þrén

品詞
名詞
意味
段
発音
[ˈθren]
読み
スレン
分野
社会・信仰・儀礼

意味

  1. 段(石段)

    石段の一段。

    duþélim sélvanan, an fóndaros ráimaros dúlenan dáumbar téir lóurul, dúlenan fáir þrénul.

    読み:ドゥセーリン セルヴァナン、アン フォンダロス ライマロス ドゥーレナン ダウンバル テール ロールル、ドゥーレナン ファイル スレーヌル。

    du-þél-imsélvan-an,anfóndar-osráimar-osdúl-en-andáumbartéirlóur-ul,dúl-en-anfáirþrén-ul
    <〜させていただく>-名乗る-<私が>セルヴァン-<対格>上手源-<属格>ライマル-<属格>下る-<〜した・〜された>-<軽性・対格>二十三瀬-<〜たちを>下る-<〜した・〜された>-<軽性・対格>四段-<〜たちを>

    「ライマルの源から二十三瀬下りた、四段下りの者、セルヴァンと名乗らせていただきます。」

    改まった場での名乗り。固有名も小文字で書く。分詞 dúlenan は二度とも、名前の sélvanan(軽性・単数・対格)に一致している。lóurul と þrénul は道のりの対格。瀬と段は語が違うので、どちらが世代でどちらが身分かがすぐにわかる。

    ésa lisár sé dúlen fáir þrénul.

    読み:エーサ リサール セー ドゥーレン ファイル スレーヌル。

    és-alis-ársédúl-enfáirþrén-ul.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格>この<軽性>下る-<〜した・〜された>四段-<〜たちを>

    「この書記は四段下りの者だ。」

    ある人の身分を、第三者に説明する文。身分も「dúlen+数詞+段 þrén の複数対格」で言う。lóur(瀬)ではなく þrén(段)を使っているので、世代ではなく身分の話だとわかる。本人の前でこのように数詞を添えて言うのは、相手の段によっては無作法になる。

    ésa lisár sé dúlen fáir þrénul.

    読み:エーサ リサール セー ドゥーレン ファイル スレーヌル。

    és-alis-ársédúl-enfáirþrén-ul.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人>この<軽性>〜段・〜瀬下りた-<〜した・〜された>四段-<〜たちを>

    「この書記は四段下りの者だ。」

    身分の段を言う言い方。分詞 dúlen に数詞と þrén「段」の複数対格(道のりの対格)を続けて、頂からどれだけ下りているかを表す。高原語にはこれにあたる序数がない。分詞は主語 lisár(軽性・単数・主格)に一致するので、語尾がつかない。þrénul を lóurul「瀬を」に替えると、身分ではなく世代の言い方になる。

    dúlimor þrénul dúnos.

    読み:ドゥーリモル スレーヌル ドゥーノス。

    dúl-imorþrén-uldún-os.
    下る-<我々が>段-<〜たちを>丘-<属格>

    「我々は丘の石段を下りる。」

    þrénul は、どこを下りるかを表す道のりの対格。dún「丘」の属格 dúnos を、名詞の後ろに置いている。坂や石段を下りるときは目下の者が先を歩き、上るときは目上の者が先を歩く。

    dúl du þrén só.

    読み:ドゥール ドゥ スレーン ソー。

    dúlduþrénsó.
    下る<命令法><あなたが>下手段<対格>この<重性>

    「この段まで下りてこい。」

    坂道や石段でのくだけた命令。命令法の2人称単数なので、下向きの話し方か、ごく親しい間柄でしか使わない。þrén は重性なので、対格は主格と同じ形になり、指示詞は só を使う。du+対格で「下手へ」。目上の人より高い段に立つのは無礼とされるので、立つ段の高さに気を配る。

    ésa faronár dúlen réum þrénul.

    読み:エーサ ファロナール ドゥーレン レウン スレーヌル。

    és-afaron-árdúl-enréumþrén-ul.
    いる-<(軽いものが)>荷-<〜する人・主格>下る-<〜した・〜された>九段-<〜たちを>

    「運び人は九段下りの者だ。」

    身分の言い方「dúlen+数詞+þrén の複数対格(道のりの対格)」。réum þrénul「九段」は、いちばん下の段を指す。分詞 dúlen は、主語 faronár(軽性・単数・主格)に一致するので、一致の語尾がつかない。

    dúlan ombár þrénul es aldáres áurenes.

    読み:ドゥーラン オンバール スレーヌル エス アルダーレス アウレネス。

    dúl-anombárþrén-ulesaldár-esáur-en-es.
    下る-<彼らが>そろった段-<〜たちが>から座-<属格>昇る-<〜した・〜された>-<軽性・属格>

    「欠けのない段は、高き座から下っていく。」

    身分の秩序を説く、改まった言い回し。ombár þrénul は「十の段」だが、数えた結果を言うのではなく、「一段も欠けない階段の全体」という意味で使っている。主語の þrénul は重性の複数主格。es+属格で「〜から」。

    ésa dalorár sal þrénuls, na ésa du þrénuls.

    読み:エーサ ダロラール サル スレーヌルス、ナ エーサ ドゥ スレーヌルス。

    és-adalorársalþrén-uls,naés-aduþrén-uls.
    いる-<(軽いものが)>下の国の者<主格>〜の枠の外に段-<〜らに><〜ない>いる-<(軽いものが)>下手段-<〜らに>

    「下の国の者は段の外にいるのであって、段の下にいるのではない。」

    宮廷の礼法家がよく口にする言い方。干潟の人は身分が低いのではなく、「階段に乗っていない」と考えられていることを、sal「〜の外に」と du「〜の下手に」を並べて対比している。þrén「段」は重性なので、複数与格は -uls になる。人を指す dalorár は軽性で受ける。

    ké ráines ré ésa orenvandár té sal þrénuls?

    読み:ケー ライネス レー エーサ オレンヴァンダール テー サル スレーヌルス?

    kéráin-esréés-aorenvandártésalþrén-uls?
    <〜か>知る-<あなたが><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>あの<軽性>〜の枠の外に段-<〜らに>

    「あの縁商人が段の外の者だと、お前は知っているか。」

    同じ段どうしの、くだけた問い。縁商人が仮の段の者として扱われるのは市の札が効く商いの場だけで、それ以外では段の外の者だ、ということを話題にしている。指示詞 té は強勢をもち、後ろに続くのが動詞ではなく前置詞なので、関係節の小辞 ti と取り違えることはない。

    þrenéra endríña ólmarei

    読み:スレネーラ エンドリーニャ オルマレイ

    þren-ér-aendríñaólmar-ei
    段-<〜でする>-<(軽いものが)>子供<主格>年長者-<与格>

    「子どもが年長者の前で跪く。」

    日常の礼法の場面。与格が跪きの対象・位置を示す。主語 endríña は主格なので語全体を一つの形態素として書き、子供.NOM と示す。動詞は3人称単数軽性語尾 -a で一致する。

    þrenéra dórin þundárei

    読み:スレネーラ ドーリン スンダーレイ

    þren-ér-adórinþundár-ei
    段-<〜でする>-<(軽いものが)>男<主格>法官-<与格>

    「男が法官に降服する。」

    法廷での比喩用法。姿勢を一段低くするという意味から、身分・立場を譲る意を表す。与格が服従の対象を示す。

    duþélim sélvanan, an fóndaros gléinaros dúlenan fáir þrénul.

    読み:ドゥセーリン セルヴァナン、アン フォンダロス グレーナロス ドゥーレナン ファイル スレーヌル。

    du-þél-imsélvan-an,anfóndar-osgléinar-osdúlen-anfáirþrén-ul.
    <〜させていただく>-名乗る-<私が>セルヴァン-<対格>上手源-<属格>グレイナル-<属格>下りた-<対格>四段-<〜たちを>

    「グレイナルの源から四段下った者、セルヴァンと名乗らせていただきます。」

    改まった名乗り定型。duþél- は謙譲の「名乗らせていただく」で、名前を対格で受ける。dúlen-an は見出し語 dúlen に軽性対格単数の接辞 -an を付けた形で、sélvanan に一致して後置修飾する。þrénul は「何段下りたか」を表す道のりの対格。

    flórim þrénul.

    読み:フローリン スレーヌル。

    flór-imþrén-ul.
    決める-<私が>段-<〜たちを>

    「私が段を決める。」

    直説法一人称単数の文。目的語の þrén「段」は重性子音語幹の複数対格 þrénul。順番・位置・段取りをその場で動かしようのないものとして定める用法。

  2. 身分の段

    十の段のうちの一つ。頂から何段下りたかで言う。

    pómbar þrénul dúles?

    読み:ポンバル スレーヌル ドゥーレス?

    pómbarþrén-uldúl-es?
    いくつ段-<〜たちを>下る-<あなたが>

    「お前は何段下りの者だ。」

    相手の身分を尋ねる、下向きの問い。身分は「頂から何段下りたか」で言うので、動詞 dúl- と道のりの対格 þrénul を使う。答えは、たとえば réum þrénul dúlim「九段下りだ」となる。目上の人にこう尋ねるのはひどく無礼で、目上の人には推量法を使って遠回しに確かめる。

    éso þrén nadúlen aldárei áurenei.

    読み:エーソ スレーン ナドゥーレン アルダーレイ アウレネイ。

    és-oþrénna-dúl-enaldár-eiáur-en-ei.
    いる-<(重いものが)>段<主格><〜ない>-下る-<〜した・〜された>座-<与格>昇る-<〜した・〜された>-<与格>

    「下りぬ段は高き座のものである。」

    宮廷の語りや詩で、王の身分を言う改まった文。所有は「ある+持ち主の与格」で言い、動詞は持たれている物 þrén(重性)に一致して -o をとる。分詞 nadúlen「下りぬ」は、重性・単数・主格の þrén に一致しているので語尾がつかない。áurenei は、軽性の与格 aldárei に一致した形。王の段は数を使わず、「下りぬ段」とだけ言う。

解説

もとは王の丘に刻まれた石段の一段。そこから身分の段を指す。社会は十の段からなり、王の段を þrén nadúlen「下りぬ段」、そこから「一段下り」〜「九段下り」と数える。起点はいつも王の座である。家族の中で口にすると身分の話になるので、親族の呼び名には使わない。

そのほかの用例

áuren sóila, áuren þrén.

読み:アウレン ソイラ、アウレン スレーン。

áur-ensóila,áur-enþrén.
昇る-<〜した・〜された>結い髪<主格>昇る-<〜した・〜された>段<主格>

「髪高ければ段も高し。」

結い髪の高さが身分の高さを表すことを言った諺。諺の形なので繋辞を落とし、述語の分詞 áuren を名詞の前に出している。前半の分詞は軽性の sóila に、後半の分詞は重性の þrén に一致している。どちらも単数主格なので、一致の語尾はつかない。

na éso þrén naþrenárei.

読み:ナ エーソ スレーン ナスレナーレイ。

naés-oþrénnaþrenár-ei.
<〜ない>いる-<(重いものが)>段<主格>段の外の者-<与格>

「段の外の者には段がない。」

宮廷の礼法家がよく口にする言い方。「持つ」の動詞がないので、所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持ち主ではなく、持たれている物 þrén(重性)に一致する。段の外の者をどう迎えるかが、いつも議論になることを踏まえた言い回し。

wéinsa ólmar þrén ául

読み:ウェーンサ オルマル スレーン アウル

wéins-aólmarþrénául
なる<〜し終えた>-<(軽いものが)>年長者<主格>段<対格>高い

「年長者は高い段になった。」

昇進を表す文。wéin-「なる」の完了形で、行き着く先を対格に置く。þrén は重性の単数対格で主格と同形になり、形容詞 ául も重性対格無標として一致する。

éso unlóur þrén fandáres slóura.

読み:エーソ ウンロール スレーン ファンダーレス スローラ。

és-ounlóurþrénfandár-esslóura.
いる-<(重いものが)>まだ段<主格>新入り-<属格>空欄<主格>

「新入りの身分は、まだ空欄扱いである。」

空欄の転義。身分・扱いが未確定である状態を指す。主語 þrén が重性なので存在動詞は -o、述語名詞 slóura は軽性の主格のまま。

文法

重性・子音語幹。主格・対格 þrén、属 þrénos、複主対 þrénul。道のりの対格で dúlen fáir þrénul「四段下り」。

語源

古高原語 *þrén から

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