小説
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煤
炉の天井・鍋の内側・煙道に付着した黒い炭化物。べったりとこびりつき、指で払うと黒い筋がつく。
klénim súm.
読み:クレーニン スーン。
| klén-im | súm. |
| 拭う-<私が> | 煤<対格> |
「私は煤を拭う。」
日常の掃除の文。重性名詞 súm は主格と対格が同形なので、目的語でも語尾がつかない。動詞 klén- は直説法1人称単数。
glünlúin, éso súm múl un hóumoi.
読み:グリュンルーイン、エーソ スーン ムール ウン ホーモイ。
| glünlúin, | és-o | súm | múl | un | hóum-oi. |
| 凍りの頃, | いる-<(重いものが)> | 煤<主格> | 厚い | 内 | 炉-<与格> |
「凍りの頃には、炉の中に厚い煤がある。」
季節の記録文。glünlúin は時の語として動詞の前に置き、読点で区切る。存在文の動詞 és- は主語 súm が重性なので3人称単数重性語尾 -o をとる。形容詞 múl も重性単数主格で無標。un hóumoi は前置詞 un と炉の与格。
kláno súm plánei
読み:クラーノ スーン プラーネイ
| klán-o | súm | plán-ei |
| こびりつく-<(重いものが)> | 煤<主格> | 帳簿-<与格> |
「煤が帳簿にこびりつく。」
súm「煤」は HV の不可名詞として扱う。貼りついた先 plána「帳簿」は LT の a語幹で、与格は plán-ei。書物・帳簿の管理に関わる場面。払い落としがむずかしい煤のつき方。
煤汚れ(比喩)
顔・衣・手が煤で汚れている状態を指す。「顔に súm がついている」。
síl súm mároi!
読み:シール スーン マーロイ!
| síl | súm | már-oi! |
| 払う<命令法><あなたが> | 煤<対格> | 手-<与格> |
「手から煤を払い落としなさい。」
家事や食事の前の、くだけた指示の場面。síl は「払い落とす」の意の命令法で、取り除く対象を対格に、その対象が付着している身体部位を与格に取る。この文の súm は炉の炭化物一般ではなく、手にこびりついて黒ずんだ汚れになっている煤を指す。
不完全燃焼で生じる黒い炭化物質。炉(hóum)の煙が天井(snélo)や鍋の内側にべったりと付着した黒い残り物で、灰(eelþó、燃え切った白い・灰色の残り物)とは明確に区別される。毎日の炊事と掃除に関わる日常の語で、「鍋の底に súm がついた」「天井の súm を落とす」のように使う。重性であるのは、煙の中から「昇れず落ちた重い部分」だからである。凍りの頃(glünlúin)に炉を多用すると煤が厚くなり、春になると煙道の掃除を兼ねて「súm を落とす」のが慣わしになっている。
重性・子音語幹(③型)。単主・対 súm、属 súmos、与 súmoi、双 súmrou、双属与 súmroun、複主対 súmul、複属 súmur、複与 súmuls。母音交替の複数には該当しない。
独立の語根。古高原語の段階からある基本語と考えられる。
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