mán-

品詞
動詞(他動詞)
意味
食べる
辞書形
mána
発音
[ˈmana]
読み
マーナ
分野
基本動作

意味

  1. 食べる

    食べ物を食べる。目的語は対格をとる(mána tambór「雑穀を食べる」)。

    pón mánes?

    読み:ポーン マーネス?

    pónmán-es?
    何<対格>食べる-<あなたが>

    「何を食べているの?」

    家族や同じ段の者どうしの、くだけた問い。疑問詞 pó は文頭に置く。pó は重性o語幹なので、対格は主格と同じ形になる。時制がないので「何を食べた?」とも訳せる。2人称を使うので、目上の人には使わない。

    na mánim póin anórel.

    読み:ナ マーニン ポイン アノーレル。

    namán-impóinanórel.
    <〜ない>食べる-<私が>何も<対格>昨日

    「昨日は何も食べていない。」

    日常会話の文。mán-「食べる」を na で否定し、póin と組み合わせて「何も〜ない」と言う。時制がないので、anórel「昨日」で過去のことだとわかる。

    maníres þérno, elþélo bélo táses.

    読み:マニーレス セルノ、エルセーロ ベーロ ターセス。

    man-ír-esþérno,elþ-él-obélotás-es.
    食べる-<もし〜なら>-<あなたが>毒きのこ<対格>燃える-<〜だろう>-<(重いものが)>腹<主格><あなた>-<属格>

    「毒きのこを食べたら、腹が焼けるぞ。」

    条件の節には接続詞を使わず、仮定法 maníres だけで「もし〜なら」を表す。帰結の節は推量法で、主語の bélo が重性なので -o をとる。雨期にきのこを採るときの戒めの言い方。

    sén bélo gróm tó, máno tambór némores!

    読み:セーン ベーロ グローン トー、マーノ タンボール ネーモレス!

    sénbélogrómtó,mán-otambórnémor-es!
    見る<命令法><あなたが>欲<対格>重いあの<重性>食べる-<(重いものが)>雑穀<対格><我々>-<属格>

    「あの欲張りを見ろ、俺たちの雑穀を食ってやがる!」

    人を bélo gróm(重い欲)と呼ぶ陰口で、指示詞も動詞も重性の形(tó、máno)で受けている。人を重性の一致で受けるのは侮辱なので、強いあざけりの響きがある。主節を二つ並べているので、あいだに区切りを入れる。

    lúin hóina ambrél némes, mánimor tambór.

    読み:ルーイン ホイナ アンブレール ネーメス、マーニモル タンボール。

    lúinhóin-aambrélném-es,mán-imortambór.
    とき帰る-<(軽いものが)>兄・姉<主格><私>-<属格>食べる-<我々が>雑穀<対格>

    「兄(姉)が帰ってきたら、みんなで雑穀を食べよう。」

    家の中の会話の文。時を表す lúin の節を前に置いている。主節の動詞は1人称複数の直説法で、時制がないので、これからの予定としても読める。家の中のくだけた言い方なので、mán- を敬語の補充形にしていない。tambór は重性なので、対格でも語尾がつかない。

    mé mán tambór éul!

    読み:メー マーン タンボール エウル!

    mémántambóréul!
    <禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが>雑穀<対格>よその家の

    「よその家の雑穀を食べるな。」

    子どもに言い聞かせる日常の禁止。親族名称以外の名詞に添えると、éul は「自分の家の流れに属さない、よその家の」の意味になる。tambór は重性なので主格と対格が同じ形で、éul も重性・対格の語尾なしの形で一致する。

    mé mán an ólmarei!

    読み:メー マーン アン オルマレイ!

    mémánanólmar-ei!
    <禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが>上手年長者-<与格>

    「年長者より先に食べるな。」

    食事のとき、親が子どもをたしなめる言い方。年長の者、段の高い者が先に箸をつけるのが作法である。禁止は mé+命令法。an+与格は、時の上では「〜の前に」の意味になる。

    lúin mána houmár, mánimor tambór.

    読み:ルーイン マーナ ホウマール、マーニモル タンボール。

    lúinmán-ahoumár,mán-imortambór.
    とき食べる-<(軽いものが)>家の主<主格>食べる-<我々が>雑穀<対格>

    「家の主が箸をつけてから、我々は雑穀を食べる。」

    家の中の食事の作法を言う文。年長の者、家の主が先に箸をつける。「〜とき」の節は lúin で始め、主節の前に置く。houmár は人を指すので軽性で、動詞は3人称単数・軽性の -a をとる。tambór は重性なので、対格も主格と同じ形。

    mé mán, endríña! na ésa hílva tambór.

    読み:メー マーン、エンドリーニャ!ナ エーサ ヒルヴァ タンボール。

    mémán,endríña!naés-ahílvatambór.
    <禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが>子ども<〜ない>いる-<(軽いものが)>雪<主格>雑穀

    「食べちゃだめよ、坊や。雪はごはんじゃないの。」

    大人が子どもをたしなめる、ごく日常的な言い方。日常では呼格を使わず、呼びかけの語を読点で区切って添える。「AはBではない」は na+繋辞で言い、繋辞は主語の hílva(軽性)に一致する。

    mána méula tambór.

    読み:マーナ メウラ タンボール。

    mán-améulatambór.
    食べる-<(軽いものが)>毛山羊<主格>雑穀<対格>

    「毛山羊が雑穀を食べてしまう。」

    段々畑のそばで毛山羊を放しているときの、よくある困りごと。méula は軽性a語幹で、主語なので主格の形をとる。動詞は軽性の -a で一致する。tambór は重性なので、主格と対格が同じ形になる。

    mána gúrnal méldo.

    読み:マーナ グルナル メルド。

    mán-agúrnalméldo.
    食べる-<(軽いものが)>熊<主格>蜜<対格>

    「熊は蜜を食べる。」

    森の生き物について述べる、一般的な事実の文。時制がないので、習慣も直説法で言う。gúrnal は軽性の子音語幹なので、動詞は -a をとる。

    mánimor frélo si tambór.

    読み:マーニモル フレーロ シ タンボール。

    mán-imorfrélositambór
    食べる-<我々が>魚<対格>と雑穀<対格>

    「我々は魚と雑穀を食べる。」

    ふだんの食事についての文。frélo は重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になる。si は無強勢の等位の小辞で、目的語を二つ並べている。主語は動詞の語尾 -imor でわかるので、代名詞は言わない。

    mé mán sóumbo só!

    読み:メー マーン ソーンボ ソー!

    mémánsóumbosó!
    <禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが>きのこ<対格>この<重性>

    「このきのこを食べるな!」

    禁止は「mé+命令法」で言う。2人称単数の命令法は語尾のない語幹 mán だけの形。sóumbo は重性o語幹なので対格も sóumbo のままで、指示詞も重性の só になる。きのこの見分けは年長者の知恵で、子どもに向けた下向きの禁止として、日常でよく使う言い方。

    mánimor tambór si frélo sórel.

    読み:マーニモル タンボール シ フレーロ ソーレル。

    mán-imortambórsifrélosórel.
    食べる-<我々が>雑穀<対格>と魚<対格>今日

    「今日は雑穀と魚を食べる。」

    家の中のふつうの会話。直説法には法の印がなく、語根に1人称複数の語尾 -imor が直接つく。二つの目的語を si で並べている。雑穀も魚も重性なので、主格と対格が同じ形になる。時を表す語 sórel は文末に置く。

    na ráinim ré éso sóumbo. mé mán ó!

    読み:ナ ライニン レー エーソ ソーンボ。メー マーン オー!

    naráin-imréés-osóumbo.mémánó!
    <〜ない>知る-<私が><〜と(節)>いる-<(重いものが)>食べられるきのこ<主格><禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが><3人称単数・重性>

    「食べられるきのこかどうか、わからない。食べるな!」

    年長者が目下の者に注意するときの言い方。ré で「〜と」の節を導く。禁止は「mé+命令法」で言い、mán- の2人称単数命令形はむき出しの語幹 mán。重性の代名詞 ó は主格と対格が同じ形。

    mána kelár þérno! hál ráuvanan!

    読み:マーナ ケラール セルノ!ハール ラウヴァナン!

    mán-akel-árþérno!hálráuvan-an!
    食べる-<(軽いものが)>伐る-<〜する人・主格>毒きのこ<対格>呼ぶ<命令法><あなたが>森の巫-<対格>

    「樵が毒きのこを食べた!森の巫を呼べ!」

    急を告げるくだけた言い方。動詞に時制の形がないので、mána だけで「食べた」の意味になる。重性名詞の þérno は、対格でも形が変わらない。命令法の2人称単数は、むき出しの語幹 hál。森の村では、毒や葬送のことは森の巫に任される。

    gloumiþéla náuvra tásan; mé mán!

    読み:グロウミセーラ ナウヴラ ターサン、メー マーン!

    gloum-iþ-él-anáuvratás-an;mémán!
    惑う-<〜させる>-<〜だろう>-<(軽いものが)>酔いきのこ<主格><あなた>-<対格><禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが>

    「酔いきのこはお前を惑わすぞ。食べるな!」

    目下の者や子どもへの注意。gloum-「惑う」に使役の -íþ- がついて「惑わせる」になる。結果の予告は推量法で言い、強勢は -él- に移る。náuvra は軽性なので、動詞は -a をとる。きのこのうちで náuvra だけが軽性なのは、食べた者を浮わつかせるものと見なされるからだと説明されることがある。

    mé mán sóumbo pír só!

    読み:メー マーン ソーンボ ピール ソー!

    mémánsóumbopírsó!
    <禁止・願いの打ち消し>食べる<命令法><あなたが>きのこ<対格>小さいこの<重性>

    「この小さなきのこを食べるな。」

    雨期のきのこ採りで、年長者が若い者に注意する言い方。名詞句は「名詞–形容詞–指示詞」の順で、重性の指示詞 só が名詞句の終わりを示す。

    lúin táula ólmar rínelul, mánimor.

    読み:ルーイン タウラ オルマル リーネルル、マーニモル。

    lúintául-aólmarrínel-ul,mán-imor
    とき取る-<(軽いものが)>年長者<主格>箸-<〜たちを>食べる-<我々が>

    「年長の者が箸を取ってから、私たちは食べる。」

    年長の者が先に箸をつけるという、食事の作法を述べた文。箸は伐った木などで作った道具なので重性で、複数対格は -ul になる。ひと組の箸は双数でも言えるが、ここでは複数で言っている。

    mánim tambór míil.

    読み:マーニン タンボール ミール。

    mán-imtambórmíil.
    食べる-<私が>雑穀<対格>甘い

    「私は甘い雑穀を食べる。」

    食事の場面。重性名詞 tambór を修飾する形容詞は単数で、対格でも語尾がつかない。

    máina méula kailíñais náumais.

    読み:マイナ メウラ カイリーニャイス ナウマイス。

    máin-améulakailíñ-aisnáum-ais.
    食べる<〜し終えた>-<(軽いものが)>毛山羊<主格>藁-<〜たちを>柔らかい-<〜たちを>

    「毛山羊が柔らかい藁を食べた。」

    家畜に揉んだ藁を与える場面。「干藁」の意味。máina は mán-「食べる」の完了相。対象が複数のため kailíñ-ais と náum-ais となり、形容詞は軽性複数対格に一致する。

    mánim noralúsan.

    読み:マーニン ノラルーサン。

    mán-imnoralús-an.
    食べる-<私が>夜粥-ACC.

    「私は夜粥を食べる。」

    日常会話で使う自己申告の文。動詞が文頭に立ち、軽性の対格語尾 -an を付けた目的語が続く。

    mánim hégro sórel.

    読み:マーニン ヘーグロ ソーレル。

    mán-imhégrosórel.
    食べる-<私が>団子<対格>今日

    「私は今日、団子を食べる。」

    直説法。重性の hégro は対格が主格と同形。

    anlúin, máinan éndrai hégro bóules.

    読み:アンルーイン、マイナン エンドライ ヘーグロ ボーレス。

    anlúin,máin-anéndr-aihégrobóul-es.
    昔食べる<〜し終えた>-<彼らが>人-<〜たちが>団子<対格>どんぐり-<属格>

    「昔、人々はどんぐり団子を食べた。」

    歴史的な過去は完遂相の直説法で表す。hégro bóules は熟語的にどんぐり団子を指す。

    na mána unlóur brál tambór

    読み:ナ マーナ ウンロール ブラール タンボール

    namán-aunlóurbráltambór
    <〜ない>食べる-<(軽いものが)>まだ父<主格>雑穀<対格>

    「父はまだ雑穀を食べていない。」

    日常の食事の場面。直説法の否定で、na は動詞の直前に置く。brál は人を指すので、動詞は軽性 3 単数 -a で受ける。unlóur は動詞の直後、主語の前に置く。tambór は重性の目的語で、主格と対格が同じ形になる。

  2. 食事をとる

    目的語を言わずに使い、食事をすることを表す。完了形の問いと答えは挨拶にもなる。

    lúin hóinan faronárai, manélan.

    読み:ルーイン ホイナン ファロナーライ、マネーラン。

    lúinhóin-anfaronár-ai,man-él-an.
    とき帰る-<彼らが>運び人-<〜たちが>食事をとる-<〜だろう>-<彼らが>

    「運び人たちが戻ったら、食事にするだろう。」

    lúin で始まる時の節を主節の前に置いている。主節は推量法で、これから先のことを言う。推量法の -él- には強勢があり、語根の強勢を奪う(mán- → manélan)。主節の主語は、語尾から時の節と同じ運び人たちだとわかるので言わない。

    ké mánes? mánim.

    読み:ケー マーネス?マーニン。

    kémán-es?mán-im.
    <〜か>食事をとる-<あなたが>食事をとる-<私が>

    「「飯は食ったか?」「食った。」」

    森や崖道で交わすくだけた挨拶で、問いと答えの二人の発話。高原語には時制がないので、直説法の未完了形でも「食ったか」の意味になる。目的語を言わずに「食事を済ませたか」の意味になる。高原語には「はい」がないので、動詞を自分の人称に変えて繰り返して答える。目上の人には使わない。

解説

食べ物を口に入れて食べることを表す、ふつうの語。目的語には雑穀の粥や焼いた平たい餅、乾酪、干し肉などをとる。森や崖道では ké máines?「食べたか」と máinim「食べた」のやりとりが、くだけた挨拶になっている。食事の作法では、段の高い者や年長の者が先に箸をつける。そのため、目上の人の前で自分が食べることは謙譲の dúmar- で言う。

文法

完了語根は máin-。尊敬は補充形の nélis-「召し上がる」、謙譲は dúmar-「いただく」を使う。命令法2単は mán!

語源

古高原語から受け継いだ語。

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