múl

品詞
形容詞
意味
厚い
発音
[ˈmul]
読み
ムール
分野
性質・状態

意味

  1. 厚い

    布・衣・氷・雲・壁など、上面から下面までの距離が大きいこと。

    glünlúin, éso súm múl un hóumoi.

    読み:グリュンルーイン、エーソ スーン ムール ウン ホーモイ。

    glünlúin,és-osúmmúlunhóum-oi.
    凍りの頃,いる-<(重いものが)>煤<主格>厚い内炉-<与格>

    「凍りの頃には、炉の中に厚い煤がある。」

    季節の記録文。glünlúin は時の語として動詞の前に置き、読点で区切る。存在文の動詞 és- は主語 súm が重性なので3人称単数重性語尾 -o をとる。形容詞 múl も重性単数主格で無標。un hóumoi は前置詞 un と炉の与格。

    ésa fléura sé múl

    読み:エーサ フレウラ セー ムール

    és-afléurasémúl
    いる-<(軽いものが)>雲<主格>この<軽性>厚い

    「この雲は厚い。」

    天候を話す場面の文。fléura「雲」は軽性で、主格単数の指示詞 sé を受ける。指示詞の後の múl は名詞句外の述語形容詞で、軽性単数主格では無語尾。

    éso dulíño némes múl

    読み:エーソ ドゥリーニョ ネーメス ムール

    és-odulíñoném-esmúl
    いる-<(重いものが)>ひげ<主格><私>-<属格>厚い

    「私のひげは厚い」

    顔の毛の直接呼称 dulsóila に対して、下へ流れ落ちる水のイメージを持つ婉曲呼称。存在・繋辞 éso は重性の主語に一致する。持ち主は属格 némes で表す。述語形容詞 múl は主語の重性単数に一致し、主格では無語尾。日常会話や書簡で、自分のひげを述べる場面に使える。

    graunvrúna faronár sámon múl.

    読み:グラウンヴルーナ ファロナール サーモン ムール。

    graunvrún-afaronársámonmúl.
    頭から被る-<(軽いものが)>運び人<主格>皮<対格>厚い

    「運び人は厚い皮を頭から被る。」

    屋外の作業中の日常の文。主語 faronár は人なので軽性3人称単数 -a。目的語 sámon は重性で対格が無標識、形容詞 múl も語尾がつかない。毛皮ではなく厚い皮を頭から被るため2番の語義。

    þréula sírna aldárei múlin.

    読み:スレウラ シルナ アルダーレイ ムーリン。

    þréul-asírnaaldár-eimúl-in.
    着く-<(軽いものが)>霜<主格>座-<与格>厚い-CVB.

    「霜は座に厚く着いている。」

    改まった描写でも、時制を表す語形がないため未完了で現在結果の状態を言う。裸の与格が着く場所を示す。霜は軽性なので軽性の3人称単数語尾-aで受ける。

    sórel, þréulo eelþó múlin.

    読み:ソーレル、スレウロ エールソー ムーリン。

    sórel,þréul-oeelþómúl-in.
    今日,着く-<(重いものが)>灰<主格>厚い-CVB.

    「今日は灰が厚く着いている。」

    日常の観察文。今日sórel。完了を表す語尾 s は立てず、未完了の直説法で、現在に至る結果の状態を述べる。灰は重性なので動詞は重性の3人称単数語尾-oをとる。

  2. 分厚い

    書物・札・石など、一枚一枚の厚みが目立つこと。

    sénim plánan múlan sé

    読み:セーニン プラーナン ムーラン セー

    sén-implán-anmúl-ansé
    見る-<私が>帳簿-<対格>分厚い-<対格>この<軽性>

    「私はこの分厚い帳簿を見る。」

    帳簿など一枚ものの厚みを指す sense 2 の用法。plána「帳簿」は軽性で、対格単数では plánan になる。形容詞 múl も軽性対格の語尾 -an を受けて múlan となる。指示詞 sé は格標識をもたない。

解説

布・衣・氷・雲・壁などの、上面から下面までの距離が大きいことを表す一般の形容詞。高原語では「厚い」(múl) と「重い」(gróm) を使い分ける。厚さは段(þrén)の積み重なりとして捉えられるが、múl 自体は独立した語根で、積もる・積むの動作を前提としない。氷の状態を表す語(glüníño「薄氷」、tráumo「渡り氷」など)の対義語として頻出する。雲は軽性、霧は重性だが、いずれの厚さにも使える。

文法

形容詞。名詞の性・数・格に一致する(軽性:múl / múlan / múles / múlei / múlau / múlai …、重性:múl / múl / múlos / múloi / múlou / múlul …)。副詞化は -in(múlin「厚く」)。

語源

古高原語 *múlo から。語源は不詳。

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