kráil-

品詞
動詞(他動詞)
意味
手に持つ
辞書形
kráila
発音
[ˈkraila]
読み
クライラ
分野
基本動作

意味

  1. 手に持つ

    ものを手に握って持っている。

    lúin méira muró torárei, mé krailésa drál.

    読み:ルーイン メーラ ムロー トラーレイ、メー クライレーサ ドラール。

    lúinméir-amurótorár-ei,mékrail-és-adrál.
    とき与える-<(軽いものが)>濁り酒<対格>客-<与格><禁止・願いの打ち消し>持つ-<〜すべし>-<(軽いものが)>器の首<対格>

    「客に濁り酒を注ぐときは、器の首をつかまぬこと。」

    もてなしの作法を述べた文。lúin の節は主節の前に置く。主節は当為法を mé で否定した禁止の形。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、lúin の節の動詞も主節の動詞も軽性の形をとる。

    pón kráilo lámo táses?

    読み:ポーン クライロ ラーモ ターセス?

    pónkráil-olámotás-es?
    何<対格>手に持つ-<(重いものが)>掌<主格><あなた>-<属格>

    「お前の掌は何を握っているんだ?」

    疑問詞 pó(重性)は、対格でも主格と同じ形で、動詞の前に出る。主語の lámo「掌」は重性なので、動詞は3人称単数・重性の -o をとる。2人称の代名詞の属格 táses を使っているので、下向きか、くだけた場での問い。

    kráila kelár tálmo.

    読み:クライラ ケラール タルモ。

    kráil-akel-ártálmo.
    手に持つ-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>斧<対格>

    「樵は斧を手に持っている。」

    ものを握って持っている状態を言う。時制がないので、持ち上げた瞬間ではなく、持っている状態としても読める。tálmo は重性o語幹で、主格と対格が同じ形。

    aukráila ausenár fáron.

    読み:アウクライラ アウセナール ファーロン。

    au-kráil-aau-sen-árfáron.
    <お〜になる・御〜>-手に持つ-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>荷<対格>

    「目付殿は荷を手にお持ちだ。」

    目上の人の動作を言うので、動詞にも役職名にも尊敬の au- をつける。荷 fáron は重性なので、対格に語尾がつかず、主格と同じ形になる。

    kráila lisár sáindaran ívelan.

    読み:クライラ リサール サインダラン イーヴェラン。

    kráil-alis-ársáindar-anível-an.
    手に持つ-<(軽いものが)>書く-<〜する人>証文-<対格>新しい-<軽性・対格>

    「書記は新しい証文を手に取る。」

    できたばかりのものについて言う用法。形容詞は、軽性の sáindar の対格に一致して -an をとる。

    mé kráil kumbór fóum, endríña!

    読み:メー クライル クンボール フォーン、エンドリーニャ!

    mékráilkumbórfóum,endríña!
    <禁止・願いの打ち消し>手に持つ<命令法><あなたが>青銅<対格>暖かい子ども

    「熱い青銅を手に持つな、子どもよ!」

    火や鋳たばかりの金属について言うときは、fóum は「熱い」の意味になる。禁止は mé+命令法で表す。呼びかけは呼格を使わず、文の終わりに読点で区切って添える。

    kráila ráuvan gleinó ál.

    読み:クライラ ラウヴァン グレイノー アール。

    kráil-aráuvangleinóál.
    手に持つ-<(軽いものが)>森の巫<主格>護符<対格>白い

    「森の巫は白い護符を手にしている。」

    白い石英の護符を言う文。石である gleinó は重性o語幹なので、対格も主格と同じ形になり、形容詞にも語尾がつかない。白は聖なる石英の色でもある。

    kráila kelár tálmo kumbóros.

    読み:クライラ ケラール タルモ クンボーロス。

    kráil-akel-ártálmokumbór-os.
    手に持つ-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>斧<対格>青銅-<属格>

    「樵は青銅の斧を手に持つ。」

    tálmo は重性o語幹の名詞で、主格と対格が同じ形になる。この文で tálmo が目的語だとわかるのは、VSO の語順による。材料を表す属格 kumbóros は名詞の後ろに置く。主語の kelár は人なので軽性で、動詞は -a をとる。

    kráil reinándo só!

    読み:クライル レイナンド ソー!

    kráilreinándosó!
    手に持つ<命令法><あなたが>雨水甕<対格>この<重性>

    「この甕を持っておいで。」

    家の中で年長者が子どもに言う、下向きの命令。命令法の2人称単数はむき出しの語幹 kráil。reinándo は重性なので、指示詞は só になる。軒の甕に集めた雨水は、墨をするのにも、祀りの器を清めるのにも使われる。

    kráilir dáu fúnelou só!

    読み:クライリル ダウ フーネロウ ソー!

    kráil-irdáufúnel-ousó!
    手に持つ-<皆で〜せよ>二綱-<双数>この<重性>

    「「皆でこの二本の綱を持て!」」

    降ろし場で運び人たちに向けて言う、崖道の言葉の下向きの命令。宮廷語なら dáu の後ろは双数(fúnelou)になるが、崖道の言葉では双数が衰えているので、複数の fúnelul で代用している。重い丸太は二本の綱をひと組にして吊るすことが多い。

    lúin tóro nébro es orénos, kráilim gleinó.

    読み:ルーイン トーロ ネーブロ エス オレーノス、クライリン グレイノー。

    lúintór-onébroesorén-os,kráil-imgleinó.
    とき来る-<(重いものが)>霧<主格>から縁-<属格>手に持つ-<私が>護符<対格>

    「縁から霧が上がってくると、私は護符を握りしめる。」

    霧期の暮らしを語る文。霧 nébro は重性なので、動詞は重性の -o をとる。gleinó は重性の o語幹で、主格と対格が同じ形になる。

    kráilo marfúnel fúnel.

    読み:クライロ マルフーネル フーネル。

    kráil-omarfúnelfúnel.
    手に持つ-<(重いものが)>綱臂<主格>綱<対格>

    「綱臂が綱を支えている。」

    崖道のくだけた話し方。降ろし場で作業の前に、綱臂と綱の関係を運び人が確認しながら言う文。VSOの基本語順(動詞–主語–目的語)。marfúnelは重性子音語幹(③型)なので、3人称単数の動詞は-o。fúnelも重性③型なので、対格は主格と同じ形(語尾なし)。

    kráilim krailó kórvos.

    読み:クライリン クライロー コルヴォス。

    kráil-imkrail-ókórv-os
    手に持つ-<私が>手に持つ-<〜するもの(重)・重性・対格>倉-<属格>

    「私は倉の取っ手を持つ。」

    動詞kráil-の1人称単数形。主語代名詞は一致語尾で省略し、対格の目的語として名詞句krailó kórvosを受ける。属格kórv-osは接尾辞-osを使う。

    kráiso krailó kórvos.

    読み:クライソ クライロー コルヴォス。

    kráis-okrail-ókórv-os
    割れる<〜し終えた>-<(重いものが)>手に持つ-<〜するもの(重)・重性・主格>倉-<属格>

    「倉の取っ手が割れた。」

    自動詞krás-の完了語根kráis-に重性単数主語krailóに対する一致語尾-oがつき、kráisoとなる。時制語形はないが完了相のため、文脈によっては現在結果的「割れている」とも取る。属格kórv-osは接尾辞-osを使う。

    kráil krélnan!

    読み:クライル クレルナン!

    kráilkrélna-n
    手に持つ<命令法>松明-<対格>

    「松明を持て。」

    二人称単数の命令法。動詞 kráil- は語幹がそのまま語末に立つ。krélnan は見出し語 krélna の単数対格。

    kráil beilíño só, ende!

    読み:クライル ベイリーニョ ソー、エンデ!

    kráilbeilíñosó,ende!
    手に持つ<命令法><あなたが>小袋<対格>この<重性>どうぞ

    「この腰袋を持ってくれ、頼む。」

    親しい者どうしのくだけた依頼。beilíño は重性o語幹で、単数対格は主格と同形。命令法のむき出しの語幹に、固まった願望の決まり文句 ende が添えられる。改まった場ではこの語は使わない。

    kráil waró só, ende

    読み:クライル ワロー ソー、エンデ

    kráilwarósó,ende
    手に持つ<命令法><あなたが>水がめ<対格>この<重性>どうぞ

    「この水がめを持っていて、頼む。」

    炉ばたでの依頼文。kráil「手に持つ」は両手で抱える水がめと結びつく。命令法はむき出しの語幹。waróは直接目的語だが、重性は対格語尾が付かない。指示詞sóは重性名詞と対応する。依頼の決まり文句 ende は、文末に読点で区切って添える。

    kráila faronár grémo

    読み:クライラ ファロナール グレーモ

    kráil-afaron-árgrémo
    持つ-<(軽いものが)>荷-<〜する人・主格>帽子<対格>

    「運び人が帽子を手に持つ。」

    叙述文。動詞 kráil- は「手に持つ」。主語 faronár は人なので軽性、動詞は3人称単数・軽性 -a をとる。faron-ár は荷を表す faron と行為者接辞 -ár から「運び人」を成す。

    kráilin maranlóur, þóndim.

    読み:クライリン マランロール、ソンディン。

    kráil-inmaranlóur,þónd-im.
    持つ-<〜して・〜く>親指<対格>誓う-<私が>

    「親指を握り、私は誓う。」

    儀礼的な所作。副動詞-inのkráilinは主節þóndimと同一主語の「〜しながら」を表す。maranlóurは重性名詞で主格と対格が同形だが、kráil-が他動詞であるため、その直後の語を目的語として読む。

    kráila endríña dreló.

    読み:クライラ エンドリーニャ ドレロー。

    kráil-aendríñadreló.
    持つ-<(軽いものが)>子ども<主格>串<対格>

    「子どもが串を手に持っている。」

    日常の場面の文。重性o語幹名詞の単数は主格と対格が同形で、目的語の串も dreló のまま。

    kráilin kailíñan, tóra endríña.

    読み:クライリン カイリーニャン、トーラ エンドリーニャ。

    kráil-inkailíñ-an,tór-aendríña.
    手に持つ-<〜して・〜く>藁-<対格>来る-<(軽いものが)>子<主格>

    「藁を持って、子どもが来る。」

    同一主語を続ける副動詞 -in の構文。「持ってくる」を「持つ-CVB」と「来る」の二語で表す。主語 endríña は軽性。

    kráil þéumo, ende.

    読み:クライル セウモ、エンデ。

    kráilþéumo,ende.
    手に持つ<命令法><あなたが>肩掛け<対格>どうぞ

    「肩掛けを持っていてください。」

    kráil-「手に持つ」の二人称単数命令法。þéumo は重性o語幹で、単数の主格と対格は同形。ende は願望法由来の決まり文句で、作業場や寝小屋でのくだけた依頼・注文に添える。

    kráilin þaimfúnel, þáimim ílmo.

    読み:クライリン サインフーネル、サイミン イルモ。

    kráil-inþaimfúnel,þáim-imílmo.
    持つ-<〜して・〜く>汲み綱<対格>汲む-<私が>水<対格>

    「汲み綱を手に持ちながら、私は水を汲む。」

    水を汲み上げる道具としての使用場面。副動詞 kráilin と後ろの動詞 þáimim の主語は同じ一人称。þáimim ílmo は「汲む-1SG 水(重性の対格)」で、汲み綱は「手に持つ」句として前に置いている。

    glünóroi, brúna krailár fáron.

    読み:グリュノーロイ、ブルーナ クライラール ファーロン。

    glünór-oi,brún-akrail-árfáron.
    グリュノーラ-<与格>背負う-<(軽いものが)>手に持つ-<〜する人・主格>荷<対格>

    「グリュノーラでは、組の長が荷を背負う。」

    glünóroi は *-óra をもつ古い場所名 glünóra の与格で、場面指定の場所として文頭に置ける。krailár は軽性の行為者名詞なので動詞は 3 単数軽性の -a で受ける。fáron は重性で主格と対格が同形だが、VSO の語順により目的語と読む。

    kráil plúrno sákos só!

    読み:クライル プルルノ サーコス ソー!

    kráilplúrnosák-ossó!
    手に持つ<命令法>小袋<対格>塩-<属格>この<重性>

    「この塩袋を手に持て。」

    kráil は命令法・二人称単数の語幹形。plúrno は重性 o 語幹で、単数主格と単数対格が同形。指示詞 só は格変化せず重性を示すのみ。名詞の後ろに置かれた属格 sák-os は内容を表す「塩の」。

    kráilim élan velmároi némes

    読み:クライリン エーラン ヴェルマーロイ ネーメス

    kráil-imél-anvelmár-oiném-es
    手に持つ-<私が><3人称単数・軽性>-<対格>右-<与格><私>-<属格>

    「私はそれを右手で持つ。」

    身体部位を手段・位置として表すときは与格 velmároi を使う。所有の némes は与格名詞句の後置。

    kráilim reinplénul.

    読み:クライリン レインプレーヌル。

    kráil-imreinplén-ul
    手に持つ-<私が>雨板-<〜たちを>

    「雨板を手に持つ。」

    市や倉で雨板を受け渡しする場面。雨よけの板を指す用法で、意味2。重性名詞の複数名詞は主格と対格が同形。kráil-imは動詞kráil-に1人称単数語尾-imが付いた形。

    kráilim vandó só.

    読み:クライリン ヴァンドー ソー。

    kráil-imvandósó.
    手に持つ-<私が>青銅の重り<対格>この<重性>

    「この青銅の重りを手に持っている。」

    日常の会話文。主語は動詞語尾 -im に含み、代名詞は省略する。重性o語幹の vandó は単数の目的語でも形が変わらない。指示詞 só が眼前の物体を示し、単位としての意味ではなく、物理的な青銅の重りであることを明確にする。

    kráil eelþó só!

    読み:クライル エールソー ソー!

    kráileelþósó!
    手に持つ<命令法><あなたが>灰汁<対格>この<重性>

    「この灰汁を持て。」

    家事の場での命令文。命令法2単は語幹のみ。重性o語幹の単数対格は主格と同形で、目的語は語順によって示される。指示詞sóは重性で名詞句を閉じる。

    kráil brúndo só!

    読み:クライル ブルンド ソー!

    kráilbrúndosó!
    手に持つ<命令法><あなたが>塊<対格>この<重性>

    「この塊を持て。」

    日常の手伝いでの命令。命令法2単は語幹 kráil のまま。重性 o語幹 brúndo は単数の主格と対格が同形だが、ここでは目的語として対格。指示詞 só は重性の brúndo に一致する。

    kráil snelíño só, ende.

    読み:クライル スネリーニョ ソー、エンデ。

    kráilsnelíñosó,ende.
    手に持つ<命令法><あなたが>蓋<対格>この<重性>どうぞ

    「この蓋を持ってくれ、頼む。」

    炉ばたや縁のくだけた依頼の文。命令法は語幹のむき出しの形 kráil に ende を添える。snelíño は重性o語幹なので、指示詞は só を使う。

    kráilim dulsúm kumbóros só

    読み:クライリン ドゥルスーン クンボーロス ソー

    kráil-imdulsúmkumbór-ossó
    手に持つ-<私が>錆<対格>青銅-<属格>この<重性>

    「この青銅の錆を手に取る。」

    目的語の dulsúm は重性単数で対格無標識。指示詞 só は中心名詞 dulsúm に一致し、名詞句の末尾に置く。属格 kumbóros は材料・由来を示す。

    kráilim þárnou pímes.

    読み:クライリン サルノウ ピーメス。

    kráil-imþárn-oupím-es.
    手に持つ-<私が>端-<双数・対格>紙-<属格>

    「私は紙の両端を持っている。」

    þárn-ou は語幹 þárn- に重性o語幹の双数主格・対格 -ou が接した形。pímes は語幹 pím- に属格 -es が接した形。

  2. つかんで離さない

    綱や手すりなどにしがみつく。崖道や降ろし場でよく使う。

    kráilir trúndo, faronárai.

    読み:クライリル トルンド、ファロナーライ。

    kráil-irtrúndo,faronár-ai.
    つかんで離さない-<皆で〜せよ>杭<対格>運び人-<〜たちが>

    「杭につかまれ、運び人たち。」

    崖道や降ろし場で、風や凍った足場のときに掛ける下向きの命令。2人称複数の命令法 -ir を使う。日常では呼格を使わず、呼びかける相手の名詞を読点で区切って文末に置く。

    kráila kelár árnelan.

    読み:クライラ ケラール アルネラン。

    kráil-akel-árárnel-an.
    つかんで離さない-<(軽いものが)>伐る-<〜する人>木-<対格>

    「樵が木にしがみついている。」

    しがみつく対象を対格の目的語にとる。生えている木 árnel は軽性の子音語幹なので、対格は -an になる。

解説

ものを手に握って持っていることを表す。高原語には所有を表す「持つ」の動詞がない(所有は「ある+持ち主の与格」で言う)ので、この語は体でものを持っていることだけを表す。秤の分銅、綱、筆、松明などをつかんでいる様子に使う。目上の人が手に持っているときは aukráil- と言い、手そのものも aumár「御手」と言う。

そのほかの用例

kráil fláumo só, ende.

読み:クライル フラウモ ソー、エンデ。

kráilfláumosó,ende.
持つ<命令法><あなたが>枠<対格>この<重性>,どうぞ

「この枠を持っていて、頼む。」

日常の作業・運搬の場面での依頼。命令法の目的語と指示詞のあとに、決まり文句 ende を添える。ende は動詞ではなく独立の小辞。

kráila endríña fénlan sléimenan.

読み:クライラ エンドリーニャ フェンラン スレーメナン。

kráil-aendríñafénl-ansléim-en-an
手に取る-<(軽いものが)>子ども<主格>切り枝-<対格>切る-<〜した・〜された>-<対格>

「子供が切り枝を手に取る。」

日常会話。切り取られた枝(意味2)を、手持ちの材として扱う場面。名詞 fénlan は語根 fénl- に軽性 a 語幹の対格語尾 -an が付いた形で、分詞も名詞に一致して軽性・単数・対格の語尾 -an を受ける。

文法

完了語根は kráils-(「握りしめた」)。持っている手は与格で示せる(kráila lisár plánan márei「書記が帳簿を手に持っている」)。

語源

古高原語から受け継いだ語。

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