hóin-

品詞
動詞(自動詞)
意味
帰る
辞書形
hóina
発音
[ˈhoina]
読み
ホイナ
分野
基本動作

意味

  1. 帰る

    家や故郷へ戻る。

    lúin áura álmar, hóinimor.

    読み:ルーイン アウラ アルマル、ホイニモル。

    lúináur-aálmar,hóin-imor.
    とき昇る-<(軽いものが)>白月<主格>帰る-<我々が>

    「白月が昇ったら、帰ろう。」

    日常の時の言い方。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。月は軽性なので、動詞は -a をとる。時刻を月や星の昇りで言うのは、高原ではごくふつうのこと。

    hóinim du sílarei sé.

    読み:ホイニン ドゥ シーラレイ セー。

    hóin-imdusílar-eisé.
    帰る-<私が>下手暦の月-<与格>この<軽性>

    「この月が過ぎたら帰る。」

    暦のひと月の意味で使った例。時間を川の流れとして捉えるので、du+与格「〜の下手で」が「〜の後に」の意味になる。

    hóinimor du duliþímei.

    読み:ホイニモル ドゥ ドゥリシーメイ。

    hóin-imordudul-iþ-ím-ei.
    帰る-<我々が>〜の後に下る-<〜させる>-<〜の技・〜さ>-<与格>

    「下ろしが済んだら帰ろう。」

    du+与格で「〜の下手で」、つまり時間の「〜の後に」を表す。時間を源から流れ下る川と見るので、遅いほうが下手になる。動詞に時制がないので、文脈によって「帰る」「帰った」「帰ろう」のどれにも訳せる。

    hóina éndra te méirim fáron élei.

    読み:ホイナ エンドラ テ メーリン ファーロン エーレイ。

    hóin-aéndrateméir-imfáronél-ei.
    帰る-<(軽いものが)>人<主格><関係節>与える-<私が>荷<対格>彼-<与格>

    「私が荷を渡した人が帰っていく。」

    関係節の中で受け手(与格)にあたる部分は穴のままにできないので、代名詞の与格 élei で埋める(再述代名詞)。人を受けるので軽性の él を使う。関係節は文の終わりまで続く。

    lúin hóines, niléimor muró.

    読み:ルーイン ホイネス、ニレーモル ムロー。

    lúinhóin-es,nil-é-imormuró.
    とき帰る-<あなたが>飲む-<〜だろう>-<我々が>濁り酒<対格>

    「お前が帰ってきたら、濁り酒を飲もう。」

    親しい者どうしの別れぎわの言い方。時制がないので、まだ起きていないことも lúin の節では直説法で言える。主節の未来のことは推量法で言う。1人称複数の前では、推量法の -él- の l が落ちる。

    hóinan ómbra kelárar.

    読み:ホイナン オンブラ ケラーラル。

    hóin-anómbrakel-ár-ar.
    帰る-<彼らが>みな<主格>伐る-<〜する人>-<〜らの>

    「樵たちはみな帰っていく。」

    ómbra に人を表す複数属格を添えると、「〜たちの全員」、つまり「みな」の意味になる。意味の上では複数を指すので、動詞は3人称複数で受ける。一人ひとりを数えずに全員をまとめて言う言い方。

    lúin tóro nébro, hóinimor telúin.

    読み:ルーイン トーロ ネーブロ、ホイニモル テルーイン。

    lúintór-onébro,hóin-imortelúin.
    とき来る-<(重いものが)>霧<主格>帰る-<我々が>その時

    「霧が来たら、その時に我々は帰る。」

    市を閉じる時期を話す日常の会話。lúin の節で示した時を、主節の telúin がもう一度指している。霧 nébro は重性なので、動詞は重性の -o をとる。telúin は、これから先の時にも過ぎた時にも使える。

    lúin hóina ambrél némes, mánimor tambór.

    読み:ルーイン ホイナ アンブレール ネーメス、マーニモル タンボール。

    lúinhóin-aambrélném-es,mán-imortambór.
    とき帰る-<(軽いものが)>兄・姉<主格><私>-<属格>食べる-<我々が>雑穀<対格>

    「兄(姉)が帰ってきたら、みんなで雑穀を食べよう。」

    家の中の会話の文。時を表す lúin の節を前に置いている。主節の動詞は1人称複数の直説法で、時制がないので、これからの予定としても読める。家の中のくだけた言い方なので、mán- を敬語の補充形にしていない。tambór は重性なので、対格でも語尾がつかない。

    hoinéndes an dún, séulin.

    読み:ホイネンデス アン ドゥーン、セウリン。

    hoin-énd-esandún,séulin.
    帰る-<〜しますように>-<あなたが>上手丘<対格>友

    「丘の上へ帰ってくれよ、友よ。」

    同じ段の友に向けた「並び」の依頼。並びの話し方では、命令法ではなく願望法の2人称を使う。an+対格で「上手へ」。dún は重性なので、対格も主格と同じ形。日常では呼格を使わず、呼びかけの名詞を文末に読点で区切って添える。

    plúin hoinéles? du álmarei sé.

    読み:プルーイン ホイネーレス?ドゥ アルマレイ セー。

    plúinhoin-él-es?duálmar-eisé.
    いつ帰る-<〜だろう>-<あなたが>下手ひと月-<与格>この<軽性>

    「「いつ帰るつもりだ。」「この月が明けたら。」」

    二人の発話。未来の予定は推量法で尋ねる。答えは動詞を省いた前置詞句だけで言う。時間は川の流れとみるので、du+与格「〜の下手で」は「〜の後に」の意味になる。du álmarei sé は「この月の後に」、つまり翌月のこと。

    hoinéim un dáu álmaraun.

    読み:ホイネーン ウン ダウ アルマラウン。

    hoin-é-imundáuálmar-aun.
    帰る-<〜だろう>-<私が>内二ひと月-<双数の〜の・〜に>

    「ふた月のうちには帰るだろう。」

    旅立つ者が日数の見込みを言う文。暦の月は白月の満ち欠けの一巡りで数える。dáu「二」の後ろの名詞は双数になり、un「〜の内に」と組むので双数の属格・与格 -aun をとる。推量法の -él- は、1人称の語尾の前で l が落ちて -é- になる。

    hóina selvá an élvaran, an aursárais.

    読み:ホイナ セルヴァー アン エルヴァラン、アン アウルサーライス。

    hóin-aselváanélvar-an,anaursár-ais.
    帰る-<(軽いものが)>息<主格>上手天-<対格>上手祖先-<〜たちを>

    「息は天へ、祖先たちのもとへ帰っていく。」

    死と魂についての教えを説く書物によく出る文。前置詞句を二つ並べて、天と祖先が同じ場所であることを示している。魂が天へ行くことを、「行く」ではなく hóin-「帰る」で言うのが決まった言い方である。

    brúuma líndra, na hóina.

    読み:ブルーマ リンドラ、ナ ホイナ。

    brúum-alíndra,nahóin-a.
    落ちる-<(軽いものが)>金の落葉樹<主格><〜ない>帰る-<(軽いものが)>

    「金の葉は散り、もう戻らない。」

    去りゆく美しさを詠む詩句。過ぎた若さや亡くなった人をしのぶときに、会話の中でも引かれる。二つの節が接続詞なしで並び、区切りの印で区切られている。

    lúin hóinan faronárai, manélan.

    読み:ルーイン ホイナン ファロナーライ、マネーラン。

    lúinhóin-anfaronár-ai,man-él-an.
    とき帰る-<彼らが>運び人-<〜たちが>食事をとる-<〜だろう>-<彼らが>

    「運び人たちが戻ったら、食事にするだろう。」

    lúin で始まる時の節を主節の前に置いている。主節は推量法で、これから先のことを言う。推量法の -él- には強勢があり、語根の強勢を奪う(mán- → manélan)。主節の主語は、語尾から時の節と同じ運び人たちだとわかるので言わない。

    plúin hóines? hoinéim dórel.

    読み:プルーイン ホイネス?ホイネーン ドーレル。

    plúinhóin-es?hoin-é-imdórel.
    いつ帰る-<あなたが>帰る-<〜だろう>-<私が>明日

    「「いつ帰る?」「明日帰るだろう。」」

    くだけたやりとり。疑問詞 plúin は動詞の前に出る。時制がないので、これから先のことは推量法で言う。1人称の語尾の前では推量法の -él- の l が落ちて -é- になり、hoinéim となる。

    lúin tóro nébro, hóinan faronárai es orénos.

    読み:ルーイン トーロ ネーブロ、ホイナン ファロナーライ エス オレーノス。

    lúintór-onébro,hóin-anfaron-ár-aiesorén-os.
    とき来る-<(重いものが)>霧<主格>帰る-<彼らが>荷-<〜する人>-<〜たちが>から縁-<属格>

    「霧が来ると、運び人たちは縁から帰っていく。」

    縁の市の季節の終わりを言う文。nébro「霧」は重性なので、tóro は重性の -o をとる。市は霧の前に閉じるので、崖道の人々は霧を合図に故郷へ帰る。

    hóinim du bóral némes.

    読み:ホイニン ドゥ ボーラル ネーメス。

    hóin-imdubóralném-es.
    帰る-<私が>下手家<対格><私>-<属格>

    「(下手の)自分の家へ帰る。」

    日常の言い方。bóral は重性の子音語幹名詞で、石の土台と伐った材で建てるため重性になる。主格と対格が同じ形。高原語には方向を言わない「〜へ」がないので、家へ帰るときも、家が上手にあれば an、下手にあれば du を使って上下を言い分ける。

    lúin hóinan faronárai, émbelan virán aursárail.

    読み:ルーイン ホイナン ファロナーライ、エンベラン ヴィラーン アウルサーライル。

    lúinhóin-anfaron-ár-ai,émbel-anvir-ánaursár-ail.
    とき帰る-<彼らが>荷-<〜する人>-<〜たちが>捧げる-<彼らが>言葉-<対格>祖先-<〜らに>

    「運び人たちは帰ってくると、祖先に言葉を捧げる。」

    崖道から戻った者が、改まった言葉を祖先に捧げる習わしを説明する文。後半の主語は前半と同じなので言わない。

    hóinan faronárai vel orén.

    読み:ホイナン ファロナーライ ヴェル オレーン。

    hóin-anfaronár-aivelorén.
    帰る-<彼らが>運び人-<〜たちが>西へ縁<対格>

    「運び人たちは縁の日の入り側へと帰っていく。」

    西への移動を言う文。vel+対格で「西へ」の意味になる。属格と組んだ vel orénos なら「縁の日の入り側から」になる。高原では南北を an・du の高さで言い、東西はこの or・vel で言い分ける。

    lúin tóra vélun, hóinan kelárai an dún.

    読み:ルーイン トーラ ヴェールン、ホイナン ケラーライ アン ドゥーン。

    lúintór-avélun,hóin-ankel-ár-aiandún.
    とき来る-<(軽いものが)>日の入り<主格>帰る-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>上手丘<対格>

    「日が沈むと、樵たちは丘の上へ帰っていく。」

    vélun は軽性の子音語幹として変化する。lúin の節は主節の前に置く。「日の入りが来る」という言い方で「夕方になる」を表す。日常の語り口の文。

    dulénde fláin! hóin an glünlúinei.

    読み:ドゥレンデ フライン!ホイン アン グリュンルーイネイ。

    duléndefláin!hóinanglünlúin-ei.
    道中ご無事で軽い帰る<命令法><あなたが>上手凍りの頃-<与格>

    「道中ご無事で。凍りの頃の前に帰ってこいよ。」

    縁の市へ下りる家族を見送るときの、くだけた言い方。後半は命令法2人称単数(むき出しの語幹)で、目下や身内への言い方になる。an+与格「〜の上手で」は時間では「〜の前に」を表す。凍りの頃には崖道が凍るので、その前に帰れという意味。

    hóinim du nórlo só.

    読み:ホイニン ドゥ ノルロ ソー。

    hóin-imdunórlosó.
    帰る-<私が>下手寝床<対格>この<重性>

    「私はこの寝床へ戻る。」

    日常動作。寝床は家の中でも地面にいちばん近い低い所なので、低い所への移動を表す du で取る。重性名詞の単数対格は主格と同形。

    hoinénde, endríña! hél!

    読み:ホイネンデ、エンドリーニャ!ヘール!

    hoin-énd-e,endríña!hél!
    帰る-<〜しますように>-<(軽いものが)>,子<主格>!座る<命令法><あなたが>

    「「おかえり、子ども。座れ。」」

    炉辺で、外から帰った子どもに使う日常的な定型。hoinénde は帰ってきた人そのものの帰還を、願望法で成立したものと認める挨拶。呼びかけは名詞のまま。後半は目下の子どもへの命令法。

    hoinénde, faronár! éso bóral fóum.

    読み:ホイネンデ、ファロナール!エーソ ボーラル フォーン。

    hoin-énd-e,faronár!és-obóralfóum.
    帰る-<〜しますように>-<(軽いものが)>,運び人<主格>!いる-<(重いものが)>家<主格>暖かい

    「「おかえり、運び人。家は暖かい。」」

    遠役や崖道から帰った運び人を出迎える場面。hoinénde のあとに、戻った者の居場所としての家が今も暖かいことを述べる。bóral は重性なので存在動詞は éso。形容詞は主格無標で名詞に後置する。

    gúna vríma, duói hóina.

    読み:グーナ ヴリーマ、ドゥオイ ホイナ。

    gún-avríma,duóihóin-a.
    集まる-<(軽いものが)>仲間<主格>それから帰る-<(軽いものが)>

    「仲間(一同)が集まり、それから帰った。」

    記録文のような継起的な文。vríma は単数扱いの総称名詞。duói が第二文を導き、主語は省略。動詞 hóina は前の主語 vríma を受ける。

    hóinsa dóulin selvíña.

    読み:ホインサ ドーリン セルヴィーニャ。

    hóins-adóulinselvíña
    帰る<〜し終えた>-<(軽いものが)>もうセルヴィーニャ<主格>

    「セルヴィーニャはもう帰った。」

    家庭の日常場面で、家族が娘の帰りを告げる文。幼名は家族や親しい者だけが使う。人を指す名詞なので、動詞は軽性の3人称単数 -a を受ける。肯定句で「もう」を表す dóulin は完了語根と組む決まりなので、未完了語根 hóin- ではなく完了語根 hóins- を使う。相の副詞 dóulin は動詞の直後に置かれ、「時の流れがもう通り過ぎた」意を表す。時制は語形で示さず、文脈から過去として受け取る。

    hóinan krambárai sórel.

    読み:ホイナン クランバーライ ソーレル。

    hóin-ankrambár-aisórel
    帰る-<彼らが>狩人-<〜たちが>今日

    「狩人たちは今日戻る。」

    複数名詞krambáraiを主語に取った出入り記録向きの文。縁の町では特定の獲物を限定せず、狩人一般を指す用法がある。双数ではなく複数で受ける。

    ké hóines próum?

    読み:ケー ホイネス プローン?

    kéhóin-espróum?
    <〜か>帰る-<あなたが>今夜

    「今夜、戻るのか?」

    日常会話での問い。主語は動詞語尾 -es が示すため代名詞 tás は省略する。時名詞 próum は前置詞・格語尾を伴わない副詞的用法で、動詞句の後に置いている。

    wéiro dóulin nórlo éles véun, na hóina

    読み:ウェーロ ドーリン ノルロ エーレス ヴェウン、ナ ホイナ

    wéir-odóulinnórloél-esvéun,nahóin-a
    いる<〜し終えた>-<(重いものが)>もう寝所<主格><3人称単数・軽性>-<属格>空,<〜ない>帰る-<(軽いものが)>

    「彼の寝所はもう空だ。彼は帰らない。」

    日常の会話で、人の帰る場所・安らぎの場として nórlo を比喩的に用いる。後節の主語は動詞の軽性語尾から推定される。

    houmselvá, hóinim.

    読み:ホウンセルヴァー、ホイニン。

    houmselvá,hóin-im.
    ただいま<主格>,帰る-1SG.

    「ただいま、戻りました。」

    日常の帰宅で使われる定型句。houmselvá は軽性名詞の無標主格として、それ自体で帰宅の挨拶の節を成す。後続の句は、第一人称の主語を省略した動詞句。

  2. 戻る

    一度離れた場所や状態に戻る。

    hóinau dáu sílarau élvarei.

    読み:ホイナウ ダウ シーララウ エルヴァレイ。

    hóin-audáusílar-auélvar-ei.
    巡ってくる-<双数>二月-<双数>天-<与格>

    「二つの月が、また天に巡ってくる。」

    天体が一巡りしてまた現れることに hóin- を使う。dáu「二」の後ろの名詞は双数になり、双数の動詞は人称も性も区別しない。場所は前置詞なしの与格で言う。

    lúin hóina sílar, lísimor viráis aursárail.

    読み:ルーイン ホイナ シーラル、リーシモル ヴィライス アウルサーライル。

    lúinhóin-asílar,lís-imorvir-áisaursár-ail.
    とき巡ってくる-<(軽いものが)>月<主格>書く-<我々が>言葉-<〜たちを>祖先-<〜らに>

    「白月がまた巡ってくると、我々は祖先たちに言葉を書く。」

    白月の満月の夜に祖先を祀る習わしを言う文。白月が一巡りしてまた満ちることに hóin- を使う。lúin の節は主節の前に置く。受け手の祖先たちは複数与格 -ail で示す。

解説

もとの場所、とくに自分の家や故郷へ戻ることを表す。運び人や崖道の商人が都に帰ると、まず改まった言葉で祖先に詩を一首捧げる習わしがある。そのため、崖道の人々にとって hóin- は、「泥の言葉」から「整った言葉」へ戻ることも思わせる語になっている。

文法

完了語根は hóins-。尊敬は auóin-「お戻りになる」で、接頭辞 au- の後ろで h が落ちる。

語源

hóum「炉」と同じ語源で、もとは「炉へ向かう」の意味だったと考えられている。

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