágléin.
    ときいる-<(重いものが)>霧<主格><〜ない>いる-<(軽いものが)>約束<主格>清い

    「霧の出ているときの約束は、清い約束ではない(当てにならない)。」

    霧期に結んだ約束は重んじられないことを言う、日常の言い方。lúin の節は主節の前に置く。後半は繋辞の文で、na で否定する。þondá は軽性なので、繋辞は -a で一致する。

    ésa loimá ráuvanes gléin.

    読み:エーサ ロイマー ラウヴァネス グレーン。

    és-aloimáráuvan-esgléin.
    いる-<(軽いものが)>詞<主格>森の巫-<属格>清い

    「森の巫の詞は清い。」

    「AはBだ」の文も、繋辞 és- を文頭に置く。順序は「és-–主語–述語」。主語 loimá は軽性なので、繋辞は -a、述語の形容詞 gléin は軽性・主格の語尾のない形になる。属格 ráuvanes は名詞の後ろに置く。

    ésa lisím sélvanes gléin. vérin.

    読み:エーサ リシーン セルヴァネス グレーン。ヴェーリン。

    és-alis-ímsélvan-esgléin.vérin.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜の技・〜さ>セルヴァン-<属格>清いそのとおり

    「「セルヴァンの書法は清い。」「そのとおりだ。」」

    相手の評言を正しいと認める返事。高原語には「はい」がなく、問いには動詞を繰り返して答えるが、言い切りの文に同意するときは vérin を使う。lisím「書法」は lísim「私が書く」と強勢の位置だけで区別される。

    ésa lisá sé gléin.

    読み:エーサ リサー セー グレーン。

    és-alisáségléin.
    いる-<(軽いものが)>字<主格>この<軽性>清い

    「この字は清い(美しく整っている)。」

    字の美しさをほめる言い方。繋辞 és- を文頭に置き、「és-–主語–述語」の順にする。字 lisá は言葉を載せて昇るものなので軽性で、繋辞は -a、述語の gléin も軽性・主格の形になる。

    ésa lisá sáindares sé gléin.

    読み:エーサ リサー サインダレス セー グレーン。

    és-alisásáindar-ességléin.
    いる-<(軽いものが)>文面<主格>証文-<属格>この<軽性>清い

    「この証文の文面は清い(書き換えの跡がない)。」

    lisá は「字」から転じて、書かれた文面全体を指すことがある。名詞句の並びは「名詞–属格–指示詞」。gléin「清い」は、文面について言うと、改ざんがなく正しいという含みになる。

    selvána ausenár ré ésa lisá sáindares gléin.

    読み:セルヴァーナ アウセナール レー エーサ リサー サインダレス グレーン。

    selván-aau-sen-árréés-alisásáindar-esgléin.
    おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>文面<主格>証文-<属格>清い

    「目付殿は、証文の文面に誤りはないとおっしゃる。」

    縁の市で揉め事を裁く場面の言い方。王国では書かれたものが正しいとされるので、目付は証文の文面を確かめる。ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。

    áuren virnourá, gléin mélna.

    読み:アウレン ヴィルノウラー、グレーン メルナ。

    áur-envirnourá,gléinmélna
    昇る-<〜した・〜された>含み<主格>清い詩<主格>

    「高きは含み、清きは詩。」

    よい詩をほめるときに引かれる、格言ふうの句。繋辞を落とし、述語の形容詞・分詞を先に置く諺の語順になっている。ほのめかしが深いほど詩は「高く昇る」という考え方を表している。

    selvána aurél ré ésa mélna sé gléin.

    読み:セルヴァーナ アウレール レー エーサ メルナ セー グレーン。

    selván-aaurélréés-amélnaségléin
    おっしゃる-<(軽いものが)>あの方<主格><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>詩<主格>この<軽性>清い

    「あの方は、この詩は清いとおっしゃる。」

    目上の人の言葉を伝える改まった言い方。selván- は「言う」の尊敬の補充形。ré の後ろの節も動詞で始まり、繋辞 ésa が主語 mélna(軽性)に一致する。

    ésa freimvirá ausenáres gléin.

    読み:エーサ フレインヴィラー アウセナーレス グレーン。

    és-afreimviráau-sen-ár-esgléin.
    いる-<(軽いものが)>言い直し<主格><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<属格>清い

    「目付殿の言い直しは、はっきりと聞き取れる。」

    繋辞 és- を先頭に置く「AはBだ」の文。目上の人の言葉なので、持ち主の役職名に au- をつけて属格にする。述語の gléin は軽性の主語に一致し、語尾がつかない。

    éso vríndo só gléin.

    読み:エーソ ヴリンド ソー グレーン。

    és-ovríndosógléin.
    いる-<(重いものが)>敷居<主格>この<重性>清い

    「この敷居は清い。」

    書物や儀礼の場向けの説明文。存在・繋辞の és- を動詞として動詞文に組み立てる。vríndo は主格で、重性o語幹では主格と対格が同形。述語の形容詞 gléin は主語 vríndo に一致するが、重性単数主格では語尾が現れない。

    ésa senlíra gléin.

    読み:エーサ センリーラ グレーン。

    és-asenlíragléin.
    いる-<(軽いものが)>視線<主格>清い

    「視線は清い。」

    名詞を主語に置き、状態を表す例。軽性a語幹名詞として、主格の発音形そのまま使う。

    funeltrénan faronárai fúnel gléinin.

    読み:フネルトレーナン ファロナーライ フーネル グレーニン。

    funeltrén-anfaron-ár-aifúnelgléin-in.
    綱を手繰る-<彼らが>荷-<〜する人>-<〜たちが>綱<対格>清い-ADV

    「運び人たちは綱を整えながら手繰る。」

    作法書や手引のような常態文。主語が複数なので動詞は3複語尾 -an。gléinin が整える様子を表し、意味2として読む。

    wéro ílmo gléin es reinándos.

    読み:ウェーロ イルモ グレーン エス レイナンドス。

    wér-oílmogléinesreinánd-os.
    滴る-<(重いものが)>水<主格>清いから雨水甕-<属格>

    「甕からの清い水がぽつぽつと落ちる。」

    祭祀や家屋の書で使われる、雨水甕からの澄んだ水に関する文。主語は重性の水で、動詞は3人称単数・重性。wér- は連続的な流れではなく、点々と離れる滴に用いる。

    ésa filíña sé gléin.

    読み:エーサ フィリーニャ セー グレーン。

    és-afilíñaségléin.
    いる-<(軽いものが)>字母<主格>この<軽性>清い

    「この字母は清い。」

    名詞句 filíña sé を主語とし、述語の形容詞 gléin がこれを受ける。繋辞 ésa は軽性 3 人称単数。

    múndula ólmar ílmo gléin.

    読み:ムンドゥラ オルマル イルモ グレーン。

    múndul-aólmarílmogléin.
    注ぐ-<(軽いものが)>年長者<主格>水<対格>清い

    「年長者が清い水を注ぐ。」

    祭祀や書物の文脈で使える言い方。名詞 ílmo は重性で、後置の形容詞 gléin は重性単数の無標語尾。器の口を下げて上から来る水を扱う動作として自然な文。

    ésa sáva sé gléin.

    読み:エーサ サーヴァ セー グレーン。

    és-asávaségléin.
    いる-<(軽いものが)>匙<主格>この<軽性>清い

    「この匙は清い。」

    sáva を主格で使う標準的な述語文。軽性の指示詞 sé は sáva を受け、gléin は述語の形容詞。

    ésa dravéna gléin

    読み:エーサ ドラヴェーナ グレーン

    és-adravénagléin
    いる-<(軽いものが)>森<主格>清い

    「森は清い。」

    森の民が森を軽性として受けた文。dravéna は軽性 a 語幹の名詞として活用し、存在動詞は軽性の単数3人称 -a で受ける。形容詞 gléin は主格単数では語尾を取らない。同じ意味を都の人が言う場合、存在動詞を重性の一致で受けることもある。

    éso eelþó só nagléin.

    読み:エーソ エールソー ソー ナグレーン。

    és-oeelþósóna-gléin.
    いる-<(重いものが)>灰汁<単数><主格>この<重性><〜ない>-清い

    「この灰汁は濁っている。」

    日常会話で、洗い水としての灰汁の状態を述べる文。主語が重性なので、存在・繋辞の動詞は3単重性の-oで受ける。名詞の直後に重性指示詞sóを置く。nagléinはgléin「清い」に否定接頭辞na-を付けた形容詞で、ここでは灰汁が澄んでいないことを「清からぬ」と述べている。

    un aurselvándoi ésa selvá gléin.

    読み:ウン アウルセルヴァンドイ エーサ セルヴァー グレーン。

    unaurselvánd-oiés-aselvágléin
    内に息の通路-<与格>いる-<(軽いものが)>息<主格>清い

    「息の通路の中で、息は清い。」

    儀礼・詩の場面。aurselvándo を「息の通路」として、息が清まる場所を示す比喩用法。述語の形容詞の文に場所を添えるとき、un+与格は動詞の前に出す(統語論3.2、例文48)。動詞の後ろに置くと存在文として読まれる。主語 selvá は軽性なので copula は -a をとる。

  2. (言葉・書が)清らかな

    言葉や書きぶりが整って美しいことをほめて言う。

    vóilim sáindaran gléinan.

    読み:ヴォイリン サインダラン グレーナン。

    vóil-imsáindar-angléin-an.
    読む-<私が>証文-<対格>清らかな-<軽性・対格>

    「清らかな書きぶりの証文を読む。」

    言葉や書きぶりが整っていることをほめる用法。証文 sáindar は軽性の子音語幹なので、形容詞は軽性・対格の -an で一致する。書きぶりで書き手の教養を測る習わしをふまえた言い方。

    aurénde virá gléin.

    読み:アウレンデ ヴィラー グレーン。

    aur-énd-evirágléin.
    昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)>言葉<主格>清らかな

    「清らかな言葉が昇りますように。」

    祈りや詩の結びに使う決まった言い方。願望法の3人称単数・軽性では、語尾が -e になる。整った言葉は煙のように祖先のもとへ昇る、という考え方をそのまま言い表している。

解説

汚れがなく清らかなことを表す本来の形容詞。名詞の後ろに置き、名詞の性・数・格に一致する。上から来た雨水、整った言葉や書きぶり、祀りの器などに使う、ほめる響きの強い語。述語になるときは és- の後ろの主語に一致する(ésa lisím sélvanes gléin)。諺や詩では繋辞を落として述語を先に置き、gléin selvá「清きは息」のように言う。

文法

形容詞。名詞の後ろに置き、性・数・格に一致する(軽性は②型、重性は③型の語尾)。

語源

古高原語 *gléin から。動詞から派生した分詞ではなく、本来の形容詞。

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