小説
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かじる
歯で食物を噛みちぎる。口に入れるより前段階の、咬む・ちぎる・かじりつく動作。
krála snǘra kórvos tambór.
読み:クラーラ スニューラ コルヴォス タンボール。
| král-a | snǘra | kórv-os | tambór |
| かじる-<(軽いものが)> | 鼠<主格> | 倉-<属格> | 雑穀<対格> |
「倉の鼠が雑穀をかじる。」
場所を示す属格 kórvos を名詞に添え、家屋や倉に出入りする害獣としての意味を作る。主語が単数なので動詞は -a。
かじりつける
歯で食い込む。氷や硬い木の実を、歯を食い込ませて割る・ちぎる。
krála endríña glünó.
読み:クラーラ エンドリーニャ グリュノー。
| král-a | endríña | glünó |
| かじりつける-<(軽いものが)> | 子ども<主格> | 氷<対格> |
「子どもが氷をかじりつける。」
硬い氷に歯を食い込ませて割る場面。主語 endríña は軽性なので、動詞は 3 人称単数軽性語尾 -a をとる。重性名詞 glünó は対格が無標識なので、基本語順 VSO と動詞の主語一致が目的語を示す手がかりになる。
krála snǘra þinó.
読み:クラーラ スニューラ シノー。
| král-a | snǘra | þinó |
| かじりつける-<(軽いものが)> | 鼠<主格> | 木の実<対格> |
「鼠が木の実をかじりつける。」
硬い木の実の殻に歯を食い込ませて割る場面。動物の名詞 snǘra も主語としては軽性で、動詞は 3 人称単数軽性語尾 -a をとる。þinó は重性o語幹の名詞で、単数対格は主格・辞書形と同形で語尾変化はない。
歯で噛みちぎる、かじりつく。口に入れる・嚥下する(mán-「食べる」)より前の段階の、歯で食物を咬む・ちぎる動作を指す。まんべんなく噛み砕くよりも、一口だけかじりつく・端からちぎるニュアンスが強い。凍りの頃(glünlúin)の氷(glünó)やつららをかじって割る、木の実を殻ごとかじって中身を出す、干し肉の固い端をかじりとる、堅い粟(kálmo)の粒を歯で割る、といった場面が典型的。くだけた言葉では命令形が král のまま(語末の r の後の母音がないため脱落しない)。改まった場では、目上の人に何かをかじらせる場合は使役の králíþ-「かじり落とす・かじらせる」になる。森の言葉では、古い脱落を免れた形 králo が残ることがある。
動詞(他動詞)。完了語根の母音交替 a → ai:král- → kráil-(kráila「かじり終えた」)。使役:králíþ-「かじらせる・かじり落とす」。
古高原語 *králo- から。語末の o が、古い脱落(強勢のある音節の直後で r に続く弱い短母音)で落ち、král となった。子音群 kr- は歯が触れ合う拍子の音を写した拟音起源と考えられる。
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