小説
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凍りの頃
乾風期の後半。湖が凍る、もっとも寒い時期。
mé duliþésa gandér glünlúinei.
読み:メー ドゥリセーサ ガンデール グリュンルーイネイ。
| mé | dul-iþ-és-a | gandér | glünlúin-ei. |
| <禁止・願いの打ち消し> | 下る-<〜させる>-<〜すべし>-<(軽いものが)> | 硬木<対格> | 凍りの頃-<与格> |
「凍りの頃には、硬木を下ろさぬこと。」
降ろし場の決まりを述べる、碑文や触れ書きの文体。当為法なので mé で否定し、主語を言わずに一般の人を主語にしている(軽性の形)。凍りの頃は綱が凍って危ないので、吊り下ろしが止まる。
táulimor frélo glünlúinei.
読み:タウリモル フレーロ グリュンルーイネイ。
| tául-imor | frélo | glünlúin-ei. |
| 取る-<我々が> | 魚<対格> | 凍りの頃-<与格> |
「凍りの頃には、我々は魚を取る。」
湖畔の村の日常の言い方。glünlúinei は前置詞なしの与格で、時(凍りの頃に)を表す。frélo「魚」は重性o語幹で、主格と対格が同じ形になる。ここでは単数で魚を総称している。
dulénde fláin! hóin an glünlúinei.
読み:ドゥレンデ フライン!ホイン アン グリュンルーイネイ。
| dulénde | fláin! | hóin | an | glünlúin-ei. |
| 道中ご無事で | 軽い | 帰る<命令法><あなたが> | 上手 | 凍りの頃-<与格> |
「道中ご無事で。凍りの頃の前に帰ってこいよ。」
縁の市へ下りる家族を見送るときの、くだけた言い方。後半は命令法2人称単数(むき出しの語幹)で、目下や身内への言い方になる。an+与格「〜の上手で」は時間では「〜の前に」を表す。凍りの頃には崖道が凍るので、その前に帰れという意味。
glünlúin, éso duléumo frél
読み:グリュンルーイン、エーソ ドゥレウモ フレール
| glünlúin, | és-o | duléumo | frél |
| 凍りの頃 | いる-<(重いものが)> | 下の風<主格> | 寒い |
「凍りの頃は、下の風が寒い。」
glünlúinは動詞の前に置かれる場面の枠。duléumoは重性語として重性の語形エソで受ける。frélは固体化や凍結の含みを持たず、冷気に触れる感覚を指す。
glünlúin, éso súm múl un hóumoi.
読み:グリュンルーイン、エーソ スーン ムール ウン ホーモイ。
| glünlúin, | és-o | súm | múl | un | hóum-oi. |
| 凍りの頃, | いる-<(重いものが)> | 煤<主格> | 厚い | 内 | 炉-<与格> |
「凍りの頃には、炉の中に厚い煤がある。」
季節の記録文。glünlúin は時の語として動詞の前に置き、読点で区切る。存在文の動詞 és- は主語 súm が重性なので3人称単数重性語尾 -o をとる。形容詞 múl も重性単数主格で無標。un hóumoi は前置詞 un と炉の与格。
glünlúin, séima anléuma.
読み:グリュンルーイン、セーマ アンレウマ。
| glünlúin, | séim-a | anléuma. |
| 凍りの頃, | 静まる-<(軽いものが)> | 上の風<主格> |
「凍りの頃、上の風が収まる。」
年代記的な自然観の記述。時間の名詞 glünlúin が裸のまま場面の枠に立つ。主語 anléuma は軽性として -a に一致する。比喩用法。
glünlúin, múno duléumo un trǘlmo.
読み:グリュンルーイン、ムーノ ドゥレウモ ウン トリュルモ。
| glünlúin, | mún-o | duléumo | un | trǘlmo. |
| 凍りの頃, | 入る-<(重いものが)> | 下風<主格> | 中に | 裂け目<対格> |
「凍りの頃、下の風が裂け目の中へ通ってくる。」
意味2。凍りの頃の備忘のような記述調。下の風は重性なので、動詞は3人称単数・重性の語尾をとる。un+対格で、風が裂け目の内へ通る通路を示す。重性o語幹のtrǘlmoは主格と対格が同形だが、unが対格を要求する。
glünlúin, gíro duléumo klér már.
読み:グリュンルーイン、ギーロ ドゥレウモ クレール マール。
| glünlúin, | gír-o | duléumo | klér | már |
| 凍りの頃 | 刺す-<(重いものが)> | 下風<主格> | 冷たい | 手<対格> |
「凍りの頃、冷たい下風が手を刺す。」
凍りの頃の冷気による刺すような感覚。凍りの頃を場面の枠として文頭に置く。 klér が主語 duléumo を修飾する。冷気が主語の言い方は、改まった場でも自然。
glünlúin, ésa dralsnéla némes fóum
読み:グリュンルーイン、エーサ ドラルスネーラ ネーメス フォーン
| glünlúin, | és-a | dralsnéla | ném-es | fóum |
| 凍りの頃 | いる-<(軽いものが)> | 首布<主格> | 私-<属格> | 暖かい |
「凍りの頃、私の首布は暖かい。」
凍りの頃の実用的な外出装具について述べる日常の文。時間名詞 glünlúin を場面の枠として動詞前に置いた。dralsnéla は軽性 a 語幹扱いで、単数主格の語尾は -a。所有は名詞の直後の属格で表す。
乾風期の後半。霜が降り、湖が凍る、一年でいちばん寒い時期で、日本語の「冬」にいちばん近い。崖道に氷が張るので、運び人の上り下りは減り、硬木の吊り下ろしも止まる。そのかわり、凍った湖の上で氷の遊びや氷上の市、穴釣りが行われる。
軽性・子音語幹(②型)。
glǘn-「凍る」と lúin「とき・頃」の複合語。
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