小説
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清い
汚れがなく清らかなこと。雨水や祀りの器など、物が澄んで清いさまを言う。
ésa lisím sélvanes gléin.
読み:エーサ リシーン セルヴァネス グレーン。
| és-a | lis-ím | sélvan-es | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 書く-<〜の技・〜さ> | セルヴァン-<属格> | 清い |
「セルヴァンの書法は清い。」
「AはBだ」の文も、繋辞 és- を先頭に置く。順序は「és-–主語–述語」。主語の lisím「書法」が軽性なので、繋辞は -a、述語の形容詞 gléin も軽性・主格の形(語尾なし)になる。
lísa lisár plánan gléinin.
読み:リーサ リサール プラーナン グレーニン。
| lís-a | lis-ár | plán-an | gléin-in. |
| 書く-<(軽いものが)> | 書く-<〜する人> | 帳簿-<対格> | 清い-<〜して・〜く> |
「書記は帳簿を清く書く。」
形容詞+-in で副詞「〜く」。
na éso ílmo nagléin.
読み:ナ エーソ イルモ ナグレーン。
| na | és-o | ílmo | na-gléin. |
| <〜ない> | いる-<(重いものが)> | 水<主格> | <〜ない>-清い |
「水は清からぬものではない(悪くない水だ)。」
二重否定。目上の人の持ち物や行いを、直接ほめずに控えめに評価する言い方。
ké éso fóndar só gléin? éso gléin.
読み:ケー エーソ フォンダル ソー グレーン?エーソ グレーン。
| ké | és-o | fóndar | só | gléin? | és-o | gléin. |
| <〜か> | いる-<(重いものが)> | 源<主格> | この<重性> | 清い | いる-<(重いものが)> | 清い |
「「この泉は清いか?」「清い。」」
二人の発話。はい・いいえで答える問いは、文のいちばん前に ké を置いて作る。fóndar は重性なので、繋辞は éso になる。述語の形容詞 gléin は重性・単数・主格に一致するが、この形には語尾がつかない。高原語には「はい」にあたる語がないので、答えでは問いの動詞をそのまま繰り返す。
éso lóur só gléin.
読み:エーソ ロール ソー グレーン。
| és-o | lóur | só | gléin. |
| いる-<(重いものが)> | 瀬<主格> | この<重性> | 清い |
「この瀬は清い。」
川辺や漁の場面のくだけた文。「AはBだ」の文も繋辞 és- で始める。lóur「瀬」は重性なので、繋辞は -o をとり、指示詞は só を使う。述語の形容詞 gléin は、重性・単数・主格の形で語尾がつかない。
áura virá gléin, dúla virá rúgal.
読み:アウラ ヴィラー グレーン、ドゥーラ ヴィラー ルーガル。
| áur-a | virá | gléin, | dúl-a | virá | rúgal. |
| 昇る-<(軽いものが)> | 言葉<主格> | 清い | 下る-<(軽いものが)> | 言葉<主格> | 粗い |
「清い言葉は昇り、粗い言葉は下る。」
言葉は息であり上へ昇る、という信仰を述べた言い習わし。粗い言葉は下へ沈むとされるが、virá は文法上つねに軽性なので、動詞 dúl- も重性の -o ではなく軽性の -a をとる。
ésa virá sílares sé gléin.
読み:エーサ ヴィラー シーラレス セー グレーン。
| és-a | virá | sílar-es | sé | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 詩句<主格> | 月-<属格> | この<軽性> | 清い |
「この月の句は清い。」
詩の挨拶で返された句をほめる言い方。名詞句は「名詞–属格–指示詞」の順に並ぶ。指示詞 sé は格で形が変わらず、名詞句の終わりの目印になる。
ésa pélsa sé gléin, táula kelár pelsó éles.
読み:エーサ ペルサ セー グレーン、タウラ ケラール ペルソー エーレス。
| és-a | pélsa | sé | gléin, | tául-a | kel-ár | pelsó | él-es. |
| いる-<(軽いものが)> | 脂の木<主格> | この<軽性> | 清い | 取る-<(軽いものが)> | 伐る-<〜する人・主格> | 樹脂<対格> | <3人称単数・軽性>-<属格> |
「この脂の木は清い。樵はその樹脂を採る。」
立ち木から樹脂を採る話。立ち木なので、pélsa を受ける繋辞も代名詞も軽性の形になる(ésa、éles)。樹脂 pelsó は重性o語幹の名詞で、主格と対格が同じ形になる。主節を二つ並べるので、あいだに区切りの印を打つ。
ésa lisím sé gléin.
読み:エーサ リシーン セー グレーン。
| és-a | lis-ím | sé | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 書く-<〜の技・〜さ> | この<軽性> | 清い |
「この書法は清い。」
書の出来をほめる言い方。lisím「書法」は軽性なので、指示詞は軽性の sé を名詞の後ろに置く。sé は格では形が変わらない。関係節がないときは、指示詞が名詞句の終わりの目印になる。繋辞 és- が文頭に来て、述語の形容詞 gléin は主語に一致する。
éso þéul gléin.
読み:エーソ セウル グレーン。
| és-o | þéul | gléin. |
| いる-<(重いものが)> | 湧き水<主格> | 清い |
「湧き水は清い。」
「AはBだ」の文で、繋辞 és- を文頭に置く。地を流れる水は重性なので、繋辞は -o をとり、形容詞は重性・主格の形(語尾なし)になる。
níla torár ílmo gléin.
読み:ニーラ トラール イルモ グレーン。
| níl-a | torár | ílmo | gléin. |
| 飲む-<(軽いものが)> | 客<主格> | 水<対格> | 清い |
「客は清い水を飲む。」
VSO の基本の文。ílmo は重性o語幹で主格と対格が同じ形なので、形容詞も重性・対格の形(語尾なし)になる。客に清い水を出すのは、もてなしの場面でよく使う言い方。
ésa rimbá sáindares sé gléin.
読み:エーサ リンバー サインダレス セー グレーン。
| és-a | rimbá | sáindar-es | sé | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 数の欄<主格> | 証文-<属格> | この<軽性> | 清い |
「この証文の数の欄は、書き損じもなくきれいだ。」
検めで証文の書きぶりをほめる言い方。名詞句は「名詞–属格–指示詞」の順に並ぶ。rimbá は軽性なので、指示詞は sé、述語の gléin も軽性・主格の形になる。
ésa sóila dubréles gléin.
読み:エーサ ソイラ ドゥブレーレス グレーン。
| és-a | sóila | dubrél-es | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 髪<主格> | 弟妹-<属格> | 清い |
「妹の髪は清らかだ。」
「AはBだ」の文で、és-・主語・述語の順に並ぶ。dubrél は人を指すので軽性で、属格は -es。述語の形容詞 gléin は、軽性の主語 sóila に一致する(単数主格なので語尾はない)。
sén lámo, ende. éso sáko gléin.
読み:セーン ラーモ、エンデ。エーソ サーコ グレーン。
| sén | lámo, | ende. | és-o | sáko | gléin. |
| 見る<命令法><あなたが> | 掌<対格> | どうぞ | いる-<(重いものが)> | 塩<主格> | 清い |
「掌を見てくれ、頼む。塩は清いぞ。」
縁の市の取引言葉。むき出しの語幹 sén に ende を添える。lámo は重性o語幹の名詞なので、対格も主格と同じ形になる。sáko「塩」は干潟から借りた重性名詞なので、繋辞は重性の éso になり、gléin も重性・主格の形(語尾なし)をとる。掌に塩をひとつまみ載せて見せるのは、品を確かめさせるときのしぐさ。
fíndan aursárai viráis gléinais.
読み:フィンダン アウルサーライ ヴィライス グレーナイス。
| fínd-an | aursár-ai | vir-áis | gléin-ais. |
| 聞く-<彼らが> | 祖先-<〜たちが> | 言葉-<〜たちを> | 清い-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格> |
「祖先たちは、清い言葉を聞き届ける。」
整った言葉は息となって上へ昇り、天の祖先に届くという信仰を表す、格言のような一句。主語の複数主格 aursárai に合わせて、動詞は3人称複数の -an をとる。形容詞 gléin は、修飾する viráis に合わせて軽性・複数・対格の -ais で一致する。
gléin álmar, rús rúsil.
読み:グレーン アルマル、ルース ルーシル。
| gléin | álmar, | rús | rúsil. |
| 清い | 白月<主格> | 赤い | 赤月<主格> |
「清きは白月、赤きは赤月。」
二つの月を並べて対比する諺。諺では繋辞 és- を落とし、述語の形容詞を先に置くので、「名詞+形容詞」のふつうの語順とは逆になる。白月は秩序と祖先の象徴、赤月は落ち着きのない「下の国の月」とされ、その違いを含ませている。
éso þéul só gléin.
読み:エーソ セウル ソー グレーン。
| és-o | þéul | só | gléin. |
| いる-<(重いものが)> | 湧き水<主格> | この<重性> | 清い |
「この湧き水は清い。」
繋辞 éis- を先頭に置いた「AはBだ」の文。þéul は重性なので、繋辞は -o、指示詞は重性の só になる。述語の形容詞 gléin は、重性・主格の形(語尾なし)で一致している。泉の水が清いことは、日常でもよく話題にされる。
gléin þéul, múr dálor.
読み:グレーン セウル、ムール ダーロル。
| gléin | þéul, | múr | dálor. |
| 清い | 清い始まり<主格> | 濁った | 下の国<主格> |
「清きは始まり、濁れるは下の国。」
格言・詩句の形。繋辞を落とし、述語の形容詞を先に置いている。源に近いものほど清く、下るほど濁るという、川と系譜の見方を一句にまとめたもの。会話に引くと、形容詞が先頭に来る語順から格言だとわかる。
ké ésa réina gléin tásei?
読み:ケー エーサ レーナ グレーン ターセイ?
| ké | és-a | réina | gléin | tás-ei? |
| <〜か> | いる-<(軽いものが)> | 雨水<主格> | 清い | <あなた>-<与格> |
「清い雨水はお前のところにあるか。」
墨をするときや祀りの器を清めるときに、家の者に尋ねる言い方。所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持ち主ではなく、持たれている雨水 réina(軽性)に一致する。答えは éisa か na éisa。
esésa réina gléin.
読み:エセーサ レーナ グレーン。
| es-és-a | réina | gléin. |
| いる-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 雨水<主格> | 清い |
「雨水は清くあるべし。」
祀りの作法を記した書の一句。当為法の動詞が主語の réina(軽性)に一致して、-a をとる。強勢は -és- に移る。軒で集めた雨水を祀りに使うときの決まりを述べたもの。
gléin anléuma, gróm duléumo.
読み:グレーン アンレウマ、グローン ドゥレウモ。
| gléin | anléuma, | gróm | duléumo. |
| 清い | 上の風<主格> | 重い | 下の風<主格> |
「清きは上の風、重きは下の風。」
諺の形の文。諺や詩では繋辞 és- を落とし、述語の形容詞を先に置く。ふつうの名詞句は「名詞+形容詞」の順なので、形容詞で始まる文はそれだけで格言だとわかる。gléin は軽性の anléuma に、gróm は重性の duléumo に一致しているが、どちらも単数・主格なので語尾はつかない。上から来る風と下から来る風の良し悪しを対にして言う。
élþo fóurel, éso aurándo gléin.
読み:エルソ フォーレル、エーソ アウランド グレーン。
| élþ-o | fóurel, | és-o | aurándo | gléin. |
| 燃える-<(重いものが)> | 香の木<主格> | いる-<(重いものが)> | 社<主格> | 清い |
「香の木がくすぶり、社は清らかである。」
香として焚かれる香の木は伐られた材なので、動詞は重性の -o で一致する。社 aurándo も重性なので、繋辞は éso になり、形容詞 gléin は重性・主格の形(語尾なし)になる。香の煙は上へ昇るものとして、祀りに欠かせない。
gléin nourá, fláin selvá.
読み:グレーン ノウラー、フライン セルヴァー。
| gléin | nourá, | fláin | selvá. |
| 清い | 心 | 軽い | 息 |
「清きは心、軽きは息。」
諺。繋辞を落とし、形容詞を先に出す格言の語順。心が清ければ息(言葉)は軽く昇る、という教え。
ésa aunourá aulisáres gléin.
読み:エーサ アウノウラー アウリサーレス グレーン。
| és-a | au-nourá | au-lis-ár-es | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-思い | <お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<属格> | 清い |
「書記の方のお考えは筋が通っている。」
目上の人の考えには、持ち物と同じく au- をつけて高める。nourá は軽性なので、繋辞は -a、述語の形容詞 gléin も軽性・主格の形になる。「清い」は考えについて言うと「筋が通っている、濁りがない」の意味になる。
ké ésa tíula sé gléin?
読み:ケー エーサ ティーウラ セー グレーン?
| ké | és-a | tíula | sé | gléin? |
| <〜か> | いる-<(軽いものが)> | 音<主格> | この<軽性> | 清い |
「この音は澄んでいるか?」
日常の問い。繋辞 és- を先頭に置き、「és-–主語–述語」の順に並べる。tíula「音」は軽性なので、繋辞は -a、述語の gléin も軽性・主格の形になる。軽性の指示詞 sé は格によって形が変わらず、名詞句の最後に置く。
séuril tíula virár, gléin selvá.
読み:セウリル ティーウラ ヴィラール、グレーン セルヴァー。
| séuril | tíula | vir-ár, | gléin | selvá. |
| 美しい | 響き<主格> | 言葉-<〜らの> | 清い | 息<主格> |
「美しきは言葉の響き、清きは息。」
整った言葉をほめるときに引く、格言ふうの詩句。諺や詩では繋辞を落として形容詞を先に置くので、それだけで格言だとわかる。この意味の tíula は、人の声や詩句の音としての美しさを言う。
ésa tíula ombrílur sélvanes gléin.
読み:エーサ ティーウラ オンブリールル セルヴァネス グレーン。
| és-a | tíula | ombríl-ur | sélvan-es | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 響き<主格> | 句-<〜らの> | セルヴァン-<属格> | 清い |
「「セルヴァンの句の響きは清らかだ。」」
人の詩をほめるときの言い方。詩は句と拍で数え、句の響き(強勢と音節の重さの並び)が整っていることが教養の証とされる。名詞句の中では、中心の名詞 tíula の後ろに属格が続く。繋辞と述語の形容詞は、軽性の主語 tíula に一致している。
fóndel aursár, gléin selvá éles.
読み:フォンデル アウルサール、グレーン セルヴァー エーレス。
| fóndel | aursár, | gléin | selvá | él-es. |
| 源に近い | 祖先<主格> | 清い | 息<主格> | <3人称単数・軽性>-<属格> |
「源に近きは祖、清きはその息。」
諺や詩の形。繋辞を落とし、述語の形容詞を先に置く。ふつうの名詞句は「名詞–形容詞」の順なので、形容詞が先頭に来ると、格言や詩句だとわかる。
ésa rása sé gléin.
読み:エーサ ラーサ セー グレーン。
| és-a | rása | sé | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 衣<主格> | この<軽性> | 清い |
「この衣は清らかだ。」
繋辞の文。rása は軽性なので、繋辞は -a、指示詞は sé、形容詞 gléin は軽性・主格の形(語尾なし)になる。
gléin dreumá, áuren virá.
読み:グレーン ドレウマー、アウレン ヴィラー。
| gléin | dreumá, | áur-en | virá. |
| 清い | 墨<主格> | 昇る-<〜した・〜された> | 言葉<主格> |
「清きは墨、高きは言葉。」
書の手ほどきで引かれる諺。諺では繋辞を落として述語を先に置くので、形容詞が文頭に来る。雨水ですった清い墨で書いた字は上へ昇りやすい、という信仰をふまえている。
toríro nébro, na eséla meirtaulá gléin.
読み:トリーロ ネーブロ、ナ エセーラ メイルタウラー グレーン。
| tor-ír-o | nébro, | na | es-él-a | meirtaulá | gléin. |
| 来る-<もし〜なら>-<(重いものが)> | 霧<主格> | <〜ない> | いる-<〜だろう>-<(軽いものが)> | 取引<主格> | 清い |
「霧が来てから結んだ取引は、清いものとはされまい。」
条件の節は接続詞を使わず、仮定法だけで作る。霧 nébro は重性なので -o をとる。帰結の節は推量法で、na で否定する。主語の meirtaulá は軽性なので -a をとる。霧の中で結んだ約束は重んじられないので、精算は霧の前に済ませる。
lúin éso nébro, na ésa þondá gléin.
読み:ルーイン エーソ ネーブロ、ナ エーサ ソンダー グレーン。
| lúin | és-o | nébro, | na | és-a | þondá | gléin. |
| とき | いる-<(重いものが)> | 霧<主格> | <〜ない> | いる-<(軽いものが)> | 約束<主格> | 清い |
「霧の出ているときの約束は、清い約束ではない(当てにならない)。」
霧期に結んだ約束は重んじられないことを言う、日常の言い方。lúin の節は主節の前に置く。後半は繋辞の文で、na で否定する。þondá は軽性なので、繋辞は -a で一致する。
ésa loimá ráuvanes gléin.
読み:エーサ ロイマー ラウヴァネス グレーン。
| és-a | loimá | ráuvan-es | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 詞<主格> | 森の巫-<属格> | 清い |
「森の巫の詞は清い。」
「AはBだ」の文も、繋辞 és- を文頭に置く。順序は「és-–主語–述語」。主語 loimá は軽性なので、繋辞は -a、述語の形容詞 gléin は軽性・主格の語尾のない形になる。属格 ráuvanes は名詞の後ろに置く。
ésa lisím sélvanes gléin. vérin.
読み:エーサ リシーン セルヴァネス グレーン。ヴェーリン。
| és-a | lis-ím | sélvan-es | gléin. | vérin. |
| いる-<(軽いものが)> | 書く-<〜の技・〜さ> | セルヴァン-<属格> | 清い | そのとおり |
「「セルヴァンの書法は清い。」「そのとおりだ。」」
相手の評言を正しいと認める返事。高原語には「はい」がなく、問いには動詞を繰り返して答えるが、言い切りの文に同意するときは vérin を使う。lisím「書法」は lísim「私が書く」と強勢の位置だけで区別される。
ésa lisá sé gléin.
読み:エーサ リサー セー グレーン。
| és-a | lisá | sé | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 字<主格> | この<軽性> | 清い |
「この字は清い(美しく整っている)。」
字の美しさをほめる言い方。繋辞 és- を文頭に置き、「és-–主語–述語」の順にする。字 lisá は言葉を載せて昇るものなので軽性で、繋辞は -a、述語の gléin も軽性・主格の形になる。
ésa lisá sáindares sé gléin.
読み:エーサ リサー サインダレス セー グレーン。
| és-a | lisá | sáindar-es | sé | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 文面<主格> | 証文-<属格> | この<軽性> | 清い |
「この証文の文面は清い(書き換えの跡がない)。」
lisá は「字」から転じて、書かれた文面全体を指すことがある。名詞句の並びは「名詞–属格–指示詞」。gléin「清い」は、文面について言うと、改ざんがなく正しいという含みになる。
selvána ausenár ré ésa lisá sáindares gléin.
読み:セルヴァーナ アウセナール レー エーサ リサー サインダレス グレーン。
| selván-a | au-sen-ár | ré | és-a | lisá | sáindar-es | gléin. |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人> | <〜と(節)> | いる-<(軽いものが)> | 文面<主格> | 証文-<属格> | 清い |
「目付殿は、証文の文面に誤りはないとおっしゃる。」
縁の市で揉め事を裁く場面の言い方。王国では書かれたものが正しいとされるので、目付は証文の文面を確かめる。ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。
áuren virnourá, gléin mélna.
読み:アウレン ヴィルノウラー、グレーン メルナ。
| áur-en | virnourá, | gléin | mélna |
| 昇る-<〜した・〜された> | 含み<主格> | 清い | 詩<主格> |
「高きは含み、清きは詩。」
よい詩をほめるときに引かれる、格言ふうの句。繋辞を落とし、述語の形容詞・分詞を先に置く諺の語順になっている。ほのめかしが深いほど詩は「高く昇る」という考え方を表している。
selvána aurél ré ésa mélna sé gléin.
読み:セルヴァーナ アウレール レー エーサ メルナ セー グレーン。
| selván-a | aurél | ré | és-a | mélna | sé | gléin |
| おっしゃる-<(軽いものが)> | あの方<主格> | <〜と(節)> | いる-<(軽いものが)> | 詩<主格> | この<軽性> | 清い |
「あの方は、この詩は清いとおっしゃる。」
目上の人の言葉を伝える改まった言い方。selván- は「言う」の尊敬の補充形。ré の後ろの節も動詞で始まり、繋辞 ésa が主語 mélna(軽性)に一致する。
ésa freimvirá ausenáres gléin.
読み:エーサ フレインヴィラー アウセナーレス グレーン。
| és-a | freimvirá | au-sen-ár-es | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 言い直し<主格> | <お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<属格> | 清い |
「目付殿の言い直しは、はっきりと聞き取れる。」
繋辞 és- を先頭に置く「AはBだ」の文。目上の人の言葉なので、持ち主の役職名に au- をつけて属格にする。述語の gléin は軽性の主語に一致し、語尾がつかない。
éso vríndo só gléin.
読み:エーソ ヴリンド ソー グレーン。
| és-o | vríndo | só | gléin. |
| いる-<(重いものが)> | 敷居<主格> | この<重性> | 清い |
「この敷居は清い。」
書物や儀礼の場向けの説明文。存在・繋辞の és- を動詞として動詞文に組み立てる。vríndo は主格で、重性o語幹では主格と対格が同形。述語の形容詞 gléin は主語 vríndo に一致するが、重性単数主格では語尾が現れない。
ésa senlíra gléin.
読み:エーサ センリーラ グレーン。
| és-a | senlíra | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 視線<主格> | 清い |
「視線は清い。」
名詞を主語に置き、状態を表す例。軽性a語幹名詞として、主格の発音形そのまま使う。
funeltrénan faronárai fúnel gléinin.
読み:フネルトレーナン ファロナーライ フーネル グレーニン。
| funeltrén-an | faron-ár-ai | fúnel | gléin-in. |
| 綱を手繰る-<彼らが> | 荷-<〜する人>-<〜たちが> | 綱<対格> | 清い-ADV |
「運び人たちは綱を整えながら手繰る。」
作法書や手引のような常態文。主語が複数なので動詞は3複語尾 -an。gléinin が整える様子を表し、意味2として読む。
wéro ílmo gléin es reinándos.
読み:ウェーロ イルモ グレーン エス レイナンドス。
| wér-o | ílmo | gléin | es | reinánd-os. |
| 滴る-<(重いものが)> | 水<主格> | 清い | から | 雨水甕-<属格> |
「甕からの清い水がぽつぽつと落ちる。」
祭祀や家屋の書で使われる、雨水甕からの澄んだ水に関する文。主語は重性の水で、動詞は3人称単数・重性。wér- は連続的な流れではなく、点々と離れる滴に用いる。
ésa filíña sé gléin.
読み:エーサ フィリーニャ セー グレーン。
| és-a | filíña | sé | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 字母<主格> | この<軽性> | 清い |
「この字母は清い。」
名詞句 filíña sé を主語とし、述語の形容詞 gléin がこれを受ける。繋辞 ésa は軽性 3 人称単数。
múndula ólmar ílmo gléin.
読み:ムンドゥラ オルマル イルモ グレーン。
| múndul-a | ólmar | ílmo | gléin. |
| 注ぐ-<(軽いものが)> | 年長者<主格> | 水<対格> | 清い |
「年長者が清い水を注ぐ。」
祭祀や書物の文脈で使える言い方。名詞 ílmo は重性で、後置の形容詞 gléin は重性単数の無標語尾。器の口を下げて上から来る水を扱う動作として自然な文。
ésa sáva sé gléin.
読み:エーサ サーヴァ セー グレーン。
| és-a | sáva | sé | gléin. |
| いる-<(軽いものが)> | 匙<主格> | この<軽性> | 清い |
「この匙は清い。」
sáva を主格で使う標準的な述語文。軽性の指示詞 sé は sáva を受け、gléin は述語の形容詞。
ésa dravéna gléin
読み:エーサ ドラヴェーナ グレーン
| és-a | dravéna | gléin |
| いる-<(軽いものが)> | 森<主格> | 清い |
「森は清い。」
森の民が森を軽性として受けた文。dravéna は軽性 a 語幹の名詞として活用し、存在動詞は軽性の単数3人称 -a で受ける。形容詞 gléin は主格単数では語尾を取らない。同じ意味を都の人が言う場合、存在動詞を重性の一致で受けることもある。
éso eelþó só nagléin.
読み:エーソ エールソー ソー ナグレーン。
| és-o | eelþó | só | na-gléin. |
| いる-<(重いものが)> | 灰汁<単数><主格> | この<重性> | <〜ない>-清い |
「この灰汁は濁っている。」
日常会話で、洗い水としての灰汁の状態を述べる文。主語が重性なので、存在・繋辞の動詞は3単重性の-oで受ける。名詞の直後に重性指示詞sóを置く。nagléinはgléin「清い」に否定接頭辞na-を付けた形容詞で、ここでは灰汁が澄んでいないことを「清からぬ」と述べている。
un aurselvándoi ésa selvá gléin.
読み:ウン アウルセルヴァンドイ エーサ セルヴァー グレーン。
| un | aurselvánd-oi | és-a | selvá | gléin |
| 内に | 息の通路-<与格> | いる-<(軽いものが)> | 息<主格> | 清い |
「息の通路の中で、息は清い。」
儀礼・詩の場面。aurselvándo を「息の通路」として、息が清まる場所を示す比喩用法。述語の形容詞の文に場所を添えるとき、un+与格は動詞の前に出す(統語論3.2、例文48)。動詞の後ろに置くと存在文として読まれる。主語 selvá は軽性なので copula は -a をとる。
(言葉・書が)清らかな
言葉や書きぶりが整って美しいことをほめて言う。
vóilim sáindaran gléinan.
読み:ヴォイリン サインダラン グレーナン。
| vóil-im | sáindar-an | gléin-an. |
| 読む-<私が> | 証文-<対格> | 清らかな-<軽性・対格> |
「清らかな書きぶりの証文を読む。」
言葉や書きぶりが整っていることをほめる用法。証文 sáindar は軽性の子音語幹なので、形容詞は軽性・対格の -an で一致する。書きぶりで書き手の教養を測る習わしをふまえた言い方。
aurénde virá gléin.
読み:アウレンデ ヴィラー グレーン。
| aur-énd-e | virá | gléin. |
| 昇る-<〜しますように>-<(軽いものが)> | 言葉<主格> | 清らかな |
「清らかな言葉が昇りますように。」
祈りや詩の結びに使う決まった言い方。願望法の3人称単数・軽性では、語尾が -e になる。整った言葉は煙のように祖先のもとへ昇る、という考え方をそのまま言い表している。
汚れがなく清らかなことを表す本来の形容詞。名詞の後ろに置き、名詞の性・数・格に一致する。上から来た雨水、整った言葉や書きぶり、祀りの器などに使う、ほめる響きの強い語。述語になるときは és- の後ろの主語に一致する(ésa lisím sélvanes gléin)。諺や詩では繋辞を落として述語を先に置き、gléin selvá「清きは息」のように言う。
形容詞。名詞の後ろに置き、性・数・格に一致する(軽性は②型、重性は③型の語尾)。
古高原語 *gléin から。動詞から派生した分詞ではなく、本来の形容詞。
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