小説
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踏む(踏みしめる)
足で地面を踏みしめる。雪・泥・草地などに足跡をつける動作。踏まれた雪と未踏の雪を区別する際に使う。
mé tróm fáron!
読み:メー トローン ファーロン!
| mé | tróm | fáron! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 踏む(踏みしめる)<命令法><あなたが> | 荷<対格> |
「荷を踏むな。」
荷置場や降ろし場で、年長が年下に向けて言う日常の戒め。禁止は mé を命令法の語幹 tróm に添えて作る。荷は重性子音語幹で、単数対格は主格と同形。命令法で主語に人称語尾がない文では、直後に置かれた名詞を目的語として読む。
tróma endríña fáron.
読み:トローマ エンドリーニャ ファーロン。
| tróm-a | endríña | fáron. |
| 踏む(踏みしめる)-<(軽いものが)> | 子<主格> | 荷<対格> |
「子どもが荷を踏んでいる。」
荷置場での日常の一文。子どもが荷を踏んでいる事実を、完了相ではなく未完了で述べている。主語 endríña は軽性なので、動詞は軽性の三人称単数 -a。目的語 fáron は重性子音語幹で、単数対格は主格と同形だが、VSOの語順から目的語として読む。
踏みしめて確かめる
力を込めて強く踏み、地面の状態(氷の厚さ、雪の深さ)を確認する。凍りの頃の渡り氷の上で「踏みしめて確かめる」際に使う。
tráumoi, tróma faronár.
読み:トラウモイ、トローマ ファロナール。
| tráum-oi, | tróm-a | faronár. |
| 渡り氷-<与格> | 踏みしめて確かめる-<(軽いものが)> | 運び人<主格> |
「渡り氷では、運び人が踏みしめて確かめる。」
書き言葉。動詞の前に場所の tráumoi を場面の枠として置き、読点で区切ったあとに基本の VSO が来る。tróma は自動詞用法。渡り氷の上では足で強く踏みしめ、地面の状態を確かめる意になる。
ké trómes tráumo?
読み:ケー トローメス トラウモ?
| ké | tróm-es | tráumo? |
| <〜か> | 踏みしめて確かめる-<あなたが> | 渡り氷<対格> |
「お前は渡り氷を踏みしめて確かめているのか。」
凍りの頃の渡口で、運び人が互いに掛ける問い。踏みしめて確かめる動詞 tróm- は、踏む対象を対格でとる。渡り氷は重性o語幹で、単数対格は主格と同形の tráumo。ké を添えた直説法は、同じくらいか目下に向けるくだけた問いの形。
足で地面に圧力をかけて踏みしめる動作。歩く(ráum-「歩く」)が移動そのものを指すのに対し、tróm- は足が地面に着いて押し込む瞬間の動作を指す。踏まれた雪(trómlen hílva「踏まれた雪」)と未踏の雪(hílva「雪」)の状態の差を表す語として、凍りの頃の崖道や森の道で日常的に用いられる。力を込めて強く踏む(氷の上で安全を確認する)こともこの語で言う。他動詞として踏む対象(雪・泥・草地)を取り、自動詞としても使う(足が地面に着く)。
mé tróm berunglǘn!
読み:メー トローン ベルングリューン!
| mé | tróm | berunglǘn! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 踏む<命令法><あなたが> | 道氷<対格> |
「道氷を踏むな。」
注意書き・禁止の定型。mé+命令法で、対象に1人称/2人称の語尾はつかず、むき出しの語幹 tróm を使う。重性名詞の対格は主格と同形で、直接目的語が語順で示される。道そのものが凍った状態(意味1)の道氷への警告として使う。
mé tróm prúumo!
読み:メー トローン プルーモ!
| mé | tróm | prúumo! |
| <禁止・願いの打ち消し> | 踏む<命令法><あなたが> | 水たまり<対格> |
「水たまりを踏んではいけない。」
日常の戒め。mé に命令法単数を添えて禁止する。重性名詞の単数対格は主格と同形で、prúumo のままとなる。
mé tróm dulþárno!
読み:メー トローン ドゥルサルノ!
| mé | tróm | dulþárno |
| <禁止・願いの打ち消し> | 踏む<命令法><あなたが> | 裾<対格> |
「裾を踏んではいけない!」
日常会話。母や年長者が、子どもの衣の裾を踏まないよう短く戒める場面。禁止の mé が命令法のむき出しの語幹 tróm に直接かかる。重性名詞の単数対格は主格と同形で、語尾には出ない。
mé tróm krúndo!
読み:メー トローン クルンド!
| mé | tróm | krúndo |
| <禁止・願いの打ち消し> | 踏む<命令法><あなたが> | 泥地<対格> |
「ぬかるみを踏むな。」
禁止の用法で、否定の mé と命令法の語幹 tróm を使う。重性の krúndo は主格単数と対格単数が同形だが、ここでは踏まれる地面としての「泥地」を示す。
他動詞・自動詞。踏む対象を対格で取る。完了語根は tróom-(o→oo)。分詞 trómlen「踏まれた」で雪の状態を形容する。
古高原語 *tróm-「押しつける・押す」から。基本的な動詞根で、派生や複合の素地はない。語末の m は、足が地面に落ちる閉じた音の擬態的残存とされる。
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