小説
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ヒロ
外から来た段の外の者の名(成名にあたる)。呼びかけでは語尾をつけずに読点で区切って添え、文中では軽性の一致で受けるのが本来の形である。
tór, híro
読み:トール、ヒーロ
| tór | , | híro |
| 来る<命令法><あなたが> | ヒロ<〜よ> |
「来い、ヒロ。」
日常の呼びかけ。同輩・目下への命令として使う。呼格語尾はつけず、名は文末に読点で区切って置く。語末が -o でも重性の呼格 -o を付けた形にはしない。
lísa híro plánan
読み:リーサ ヒーロ プラーナン
| lís-a | híro | plán-an |
| 書く-<(軽いものが)> | ヒロ<主格> | 帳簿-<対格> |
「ヒロが帳簿を書く。」
帳場・記録での報告のような文。人を指す名なので、動詞の3人称単数は軽性 -a で受ける。名自身は形を変えない。
外から来た者の名で、成名(おとなの名)として扱われる。高原語の語根からは説明できない外来の名で、家名(流名)がつかない。そのため「名+家名の属格」のフルネームや、源・瀬・段を添える改まった名乗りができない。この欠け方そのものが、段の外の者であることを示す。 語末が -o なので、高原の耳には nébro「霧」、duló「滝」、vándo「秤」と同じ重性o語幹の名詞に聞こえる。高原の男子の名はふつう子音で終わり(sélvan, sílan)、女子の名は -a で終わる(viréla, silára)。-o で終わる人名はほとんどないため、「重いもの」を指す語のような、落ち着かない響きをもつ。 人を指す名なので、動詞・形容詞・分詞・代名詞は軽性で受けるのが正しい(áura híro「ヒロが昇る」、tóra híro「ヒロが来る」)。語形につられて重性で受ける(tóro híro)と、人を物として扱うことになり、侮辱にあたる。わざと重性で受けると、「上から落ちてきた不吉なもの」として見る含みが出る。どちらの性で受けるかに、話し手がこの名の主をどう見ているかが表れる。 日常では呼格を使わないので、呼びかけるときは語尾をつけずに、文の終わりに読点で区切って添える(…, híro.)。この形は、重性の呼格語尾 -o をつけた形とたまたま同じになる。高原の名の禁忌はこの名にも及ぶ。霧の中では大声で呼ばず、té「そこの方」などで呼びかける。 日本語話者には「ヒロ」と聞こえる。強勢のある第一音節が長く聞こえて「ヒーロ」になることもある。干潟語の híro「見る」と同じ響きである。
固有名詞(人名)。語形は重性o語幹(nébro 型)で、主格・対格 híro、属格 híros、与格 híroi、呼格 híro。ただし人を指すので、一致は軽性にする(動詞の3人称単数 -a、願望・仮定では -e、代名詞 él)。重性で一致させると侮辱になる。家名をもたないので、属格の家名をつけたフルネームにはならない。呼びかけでは語尾をつけず、読点で区切って文末に置く。
外来の名で、高原語の語根には由来しない。語末の -o が重性o語幹の主格と同じ形なので、その型で曲用され、そのように聞かれる。干潟語の híro「見る」と同じ音になるのは偶然である。
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