sén-

品詞
動詞
意味
見る
辞書形
séna
発音
[ˈsena]
読み
セーナ
分野
知覚・感情・思考・発話

意味

  1. 見る

    目で見る。

    aubandénde ausenár fáron.

    読み:アウバンデンデ アウセナール ファーロン。

    au-band-énd-eau-sen-árfáron
    <お〜になる・御〜>-量る-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>荷<対格>

    「目付殿に、荷をお量りいただきたく存じます。」

    前の例文と同じ用件を、都の手代が改まって言った形。au- と v- がくっついて aub- になる。ausenár は sén-「見る」+-ár「〜する人」に au- がついた語。名詞には補充形を使わない。

    toríro nébro es orénos, na senéimor ilánais.

    読み:トリーロ ネーブロ エス オレーノス、ナ セネーモル イラーナイス。

    tor-ír-onébroesorén-os,nasen-é-imorilán-ais
    来る-<もし〜なら>-<(重いものが)>霧<主格>から縁-<属格><〜ない>見る-<〜だろう>-<我々が>灯-<〜たちを>

    「縁から霧が上がってくれば、我々には星が見えなくなるだろう。」

    霧 nébro は重性o語幹なので、仮定法の動詞も重性の -o をとる。帰結の部分は推量法で、na で否定している。1人称の語尾の前では、推量法の -él- の l が落ちて -é- になる。

    lísa lisár sáindaran senárei.

    読み:リーサ リサール サインダラン セナーレイ。

    lís-alis-ársáindar-ansen-ár-ei.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「書記が目付に証文を書く。」

    基本の語順:動詞–主語–目的語–与格(受け手)。lisár は動詞 lís- に -ár「〜する人」がついた語、senár は sén- に -ár がついた語。

    du pó fleiréla ausenár?

    読み:ドゥ ポー フレイレーラ アウセナール?

    dupófleir-él-aau-sen-ár?
    下手何<対格>お出ましになる-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「目付殿は、下手のどちらへお出ましになるのでしょうか。」

    上向きの問い。ké を使わず推量法で尋ね、相手は役職名+au- の3人称で言う。高原語には方向を決めない「どこへ」がないので、du pó「下手の何へ」と前置詞句ごと文頭に出す。東西なら or pó・vel pó と言う。

    luuménde ausenár plánan sé.

    読み:ルーメンデ アウセナール プラーナン セー。

    luum-énd-eau-sen-árplán-ansé.
    ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>帳簿-<対格>この<軽性>

    「目付殿に、この帳簿をご覧いただきたく存じます。」

    上向きの依頼。命令法の代わりに願望法の3人称を使い、目の前の相手を主語の「目付殿」として扱う。lúum- は「見る」の尊敬の補充形。下向きなら sén plánan sé!、縁の市なら sén plána, ende. と言う。

    sén, senéndes plánan sé.

    読み:セーン、セネンデス プラーナン セー。

    sén,sen-énd-esplán-ansé.
    見る<命令法><あなたが>見る-<〜しますように>-<あなたが>帳簿-<対格>この<軽性>

    「見ろ……いや、この帳簿を見てくれぬか。」

    段を測りかねる相手への揺れ。都の大商家の手代(六段下り)が、段の外の尋に話しかけている。手代は自分のほうが上だと思っているので、下向きの命令法 sén を言いかけて、並びの願望法2人称に言い直す。最初の sén は市のむき出しの語幹と同じ形だが、格語尾つきの plánan と指示詞 sé が続き、ende がないので、市の言葉ではなく命令法だとわかる。市の目付は干潟の人と縁商人を通して話し、この形を口にしないので、この揺れを見せるのは手代や崖道の商人である。

    tóra senár él te lísim sáindaran élei.

    読み:トーラ セナール エール テ リーシン サインダラン エーレイ。

    tór-asen-áréltelís-imsáindar-anél-ei.
    来る-<(軽いものが)>見る-<〜する人><3人称単数・軽性><関係節>書く-<私が>証文-<対格><3人称単数・軽性>-<与格>

    「私が証文を書いてやる、あの目付が来る。」

    与格にあたる部分は、関係節の中で代名詞 élei「その人に」で埋める(再述代名詞)。軽性の「あの」té は関係節の te の前に置けないので、代名詞 él を「あの・例の」の意味で置く。この él は名詞の格に一致する。tóra senár té, lísim sáindaran élei. と、強勢のある té の後ろで区切ると、「あの目付が来る。私はその人に証文を書く」という二つの文になる。書き言葉では te と té は同じ字だが、主節を二つ並べるときはかならず区切りの印を打つ。区切りがなければ関係節と読む。

    selvéna ausenár ré mé duliþésa fáron es orénos.

    読み:セルヴェーナ アウセナール レー メー ドゥリセーサ ファーロン エス オレーノス。

    selvén-aau-sen-árrémédul-iþ-és-afáronesorén-os.
    おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)><禁止・願いの打ち消し>下る-<〜させる>-<〜すべし>-<(軽いものが)>荷<対格>から縁-<属格>

    「目付殿は、「縁から荷を落とさぬこと」とおっしゃる。」

    ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。ré の後ろの節は、元の文の法を保つ。ここでは度量衡の碑の一句 mé duliþésa fáron es orénos を、当為法のまま引用している。目付が碑の前で揉め事を裁くときの言い方。

    na tóra unlóur senár.

    読み:ナ トーラ ウンロール セナール。

    natór-aunlóursen-ár.
    <〜ない>来る-<(軽いものが)>まだ見る-<〜する人>

    「目付はまだ来ない。」

    「まだ」unlóur は動詞の直後、主語の前に置く。否定の na は動詞の前。

    lísa lisár sáindaran si lúuma ausenár.

    読み:リーサ リサール サインダラン シ ルーマ アウセナール。

    lís-alis-ársáindar-ansilúum-aau-sen-ár.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>とご覧になる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「書記が証文を書き、目付殿がご覧になる。」

    si で文と文を並べる。二つめの文は、同じ目的語を受けるので目的語の枠を空けてよい(1.2節)。

    éso nébro an orénoi, esós na sénimor ilánais.

    読み:エーソ ネーブロ アン オレーノイ、エソース ナ セーニモル イラーナイス。

    és-onébroanorén-oi,esósnasén-imorilán-ais.
    いる-<(重いものが)>霧<主格>上手縁-<与格>だから<〜ない>見る-<我々が>灯-<〜たちを>

    「縁の上手に霧がある。だから、我々には星が見えない。」

    esós「それから(それゆえ)」は理由と結果。es pós「なぜ」と対になる。

    wéira ólmar senár.

    読み:ウェーラ オルマル セナール。

    wéir-aólmarsen-ár.
    いる<〜し終えた>-<(軽いものが)>年長者<主格>見る-<〜する人>

    「年長の方は目付になった(今は目付である)。」

    és- の完了 wéir- は「〜であるようになった」。なった結果の今の状態に重きがある。

    léisin sáindaran, méirim élan senárei.

    読み:レーシン サインダラン、メーリン エーラン セナーレイ。

    léis-insáindar-an,méir-imél-ansen-ár-ei.
    書く<〜し終えた>-<〜して・〜く>証文-<対格>与える-<私が><3人称単数・軽性>-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「証文を書き終えて、それを目付に渡す。」

    完了の語根+-in で「〜し終えて」。主語は後ろの動詞と同じ(私)。 副動詞の句と主節は別の文として数えるので、主節の目的語は代名詞 élan で置く。

    anórel, an kórvoi, léisin sáindaran, méira lisár élan senárei.

    読み:アノーレル、アン コルヴォイ、レーシン サインダラン、メーラ リサール エーラン セナーレイ。

    anórel,ankórv-oi,léis-insáindar-an,méir-alis-árél-ansen-ár-ei.
    昨日上手倉-<与格>書く<〜し終えた>-<〜して・〜く>証文-<対格>与える-<(軽いものが)>書く-<〜する人><3人称単数・軽性>-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「昨日、倉の北側で、証文を書き終えて、書記はそれを目付に渡した。」

    場面の枠は「時 → 場所 → -in の句」の順。それぞれ読点で区切る。「それを」は軽性の証文を受けるので élan。

    sénim plíndo lísen lisáres senáres só.

    読み:セーニン プリンド リーセン リサーレス セナーレス ソー。

    sén-implíndolís-enlis-ár-essen-ár-essó.
    見る-<私が>荷札<対格>書く-<〜した・〜された>書く-<〜する人>-<属格>見る-<〜する人>-<属格>この<重性>

    「私は、書記が書いた目付のこの荷札を見る。」

    分詞のすぐ後ろの属格は動作主(書記が書いた)、その次の属格は持ち主(目付の)。

    sénim lónan áurenan sélvanes.

    読み:セーニン ローナン アウレナン セルヴァネス。

    sén-imlón-anáur-en-ansélvan-es.
    見る-<私が>柱の木-<対格>昇る-<〜した・〜された>-<対格>セルヴァン-<属格>

    「私はセルヴァンの高い柱の木を見る。」

    自動詞の分詞(形容詞として固まった áuren)の後ろの属格は、動作主ではなく持ち主。

    lisáran té, séna senár.

    読み:リサーラン テー、セーナ セナール。

    lis-ár-anté,sén-asen-ár.
    書く-<〜する人>-<対格>あの<軽性>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

    「あの書記をこそ、目付が見る。」

    前に出した名詞句が té で終わるときは、té の後ろに区切りを入れる。区切りがないと関係節(te)と読まれる。

    sénim gandér te dulíþo ílmo.

    読み:セーニン ガンデール テ ドゥリーソ イルモ。

    sén-imgandértedul-íþ-oílmo.
    見る-<私が>硬木<対格><関係節>下る-<〜させる>-<(重いものが)>水<主格>

    「私は、水が下ろす硬木を見る。」

    関係節の要は前に出した語と同じ扱いで、既定では目的語の枠を埋める。残った ílmo が主語。

    sénim gandér te dulíþo ó ílmo.

    読み:セーニン ガンデール テ ドゥリーソ オー イルモ。

    sén-imgandértedul-íþ-oóílmo.
    見る-<私が>硬木<対格><関係節>下る-<〜させる>-<(重いものが)><3人称単数・重性・主格>水<対格>

    「私は、水を下ろす硬木を見る。」

    要が主格と対格が同じ形の語で、関係節の主語のときは、主語の枠に再述の ó を残す。

    sénim lisáran te séna senár.

    読み:セーニン リサーラン テ セーナ セナール。

    sén-imlis-ár-antesén-asen-ár.
    見る-<私が>書く-<〜する人>-<対格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

    「私は、目付が見る書記を見る。」

    残った名詞の格の形(senár は主格)で役割がわかるので、ó は要らない。

    lísa sáindaran lisár te séna senár.

    読み:リーサ サインダラン リサール テ セーナ セナール。

    lís-asáindar-anlis-ártesén-asen-ár.
    書く-<(軽いものが)>証文-<対格>書く-<〜する人・主格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

    「目付が見る書記が、証文を書く。」

    都の言葉。関係節つきの主語は目的語の後ろへ回す。目的語は対格の形でわかる。

    lísa lisár te séna senár, sáindaran.

    読み:リーサ リサール テ セーナ セナール、サインダラン。

    lís-alis-ártesén-asen-ár,sáindar-an.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>証文-<対格>

    「目付が見る書記が、証文を書く。」

    崖道の言葉。読点で関係節を閉じ、読点の後ろは主節の残りの枠(ここでは目的語)に戻る。

    dulíþo ó gandér ílmo te séna senár.

    読み:ドゥリーソ オー ガンデール イルモ テ セーナ セナール。

    dul-íþ-oógandérílmotesén-asen-ár.
    下る-<〜させる>-<(重いものが)><3人称単数・重性・主格>硬木<対格>水<主格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

    「目付が見る水が、硬木を下ろす。」

    都の言葉。関係節つきの主語を後ろへ回し、目的語が主格と対格が同じ形の語なので、空いた主語の枠に ó を残す。

    sénim lisáran te séna senáran.

    読み:セーニン リサーラン テ セーナ セナーラン。

    sén-imlis-ár-antesén-asen-ár-an.
    見る-<私が>書く-<〜する人>-<対格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>-<対格>

    「私は、目付を見る書記を見る。」

    要の lisáran が対格なのは主節の目的語だから。関係節の中では、残った senáran が対格なので、要が主語だとわかる。

    sénim gandér te dulíþa éndra.

    読み:セーニン ガンデール テ ドゥリーサ エンドラ。

    sén-imgandértedul-íþ-aéndra.
    見る-<私が>硬木<対格><関係節>下る-<〜させる>-<(軽いものが)>人<主格>

    「私は、人が下ろす硬木を見る。」

    関係節の動詞の -a(軽性)が主語は人だと示すので、重性の要は目的語とわかる。

    tóra lisár te séna néman.

    読み:トーラ リサール テ セーナ ネーマン。

    tór-alis-ártesén-aném-an.
    来る-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格><関係節>見る-<(軽いものが)><私>-<対格>

    「私を見る書記が来る。」

    関係節の中の代名詞の目的語は対格(néman)。

    ésa lisár éndra te sénim.

    読み:エーサ リサール エンドラ テ セーニン。

    és-alis-áréndratesén-im.
    いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格>人<主格><関係節>見る-<私が>

    「書記は、私が見た人だ。」

    名詞が述語の文では、関係節のついた名詞句を述語として読む。

    éndra te sénim, ésa lisár.

    読み:エンドラ テ セーニン、エーサ リサール。

    éndratesén-im,és-alis-ár.
    人<主格><関係節>見る-<私が>いる-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格>

    「私が見た人は、書記だ。」

    関係節のついた名詞句を主語にしたいときは、読点で閉じて前に出す。

    sénim plánan te léisa lisár te séna senár.

    読み:セーニン プラーナン テ レーサ リサール テ セーナ セナール。

    sén-implán-anteléis-alis-ártesén-asen-ár.
    見る-<私が>帳簿-<対格><関係節>書く<〜し終えた>-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格><関係節>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

    「私は、目付が見る書記が書き終えた帳簿を見る。」

    関係節の中の最後の名詞に、さらに関係節がつく。右へ右へと伸ばすのは自然な形。

    gandér te sénim, dulíþo ílmo.

    読み:ガンデール テ セーニン、ドゥリーソ イルモ。

    gandértesén-im,dul-íþ-oílmo.
    硬木<対格><関係節>見る-<私が>下る-<〜させる>-<(重いものが)>水<主格>

    「私が見た硬木を、水が下ろす。」

    主題の前置き。読点つきで前に出した名詞句も、他動詞の文では既定で目的語の枠を埋める。

    gandér te sénim, dulíþo ó ílmo.

    読み:ガンデール テ セーニン、ドゥリーソ オー イルモ。

    gandértesén-im,dul-íþ-oóílmo.
    硬木<主格><関係節>見る-<私が>下る-<〜させる>-<(重いものが)><3人称単数・重性・主格>水<対格>

    「私が見た硬木が、水を下ろす。」

    主題の前置きが主語のときは、主語の枠に再述の ó を残す。

    ké gandér te sénim, dulíþo ílmo?

    読み:ケー ガンデール テ セーニン、ドゥリーソ イルモ?

    kégandértesén-im,dul-íþ-oílmo?
    <〜か>硬木<対格><関係節>見る-<私が>下る-<〜させる>-<(重いものが)>水<主格>

    「私が見た硬木を、水が下ろすのか。」

    ké は主題の前置きより前、文のいちばん前に置く。

    anórel, sénim plánan te léisa lisár.

    読み:アノーレル、セーニン プラーナン テ レーサ リサール。

    anórel,sén-implán-anteléis-alis-ár.
    昨日見る-<私が>帳簿-<対格><関係節>書く<〜し終えた>-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格>

    「昨日、私は書記が書き終えた帳簿を見た。」

    関係節のある文で、時の語を主節にかけたいときは場面の枠に置く。

    auleiménde ausenár símbo sáindarei.

    読み:アウレイメンデ アウセナール シンボ サインダレイ。

    au-leim-énd-eau-sen-ársímbosáindar-ei.
    <お〜になる・御〜>-置く-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>印<対格>証文-<与格>

    「目付殿に、証文に印をお押しいただきたく存じます。」

    縁の市で市の目付に頼む改まった言い方。命令の代わりに願望法の3人称を使い、相手を役職名+au- で呼ぶ。「印を押す」は léim-「置く」で言う。sáindar は軽性の子音語幹で、与格は -ei。

    sénim orén es dúnos.

    読み:セーニン オレーン エス ドゥーノス。

    sén-imorénesdún-os.
    見る-<私が>縁<対格>から丘-<属格>

    「丘から縁を見下ろす。」

    主語は動詞の語尾 -im でわかるので言わない。orén は重性なので、主格と対格が同じ形になる。丘の上から南の縁の方を見る、という高原の縦の地理らしい文。

    lisésa lisár sáindarais, ré vandénde senár fáron.

    読み:リセーサ リサール サインダライス、レー ヴァンデンデ セナール ファーロン。

    lis-és-alis-ársáindar-ais,révand-énd-esen-árfáron.
    書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<〜たちを><〜と(節)>量る-<〜しますように>-<(軽いものが)>見る-<〜する人>荷<対格>

    「目付が荷を量れるよう、書記は証文を書くべし。」

    市の決まりの文。sáindar は軽性の子音語幹なので、複数対格は -ais になる。ré+願望法で目的「〜するように」を表す。この願望法は丁寧さではなく、そうなってほしいことを表している。

    sénim fáir kelárais.

    読み:セーニン ファイル ケラーライス。

    sén-imfáirkel-ár-ais.
    見る-<私が>四伐る-<〜する人>-<〜たちを>

    「樵が四人見える。」

    目下の者や働き手は人数で数えてよいので、数詞をそのまま使う。目上の人には数詞をつけられないので、同じ言い方はできない。kelár は軽性の子音語幹で、複数対格は -ais。

    aldána ausenár téndoi.

    読み:アルダーナ アウセナール テンドイ。

    aldán-aau-sen-árténd-oi.
    おわす-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>あそこ-<与格>

    「「目付殿は、あちらにおいでです。」」

    前の問いに答える言い方。aldán- は「いる」の尊敬の補充形で、目上の人が「いる」ことを高めて言う。役職名にも au- をつけて ausenár とする。

    lúin élþa ilána, tóra senár.

    読み:ルーイン エルサ イラーナ、トーラ セナール。

    lúinélþ-ailána,tór-asen-ár.
    とき燃える-<(軽いものが)>灯<主格>来る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

    「灯がともると、目付がやって来る。」

    縁の市の夕方の言い方。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。ilána は軽性a語幹なので、動詞 élþa も tóra も軽性の -a をとる。主節も VSO の語順どおり、動詞 tóra が主語 senár の前に来る。

    vánda senár téir fáronul.

    読み:ヴァンダ セナール テール ファーロヌル。

    vánd-asen-ártéirfáron-ul.
    量る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>三荷-<〜たちを>

    「目付が荷を三つ量る。」

    三以上の数詞の後ろの名詞は複数になる。fáron は重性なので、複数対格は -ul(主格と同じ形)。市の目付は秤と分銅を預かり、荷の重さを量って証文に印を押す。

    ké sénes gandér tó? éso ó fóndel.

    読み:ケー セーネス ガンデール トー?エーソ オー フォンデル。

    késén-esgandértó?és-oófóndel.
    <〜か>見る-<あなたが>硬木<対格>あの<重性>いる-<(重いものが)><3人称単数・重性>古い

    「あの硬木が見えるか?あれは由緒ある古木だ。」

    樵が森で若い者に話しかける言い方。生えている木はふつう軽性だが、硬木だけは生えていても重性で受けるので、指示詞は重性の tó、代名詞も重性の ó、繋辞も重性の éso になる。fóndel は、由緒があって尊い「古い」。

    sén gandér só, ende.

    読み:セーン ガンデール ソー、エンデ。

    séngandérsó,ende.
    見る<命令法><あなたが>杭材この<重性>どうぞ

    「この丸太、検めてくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹で、格語尾は落ちる。文末に ende を添える。市は段に乗らない場なので、命令法と同じ形でも無礼にはならない。指示詞は性で形が変わるだけなので、取引言葉でも重性の só が残る。

    sén! áura aurá an élvaran.

    読み:セーン!アウラ アウラー アン エルヴァラン。

    sén!áur-aauráanélvar-an.
    見る<命令法><あなたが>昇る-<(軽いものが)>縁鷲<主格>上手天-<対格>

    「見ろ、縁鷲が天へ昇っていく。」

    縁の肩で、崖からの吹き上げに乗る鷲を見て言う言葉。áura「昇る」と aurá「縁鷲(もとは昇るもの)」は、強勢の位置だけが違う。日本語話者には同じに聞こえやすい。

    lúin glóira ausenár, luuménde sáindaran sé.

    読み:ルーイン グロイラ アウセナール、ルーメンデ サインダラン セー。

    lúinglóir-aau-sen-ár,luum-énd-esáindar-ansé.
    ときお越しになる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)>証文-<対格>この<軽性>

    「目付殿がお越しになりましたら、この証文をご覧いただきたく存じます。」

    縁の市で、都の手代のような者が改まって言う依頼。glóir- は「来る」の尊敬の補充形。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。後半の主語は前半と同じ目付なので、言わずに省いている。命令の代わりに願望法の3人称を使い、lúum-「見る」の尊敬の補充形を使う。

    sénimor sílarau es orénos.

    読み:セーニモル シーララウ エス オレーノス。

    sén-imorsílar-auesorén-os.
    見る-<我々が>月-<双数>から縁-<属格>

    「縁から二つの月が見える。」

    白月と赤月の二つを、双数でひと組として言う。月は星ではないので、双数にしても数えても禁忌にならない。es+属格で、方向を問わない「〜から」を表す。

    lúin tóro nébro, na sénimor sílaran.

    読み:ルーイン トーロ ネーブロ、ナ セーニモル シーララン。

    lúintór-onébro,nasén-imorsílar-an.
    とき来る-<(重いものが)>霧<主格><〜ない>見る-<我々が>月-<対格>

    「霧が来ると、月が見えなくなる。」

    霧期の不安を言う文。霧 nébro は重性なので、動詞は3人称単数・重性の -o をとる。主節は直説法なので、否定には na を使う。

    léunim ré tóro nébro es orénos, ausenár.

    読み:レウニン レー トーロ ネーブロ エス オレーノス、アウセナール。

    léun-imrétór-onébroesorén-os,au-sen-ár.
    申す-<私が><〜と(節)>来る-<(重いものが)>霧<主格>から縁-<属格><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「目付殿、縁から霧が来ると申し上げます。」

    目下の者が目上の人に知らせを伝える改まった言い方。léun- は「言う」の謙譲の補充形で、du- をつけた規則形は使わない。ré の後ろの節は、元の文の法(ここでは直説法)を保つ。呼びかけは呼格を使わず、役職名に au- をつけて、読点で区切って文末に添える。

    vánda senár fáron.

    読み:ヴァンダ セナール ファーロン。

    vánd-asen-árfáron.
    量る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>荷<対格>

    「目付が荷を量る。」

    直説法を使った基本の VSO の文。年代記や帳簿の地の文にも使う言い切りの形。直説法には法の印がないので、強勢は語根に残る(vánda)。fáron は重性なので、目的語でも主格と同じ形になる。

    éso nébro, na sénimor álmaran.

    読み:エーソ ネーブロ、ナ セーニモル アルマラン。

    és-onébro,nasén-imorálmar-an.
    いる-<(重いものが)>霧<主格><〜ない>見る-<我々が>白月-<対格>

    「霧が出ていて、我々には白月が見えない。」

    霧期の暮らしを語るときの言い方。否定の小辞 na は動詞の直前に置く。霧が出ると、空と人とのあいだに下のものが割りこみ、祖先が下界を見守れなくなる。この文には、そうした不安がこもっている。

    ké sénes álmaran? sénim.

    読み:ケー セーネス アルマラン?セーニン。

    késén-esálmar-an?sén-im.
    <〜か>見る-<あなたが>白月-<対格>見る-<私が>

    「「白月が見えるか?」「見える。」」

    二人の発話。雨期に、雲の切れ間から白月がのぞいているかを尋ねる、家族や同輩どうしの問い。答えは問いの動詞を自分の人称に変えて繰り返す。目上の人には ké を使わず、尊敬の補充形 lúum- を推量法にして尋ねる。

    mé ombér ausenáran!

    読み:メー オンベール アウセナーラン!

    méombérau-sen-ár-an!
    <禁止・願いの打ち消し>指さす<命令法><あなたが><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<対格>

    「目付殿を指さすな!」

    親が子どもをたしなめるときの禁止。「mé+命令法」で禁止を表し、mé は強勢をもつ。ombér- は ómbo「指」に -ér- がついた動詞で、命令法2人称単数は語幹そのままになる。目上の人に指を突きつけるのは、星を指さすのと同じ理屈で無礼とされる。目付は目上なので、目的語でも au- をつけたままにする。

    mé fleirénde ausenár du orén.

    読み:メー フレイレンデ アウセナール ドゥ オレーン。

    méfleir-énd-eau-sen-árduorén.
    <禁止・願いの打ち消し>お出ましになる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>下手縁<対格>

    「目付殿、縁へはお出ましになりませぬよう。」

    目上の人への禁止。命令法は使わず、「mé+願望法3人称」で言う。目の前の相手も、役職名に au- をつけた3人称の主語として扱う。du+対格で「下手へ」。orén は重性なので、主格と対格が同じ形になる。霧期に、霧のあふれる縁の方へ行くのをいさめるときの言い方。

    lúuma ausenár sáindaran némes.

    読み:ルーマ アウセナール サインダラン ネーメス。

    lúum-aau-sen-ársáindar-anném-es.
    ご覧になる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>証文-<対格><私>-<属格>

    「目付殿が私の証文をご覧になる。」

    縁の市で、目付が証文を検めることを高めて言う直説法の文。lúum- は「見る」sén- の尊敬の補充形。名詞の ausenár は補充形を使わず、sén- に -ár と au- をつけて作る。所有者の属格 némes は名詞の後ろに置く。

    sén fáron só!

    読み:セーン ファーロン ソー!

    sénfáronsó!
    見る<命令法><あなたが>荷<対格>この<重性>

    「この荷を見ろ!」

    下向きの命令。命令法の2人称単数は、語幹をむき出しにした sén の形になる。fáron は重性なので、対格でも格語尾がつかず、指示詞も重性の só になる。市の言葉で言うと sén fáron, ende となり、命令の強さは消える。

    tóra orenvandár él te sénim anórel.

    読み:トーラ オレンヴァンダール エール テ セーニン アノーレル。

    tór-aorenvandáréltesén-imanórel.
    来る-<(軽いものが)>縁商人<主格>あの<関係節>見る-<私が>昨日

    「昨日見かけた、あの縁商人が来る。」

    縁の市での会話。主語の orenvandár が主格なので、él も主格の形(語尾なし)。anórel は関係節の中に入っている(関係節は文の終わりまで続く)。目的語が抜けた穴は空けたままにする。

    lúin tóra senár, sénim élan.

    読み:ルーイン トーラ セナール、セーニン エーラン。

    lúintór-asen-ár,sén-imél-an.
    とき来る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>見る-<私が>彼-<対格>

    「目付が来たとき、私は彼を見かけた。」

    日常の会話。主語の代名詞は動詞の語尾でわかるので言わない。目的語の代名詞は省けないので、対格の élan を置く。「〜とき」の節は lúin で始めて、主節の前に置く。時制はないので、文脈によって「見る」とも「見た」とも訳せる。

    tóra senár té.

    読み:トーラ セナール テー。

    tór-asen-árté.
    来る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>あの<軽性>

    「あの目付が来る。」

    縁の市で、近づいてくる役人を指して言う日常の言い方。指示詞 té は名詞の後ろに置く。性によって形が変わるが、格では変わらない。後ろに動詞が続かないので、関係節の te ではない。

    té, séir! na sénim nóumo táses.

    読み:テー、セール!ナ セーニン ノーモ ターセス。

    té,séir!nasén-imnóumotás-es.
    そこの方待つ<命令法><あなたが><〜ない>見る-<私が>顔<対格><あなた>-<属格>

    「そこの方、待て!顔が見えない。」

    霧の濃い道で、正体のわからない相手を呼び止める言い方。呼びかけの té は文の頭に置くこともでき、そのときは読点で区切る。目上の人かもしれない相手には、命令法の séir ではなく、決まり文句の seirénde「しばしお待ちを」を使う。

    léimim fáron séndoi ré luuménde ausenár ó.

    読み:レーミン ファーロン センドイ レー ルーメンデ アウセナール オー。

    léim-imfáronsénd-oiréluum-énd-eau-sen-áró.
    置く-<私が>荷<対格>ここ-<与格>ようにご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><3人称単数・重性>

    「「目付殿がご覧になれるよう、荷をここに置きます。」」

    縁の市で荷を検めてもらうときの言い方。ré と願望法を組み合わせると目的を表す。ここでの願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしい」という意味を表す。ó は荷を受ける重性の代名詞で、主格と対格が同じ形。

    séna lisár sáindaran si fáron.

    読み:セーナ リサール サインダラン シ ファーロン。

    sén-alis-ársáindar-ansifáron.
    見る-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>と荷<対格>

    「書記は証文と荷を見る。」

    si で目的語を二つ並べた文。並べた語は、それぞれ文の中の役割に合う格をとる(どちらも対格。重性の fáron は主格と同じ形)。動詞は主語の書記に一致するので、双数にはならない。

    áurau dáu sílarau, sénim dáun.

    読み:アウラウ ダウ シーララウ、セーニン ダウン。

    áur-audáusílar-au,sén-imdáun.
    昇る-<双数>二月-<双数>見る-<私が>ふたつ

    「二つの月が昇る。私にはふたつとも見える。」

    dáun は人だけでなく、そろいの二つのものも受ける。ここでは前の節の「二つの月」を受けて、目的語になっている。dáun は主格と対格が同じ形。月は星ではないので、数詞をつけても双数で受けてもかまわない。星をこの形で受けるのは禁忌にあたる。

    aumeirénde ausenár sáindaran dunémei.

    読み:アウメイレンデ アウセナール サインダラン ドゥネーメイ。

    au-meir-énd-eau-sen-ársáindar-anduném-ei.
    <お〜になる・御〜>-与える-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>証文-<対格>手前-<与格>

    「目付殿に、手前へ証文をお下げ渡しいただきたく存じます。」

    上向きの依頼。相手は2人称で呼ばず、ausenár「目付殿」を主語にした願望法の3人称で言う。受け手の自分は、ném ではなく、へりくだった duném の与格で言う。au- は m の前ではそのままの形でつく(aumeir-)。尊敬の動詞と謙譲の代名詞が一つの文に並ぶので、「目上の人から私へ」という上下の関係が文法の上に表れる。

    sén fáron tó!

    読み:セーン ファーロン トー!

    sénfárontó!
    見る<命令法><あなたが>荷<対格>あの<重性>

    「あの荷を見ろ。」

    下向きの命令。命令法の2人称単数は、むき出しの語幹 sén だけで言う。tó は重性の名詞の後ろに置き、格では形が変わらない。荷 fáron は重性なので、主格と対格が同じ形。縁の市で同じ用件を言うときは sén fáron, ende のように ende を添える。

    ké tóra senár? na tóra.

    読み:ケー トーラ セナール?ナ トーラ。

    kétór-asen-ár?natór-a.
    <〜か>来る-<(軽いものが)>見る-<〜する人><〜ない>来る-<(軽いものが)>

    「「目付は来たか?」「まだ来ていない。」」

    市の店先で、仲間どうしが第三者について尋ねあう文。答えは動詞を繰り返すが、主語が3人称のままなので人称は変わらず、「いいえ」は na を前に置くだけで言う。目付本人に向かって尋ねるなら、ké は使わず推量法にする。

    ké sénes nébro? sénim ó.

    読み:ケー セーネス ネーブロ?セーニン オー。

    késén-esnébro?sén-imó.
    <〜か>見る-<あなたが>霧<対格>見る-<私が>それ<対格>

    「「霧が見えるか?」「ああ、見える。」」

    霧期に、縁の肩の見張りどうしで交わす問答。霧 nébro は重性なので、受ける代名詞も重性の ó になる。答えでは動詞 sén- を1人称に変えて繰り返し、目的語を ó で受ける。霧を指して軽性の él を使うことはない。

    sáindaran pél luuméla ausenár?

    読み:サインダラン ペール ルーメーラ アウセナール?

    sáindar-anpélluum-él-aau-sen-ár?
    証文-<対格>どのご覧になる-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「目付殿は、どの証文をご覧になるのでしょうか。」

    上向きの問い。ké は使わず、推量法で推し量る形にする。尊敬の補充形 lúum- に推量法の -él- がつくので、強勢が接尾辞に移る。疑問の名詞句 sáindaran pél は文頭に出す。

    sén kumbór só, ende. pómbar?

    読み:セーン クンボール ソー、エンデ。ポンバル?

    sénkumbórsó,ende.pómbar?
    見る<命令法><あなたが>青銅この<重性>どうぞどれほど

    「この青銅を見てくれ、頼む。どれほどだ?」

    縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹で使い、格語尾は落とす。最後の pómbar? は、目方や値を尋ねる決まった言い方で、これだけで使う。kumbór は金属なので重性になり、指示詞も重性の só をとる。

    fléira ausenár du téndo.

    読み:フレーラ アウセナール ドゥ テンド。

    fléir-aau-sen-árduténdo.
    お出ましになる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>下手あそこ<対格>

    「目付殿はあちら(下手のあそこ)へお出ましになる。」

    離れた場所へ行く目上の人の行き先を教える文。téndo も séndo と同じく重性o語幹で、主格と対格が同じ形になる。du+対格で「下手のあそこへ」と言う。人を指さすのは避けられるので、ふつうは言葉で場所を示す。

    na tóran ómbra senárar.

    読み:ナ トーラン オンブラ セナーラル。

    natór-anómbrasen-ár-ar.
    <〜ない>来る-<彼らが>みな<主格>見る-<〜する人>-<〜らの>

    「目付たちがみな来たわけではない。」

    na で否定すると、「全員が〜したわけではない」という部分否定になる。ómbra は意味の上で複数を受けるので、動詞は3人称複数になる。

    tóra senár selúin.

    読み:トーラ セナール セルーイン。

    tór-asen-árselúin.
    来る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>今

    「目付が今来る。」

    市で、同じ段の者どうしが交わす日常の言葉。時を表す selúin は、ふつう文の終わり近くの「その他」の位置に置く。時制の語形がないので、「今」を添えると、目の前で起きていることだとはっきりする。仲間うちの話なので、senár に au- をつけていない。

    sén fáron selúin, ende.

    読み:セーン ファーロン セルーイン、エンデ。

    sénfáronselúin,ende.
    見る<命令法><あなたが>荷<対格>今どうぞ

    「今すぐ荷を見てくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。sén- は命令法2人称単数で、語幹がそのまま出る形。selúin を添えると「今すぐ」と急がせる響きになる。ende をつけるので、命令の形でも無礼にはならない。fáron は重性なので、もともと対格の語尾がない。

    vánda senár lím gandérul.

    読み:ヴァンダ セナール リーン ガンデールル。

    vánd-asen-árlímgandér-ul.
    量る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>五硬木-<〜たちを>

    「目付が硬木を五本量る。」

    降ろし場での会話。lím の後ろなので名詞は複数になり、重性の gandér は複数対格 -ul をとる。話し言葉なので量の名詞 báron を省いている。森の言葉では lími とも言う。

    sénim lím kelárais.

    読み:セーニン リーン ケラーライス。

    sén-imlímkel-ár-ais.
    見る-<私が>五伐る-<〜する人>-<〜たちを>

    「樵が五人見える。」

    くだけた日常会話。樵は目下の働き手なので、数詞で数えてかまわない(目上の人は数えない)。kelár は軽性の子音語幹で、複数対格は -ais になる。

    ké sénes ánþa kelárais?

    読み:ケー セーネス アンサ ケラーライス?

    késén-esánþakel-ár-ais?
    <〜か>見る-<あなたが>八伐る-<〜する人>-<〜たちを>

    「樵が八人見えるか。」

    文頭に ké を置いた、はい・いいえの問い。2人称を使っているので、同じ段か下の相手に向けた話し方になる。樵は働き手なので、人数を数えてかまわない(目上の人は数えない)。答えるときは動詞を繰り返して sénim、または na sénim と言う。

    luuménde ausenár ombár fáronul.

    読み:ルーメンデ アウセナール オンバール ファーロヌル。

    luum-énd-eau-sen-árombárfáron-ul.
    ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>十荷-<〜たちを>

    「目付殿に、十の荷をお検めいただきたく存じます。」

    縁の市で、都の手代が目付に頼むときの改まった言い方。命令の代わりに願望法の3人称を使う。lúum- は「見る」の尊敬の補充形で、強勢が -énd- に移るので語根の ´ は消える。数えているのは目上の人ではなく荷なので、数詞を使ってよい。

    rimbéla senár sénþar sáindarar dórel.

    読み:リンベーラ セナール センサル サインダラル ドーレル。

    rimb-él-asen-ársénþarsáindar-ardórel.
    数える-<〜だろう>-<(軽いものが)>見る-<〜する人>百証文-<〜らの>明日

    「目付は明日、百通の証文を数えるだろう。」

    sénþar は名詞として働くので、数えるもの(証文)を複数属格でとる。sáindar は軽性なので、複数属格は -ar。未来のことは推量法で言う。強勢が -él- に移るので、語根の強勢は消える。

    selvána ausenár ré lisésa orenvandár slúun, mé lisésa sélu.

    読み:セルヴァーナ アウセナール レー リセーサ オレンヴァンダール スルーン、メー リセーサ セール。

    selván-aau-sen-árrélis-és-aorenvandárslúun,mélis-és-asélu.
    おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>縁商人<主格>千<禁止・願いの打ち消し>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>泥の千

    「目付殿は、「縁商人は陸の千で書くべし、泥の千では書かぬこと」とおっしゃる。」

    市の目付の裁きを人に伝える言い方。ré の後ろの節は、決まりごとを表す当為法のまま引いている。後半は主語を言っていないが、前半と同じ縁商人のことを言っている。証文の数は高原の数え方で書く、という市の決まりを表す。

    rímba senár fáron.

    読み:リンバ セナール ファーロン。

    rímb-asen-árfáron.
    数える-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>荷<対格>

    「目付が荷を数える。」

    縁の市の検めを述べる文。直説法なので語幹 rímb- がそのまま残る。命令法で語幹をむき出しにすると、語末の mb が m に削られて rím になる(rím fáron, ende.「荷を数えてくれ、頼む」)。

    mé rimbésa ausenárais!

    読み:メー リンベーサ アウセナーライス!

    mérimb-és-aau-sen-ár-ais!
    <禁止・願いの打ち消し>数える-<〜すべし>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<〜たちを>

    「目付の方々を数えてはならぬ。」

    目上の人を数で数えることを戒める言い方。数えることは相手を物のように扱い、「下げる」行いとされる。当為法で主語を言わないので「人は〜すべし」という一般の主語になり、軽性の形をとる。強勢は -és- に移る。同じ理屈で、星を数えることも禁じられる。

    lúin tóro nébro, na séno senó dáu sílarau.

    読み:ルーイン トーロ ネーブロ、ナ セーノ セノー ダウ シーララウ。

    lúintór-onébro,nasén-osenódáusílar-au.
    とき来る-<(重いものが)>霧<主格><〜ない>見る-<(重いものが)>目<主格>二月-<双数>

    「霧が来れば、目には二つの月も見えない。」

    霧期の不安を言う、言い習わしのような文。senó は sén-「見る」に重性のもの名詞の接辞 -ó がついた語で、重性なので動詞は -o をとる。月は星ではないので、dáu「二」で数えて双数にしてよい。

    na sénim sáindaran sé, éso senó némes múr.

    読み:ナ セーニン サインダラン セー、エーソ セノー ネーメス ムール。

    nasén-imsáindar-ansé,és-osenóném-esmúr.
    <〜ない>見る-<私が>証文-<対格>この<軽性>いる-<(重いものが)>目<主格><私>-<属格>濁った

    「この証文は見えぬ。私の目はかすんでいる。」

    年長の者が細かい字を読めないときの言い方。主節二つを接続詞なしで並べるので、あいだに区切りを入れる。senó は重性なので、繋辞は -o をとり、述語の múr「濁った」にも語尾がつかない。目がよく見えないことを、水と同じ「濁る」で言っている。

    fléira ausenár du tról orénos.

    読み:フレーラ アウセナール ドゥ トロール オレーノス。

    fléir-aau-sen-árdutrólorén-os.
    お出ましになる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>下手麓<対格>縁-<属格>

    「目付殿は縁の麓へお出ましになる。」

    tról orénos「縁の麓」は、崖の下、縁の市の立つあたりを指す。du+対格で「下手へ」。fléir- は「行く」の尊敬の補充形。

    lúin na sénimor gromó éles, elþíþimor fáron éles.

    読み:ルーイン ナ セーニモル グロモー エーレス、エルシーシモル ファーロン エーレス。

    lúinnasén-imorgromóél-es,elþ-íþ-imorfáronél-es.
    とき<〜ない>見る-<我々が>亡骸<対格><3人称単数・軽性>-<属格>燃える-<〜させる>-<我々が>荷<対格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「亡骸が見つからないときは、その人の荷を燃やして送る。」

    崖から落ちた者や溺れた者を弔うときの習わしを説明する文。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。élþ-「燃える」に使役の -íþ- をつけて「燃やす」にしている。

    léunim virán an aufíndo ausenáres.

    読み:レウニン ヴィラーン アン アウフィンド アウセナーレス。

    léun-imvir-ánanau-fíndoau-sen-ár-es.
    申す-<私が>言葉-<対格>上手<お〜になる・御〜>-耳<対格><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<属格>

    「目付殿の御耳に、一言申し上げます。」

    目上の人に話を切り出す改まった前置き。léun- は「言う」の謙譲の補充形。目上の人の体の部分には au- をつける。an+対格で「上手へ」、つまり上の人に向けて言葉を届ける感じになる。重性の aufíndo は対格でも主格と同じ形。

    toríro nébro, na sénimor nóumo séulines.

    読み:トリーロ ネーブロ、ナ セーニモル ノーモ セウリネス。

    tor-ír-onébro,nasén-imornóumoséulin-es.
    来る-<もし〜なら>-<(重いものが)>霧<主格><〜ない>見る-<我々が>顔<対格>友-<属格>

    「霧が上がってくれば、友の顔も見えない。」

    霧期の不安を語る言い方。霧の中では名前を呼べないうえに、顔も見分けられない。条件の節は接続詞を使わず、動詞を仮定法にするだけで作る。霧 nébro は重性なので、仮定法の動詞も重性の -o をとる。

    sén bélo gróm tó, máno tambór némores!

    読み:セーン ベーロ グローン トー、マーノ タンボール ネーモレス!

    sénbélogrómtó,mán-otambórnémor-es!
    見る<命令法><あなたが>欲<対格>重いあの<重性>食べる-<(重いものが)>雑穀<対格><我々>-<属格>

    「あの欲張りを見ろ、俺たちの雑穀を食ってやがる!」

    人を bélo gróm(重い欲)と呼ぶ陰口で、指示詞も動詞も重性の形(tó、máno)で受けている。人を重性の一致で受けるのは侮辱なので、強いあざけりの響きがある。主節を二つ並べているので、あいだに区切りを入れる。

    léima faronár klóno du ausenárei.

    読み:レーマ ファロナール クローノ ドゥ アウセナーレイ。

    léim-afaronárklónoduau-sen-ár-ei.
    置く-<(軽いものが)>運び人<主格>膝<対格>下手<お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<与格>

    「運び人は目付殿の下手で膝をつく。」

    目上の人の前で頭を低くする作法の描写。「膝をつく」は léim-「置く」+膝の対格 klóno で言う。klóno は重性o語幹なので、対格は主格と同じ形。du+与格「〜の下手で」は、相手より低い位置に身を置くことを表す。目付は役職名に au- をつけて高める。

    sén lámo, ende. éso sáko gléin.

    読み:セーン ラーモ、エンデ。エーソ サーコ グレーン。

    sénlámo,ende.és-osákogléin.
    見る<命令法><あなたが>掌<対格>どうぞいる-<(重いものが)>塩<主格>清い

    「掌を見てくれ、頼む。塩は清いぞ。」

    縁の市の取引言葉。むき出しの語幹 sén に ende を添える。lámo は重性o語幹の名詞なので、対格も主格と同じ形になる。sáko「塩」は干潟から借りた重性名詞なので、繋辞は重性の éso になり、gléin も重性・主格の形(語尾なし)をとる。掌に塩をひとつまみ載せて見せるのは、品を確かめさせるときのしぐさ。

    snéim! glóira ausenár.

    読み:スネーン!グロイラ アウセナール。

    snéim!glóir-aau-sen-ár.
    身をかがめる<命令法><あなたが>お越しになる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「かがめ!目付殿がお越しだ。」

    命令法2人称単数は、語幹そのまま(snéim)で言う。目上の人の前では相手より頭を低くする、という作法を仲間に促す言い方。glóir- は「来る」の尊敬の補充形で、直説法なので強勢は語根に残る。1人称単数の snéimim は「失礼します」という決まり文句にもなっている。

    séna dubrél némes gandér.

    読み:セーナ ドゥブレール ネーメス ガンデール。

    sén-adubrélném-esgandér.
    見る-<(軽いものが)>弟・妹<私>-<属格>硬木<対格>

    「私の弟(妹)が硬木を見ている。」

    家の中で使うふつうの文。dubrél は人を指すので軽性の子音語幹になり、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。持ち主の ném「私」は属格にして名詞の後ろに置く。gandér は重性なので、対格でも語尾がつかない。dubrél は弟と妹を区別しない。

    ké sénes keláran éulan?

    読み:ケー セーネス ケラーラン エウラン?

    késén-eskel-ár-anéul-an?
    <〜か>見る-<あなたが>伐る-<〜する人>-<対格>よその家の-<軽性・対格>

    「よその家の樵を見かけたか。」

    村の中のくだけた問い。はい・いいえで答える問いは文頭の ké で作る。2人称を使っているので、下向きか並びの話し方になる。kelár は軽性の子音語幹で、対格は -an。éul も軽性・対格の -an で一致する。答えるときは動詞を繰り返し、sénim「見た」か na sénim「見ていない」と言う。

    lúin glóira ausenár, duliþéndes gráun.

    読み:ルーイン グロイラ アウセナール、ドゥリセンデス グラウン。

    lúinglóir-aau-sen-ár,dul-iþ-énd-esgráun.
    ときお越しになる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>下る-<〜させる>-<〜しますように>-<あなたが>頭部<対格>

    「目付殿がお越しになったら、頭を下げなさいね。」

    親が子に作法をやさしく教えるときの言い方。命令法ではなく願望法の2人称を使っているので、口調がやわらかくなる。gráun は重性の子音語幹なので、対格も主格と同じ形になる。強勢は願望法の -énd- に移るので、-íþ- の強勢は消える。命令の相手の頭のことなので、「誰の頭か」は言わない。目上の人の頭は augráun と言う。

    lísa orenvandár sáindaran senárei.

    読み:リーサ オレンヴァンダール サインダラン セナーレイ。

    lís-aorenvandársáindar-ansen-ár-ei.
    書く-<(軽いものが)>縁商人<主格>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「縁商人が目付に証文を書く。」

    縁の市でよくある場面の文。基本の語順(動詞–主語–目的語–与格)のとおりに並んでいる。縁商人は高原の文字で読み書きができるので、市の目付に出す証文を自分で書く。時制の語形がないので、「書いた」とも訳せる。

    lúin vírim sélu, glǘna senár.

    読み:ルーイン ヴィーリン セール、グリューナ セナール。

    lúinvír-imsélu,glǘn-asen-ár.
    とき言う-<私が>泥の千<対格>冷たく黙る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>

    「「泥の千」と口にしたとたん、目付は冷たく黙りこむ。」

    縁の市でのくだけた陰口。sélu は干潟から借りた語なので重性で、主格と対格が同じ形になる。lúin の節は主節の前に置く。主語の senár は人なので、動詞は軽性の -a をとる。

    léunim ré tóro duléumo es faronárar, ausenár.

    読み:レウニン レー トーロ ドゥレウモ エス ファロナーラル、アウセナール。

    léun-imrétór-oduléumoesfaron-ár-ar,au-sen-ár.
    申す-<私が><〜と(節)>来る-<(重いものが)>不穏な気配<主格>から荷-<〜する人>-<〜らの><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「目付殿、運び人たちのあいだから不穏な気配が立ちのぼっていると申し上げます。」

    役人に報告する改まった文。léun- は「言う」の謙譲の補充形。「〜と」の節は ré で導き、主節の後ろに置く。呼びかけは呼格を使わず、役職名を文の終わりに読点で区切って添える。ここでの duléumo は風そのものではなく、身分の低い者たちのあいだに広がる不満や噂を指す。下から上がってくる悪いものとして言い表す比喩である。

    éso þúumo séndoi, na sénim tásan.

    読み:エーソ スーモ センドイ、ナ セーニン ターサン。

    és-oþúumosénd-oi,nasén-imtás-an.
    いる-<(重いものが)>濃霧<主格>ここ-<与格><〜ない>見る-<私が><あなた>-<対格>

    「「ここは濃霧だ。お前が見えない。」」

    霧期に、すぐそばの相手に話しかける日常の言い方。þúumo は重性なので、存在の動詞は éso になる。読点で区切って主節を二つ並べている。後半は直説法なので na で否定する。2人称の tás を使っているので、同輩か目下の相手への話し方になる。

    sén, ésa hérvan téndoi!

    読み:セーン、エーサ ヘルヴァン テンドイ!

    sén,és-ahérvanténd-oi!
    見る<命令法><あなたが>いる-<(軽いものが)>大鹿<主格>あそこ-<与格>

    「「見ろ、あそこに大鹿がいる。」」

    森で角の大きな鹿を見つけたときのくだけた叫び。hérvan は獣なので軽性の子音語幹で、存在の動詞は ésa になる。大鹿は王と貴族だけが狩ってよい獲物なので、森の民にとっては「見るだけの獣」である。

    sén hervíña, ende.

    読み:セーン ヘルヴィーニャ、エンデ。

    sénhervíña,ende.
    見る<命令法><あなたが>麝香鹿どうぞ

    「麝香鹿(の香)を見てくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。格語尾が落ちて hervíña はむき出しの形になり、動詞もむき出しの語幹 sén で言う。ende は願望法の語尾が固まった「頼む」。交易の場では、hervíña はとくに香の材料をとる麝香鹿と、その産物を指す。

    sénimor fíñelan an árnelei.

    読み:セーニモル フィーニェラン アン アルネレイ。

    sén-imorfíñel-ananárnel-ei.
    見る-<我々が>山猫-<対格>上手木-<与格>

    「我々は木の上に山猫を見た。」

    狩りの報告。時制がないので、直説法のままで「見た」とも訳せる。fíñel は軽性の子音語幹で、対格は -an。生えている木 árnel は軽性なので、与格は -ei をとる。

    ké sénes fíñelan? nés, sénim dráunan.

    読み:ケー セーネス フィーニェラン?ネース、セーニン ドラウナン。

    késén-esfíñel-an?nés,sén-imdráun-an.
    <〜か>見る-<あなたが>山猫-<対格>いや見る-<私が>狼-<対格>

    「「山猫を見たか?」「いや、狼を見た。」」

    森の民どうしのくだけたやりとり。はい・いいえで答える問いは、文頭の ké で作る。否定の答えでは、間投詞 nés のあとに、動詞を自分の人称に変えて言い直す。2人称を使っているので、並びか下向きの話し方になる。

    nelisénde ausenár frélo só.

    読み:ネリセンデ アウセナール フレーロ ソー。

    nelis-énd-eau-sen-árfrélosó
    召し上がる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>湖の魚<対格>この<重性>

    「目付殿に、この湖の魚を召し上がっていただきたく存じます。」

    目上の客に料理を勧めるときの上向きの言い方。命令法の代わりに願望法の3人称を使い、相手は役職名に au- をつけて主語にする。nélis- は「食べる」の尊敬の補充形で、願望法の -énd- に強勢が移る。魚は重性なので、指示詞は重性の só になる。

    sén, ésa líndra téndoi!

    読み:セーン、エーサ リンドラ テンドイ!

    sén,és-alíndraténd-oi!
    見る<命令法><あなたが>いる-<(軽いものが)>金の落葉樹<主格>あそこ-<与格>

    「「見ろ、あそこに金の落葉樹があるぞ。」」

    命令法の2人称単数は、むき出しの語幹 sén で言う。身近な相手に向けた下向きの言い方。後半は存在の文で、és- が文頭に来る。目上の人には、願望法の3人称を使って luuménde のように言う。

    neliséla ausenár frélo?

    読み:ネリセーラ アウセナール フレーロ?

    nelis-él-aau-sen-árfrélo?
    召し上がる-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>魚<対格>

    「目付殿は、魚を召し上がるでしょうか。」

    目上の人には問いの小辞 ké を使わず、推量法で推し量る形にして尋ねる。強勢は推量法の -él- に移り、語根の ´ は消える。給仕をする者が、膳を整える前に好みを確かめるときの言い方。

    na dúmarim sóumbo só, ausenár.

    読み:ナ ドゥーマリン ソーンボ ソー、アウセナール。

    nadúmar-imsóumbosó,au-sen-ár.
    <〜ない>いただく-<私が>きのこ<対格>この<重性><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「目付殿、このきのこはいただけません。」

    目上の人に出された食べ物を、へりくだって断るときの言い方。na は直説法の動詞の直前に置く。日常では呼格を使わず、役職名に au- をつけて、文の終わりに読点で区切って添える。理由を言い添えない短い断り方なので、強く響くこともある。

    lúin nélisa ausenár muró, dumaréimor muró.

    読み:ルーイン ネーリサ アウセナール ムロー、ドゥマレーモル ムロー。

    lúinnélis-aau-sen-ármuró,dumar-é-imormuró.
    ときお飲みになる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>濁り酒<対格>頂戴して飲む-<〜だろう>-<我々が>濁り酒<対格>

    「目付殿が濁り酒をお飲みになったら、私どもも頂戴いたしましょう。」

    尊敬の nélis- と謙譲の dúmar- を一つの文に並べて、飲む順の上下を示している。段の高い者が先に口をつけるという食事の作法にかなった言い方。推量法の -él- は、1人称の語尾の前で l が落ちて -é- になる(dumaréimor)。

    meirésa orenvandár sáindaran senárei.

    読み:メイレーサ オレンヴァンダール サインダラン セナーレイ。

    meir-és-aorenvandársáindar-ansen-ár-ei.
    渡す-<〜すべし>-<(軽いものが)>縁商人<主格>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「縁商人は、証文を目付に渡すこと。」

    市の決まりを記した文書の文体で、当為法を使う。強勢は -és- に移り、語根の強勢は消える(meirésa)。証文を目付に預けて検めてもらうことなので、所有が移るわけではない。

    héla lisár senárei.

    読み:ヘーラ リサール セナーレイ。

    hél-alis-ársen-ár-ei.
    位に就く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>見る-<〜する人>-<与格>

    「書記が目付の位に就く。」

    就く役職は、座る場所と同じように与格で示す。「座る」と「位に就く」が同じ動詞なのは、位を座の高さで考える高原の見方の表れ。時制がないので「就いた」とも訳せる。

    aukráila ausenár fáron.

    読み:アウクライラ アウセナール ファーロン。

    au-kráil-aau-sen-árfáron.
    <お〜になる・御〜>-手に持つ-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>荷<対格>

    「目付殿は荷を手にお持ちだ。」

    目上の人の動作を言うので、動詞にも役職名にも尊敬の au- をつける。荷 fáron は重性なので、対格に語尾がつかず、主格と同じ形になる。

    gélo nébro; sénimor dáu sílarau.

    読み:ゲーロ ネーブロ、セーニモル ダウ シーララウ。

    gél-onébro;sén-imordáusílar-au.
    去る-<(重いものが)>霧<主格>見る-<我々が>二月-<双数>

    「霧が去った。二つの月が見える。」

    霧期の途中で霧が晴れたときの、安堵の言葉。nébro「霧」は重性なので、動詞は重性の -o をとる。月は星ではないので、数詞 dáu をつけて双数で言ってよい。

    drénim es orénos, ré luuménde ausenár sáindaran sé.

    読み:ドレーニン エス オレーノス、レー ルーメンデ アウセナール サインダラン セー。

    drén-imesorén-os,réluum-énd-eau-sen-ársáindar-ansé.
    伺う-<私が>から縁-<属格><〜と(節)>ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>証文-<対格>この<軽性>

    「目付殿にこの証文をご覧いただきたく、縁から伺いました。」

    役所に用事で出向き、来た目的を述べるときの決まった言い方。時制の形がないので、drénim は「伺う」とも「伺った」とも訳せる。目的を表す ré の節では願望法を使う。その中でも、目上の人は職名に au- をつけた3人称で主語にし、「見る」の尊敬の補充形 lúum- を使う。

    sénim sóumbo pélsei.

    読み:セーニン ソーンボ ペルセイ。

    sén-imsóumbopéls-ei.
    見る-<私が>きのこ<対格>脂の木-<与格>

    「脂の木のところにきのこが見える。」

    sóumbo は重性o語幹なので、対格も主格と同じ形になる。場所は前置詞を使わず与格で言う。pélsa「脂の木」は生えている木なので軽性で、与格は -ei。雨期の森できのこを見つけたときの言い方。

    lúin glóira ausenár, þóran faronárai.

    読み:ルーイン グロイラ アウセナール、ソーラン ファロナーライ。

    lúinglóir-aau-sen-ár,þór-anfaron-ár-ai.
    ときお越しになる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>立つ-<彼らが>荷-<〜する人>-<〜たちが>

    「目付殿がお越しになると、運び人たちは立ち上がる。」

    lúin で始まる「〜とき」の節を主節の前に置いている。glóir- は「来る」の尊敬の補充形。þór- は「立っている」状態と「立ち上がる」動作の両方を表し、時制がないので、どちらの意味かは文脈で決まる。

    ráumau lisár si senár du orén.

    読み:ラウマウ リサール シ セナール ドゥ オレーン。

    ráum-aulis-ársisen-árduorén.
    旅をする-<双数>書く-<〜する人・主格>と見る-<〜する人・主格>下手縁<対格>

    「書記と目付は、縁へ旅をする。」

    単数の名詞二つを si で並べているので、動詞は双数の -au になる。双数の動詞は人称も性も区別しない。都から縁の市まで、何日もかけて下っていく旅を言う。

    léimsa brándal ré lisésa senár sáindaran.

    読み:レーンサ ブランダル レー リセーサ セナール サインダラン。

    léims-abrándalrélis-és-asen-ársáindar-an.
    据える<〜し終えた>-<(軽いものが)>司<主格><〜と(節)>書く-<〜すべし>-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>証文-<対格>

    「司は、目付が証文を書くべしと定めた。」

    léim- を決まりごとに使うと「定める」の意味になる。ré の後ろの節は、定められた中身を当為法のまま保つ。語根が二重母音をもつので、完了相は -s- を足して léims- にする。書かれたものを正しいとする王国らしい決まりの文。

    séira lisár senáran du aldárei.

    読み:セーラ リサール セナーラン ドゥ アルダーレイ。

    séir-alis-ársen-ár-andualdár-ei.
    待つ-<(軽いものが)>書く-<〜する人>見る-<〜する人>-<対格>下手座-<与格>

    「書記は上座の手前で目付を待つ。」

    日常の文。待つ相手は対格で示す。senár「目付」は軽性の子音語幹なので、対格は -an になる。du+与格で「〜の下手で」と言い、目上の座より低い位置で待っていることを表す。

    aufindénde ausenár virán némes.

    読み:アウフィンデンデ アウセナール ヴィラーン ネーメス。

    au-find-énd-eau-sen-árvir-ánném-es.
    <お〜になる・御〜>-聞き入れる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>言葉-<対格><私>-<属格>

    「目付殿に、私の願いをお聞き入れいただきたく存じます。」

    上向きの話し方で願い出る決まった言い方。命令法は使わず、願望法の3人称にして、目の前にいる相手を役職名の主語として扱う。動詞には尊敬の au- がつき、強勢が -énd- に移るので、語根の ´ は消える。「言葉を聞き入れる」で「願いを容れる」の意味になる。

    na duráinim, ausenár.

    読み:ナ ドゥライニン、アウセナール。

    nadu-ráin-im,au-sen-ár.
    <〜ない><〜させていただく>-知る-<私が><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「存じません、目付殿。」

    目上の人に問われて答える謙譲の言い方。du- は子音の前なので du のまま。「いいえ」にあたる語はないので、問いの動詞を自分の人称にして na で否定する。呼びかけは役職名を読点で区切り、文末に添える。

    lúin sénim álmaran, nóurim tásan.

    読み:ルーイン セーニン アルマラン、ノーリン ターサン。

    lúinsén-imálmar-an,nóur-imtás-an.
    とき見る-<私が>白月-<対格>思い慕う-<私が><あなた>-<対格>

    「白月を見るたびに、あなたを想う。」

    人を対格にとると「思い慕う」の意味になる。手紙や詩によく出る言い方。2人称の tás は、親しい間柄でだけ使う。

    dunóurim ré fleiréla ausenár du orén.

    読み:ドゥノーリン レー フレイレーラ アウセナール ドゥ オレーン。

    du-nóur-imréfleir-él-aau-sen-árduorén.
    <〜させていただく>-思う-<私が><〜と(節)>お出ましになる-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>下手縁<対格>

    「目付殿は縁へお出ましになるかと存じます。」

    謙譲の du- で自分の考えを低め、目上の人の動きを推量法でやわらげて言う。

    ésa nourá némes ré lísa lisár sáindaran dórel, ausenár.

    読み:エーサ ノウラー ネーメス レー リーサ リサール サインダラン ドーレル、アウセナール。

    és-anouráném-esrélís-alis-ársáindar-andórel,au-sen-ár.
    いる-<(軽いものが)>思い<私>-<属格><〜と(節)>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>明日<お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「目付殿、私の考えは、明日書記が証文を書く、というものです。」

    目上の人に意見を述べるときの言い方。自分の思いには au- をつけない。ré の節で考えの中身を示し、呼びかけの役職名は文の終わりに読点で区切って添える。

    gréma lisár ausenáres.

    読み:グレーマ リサール アウセナーレス。

    grém-alis-árau-sen-ár-es.
    恐れる-<(軽いものが)>書く-<〜する人・主格><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<属格>

    「書記は目付殿をこわがっている。」

    grém- は恐れる対象を対格ではなく属格でとる。目上の人を指す名詞には、目的語になっても au- をつけたままにする。

    lúin sénan éndrai sílarau, gréman aursárar.

    読み:ルーイン セーナン エンドライ シーララウ、グレーマン アウルサーラル。

    lúinsén-anéndr-aisílar-au,grém-anaursár-ar.
    とき見る-<彼らが>人-<〜たちが>月-<双数>畏れる-<彼らが>祖先-<〜らの>

    「人は二つの月を仰ぐとき、祖先を畏れかしこむ。」

    lúin の節は主節の前に置く。月は星ではないので双数で言える。後半の主節では主語を言っていないが、動詞の語尾から前半と同じ人々だとわかる。畏れる対象は属格でとる。

    þúnda senár lúdro vándos.

    読み:スンダ セナール ルードロ ヴァンドス。

    þúnd-asen-árlúdrovánd-os.
    裁く-<(軽いものが)>見る-<〜する人>偽り<対格>秤-<属格>

    「市の目付は秤の偽りを裁く。」

    縁の市で、秤の不正のような揉め事を言うときの言い方。lúdro は口にした嘘だけでなく、秤や印のごまかしにも使う。属格 vándos「秤の」は名詞の後ろに置く。vándo「秤」は強勢が語根にある例外的な o語幹名詞。

    sén fáron pír, ende.

    読み:セーン ファーロン ピール、エンデ。

    sénfáronpír,ende.
    見る<命令法><あなたが>荷<対格>小さいどうぞ

    「小さい荷を見てくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹で言い、ende を添える。荷 fáron は重性なので、それにかかる形容詞は、対格でも語尾がつかない。

    dupovérim aulisárei ré du pó fleiréla ausenár.

    読み:ドゥポヴェーリン アウリサーレイ レー ドゥ ポー フレイレーラ アウセナール。

    du-povér-imau-lis-ár-eirédupófleir-él-aau-sen-ár.
    <〜させていただく>-問う-<私が><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>-<与格><〜と(節)>下手何<対格>お出ましになる-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「書記の方にお尋ねいたします。目付殿は下手のどちらへお出ましになったのでしょうか。」

    役所での改まった問い合わせ。謙譲の du- は子音 p の前ではそのままの形でつく。方向を決めない「どこへ」はないので、du pó「下手の何へ」と尋ねる。ré の節の中も推量法にして、遠回しな問いにしている。

    povéra senár faronárei ré pá dulíþa fáron só.

    読み:ポヴェーラ セナール ファロナーレイ レー パー ドゥリーサ ファーロン ソー。

    povér-asen-árfaronár-eirépádul-íþ-afáronsó.
    取り調べる-<(軽いものが)>見る-<〜する人>運び人-<与格><〜と(節)>誰<主格>下る-<〜させる>-<(軽いものが)>荷<対格>この<重性>

    「「目付は運び人を取り調べ、誰がこの荷を下ろしたのかと問いただす。」」

    「取り調べる」の意味では、調べられる人を対格の目的語にとる。ré の節の中では、疑問詞 pá「誰」が動詞の前に出ている。重性の指示詞 só は、名詞 fáron の後ろに置く。

    poverésa senár fáronul te dúlan es orénos.

    読み:ポヴェレーサ セナール ファーロヌル テ ドゥーラン エス オレーノス。

    pover-és-asen-árfáron-ultedúl-anesorén-os.
    取り調べる-<〜すべし>-<(軽いものが)>見る-<〜する人>荷-<〜たちを><関係節>下る-<彼らが>から縁-<属格>

    「目付は、縁から下りてくる荷を検めるべし。」

    市の決まりを記した碑文の文体。当為法の -és- が強勢をとるので、語根の強勢は消える。主語の senár(軽性)を明示しているので、動詞は3単・軽性。fáronul は重性の複数対格で、関係節 te dúlan es orénos がこれを修飾する。

    duglénim ausenárei tambór só.

    読み:ドゥグレーニン アウセナーレイ タンボール ソー。

    du-glén-imau-sen-ár-eitambórsó.
    <〜させていただく>-返礼する-<私が><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<与格>雑穀<対格>この<重性>

    「目付殿に、お返しとしてこの雑穀を差し上げます。」

    もてなしを受けたあとの改まった返礼の言葉。謙譲の du- で自分の行いを低め、相手には au- のついた与格を使って、上下の関係を文法に表している。tambór は重性なので、対格も主格と同じ形で、指示詞も重性の só になる。

    auransoinéla ausenár sáindaran sé?

    読み:アウランソイネーラ アウセナール サインダラン セー?

    aur-ansoin-él-aau-sen-ársáindar-ansé?
    <お〜になる・御〜>-思い出す<〜し終えた>-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>証文-<対格>この<軽性>

    「「目付殿は、この証文を覚えておいででしょうか。」」

    上向きの問い。目上の人には ké を使わず、推量法で推し量る形で尋ねる。「覚えている」は「思い出す」ansén- の完了語幹(補充形)ansóin- で言い、尊敬の au- は母音の前で aur- になる。推量法の -él- が強勢をとるので、語根の強勢は消える(auransoinéla)。相手は役職名に au- をつけた3人称で言う。

    víra senár viráis klérais orenvandárei.

    読み:ヴィーラ セナール ヴィライス クレーライス オレンヴァンダーレイ。

    vír-asen-árvir-áisklér-aisorenvandár-ei.
    言う-<(軽いものが)>見る-<〜する人>言葉-<〜たちを>よそよそしい-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格>縁商人-<与格>

    「目付は縁商人によそよそしい言葉をかける。」

    人の態度が冷ややかなことも klér で表す。この文では言葉を修飾している。語順は動詞–主語–目的語–与格(受け手)の基本どおり。段の外の相手に、改まってはいても打ち解けない話し方をする様子を言う。

    grémim virár klérar senáres.

    読み:グレーミン ヴィラール クレーラル セナーレス。

    grém-imvir-árklér-arsen-ár-es.
    恐れる-<私が>言葉-<〜らの>よそよそしい-<軽性・〜ら(古い母音交替)・属格>見る-<〜する人>-<属格>

    「「私は目付のよそよそしい言葉が怖い。」」

    人の態度の冷たさを言う転義。言葉 virá は軽性なので、形容詞も軽性・複数・対格の -ais で一致する。所有者を表す属格 senáres は、形容詞の後ろに置く。

    sénimor þráinul álul.

    読み:セーニモル スライヌル アールル。

    sén-imorþráin-ulál-ul.
    見る-<我々が>峰-<〜たちを>白い-<重性・〜ら(古い母音交替)・対格>

    「我々には白い峰々が見える。」

    雪をかぶった北の高みの峰を言う文。峰 þráin は重性なので、複数の主格と対格は -ul になる。形容詞も重性・複数・対格の -ul で一致する。

    lúin áura sílar ál, sénimor dún.

    読み:ルーイン アウラ シーラル アール、セーニモル ドゥーン。

    lúináur-asílarál,sén-imordún.
    とき昇る-<(軽いものが)>月<主格>明るい見る-<我々が>丘<対格>

    「明るい月が昇ると、我々には丘が見える。」

    月明かりについて言うとき、ál は「明るい」の意味になる。月は軽性なので、動詞は -a をとる。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。dún は重性なので、対格も主格と同じ形。

    lúin ésa sílar dréum, na sénim póin.

    読み:ルーイン エーサ シーラル ドレウン、ナ セーニン ポイン。

    lúinés-asílardréum,nasén-impóin.
    ときいる-<(軽いものが)>月<主格>暗い<〜ない>見る-<私が>何か

    「月が暗いときは、何も見えない。」

    光がなくて暗いことを言う文。月は軽性なので、繋辞は -a をとり、形容詞は語尾なしで一致する。否定の小辞 na は動詞の直前に置く。

    víran faronárai viráis múrais senárei.

    読み:ヴィーラン ファロナーライ ヴィライス ムーライス セナーレイ。

    vír-anfaron-ár-aivir-áismúr-aissen-ár-ei.
    言う-<彼らが>荷-<〜する人>-<〜たちが>言葉-<〜たちを>崩れた-<軽性・〜ら(古い母音交替)・対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「運び人たちは目付に崩れた言葉で話す。」

    都の人が、縁の市の取引言葉について言うときの言い方。受け手の目付は与格 senárei で表す。形容詞は軽性・複数・対格の -ais の形で viráis に一致している。

    sénim dáu sílarau séurilau.

    読み:セーニン ダウ シーララウ セウリラウ。

    sén-imdáusílar-auséuril-au.
    見る-<私が>二月-<双数>美しい-<軽性・双数>

    「美しい二つの月が見える。」

    乾風期の澄んだ夜空を言う文。月は星ではないので、数詞 dáu を添えて双数で言ってかまわない。sílar「月」は軽性なので、形容詞も軽性・双数の séurilau で一致する。

    sén fóurelan rúsan téndo.

    読み:セーン フォーレラン ルーサン テンド。

    sénfóurel-anrús-anténdo.
    見る<命令法><あなたが>香の木-<対格>赤い-<軽性・対格>あそこ

    「あそこの赤い香の木を見ろ。」

    下向きの命令法2単数(むき出しの語幹 sén)。香の木 fóurel は赤い樹皮をもつ木で、生えているあいだは軽性なので、形容詞も軽性の対格 -an で一致する。形容詞は名詞のすぐ後ろに置く。

    lúin ésa élvar þáil, sénimor sílarau.

    読み:ルーイン エーサ エルヴァル サイル、セーニモル シーララウ。

    lúinés-aélvarþáil,sén-imorsílar-au.
    ときいる-<(軽いものが)>天<主格>晴れた見る-<我々が>月-<双数>

    「空が晴れると、我々には二つの月が見える。」

    lúin で始まる時の節を主節の前に置いている。雲も霧もない空を言う用法で、乾風期の夜によく使う。月は星ではないので、双数で言ってよい。

    sén kumbór, ende.

    読み:セーン クンボール、エンデ。

    sénkumbór,ende.
    見る<命令法><あなたが>青銅どうぞ

    「青銅を見てくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。地金として売る青銅の質を確かめてもらうときの言い方。動詞は語幹をむき出しにした形で使い、最後に ende を添える。取引言葉では格の語尾が落ちる。ただし kumbór は重性なので、もともと主格と対格が同じ形である。

    glóira ausenár es aubóralos.

    読み:グロイラ アウセナール エス アウボーラロス。

    glóir-aau-sen-áresau-bóral-os.
    お越しになる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>から<お〜になる・御〜>-館-<属格>

    「目付殿が御館からお越しになる。」

    目上の人の住まいなので bóral に au- をつけて「御館」とする(b- の前では接頭辞はそのままの形)。es+属格で「〜から」。glóir- は「来る」の尊敬の補充形。身分の高い人は住まいで言い表すことが多く、「丘の上の館の方」のように館そのものがその人を指す言い方にもなる。

    ésa snélo élvares dréum, na sénimor sílaran.

    読み:エーサ スネーロ エルヴァレス ドレウン、ナ セーニモル シーララン。

    és-asnéloélvar-esdréum,nasén-imorsílar-an.
    いる-<(軽いものが)>天の屋根<主格>天-<属格>黒い<〜ない>見る-<我々が>月-<対格>

    「天の屋根が黒く、月が見えない。」

    snélo élvares「天の屋根」は高い雲を言う詩的な表現。名詞の形は重性の o語幹のままだが、雲は上に属するものなので一致は軽性になり、繋辞は ésa、述語の形容詞 dréum も軽性の形をとる。雨期の夜によく言う言い方。

    sén kórvo só!

    読み:セーン コルヴォ ソー!

    sénkórvosó
    見る<命令法><あなたが>倉<対格>この<重性>

    「この倉を見ろ。」

    目下の相手への命令。kórvo は重性なので、指示詞は重性の só になる。重性o語幹は対格の語尾をもたず、主格と同じ形で目的語になる。

    sén pelsó, ende.

    読み:セーン ペルソー、エンデ。

    sénpelsó,ende
    見る<命令法><あなたが>ピッチどうぞ

    「ピッチを見てくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。動詞は語幹そのままで言い、決まり文句の ende を添える。取引言葉では格語尾が落ちるが、pelsó はもともと主格と対格が同じ形なので、見た目は変わらない。市では、樽の目止めに使うピッチの質を確かめてから買う。

    sénan senárai nébro orénos.

    読み:セーナン セナーライ ネーブロ オレーノス。

    sén-ansenár-ainébroorén-os.
    見る-<彼らが>番人-<〜たちが>霧<対格>縁-<属格>

    「番人たちは縁の霧を見張っている。」

    縁の肩の番人を言う文。この意味では九段下りの者を指すので、au- をつけた高め形にはしない。番人は人なので複数で言ってよく、複数主格は -ai になる。nébro は重性で、対格は主格と同じ形。

    luuménde ausenár plíndo némes.

    読み:ルーメンデ アウセナール プリンド ネーメス。

    luum-énd-eau-sen-árplíndoném-es.
    ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>市の札<対格><私>-<属格>

    「目付殿に、私の市の札をご覧いただきたく存じます。」

    縁商人が市の目付に札を見せるときの、上向きの依頼。命令法を使わず、尊敬の補充形 lúum- の願望法3人称で言い、目の前の相手を ausenár「目付殿」という3人称の主語にする。所有者は属格 némes で名詞の後ろに置く。

    sén símbo gandéros só!

    読み:セーン シンボ ガンデーロス ソー!

    sénsímbogandér-ossó!
    見る<命令法><あなたが>焼印<対格>硬木-<属格>この<重性>

    「この硬木の焼印を見ろ。」

    下向きの命令。森の司の検め役が、運び人や樵に向かって言うような言い方。硬木の丸太には木札を結べないので、木口に焼印を押す。並び順は「名詞–属格–指示詞」。

    luuménde ausenár dulfáron só.

    読み:ルーメンデ アウセナール ドゥルファーロン ソー。

    luum-énd-eau-sen-árdulfáronsó.
    ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>下ろし荷<対格>この<重性>

    「目付殿に、この下ろし荷をご覧いただきたく存じます。」

    都の大商家の手代が市の目付に頼むときの、改まった言い方。命令の代わりに願望法の3人称を使い、目の前の相手を「目付殿」という主語として扱う。lúum- は「見る」の尊敬の補充形。下ろし荷は重性なので主格と対格が同じ形で、指示詞も重性の só を使う。

    vóila senár férmalais kéumos.

    読み:ヴォイラ セナール フェルマライス ケウモス。

    vóil-asen-árférmal-aiskéum-os.
    読む-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>法の条-<〜たちを>碑-<属格>

    「目付は碑に刻まれた条々を読み上げる。」

    縁の市で揉め事を裁く前に、目付が度量衡の碑の条々を読み上げる場面の文。複数形の férmalais は、一つひとつの決まりを並べた「条々」を指す。属格 kéumos は名詞の後ろに置く。

    auþundénde ausenár es sáindares sé.

    読み:アウスンデンデ アウセナール エス サインダレス セー。

    au-þund-énd-eau-sen-áressáindar-essé.
    <お〜になる・御〜>-裁く-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>から証文-<属格>この<軽性>

    「目付殿に、この証文に照らしてお裁きいただきたく存じます。」

    目上の役人に裁きを願い出るときの上向きの話し方。命令法を使わず、願望法の3人称で言い、目の前の相手を役職名に au- をつけて呼ぶ。es+属格は出どころを表し、ここでは裁きのよりどころを示す。

    þúnda senár grúndo faronárar.

    読み:スンダ セナール グルンド ファロナーラル。

    þúnd-asen-árgrúndofaron-ár-ar.
    裁く-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>掛け<対格>荷-<〜する人>-<〜らの>

    「目付は運び人たちの掛けをめぐる揉め事を裁く。」

    縁の市の慣行を述べる文。grúndo「掛け」は重性の o語幹なので、対格も主格と同じ形になる。属格 faronárar は名詞の後ろに置く。

    auþundénde ausenár grúndo.

    読み:アウスンデンデ アウセナール グルンド。

    au-þund-énd-eau-sen-árgrúndo.
    <お〜になる・御〜>-決着をつける-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人・主格>掛け<対格>

    「目付殿に、掛けの決着をつけていただきたく存じます。」

    市で揉め事が起きたとき、都の手代が目付に頼む上向きの言い方。命令の代わりに願望法の3人称を使い、目の前の相手を役職名+au- の主語として扱う。

    þundéla senár grúndo, na gruunéimor.

    読み:スンデーラ セナール グルンド、ナ グルーネーモル。

    þund-él-asen-árgrúndo,nagruun-é-imor.
    決着をつける-<〜だろう>-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>掛け<対格><〜ない>怒る-<〜だろう>-<我々が>

    「目付が掛けの決着をつけてくれよう。そうなれば我々も腹を立てずにすむ。」

    市で言い争う二人をなだめるときの、並びの話し方。senár は軽性なので、動詞は軽性の -a をとる。後半の推量法は na で否定し、1人称の語尾の前では -él- の l が落ちる。

    vel pó fleiréla ausenár?

    読み:ヴェル ポー フレイレーラ アウセナール?

    velpófleir-él-aau-sen-ár?
    西へ何<対格>お出ましになる-<〜だろう>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「目付殿は、日の入り側のどちらへお出ましになるのでしょうか。」

    上向きの丁寧な問い。目上の人には問いの小辞 ké も2人称も使わず、推量法と役職名の3人称で尋ねる。行き先は vel pó「日の入り側の何へ」と、前置詞句ごと文頭に出す。強勢は推量法の -él- に移る。

    sénim órunan es dúnos.

    読み:セーニン オールナン エス ドゥーノス。

    sén-imórun-anesdún-os.
    見る-<私が>東-<対格>から丘-<属格>

    「私は丘の上から東を眺める。」

    órun を、方角や東の土地を指す目的語として使った文。軽性名詞なので、対格は -an になる。órun「日の出・東」と órel「日・太陽」は似た響きなので、日本語話者は聞き違えやすい。

    sén fáron sórel, ende.

    読み:セーン ファーロン ソーレル、エンデ。

    sénfáronsórel,ende.
    見る<命令法><あなたが>荷今日どうぞ

    「今日のうちに荷を見てくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。格語尾が落ちるので、都の言葉なら与格 sórelei となるところを、むき出しの sórel で言う。動詞もむき出しの語幹 sén で、ende を添える。市の場では、命令法と同じ形でも無礼にはならない。

    sénim tásan anlúin.

    読み:セーニン ターサン アンルーイン。

    sén-imtás-ananlúin.
    見る-<私が><あなた>-<対格>以前に

    「お前には以前に会ったことがある。」

    くだけた日常の会話で、下向きか同じ段の相手に使う。高原語には時制がないので、動詞の形は「見る」と同じままでよい。過去のことだとわかるのは副詞 anlúin「以前に」があるからである。anlúin は格語尾をつけずに副詞として働き、文の後ろに置く。

    lúin tóro nébro, na sénimor álmaran un élvarei.

    読み:ルーイン トーロ ネーブロ、ナ セーニモル アルマラン ウン エルヴァレイ。

    lúintór-onébro,nasén-imorálmar-anunélvar-ei.
    とき来る-<(重いものが)>霧<主格><〜ない>見る-<我々が>白月-<対格>内に天-<与格>

    「霧が来ると、天の内に白月が見えなくなる。」

    霧期を言う文。un+与格で、天という広がりの内側にあることを表す。霧は下から割りこむ帳なので、天にあるものが見えなくなる。

    na sénimor dálor, éso lóuvan.

    読み:ナ セーニモル ダーロル、エーソ ローヴァン。

    nasén-imordálor,és-olóuvan.
    <〜ない>見る-<我々が>下の国<対格>いる-<(重いものが)>遠い

    「下の国は我々には見えない。遠いのだ。」

    縁の肩で崖下を見下ろしながら言う文。後半は主語を言っていないが、動詞の重性の語尾 -o から、主語は dálor だとわかる。重性の dálor は、主格も対格も同じ形になる。

    lúin tóra nóra, sénimor dáu sílarau.

    読み:ルーイン トーラ ノーラ、セーニモル ダウ シーララウ。

    lúintór-anóra,sén-imordáusílar-au.
    とき来る-<(軽いものが)>夜<主格>見る-<我々が>二月-<双数>

    「夜が来れば、我々は二つの月を見る。」

    乾風期の澄んだ夜を言う日常の文。nóra は軽性a語幹で、強勢は語根にあり、動詞は軽性の -a をとる。月は星ではないので、dáu「二」と双数 sílarau で数えてよい。

    aurénde, ausenár.

    読み:アウレンデ、アウセナール。

    aurénde,au-sen-ár.
    ごきげんよう<お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「ごきげんよう、目付殿。」

    役所や市の場で、目上の役人に会ったときの挨拶。呼びかけには呼格を使わない。役職名に au- をつけた形を、読点で区切って後ろに添える。目上の人は名前で呼ばず、役職で呼ぶ。

    grómim! na sénim tásan.

    読み:グローミン!ナ セーニン ターサン。

    grómim!nasén-imtás-an.
    すまない<〜ない>見る-<私が><あなた>-<対格>

    「すまない!お前が見えなかった。」

    人混みの市で人にぶつかったときの、とっさの謝罪。直説法の文は、動詞の直前に na を置いて否定する。2人称の tás を使っているので、目上の人には使えない。

    auríþen, ausenár. dulísim fáron.

    読み:アウリーセン、アウセナール。ドゥリーシン ファーロン。

    auríþen,au-sen-ár.du-lís-imfáron.
    かたじけない<お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜させていただく>-書く-<私が>荷<対格>

    「かたじけない、目付殿。荷を書き留めさせていただきます。」

    市の目付に荷を量ってもらったあとの礼。呼びかけに呼格は使わない。役職名に au- をつけ、読点で区切って添える。lís-「書く」に謙譲の du- をつけて、自分の行いを低めている。目上の人への礼として決まった形なので、auríþen の語尾は変わらない。fáron「荷」は重性名詞なので、対格も主格と同じ形になる。

    dulísim fáron ausenárei. auríþen.

    読み:ドゥリーシン ファーロン アウセナーレイ。アウリーセン。

    du-lís-imfáronau-sen-ár-ei.auríþen.
    <〜させていただく>-書く-<私が>荷<対格><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<与格>ありがたく

    「目付殿に、荷のことを書き記させていただきます。ありがたく。」

    目上の人に宛てた手紙の結び。本文の最後に auríþen を一語だけ置いて、感謝を添える。謙譲の動詞 dulísim「書かせていただく」と、高めた与格 ausenárei「目付殿に」を並べているので、書き手と宛先の上下の関係がすべて文法に表れる。

    duhémbrim, ausenár. na dulísim fáron.

    読み:ドゥヘンブリン、アウセナール。ナ ドゥリーシン ファーロン。

    duhémbrim,au-sen-ár.nadu-lís-imfáron.
    恥じ入ります<お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜ない><〜させていただく>-書く-<私が>荷<対格>

    「申し訳ございません、目付殿。荷を書き記しておりませんでした。」

    市の目付への改まった謝罪。帳簿に荷を書き留めておくのが決まりなのに、それを怠ったことを詫びている。動詞に時制がないので、na dulísim は文脈によって「書いておりません」とも「書いておりませんでした」とも訳せる。直説法の文なので、否定には na を使う。くだけた grómim は目上の人には使わない。

    snéimim. léunim ín virán, ausenár.

    読み:スネーミン。レウニン イーン ヴィラーン、アウセナール。

    snéimim.léun-imínvir-án,au-sen-ár.
    失礼します申す-<私が>一言葉-<対格><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>

    「失礼いたします。一言申し上げます、目付殿。」

    目上の人どうしの話に割りこむときの言い方。snéimim で話の流れを止め、謙譲の補充形 léun-「申す」で発言の許しを求める。ín「一」の後ろの名詞は単数になる。

    seirénde, ausenár. tóra lisár.

    読み:セイレンデ、アウセナール。トーラ リサール。

    seirénde,au-sen-ár.tór-alis-ár.
    しばしお待ちを<お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>来る-<(軽いものが)>書く-<〜する人>

    「しばしお待ちを、目付殿。書記が参りますので。」

    目上の人に待ってもらうときの丁寧な言い方。seirénde はもとは séir-「待つ」の願望法3人称単数・軽性(お待ちになりますように)で、相手を3人称で立てる上向きの話し方がそのまま固まった形。定型句なので一語として扱う。

    snéimim, ausenár. luuménde ausenár sáindaran sé.

    読み:スネーミン、アウセナール。ルーメンデ アウセナール サインダラン セー。

    snéimim,au-sen-ár.luum-énd-eau-sen-ársáindar-ansé.
    失礼します<お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>証文-<対格>この<軽性>

    「失礼いたします、目付殿。この証文をご覧いただきたく存じます。」

    目上の人の前に進み出て、用件を切り出すときの言い方。snéimim はもとは snéim-「身をかがめる」の直説法1人称単数(私は身をかがめる)だが、定型句として固まっているので、一語のまま扱う。頭を下げながら言う。呼びかけ ausenár は読点で区切って文の終わりに添える。続く依頼は、命令法ではなく願望法3人称(上向きの話し方)になっている。

    hóu! ké éses? na sénim tásan.

    読み:ホー!ケー エーセス?ナ セーニン ターサン。

    hóu!kéés-es?nasén-imtás-an.
    おい<〜か>いる-<あなたが><〜ない>見る-<私が><あなた>-<対格>

    「おい!いるのか?お前が見えない。」

    霧期に、名前を呼ぶかわりに hóu で相手の注意を引く言い方。霧の中で名前を呼ぶと名前の主が下の国に引かれるとされるので、名前のかわりにこの声を使う。はい・いいえの問いは文のいちばん前の ké で作る。

    kloimár! dómim. sén sáindaran sé.

    読み:クロイマール!ドーミン。セーン サインダラン セー。

    kloim-ár!dómim.sénsáindar-ansé.
    学ぶ-<〜する人>はい、ここに見る<命令法><あなたが>証文-<対格>この<軽性>

    「「弟子よ!」「はい、ここに。」「この証文を見よ。」」

    学び舎や工房で、師が弟子を役割の名で呼び、弟子が dómim で応じ、師が用件を命令法で続ける流れ。日常では呼格を使わないので、呼びかけは主格の形の役割名だけで言う。dómim は呼ばれたらすぐ口にする返事で、続く言いつけを受ける構えも示す。

    lísa lisár sáindaran senárei. vérin.

    読み:リーサ リサール サインダラン セナーレイ。ヴェーリン。

    lís-alis-ársáindar-ansen-ár-ei.vérin.
    書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>そのとおり

    「「書記が目付に証文を書くのだな。」「そのとおり。」」

    市の手順を確かめ合うやりとり。取引の約束は書きつけが重いので、書記が証文を書いて目付に渡す。vérin は、相手が述べた決まりや事実をそのまま認める応答で、身分を問わず使える。

    aursáre, sénim dáu sílarau!

    読み:アウルサーレ、セーニン ダウ シーララウ!

    aursáre,sén-imdáusílar-au!
    おお見る-<私が>二月-<双数>

    「おお、二つの月が見える!」

    乾風期の澄んだ夜空への感嘆。月は星ではないので、数詞 dáu と双数で言ってかまわない。aursáre は aursár「祖先」の呼格から来ており、祖先に呼びかける形で感嘆を表す。

    selvána ausenár ré ésa lisá sáindares gléin.

    読み:セルヴァーナ アウセナール レー エーサ リサー サインダレス グレーン。

    selván-aau-sen-árréés-alisásáindar-esgléin.
    おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)>いる-<(軽いものが)>文面<主格>証文-<属格>清い

    「目付殿は、証文の文面に誤りはないとおっしゃる。」

    縁の市で揉め事を裁く場面の言い方。王国では書かれたものが正しいとされるので、目付は証文の文面を確かめる。ré は「〜と」の節を導き、その節は主節の後ろに置く。

    sén sáindaran sé te lísa lisár!

    読み:セーン サインダラン セー テ リーサ リサール!

    sénsáindar-ansételís-alis-ár!
    見る<命令法><あなたが>証文-<対格>この<軽性><関係節>書く-<(軽いものが)>書く-<〜する人>

    「書記が書いたこの証文を見ろ。」

    役所や商家で、目上の者が目下の者に言う命令で、下向きの話し方にあたる。関係節は名詞句のいちばん最後に置く。ti のすぐ後ろには動詞が来る。関係節の目的語にあたる部分(証文)は、何も置かずに空けておく。指示詞 sé「この」は ti の前に置いてよい。sáindar「証文」は軽性の子音語幹の名詞なので、対格は -an になり、指示詞も軽性の sé になる。動詞には時制がないので、lísa は文脈によって「書いた」とも訳せる。

    luuménde ausenár kéumo.

    読み:ルーメンデ アウセナール ケウモ。

    luum-énd-eau-sen-árkéumo.
    ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>境の石<対格>

    「目付殿に、境の石をご覧いただきたく存じます。」

    崖道の下の口に立つ度量衡の碑のような、決まりを刻んで据えた石を示して、市の揉め事の裁きを願う上向きの依頼。目付はこの石の前で揉め事を裁く。命令法の代わりに願望法の3人称を使う。重性名詞 kéumo は、主格と対格が同じ形になる。

    ésa freimvirá ausenáres gléin.

    読み:エーサ フレインヴィラー アウセナーレス グレーン。

    és-afreimviráau-sen-ár-esgléin.
    いる-<(軽いものが)>言い直し<主格><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<属格>清い

    「目付殿の言い直しは、はっきりと聞き取れる。」

    繋辞 és- を先頭に置く「AはBだ」の文。目上の人の言葉なので、持ち主の役職名に au- をつけて属格にする。述語の gléin は軽性の主語に一致し、語尾がつかない。

    éso fáron senárei.

    読み:エーソ ファーロン セナーレイ。

    és-ofáronsen-ár-ei.
    いる-<(重いものが)>荷<主格>見る-<〜する人>-<与格>

    「目付には荷がある。」

    所有は「ある+持ち主の与格」で言う。動詞は持ち主ではなく、持たれている物 fáron(重性)に一致して -o をとる。

    selvéna ausenár ré vandésa fáron.

    読み:セルヴェーナ アウセナール レー ヴァンデーサ ファーロン。

    selvén-aau-sen-árrévand-és-afáron.
    おっしゃる-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人><〜と(節)>量る-<〜すべし>-<(軽いものが)>荷<対格>

    「目付殿は、荷を量るべしとおっしゃる。」

    縁の市で、目付の言葉を伝える文。ré の節の中は、もとの当為法のまま引用している。当為法で主語を言わないときは一般の人が主語になり、軽性の形をとる。

    dórel, sarénei, méirim sáindaran senárei.

    読み:ドーレル、サレーネイ、メーリン サインダラン セナーレイ。

    dórel,sarén-ei,méir-imsáindar-ansen-ár-ei.
    明日本番-<与格>与える-<私が>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「明日、本番で、私は目付に証文を渡す。」

    縁の市で、目付の前に正式に証文を差し出す場面を言う。場面の枠は「時→場所」の順に並べ、時の dórel を先に置く。sarénei は場面の枠に入れ、動詞の後ろの与格は受け手の senárei 一つだけにする(裸の与格は一つまで)。

    séna senár séulo tambóros só un plíndoi.

    読み:セーナ セナール セウロ タンボーロス ソー ウン プリンドイ。

    sén-asen-árséulotambór-ossóunplínd-oi.
    見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>配分<対格>雑穀-<属格>この<重性>内に札-<与格>

    「目付が、この札に書かれた雑穀の配分を見る。」

    縁の市の公式な場面。市の目付(senár)が、脂の木の薄板で作った札(plíndo)に書かれた与え分を確認する。重性の対格は主格と同形なので、動詞直後の senár が主語、次の séulo が目的語と語順で決まる。指示詞 só で名詞句を閉じ、その後に前置詞句 un plíndoi が続く。

    sén houméro sákos, ende.

    読み:セーン ホウメーロ サーコス、エンデ。

    sénhoumérosák-os,ende.
    見る<命令法><あなたが>袋<対格>塩-<属格>どうぞ

    「塩の袋を見てくれ、頼む。」

    道具や荷を扱う場での短い依頼。houméro は対格も主格と同形。後置の sák-os は内容を表す属格で、「塩を入れた袋・塩用の袋」のように中身の質を強調する言い方になる。ende は縁の市で使われる決まり文句。

    sénan torárai bormúndo.

    読み:セーナン トラーライ ボルムンド。

    sén-antor-ár-aibormúndo.
    見る-<彼らが>来る-<〜する人>-<〜たちが>出入口<対格>

    「客たちが出入口を見る。」

    見出し語 bormúndo は重性o語幹の単数主格・対格と同一形なので、ここでは与格や属格を作らず、そのまま対格として用いる。

    ruunáura senár té

    読み:ルーナウラ セナール テー

    ruun-áur-asen-árté
    背-昇-<(軽いものが)>見る-<〜する人>あの<軽性>

    「あの目付は軽く断った。」

    宮廷の作法を記すような改まった描写。字義は身振りの描写にすぎないが、改まった場面では軽い辞退として読まれる。áur- の本来の「天へ昇る」意味への自覚的な皮肉を含み、祭祀や祈りでは決して使われない。

    sénim plánan múlan sé

    読み:セーニン プラーナン ムーラン セー

    sén-implán-anmúl-ansé
    見る-<私が>帳簿-<対格>分厚い-<対格>この<軽性>

    「私はこの分厚い帳簿を見る。」

    帳簿など一枚ものの厚みを指す sense 2 の用法。plána「帳簿」は軽性で、対格単数では plánan になる。形容詞 múl も軽性対格の語尾 -an を受けて múlan となる。指示詞 sé は格標識をもたない。

    rímba senár téir lénais plénur.

    読み:リンバ セナール テール レーナイス プレーヌル。

    rímb-asen-ártéirlén-aisplén-ur
    数える-<(軽いものが)>見る-<〜する人>三枚-<〜たちを>板-<〜らの>

    「目付が板材を三枚数える。」

    検めの場面。平らな部材を数える量の名詞 lén は軽性で、目的語としての三枚は lén-ais。数えられる板は複数属格 plénur にして量の名詞の後ろに置く。

    sénim krénmo un kórvoi.

    読み:セーニン クレンモ ウン コルヴォイ。

    sén-imkrénmounkórv-oi.
    見る-<私が>環<対格>内に倉-<与格>

    「私は倉の中に環を見る。」

    日常の作業場面。sén- の目的語 krénmo は重性o語幹の単数で、対格語尾がなく主格と同形。un+与格で「〜の中に」。

    sénim krélan hóumos.

    読み:セーニン クレーラン ホーモス。

    sén-imkréla-nhóum-os.
    見る-<私が>向かい-<対格>炉-<属格>

    「炉の向かいが見える。」

    kréla を直接目的語に取る名詞用法。中心名詞 kréla の対格 krélan の後ろに、参照点の炉の属格 hóumos を置く。

    sénim món sálen.

    読み:セーニン モーン サーレン。

    sén-immónsál-en
    見る-<私が>石<対格>ならす-<〜した・〜された>

    「私は平らな石を見る。」

    日常の場面。VSOで動詞が文頭。目的語の món は重性子音語幹で、単数対格が主格と同型である。修飾する sálen も重性単数対格では語尾がつかない。

    luuménde ausenár kráunan sé.

    読み:ルーメンデ アウセナール クラウナン セー。

    luum-énd-eau-sen-árkráun-ansé
    ご覧になる-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>襟-<対格>この<軽性>

    「「目付殿に、この襟をご覧いただきたく存じます」」

    改まった依頼。命令法の代わりに願望法3人称を使い、相手は高めた役職名ausenárを主語に立つ。kráunanは軽性子音語幹の単数対格、指示詞sé。

    sénim kranó krunós.

    読み:セーニン クラノー クルノース。

    sén-imkranókrun-ós
    見る-<私が>硬い先<対格>棒-<属格>

    「棒の硬い先を見ている。」

    道具・木材の手入れ確認。kranóは身体語から器物の硬い縁・先端へ転じた用法。名詞句は「中心名詞+属格」で、対象を示す。krunóの属格は重性o語幹の-os。

    sénim vróundan un orénoi.

    読み:セーニン ヴローンダン ウン オレーノイ。

    sén-imvróund-anunorén-oi.
    見る-<私が>人ごみ-<対格>内に縁-<与格>

    「縁のあたりに人ごみが見える。」

    道案内・日常会話向けの知覚文。vróunda は人を数える語ではなく、密集した状況を単数の集合名詞として扱う。軽性の目的語なので対格語尾 -an をつける。

    sénim trenó

    読み:セーニン トレノー

    sén-imtrenó
    見る-<私が>編んだ品<対格>

    「編んだ品が見える。」

    市などの日常文。意味2は単数の見出し形をそのまま使う。重性o語幹の単数対格は主格と同形。

    sénir sándorul só!

    読み:セーニル サンドルル ソー!

    sén-irsándor-ulsó!
    見る-<皆で〜せよ>穂-<〜たちを>この<重性>

    「これらの穂を見て。」

    命令法2人称複数は語尾 -ir を立てる。sándor は重性で、複数対格は主格と同形 -ul。指示詞 só は重性。

    sénim snuló faronáres.

    読み:セーニン スヌロー ファロナーレス。

    sén-imsnulófaronár-es
    見る-<私が>たこ<対格>運び手-<属格>

    「運び人のたこを見る。」

    労働でできた手を見分ける場面を示す用例。名詞句は「名詞+属格」の語順。たこは目的語で単数対格だが、重性o語幹では主格と同型。

    sénim vóor.

    読み:セーニン ヴォール。

    sén-imvóor.
    見る-<私が>紫<対格>

    「私は紫を見る。」

    日常会話での用法。色としての「紫」を直接の目的語に取る。重性名詞 vóor は対格が主格と同形であるため、目的語も形が変わらない。

    sénim plánan sívalan té

    読み:セーニン プラーナン シーヴァラン テー

    sén-implán-ansíval-anté
    見る-<私が>帳簿-<対格>青い-<対格>あの<軽性>

    「あの青い帳簿を見る。」

    帳簿・書物を扱う場面。目的語 plána は軽性a語幹で、対格 plánan。形容詞 síval も軽性対格の語尾 -an を取って sívalan と一致する。指示詞 té は名詞句の末尾に置かれる。主語「私」は語尾 -im に現れる。

    sén faroníño só!

    読み:セーン ファロニーニョ ソー!

    sénfaroníñosó
    見る<命令法><あなたが>豆<対格>この<重性>

    「この豆を見て。」

    命令法2人称単数は語幹をそのまま用いる。faroníño は重性なので、対格も主格と同形のまま。指示詞 só は重性単数。

    sénim treníman séurilan.

    読み:セーニン トレニーマン セウリラン。

    sén-imtrením-anséuril-an.
    見る-<私が>織り模様-<対格>美しい-<対格>

    「私は美しい織り模様を見る。」

    見立てや布仕事の場面での日常的用法。目的語が軽性子音語幹名詞の単数対格になり、後置の形容詞も単数対格で一致する。意味1の、布に現れた規則的な目を見ている。

    sénim kráum só

    読み:セーニン クラウン ソー

    sén-imkráumsó
    見る-<私が>露岩<対格>この<重性>

    「私はこの露岩を見る。」

    日常の案内で使える簡単な文。kráumは重性名詞なので対格も主格と同形である。指示詞 só は重性の名詞句の終わりに置かれる。

    sénim monkréin.

    読み:セーニン モンクレーン。

    sén-immonkréin.
    見る-<私が>切れ目<対格>

    「私は切れ目を見る。」

    日常会話で、崖道から地形を指し示すときの平叙文。重性・単数の名詞は対格でも主格と同一形。

    na sénim tromándul.

    読み:ナ セーニン トロマンドゥル。

    nasén-imtrománd-ul.
    <〜ない>見る-<私が>踏み場-<〜たちを>

    「足元が見えない。」

    重性名詞の複数主格・対格は -ul。tromándul は複数の踏み場、とくに足まわりの危険な区域をまとめて指す意味2の用法。霧や暗さで足元が見えない状況。

    na sénim þoumsnúlvo só.

    読み:ナ セーニン ソウンスヌルヴォ ソー。

    nasén-imþoumsnúlvosó.
    <〜ない>見る-<私が>煙穴<対格>この<重性>

    「この煙穴が見えない。」

    日常会話向けの文。þoumsnúlvo は重性 o 語幹とみなし、対格は主格と同形。否定小辞 na は動詞の前に置く。動詞 sénim が 1 人称単数を表すため、人称代名詞は置かない。指示詞 só は重性の名詞句に一致する。

    pláinan faronárai es nourés senáres.

    読み:プライナン ファロナーライ エス ノウレース セナーレス。

    pláin-anfaron-ár-aiesnour-éssen-ár-es
    気づく-<彼らが>荷-<〜する人>-<〜たちが>から心-<属格>見る-<〜する人>-<属格>

    「運び人たちは目付の心中を察する。」

    nourán は対格なので pláin- に合わない。es nourés とし、属格の従属語を後置して es nourés senáres とする。faronárai は既知の語と接辞 -ár, -ai で作られる。

    ké sénes kuuldulún só?

    読み:ケー セーネス クールドゥルーン ソー?

    késén-eskuuldulúnsó?
    <〜か>見る-<あなたが>鍋底<対格>この<重性>

    「この鍋底が見えますか。」

    日常の炉ばたで、鍋の中を見せ合うときや、残った煮汁を確かめるときに使う問い。疑問小辞 ké が文頭に立ち、主語は動詞語尾で示す。kuuldulún は重性名詞で、単数は主格と対格が同形。指示詞 só が名詞句の終わりを閉じる。

    sén pármo só!

    読み:セーン パルモ ソー!

    sénpármosó!
    見る<命令法><あなたが>標石<対格>この<重性>

    「この標石を見ろ!」

    目の前の石を指して、相手に見るよう命じるくだけた会話文。命令法2人称単数は語幹のみで、目的語は重性の単数として主格と同形の pármo になる。指示詞 só は名詞句を重性で受ける。

    sénim gúur méules.

    読み:セーニン グール メウレス。

    sén-imgúurméul-es.
    見る-<私が>尾<対格>毛山羊-<属格>

    「私は毛山羊の尾が見える。」

    牧畜・動物の世話など、動物の身体部分としての尾を指す日常場面。gúurは「尾」で重性子音語幹。単数主格と対格が同形だが、ここでは動詞sén-の直接目的語として読む。所有表現は名詞の後ろに属格を置く。

    sénim gúur filés.

    読み:セーニン グール フィレース。

    sén-imgúurfil-és.
    見る-<私が>払い<対格>線-<属格>

    「私は線の払いが見える。」

    書・書法の場面。filá「線」の末端を払いとして指す。gúurは文字や刻線の末端を表す書法語としても使う。所有は後ろ属格で、filésは線の一単属格。

    sén krailándo gáil só!

    読み:セーン クライランド ガイル ソー!

    sénkrailándogáilsó
    見る<命令法><あなたが>継ぎ場<対格>広いこれ<重性>

    「この広い継ぎ場を見ろ。」

    運び人どうしの日常の指示。荷を持ち替える開けた所を評す命令文。名詞句の語順は名詞+形容詞+指示詞。重性名詞の単数対格は無標識。

    sén báwal só un nébroi!

    読み:セーン バーワル ソー ウン ネーブロイ!

    sénbáwalsóunnébr-oi!
    見る<命令法><あなたが>身振り<対格>この<重性>内に霧-<与格>

    「霧の中で、この身振りを見ろ。」

    崖道や縁の市で、声が届かない・声を出せない場に使われる実務的な合図を示す名詞。báwal は干潟語からの借用で重性。単数対格は主格と同形。指示詞 só は名詞句の終わりに置く。un+与格で「〜の中で」。

    na sénim dóulin funelór.

    読み:ナ セーニン ドーリン フネロール。

    nasén-imdóulinfunelór.
    <〜ない>見る-<私が>もうフネロール<対格>

    「私はもうフネロールが見えない。」

    日常会話。相の副詞 dóulin は動詞の直後、主語の前に置かれる。目的語 funelór は地名として重性子音語幹名詞として扱い、対格は主格と同形。見出しの標準外称 funelór を用いた。

    ké sénes krambóra?

    読み:ケー セーネス クランボーラ?

    késén-eskrambóra?
    <〜か>見る-<あなたが>クランボーラ<対格>

    「クランボーラが見えるか?」

    旧道の上から二つ目の岩棚を尋ねる日常会話。ké を文頭に置いてはい/いいえの問いを作る。sén-「見る」の2人称単数形。krambóra は旧地名 *-óra の土地名として重性扱いとし、対格は主格と同形で語尾が立たない。funelór 周辺では語末 a を発音し、他では krambór とも言う。

    sén þíndel só!

    読み:セーン シンデル ソー!

    sénþíndelsó!
    見る<命令法><あなたが>星盤<対格>この<重性>

    「この星盤を見て。」

    日常の呼びかけ。命令法2人称単数は語幹のみで、þíndel は重性名詞の単数対格として無標で現れる。指示詞 só は名詞の重性を示す。

    sénim frélul un sávrail.

    読み:セーニン フレールル ウン サーヴライル。

    sén-imfrél-ulunsávr-ail
    見る-<私が>魚-<〜たちを>内に葦-<〜らに>

    「葦原の中に、魚が見える。」

    sávra は生えている草として軽性で受けるが、複数 sávrai はそのまま「葦の茂み・葦原」を指す。un sávrail は「葦原の中に」で、un と葦の与格複数 sávr-ail が組み合わさっている。frélo は魚として文法上重性だが、重性の単数主格と対格は同じ形であり、1人称の語尾が主語を兼ねるため frélul は目的語として読まれる。

    sénim lárno.

    読み:セーニン ラルノ。

    sén-imlárno.
    見る-<私が>岸<対格>

    「私は岸を見る。」

    lárno は重性o語幹名詞で、単数対格は主格と同じく無標の lárno として現れる。ここでは見ることの対象を直接対格で取る。

    sén traimfilán sé

    読み:セーン トラインフィラーン セー

    séntraimfil-ánsé
    見る<命令法><あなたが>年輪-<対格>この<軽性>

    「この年輪を見ろ」

    木口を指して年輪を確かめる場での命令法。目的語は軽性a語幹 traimfilá の単数対格 traimfilán、指示詞 sé は軽性の名詞句末尾に置く。

    ké sénes nebroauró só?

    読み:ケー セーネス ネブロアウロー ソー?

    késén-esnebroaurósó
    <〜か>見る-<あなたが>霧上げ<対格>この<重性>

    「お前は、この霧上げが見えるか。」

    日常会話。nebroauró は重性o語幹名詞で、単数主格・対格同形。指示詞 só は名詞句の末尾に置く。

    trálin, sénim páilan píran.

    読み:トラーリン、セーニン パイラン ピーラン。

    trál-in,sén-impáil-anpír-an
    写す-<〜して・〜く>,見る-<私が>間違い-<対格>小さい-<対格>

    「写しながら、私は小さな誤りを見つける。」

    書の場で、手順のなかの小さな狂いを言う。同一主語の動作を副動詞 -in で主節につなぐ。páilan píran は目的語と、それに後置して一致する形容詞。páil は軽性子音語幹名詞で、目的語に -an が付く。形容詞 pír も軽性対格として píran になる。

    táulin, sénim páilan píran.

    読み:タウリン、セーニン パイラン ピーラン。

    tául-in,sén-impáil-anpír-an
    取る-<〜して・〜く>,見る-<私が>間違い-<対格>小さい-<対格>

    「取っている途中で、小さなうっかりを見つける。」

    物の受け取り・扱いの場面。副動詞 -in の動作と主節の動作は同一主語。受け渡しの中の不手際を、罪ではなく正しうる小さな誤りとして表す。

    ké sénes prímon só?

    読み:ケー セーネス プリーモン ソー?

    késén-esprímonsó?
    <〜か>見る-<あなたが>爪砥石<対格>この<重性>

    「この爪砥石が見えるか。」

    日常で、炉辺にある家用の爪砥石を指して尋ねる文。重性名詞は単数の目的語が無標なので、prímon に対格接辞はつかず、名詞句の終わりの重性指示詞 só が性を示す。金属用の研石や穀物の挽き石には使わない。

    lís plíndo, orvél na vandéla senár fáron.

    読み:リース プリンド、オルヴェール ナ ヴァンデーラ セナール ファーロン。

    lísplíndo,orvélnavand-él-asen-árfáron.
    書く<命令法><あなたが>荷札<対格>,OR<〜ない>量る-<〜だろう>-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>荷<対格>

    「荷札を書け、さもなくば目付は荷を量らないだろう。」

    市や帳場でのくだけた命令。命令法は語幹のむき出しの形で、語尾標識がないため書く.IMP.2SGのようにドットで法・人称を示す。orvélが後節の頭に立ち、成り行きを推量法で示す。重性o語幹plíndoは主格と対格が同形なので、対格は無標示として.ACCで注記する。

    un kórvoi, séna senár mirkrilíman.

    読み:ウン コルヴォイ、セーナ セナール ミルクリリーマン。

    unkórv-oi,sén-asen-ármirkril-ím-an.
    内倉-<与格>見る-<(軽いものが)>見る-<〜する人>分ける-<〜の技・〜さ>-<対格>

    「倉の中で、目付が持ち場割りを確かめる。」

    確認・立ち合いの場面。senár「目付」は見る者ではなく検査役。sén-a は軽性の主語 senár に一致する。mirkrilíman を直接目的語に取ることで、持ち場割りが配置そのものとして確かめられているニュアンスが出る。un kórv-oi が場面枠。

    sén reiníñan sé, ende

    読み:セーン レイニーニャン セー、エンデ

    sénreiníñ-ansé,ende
    見る<命令法><あなたが>小雨-<対格>この<軽性>どうぞ

    「この小雨を見ておくれ。」

    くだけた日常の依頼。動詞命令法に、決まり文句 ende を添えてやわらげている。軽性a語幹名詞 reiníña の対格は語根 reiníñ- に -an を付けた形。指示詞 sé は軽性の形。

    gǘla senár sáindaran es kórvos.

    読み:ギューラ セナール サインダラン エス コルヴォス。

    gǘl-asen-ársáindar-aneskórv-os
    取り出す-<(軽いものが)>見る-<〜する人>証文-<対格>から倉-<属格>

    「目付は証文を倉から取り出す。」

    市の帳場での検め。主語 senár は人で軽性なので、動詞は3人称単数軽性 -a。sáindaran は軽性子音語幹の対格。es は属格を支配し「〜から」。kórvos は kórvo の属格で、倉から出す出所を示す。gǘl- は単に外へ出すだけでなく、中身を出して並べ広げるまでを指す。

    méira senár sáindaran próunei sé.

    読み:メーラ セナール サインダラン プローネイ セー。

    méir-asen-ársáindar-anpróun-eisé.
    与える-<(軽いものが)>見る-<〜する人>証文-<対格>正当な所有者-<与格>この<軽性>

    「目付が証文をこの正当な所有者に渡す。」

    証文交付・帳簿上の精算の場面。返還・請求の相手として、正当な所有者に交付する。próun の与格は próunei。VSO の基本語順では、与格は目的語の後に置く。

    ké sénes seiraldáran némes?

    読み:ケー セーネス セイラルダーラン ネーメス?

    késén-esseiraldár-anném-es
    <〜か>見る-<あなたが>待席-<対格><私>-<属格>

    「私の待席が見えるか。」

    日常会話で、目の前や見覚えの席を確かめる問い。ké が文頭に立つ。seiraldár は軽性単数で、目的語には -an が付く。所有表現は、対格の seiraldáran の後ろに 1 人称属格 némes を置く。

    sénim gálvo só.

    読み:セーニン ガルヴォ ソー。

    sén-imgálvosó.
    見る-<私が>かけら<対格>この<重性>

    「私はこのかけらを見る。」

    日常の会話文。gálvo は重性o語幹の名詞で、単数の主格と対格は同形。指示詞 só は名詞の後ろに置かれ、格変化しない。

    flóra senár fáron faronárei.

    読み:フローラ セナール ファーロン ファロナーレイ。

    flór-asen-árfáronfaron-ár-ei.
    任じる-<(軽いものが)>見る-<〜する人・主格>荷<対格>荷-<〜する人>-<与格>

    「目付が荷を運び人に割り当てる。」

    任じる用法。受け手 faronárei「運び人に」が与格。目的語 fáron「荷」は重性の単数で、対格の語尾が overt に立たない。基本語順は V-S-O-IO。

    sénim snúlvo.

    読み:セーニン スヌルヴォ。

    sén-imsnúlvo.
    見る-<私が>窪み<対格>

    「私は窪みを見る。」

    日常の動作文。動詞語尾が主語の人称を示すため主語は省略される。重性名詞 snúlvo は対格語尾をもたないが、ここでは動詞の目的語として読む。時制標示はない。

    séndoi sénim kruléndran

    読み:センドイ セーニン クルレンドラン

    sénd-oisén-imkruléndr-an
    ここ-<与格>見る-<私が>人壁-<対格>

    「ここで人壁が見える。」

    狭い所や広場で、人々が密集して固まっている様子を表す日常の言い方。séndoi は「ここ」の与格で、知覚文の場所を示す。krúlendra は「人壁」を表す軽性a語幹の一語で、目的語としては単数対格 krúlendran になる。

    sénim líran nébros.

    読み:セーニン リーラン ネーブロス。

    sén-imlír-annébr-os.
    見る-<私が>糸-<対格>霧-<属格>

    「私は霧の細い筋を見る。」

    líra を比喩的に「細い一本の筋」として使う文。名詞句では頭部名詞が格標志(対格 -an)を受け、その後に属格 nébros が置かれる。「霧の細い筋」は、霧の切れ目のように細い線を糸にたとえた言い方。

    duslélim snélan ausenárei

    読み:ドゥスレーリン スネーラン アウセナーレイ

    du-slél-imsnél-anau-sen-ár-ei
    <〜させていただく>-広げる-<私が>布-<対格><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>-<与格>

    「目付殿に布を広げて差し上げます。」

    改まった場面で、相手の前に布を平に広げて提示する意。動詞に謙譲接頭辞 du-、受取人に高めた目付の与格 ausenárei を用いている。

    sénim þelasnélan te sléva selván.

    読み:セーニン セラスネーラン テ スレーヴァ セルヴァーン。

    sén-imþelasnél-anteslév-aselv-án.
    見る-<私が>名布-<対格><関係節>守る-<(軽いものが)>息-<対格>

    「私は息を守る名布を見る。」

    関係節 te を用いた比喩的な言い表し。関係節内の動詞 sléva は、先行詞 þelasnéla が軽性であることから軽性の語尾をとる。この用法は「名布=その人の息を守るもの」という含みを明示する。selván は selv-án の形。

    sénim anrásan sé.

    読み:セーニン アンラーサン セー。

    sén-imanrás-ansé.
    見る-<私が>上層の衣-<対格>この<軽性>

    「私はこの上層の衣を見る。」

    衣服の説明や整理の場面などで、内側の衣と区別した最上層を見ると言う文。anrása の対格は語根 anrás- に -an が付く形。指示詞 sé は格変化しない。

  2. 見張る・検める

    見張りをする、荷や帳簿を検める。

    séna senár orén.

    読み:セーナ セナール オレーン。

    sén-asen-árorén.
    見張る・検める-<(軽いものが)>見る-<〜する人>縁<対格>

    「番人が縁を見張っている。」

    縁の肩の見張りについて言う文。「見張る」の意味の sén- は、場所や土地を目的語にとる。senár「目付・見張る者」はこの動詞に -ár がついた語で、動詞と主語が同じ語根をもつ。

    sénim fáron si sáindaran.

    読み:セーニン ファーロン シ サインダラン。

    sén-imfáronsisáindar-an.
    見張る・検める-<私が>荷<対格>と証文-<対格>

    「荷と証文を検めます。」

    市や倉で、荷とその書きつけを突き合わせて確かめるときの言い方。「AとB」は si で並べ、二つとも目的語にする。重性の fáron は対格でも語尾がなく、軽性の sáindar は -an をとる。

解説

目で見る他動詞。見張る、検める、帳簿に目を通すといった意味にも広がる。目上の人については補充形 lúum-「ご覧になる」、自分については dúrel-「拝見する」を使う。

そのほかの用例

lís þelán táses séndoi!

読み:リース セラーン ターセス センドイ!

lísþel-ántás-essénd-oi!
書く<命令法><あなたが>名前-<対格><あなた>-<属格>ここ-<与格>

「「ここにお前の名を書け。」」

下向きの命令。命令法の2人称単数はむき出しの語幹 lís。目上の人には使えず、目上には願望法3人称(aulisénde …)で頼む。名前を書くことは息を使わないので、名の禁忌には当たらない。

na ésa páin séndoi.

読み:ナ エーサ パイン センドイ。

naés-apáinsénd-oi.
<〜ない>いる-<(軽いものが)>誰も<主格>ここ-<与格>

「「ここには誰もいない。」」

呼びかけに返事がないときなどの、日常の言い方。存在の és- が先頭に来て、主語 páin は軽性なので ésa になる。人が一人もいないことを言うのに数詞は使わず、na と páin だけで言う。

nóira endríña séndoi.

読み:ノイラ エンドリーニャ センドイ。

nóir-aendríñasénd-oi.
眠る-<(軽いものが)>子ども<主格>ここ-<与格>

「「ここで子どもが眠っている。」」

家の中で声を落とさせるときの、日常の一言。endríña は éndra「人」に指小の -íña がついてできた語で、軽性の a 語幹として変化する。

ésa hervíña séndoi.

読み:エーサ ヘルヴィーニャ センドイ。

és-ahervíñasénd-oi.
いる-<(軽いものが)>小鹿<主格>ここ-<与格>

「「ここに小鹿がいる。」」

狩り場で、獲物の気配を仲間に知らせる言い方。存在は「és-+主語+場所」で表す。hervíña は軽性なので、és- は3人称単数・軽性の ésa になる。

ké ésa orenvandár séndoi? na ésa, válsa.

読み:ケー エーサ オレンヴァンダール センドイ?ナ エーサ、ヴァルサ。

kéés-aorenvandársénd-oi?naés-a,váls-a.
<〜か>いる-<(軽いものが)>縁商人<主格>ここ-<与格><〜ない>いる-<(軽いものが)>行く<〜し終えた>-<(軽いものが)>

「「縁商人はここにいるか?」「いない。もう行ってしまった。」」

gél- を、行き先を言わずに使うと「立ち去る・いなくなる」の意味になる。時制の形がないので、géla だけで「行ってしまった」と訳せる。答えは問いの動詞を繰り返して na ésa とする。

ésau þovríl si kailó séndoi.

読み:エーサウ ソヴリール シ カイロー センドイ。

és-auþovrílsikailósénd-oi.
いる-<双数>茶<主格>と乾酪<主格>ここ-<与格>

「「ここに茶と乾酪がある。」」

客を炉端に迎えて、茶と乾酪を出すときの言い方。存在の文で、繋辞 és- が先頭に来る。単数の名詞が si で二つ並んでいるので、動詞は双数 ésau になる。双数の動詞は性を区別しないので、この文からは þovríl の性はわからない。

pórin eséla tróval séndos?

読み:ポーリン エセーラ トローヴァル センドス?

pórines-él-atróvalsénd-os?
どのようにいる-<〜だろう>-<(軽いものが)>しきたり<主格>ここ-<属格>

「「こちらのしきたりは、どのようなものでございましょうか。」」

よその土地の年長者に、儀式のやり方を尋ねる言い方。目上の人には問いの小辞 ké を使わず、推量法で推し量る形にする。疑問詞 pórin は動詞の前に出る。推量法の -él- が強勢をとるので、és- は eséla になる。

aurénde, séulin! séirim séndoi dórel.

読み:アウレンデ、セウリン!セーリン センドイ ドーレル。

aurénde,séulin!séir-imsénd-oidórel.
さようなら友待つ-<私が>ここ-<与格>明日

「「さようなら、友よ。明日ここで待っている。」」

親しい者どうしの別れ際。別れの aurénde にも「相手の息が無事に昇るように」という願いがこもるが、日常ではただの「さようなら」として使う。séir- は直説法で、時制がないので、「明日待つ」という未来の予定もこの形で言える。

léimim fáron séndoi. fláinim.

読み:レーミン ファーロン センドイ。フライニン。

léim-imfáronsénd-oi.fláinim.
置く-<私が>荷<対格>ここ-<与格>軽くなった

「「ここに荷を置くぞ。ああ、軽くなった。」」

背負った荷を下ろしたときの、文字どおりの言い方。感謝の fláinim は、この「肩が軽くなった」という言い方から広がったとされる。重い荷を下ろすことは、信仰の上でも「軽くなる」ことと結びついている。

ké éso fenlapúl séndoi?

読み:ケー エーソ フェンラプール センドイ?

kéés-ofenlapúlsénd-oi?
<〜か>いる-<(重いものが)>蒸し枝<主格>ここ-<与格>

「ここに蒸し枝があるか。」

汗蒸し小屋や道具場で、蒸し枝の有無を尋ねる口語的な文。存在の動詞 és- は、主語 fenlapúl が重性なので語尾が -o で受け取る。séndoi は séndo「ここ」の与格形。

éso lúuko séndoi.

読み:エーソ ルーコ センドイ。

és-olúukosénd-oi.
いる-<(重いものが)>熱石<主格>ここ-<与格>

「ここに熱石がある。」

肯定の存在文。lúuko は主格として引用形そのものを用いる。

ké éso lúuko séndoi?

読み:ケー エーソ ルーコ センドイ?

kéés-olúukosénd-oi?
<〜か>いる-<(重いものが)>熱石<主格>ここ-<与格>

「ここに熱石があるのか。」

存在文のはい/いいえの問い。ké は文頭に置く。

tína torár séndoi.

読み:ティーナ トラール センドイ。

tín-atorársénd-oi
落ち着く-<(軽いものが)>客<主格>ここ-<与格>

「客はここに落ち着く。」

書物・地の文のような場面。人の身や心が、動揺・緊張・違和感を失ってその場に自然に立てるようになる意。tín- は慣れる対象を裸の与格で示す。séndo は副詞ではなく、sénd- の与格 séndoi を使う。

tinénde endríña séndoi.

読み:ティネンデ エンドリーニャ センドイ。

tin-énd-eendríñasénd-oi
落ち着く-<〜しますように>-<(軽いものが)>子ども<主格>ここ-<与格>

「子どもがここに落ち着いてくれますように。」

祝福・儀礼の定型。願望法では接尾辞 -énd- が強勢を取り、語根の強勢は消えるので tinénde となる。改まった祝福では、目の前の人を3人称として受ける。tín- は慣れる対象を裸の与格で示すので、séndoi を使う。

文法

他動詞。直説法3単 séna、推量 seléla ではなく senéla、1複推量 senéimor。完了語根 sóin-(補充形)。命令2単 sén。尊敬 lúum-、謙譲 dúrel-。

語源

派生語に senár「目付(見張る者)」、senándo「見張り台」。

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