méir-

品詞
動詞(他動詞)
意味
与える
辞書形
méira
発音
[ˈmeira]
読み
メーラ
分野
基本動作

意味

  1. 与える

    ものを相手に渡して、相手のものにする(méira senár fáron torárei「目付が客に荷を与える」)。

    léisin sáindaran, méirim élan senárei.

    読み:レーシン サインダラン、メーリン エーラン セナーレイ。

    léis-insáindar-an,méir-imél-ansen-ár-ei.
    書く<〜し終えた>-<〜して・〜く>証文-<対格>与える-<私が><3人称単数・軽性>-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「証文を書き終えて、それを目付に渡す。」

    完了の語根+-in で「〜し終えて」。主語は後ろの動詞と同じ(私)。 副動詞の句と主節は別の文として数えるので、主節の目的語は代名詞 élan で置く。

    wéiro sáko némei, duói méirim ó endríñei.

    読み:ウェーロ サーコ ネーメイ、ドゥオイ メーリン オー エンドリーニェイ。

    wéir-osákoném-ei,duóiméir-imóendríñ-ei.
    いる<〜し終えた>-<(重いものが)>塩<主格><私>-<与格>それから与える-<私が><3人称単数・重性・対格>子ども-<与格>

    「私は塩を手に入れ、それから子どもにそれをやる。」

    所有の文の文法上の主語は塩なので、-in ではつなげず duói を使う。

    anórel, an kórvoi, léisin sáindaran, méira lisár élan senárei.

    読み:アノーレル、アン コルヴォイ、レーシン サインダラン、メーラ リサール エーラン セナーレイ。

    anórel,ankórv-oi,léis-insáindar-an,méir-alis-árél-ansen-ár-ei.
    昨日上手倉-<与格>書く<〜し終えた>-<〜して・〜く>証文-<対格>与える-<(軽いものが)>書く-<〜する人><3人称単数・軽性>-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「昨日、倉の北側で、証文を書き終えて、書記はそれを目付に渡した。」

    場面の枠は「時 → 場所 → -in の句」の順。それぞれ読点で区切る。「それを」は軽性の証文を受けるので élan。

    méirim torárei nímbo te níla endríña.

    読み:メーリン トラーレイ ニンボ テ ニーラ エンドリーニャ。

    méir-imtorár-einímboteníl-aendríña.
    与える-<私が>客-<与格>乳<対格><関係節>飲む-<(軽いものが)>子ども<主格>

    「子どもが飲む乳を、私は客に出す。」

    関係節のついた名詞句は節のいちばん最後に置くので、与格の torárei が目的語より前に出る。

    méirim sáindaran sélvanei.

    読み:メーリン サインダラン セルヴァネイ。

    méir-imsáindar-ansélvan-ei.
    与える-<私が>証文-<対格>セルヴァン-<与格>

    「セルヴァンに証文を渡す。」

    受け手は与格で示し、語順は動詞–目的語–与格になる。sélvan は軽性の子音語幹として変化し、対格は sélvanan、属格は sélvanes、与格は sélvanei になる。

    méir téir sáindarais némei!

    読み:メール テール サインダライス ネーメイ!

    méirtéirsáindar-aisném-ei!
    与える<命令法><あなたが>三証文-<〜たちを><私>-<与格>

    「証文を三通くれ。」

    目下の相手や親しい者に向けた、下向きのくだけた命令。会話では量の名詞を省き、数詞の後ろの名詞を直接複数にする。sáindar は軽性なので、複数対格は -ais。語順は「動詞–目的語–与格」。目上の人には命令法を使わず、願望法で言う。

    ésa plána méiren rainiþáres.

    読み:エーサ プラーナ メーレン ライニサーレス。

    és-aplánaméir-enrainiþár-es.
    いる-<(軽いものが)>紙の帳面<主格>与える-<〜した・〜された>師-<属格>

    「その紙の帳面は、師から与えられたものだ。」

    学び舎での一場面。他動詞の分詞は受け身の意味になり、分詞の後ろの属格 rainiþáres が「師によって」を表す。紙の帳面は軽性なので、分詞 méiren は語尾のつかない軽性・単数・主格の形になる。

    lúin na tóro nébro, méirim grúndo.

    読み:ルーイン ナ トーロ ネーブロ、メーリン グルンド。

    lúinnatór-onébro,méir-imgrúndo.
    とき<〜ない>来る-<(重いものが)>霧期<主格>与える-<私が>掛け<対格>

    「霧期が来ないうちに、掛けを払います。」

    縁の市での、精算の約束の言葉。霧の中で結んだ約束は重んじられないので、精算はかならず霧期の前に済ませる。同じことを市では、決まり文句の an nébroi「霧の前に(期限までに)」で言うことが多い。

    méir sáindaran sé némei.

    読み:メール サインダラン セー ネーメイ。

    méirsáindar-anséném-ei.
    与える<命令法><あなたが>証文-<対格>この<軽性><私>-<与格>

    「その証文をこっちへよこせ。」

    下向きの命令。語順は動詞–目的語–与格(受け手)で、受け手の「私に」は与格 némei で表す。ném は②型の語尾で格変化する。証文 sáindar は軽性の子音語幹なので、対格は -an、指示詞は軽性の sé になる。

    méir sáko, ende.

    読み:メール サーコ、エンデ。

    méirsáko,ende.
    与える<命令法><あなたが>塩どうぞ・頼む

    「塩をくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。動詞はむき出しの語幹(命令法2単と同じ形)で言い、ende を添えて頼みの言い方にする。市は段に乗らない場なので、この形は無礼にならない。ende は願望法の語尾 -énde が固まった小辞。運び人どうしでは énd とも言う。

    méirim grúndo tásei an duliþímei fáronos.

    読み:メーリン グルンド ターセイ アン ドゥリシーメイ ファーロノス。

    méir-imgrúndotás-eiandul-iþ-ím-eifáron-os.
    与える-<私が>掛け<対格><あなた>-<与格>〜の前に下る-<〜させる>-<〜の技・〜さ>-<与格>荷-<属格>

    「掛けは、荷を下ろす前にお前に払う。」

    縁の市での約束の言い方。時間は川の流れにたとえられ、早いほうが上手なので、an+与格が「〜の前に」の意味になる。duliþímei は dulíþ-「下ろす」に -ím「〜すること」がついた名詞の与格で、強勢は -ím に移る。同じ組み立ての決まり文句に an nébroi「霧の前に(=期限までに)」がある。

    hóina éndra te méirim fáron élei.

    読み:ホイナ エンドラ テ メーリン ファーロン エーレイ。

    hóin-aéndrateméir-imfáronél-ei.
    帰る-<(軽いものが)>人<主格><関係節>与える-<私が>荷<対格>彼-<与格>

    「私が荷を渡した人が帰っていく。」

    関係節の中で受け手(与格)にあたる部分は穴のままにできないので、代名詞の与格 élei で埋める(再述代名詞)。人を受けるので軽性の él を使う。関係節は文の終わりまで続く。

    méirim sáindaran lisárei élei te tóra.

    読み:メーリン サインダラン リサーレイ エーレイ テ トーラ。

    méir-imsáindar-anlis-ár-eiél-eitetór-a.
    与える-<私が>証文-<対格>書く-<〜する人>-<与格>あの-<与格><関係節>来る-<(軽いものが)>

    「やって来た例の書記に、証文を渡す。」

    軽性の指示詞 té は関係節の te の前に置けない。そのため、代わりに él を「あの・例の」の意味で名詞の後ろに置く。この él は指示詞と違って格変化し、ここでは lisárei に合わせて与格の élei になる。関係節の主語は抜けたまま空けておく。

    méirim tambór társei.

    読み:メーリン タンボール タルセイ。

    méir-imtambórtárs-ei.
    与える-<私が>雑穀<対格>お前たち-<与格>

    「お前たちに雑穀をやろう。」

    受け手を与格 társei で表す。társ は同じ段か目下の複数の相手にしか使わないので、この文は下向きの話し方になる。家の主が働き手たちに食べ物を分けるような場面で使う。目上の相手には使わず、役職名を3人称で言う。

    aumeirénde ausenár sáindaran dunémei.

    読み:アウメイレンデ アウセナール サインダラン ドゥネーメイ。

    au-meir-énd-eau-sen-ársáindar-anduném-ei.
    <お〜になる・御〜>-与える-<〜しますように>-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-見る-<〜する人>証文-<対格>手前-<与格>

    「目付殿に、手前へ証文をお下げ渡しいただきたく存じます。」

    上向きの依頼。相手は2人称で呼ばず、ausenár「目付殿」を主語にした願望法の3人称で言う。受け手の自分は、ném ではなく、へりくだった duném の与格で言う。au- は m の前ではそのままの形でつく(aumeir-)。尊敬の動詞と謙譲の代名詞が一つの文に並ぶので、「目上の人から私へ」という上下の関係が文法の上に表れる。

    pómbar sákul méires némei?

    読み:ポンバル サークル メーレス ネーメイ?

    pómbarsák-ulméir-esném-ei?
    どれほど塩-<〜たちを>与える-<あなたが><私>-<与格>

    「「塩をどれほどくれるんだ?」」

    取引で、対価の量を尋ねる言い方。塩のように数えない物の量を尋ねるときは、名詞を単数のまま置く。帳簿では、ここに青銅の分銅で量った重さの単位を入れる。人を数えることにはならないので、礼の上の差し支えはない。

    méir fáron térin lísen, ende.

    読み:メール ファーロン テーリン リーセン、エンデ。

    méirfárontérinlís-en,ende.
    与える<命令法><あなたが>荷そのとおりに書く-<〜した・〜された>どうぞ

    「書いたとおりに荷を渡してくれ、頼む。」

    縁の市の決まり文句「térin lísen(書いたとおりに)」を使った取引言葉の文。分詞 lísen は、この決まり文句の中では一致の語尾をつけず、形を変えない。帳簿や証文の文面にたがわないことを念押しするときに使う。

    meirésa orenvandár gandér térin lísen sáindarei.

    読み:メイレーサ オレンヴァンダール ガンデール テーリン リーセン サインダレイ。

    meir-és-aorenvandárgandértérinlís-ensáindar-ei.
    与える-<〜すべし>-<(軽いものが)>縁商人<主格>硬木<対格>そのとおりに書く-<〜した・〜された>証文-<与格>

    「縁商人は、証文に書かれたとおりに硬木を渡すべし。」

    証文の取り決めの一文。当為法で書かれている。「térin lísen」に与格の sáindarei を添えると、「証文に書かれたとおりに」の意味になる。縁商人は段の外の者だが、文法上は人として軽性で受ける。

    méira houmár tambór kelárail ínin.

    読み:メーラ ホウマール タンボール ケラーライル イーニン。

    méir-ahoumártambórkel-ár-ailínin.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>雑穀<対格>伐る-<〜する人>-<〜らに>それぞれ

    「「家の主は、樵たちそれぞれに雑穀を分け与える。」」

    炉ばたで食べ物を分ける場面。受け手を与格 íninei で言い、誰のそれぞれかを複数属格 kelárar で添える。ínin は子音語幹の軽性として変化する。

    duméirim sáko snír autorárei.

    読み:ドゥメーリン サーコ スニール アウトラーレイ。

    du-méir-imsákosnírau-torár-ei.
    <〜させていただく>-与える-<私が>塩<対格>わずかな<お〜になる・御〜>-客-<与格>

    「お客様に、わずかばかりの塩を差し上げます。」

    客をもてなすとき、小皿の塩を出しながら言う決まった言い方。謙譲の du- は m- の前でそのままの形になる。sáko は干潟から借りた重性名詞なので、対格は主格と同じ形で、形容詞 snír にも語尾がつかない。最高の礼である塩をわざと「わずかな」と言うのは、差し出す物を控えめに言う謙遜である。

    méir déral tambóros némei.

    読み:メール デーラル タンボーロス ネーメイ。

    méirdéraltambór-osném-ei.
    与える<命令法><あなたが>半分<対格>雑穀-<属格><私>-<与格>

    「雑穀の半分を私にくれ。」

    下向きの命令。déral は重性の子音語幹名詞なので、対格は主格と同じ形。何の半分かは属格(tambóros)で後ろに示す。語順は動詞–目的語–与格(受け手)の順。

    méirim téir kéulais tásei.

    読み:メーリン テール ケウライス ターセイ。

    méir-imtéirkéul-aistás-ei.
    与える-<私が>三頭-<〜たちを><あなた>-<与格>

    「お前に(家畜を)三頭やろう。」

    村や牧での、目下か同輩に向けたくだけた言い方(2人称の tás を使う)。何を数えているかが場面から明らかなので、数えるものの複数属格を省き、量の名詞 kéul だけで言っている。数詞 téir の後ろなので複数、目的語なので複数対格 kéulais になる。語順は動詞–目的語–与格(受け手)。

    meirésan hóumul meiró aldárei áurenei.

    読み:メイレーサン ホームル メイロー アルダーレイ アウレネイ。

    meir-és-anhóum-ulmeiróaldár-eiáur-en-ei.
    与える-<〜すべし>-<彼らが>世帯-<〜たちが>税<対格>座-<与格>昇る-<〜した・〜された>-<軽性・与格>

    「世帯(炉)はそれぞれ、高き座に税を納めるべし。」

    法典の文体。当為法の3人称複数で義務を定める。税を負うのは個人ではなく炉(世帯)で、主語は重性の複数主格 hóumul。méir-「与える」は、ここでは「納める」の意味。受け手の aldár áuren「高き座」は与格で、分詞も軽性の与格 -ei で一致する。

    méira houmár tambór faronárei, ré eséndo gromó éles krán.

    読み:メーラ ホウマール タンボール ファロナーレイ、レー エセンド グロモー エーレス クラーン。

    méir-ahoumártambórfaronár-ei,rées-énd-ogromóél-eskrán.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>雑穀<対格>運び人-<与格><〜と(節)>いる-<〜しますように>-<(重いものが)>体<主格><3人称単数・軽性>-<属格>硬い

    「家の主は、体が丈夫であるようにと、運び人に雑穀を与える。」

    「ré+願望法」で目的を表す文。ここでの願望法は丁寧さではなく、「そうなってほしいこと」を表す。主語の gromó は重性なので、願望法の語尾は -o になる。

    lúin méira muró torárei, mé krailésa drál.

    読み:ルーイン メーラ ムロー トラーレイ、メー クライレーサ ドラール。

    lúinméir-amurótorár-ei,mékrail-és-adrál.
    とき与える-<(軽いものが)>濁り酒<対格>客-<与格><禁止・願いの打ち消し>持つ-<〜すべし>-<(軽いものが)>器の首<対格>

    「客に濁り酒を注ぐときは、器の首をつかまぬこと。」

    もてなしの作法を述べた文。lúin の節は主節の前に置く。主節は当為法を mé で否定した禁止の形。主語を言わないので「人は」という一般の主語になり、lúin の節の動詞も主節の動詞も軽性の形をとる。

    méira houmár sáko torárei.

    読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。

    méir-ahoumársákotorár-ei.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>塩<対格>客-<与格>

    「家の主は客に塩を出す。」

    もてなしの作法を述べる文。小さな皿に塩をひとつまみ載せて出すのが、客への最高の礼とされる。語順は動詞–主語–目的語–与格。sáko「塩」は干潟から借りた語で重性なので、主格と対格が同じ形。

    meirésan houmárai meiró tambóros brándalei.

    読み:メイレーサン ホウマーライ メイロー タンボーロス ブランダレイ。

    meir-és-anhoumár-aimeirótambór-osbrándal-ei.
    与える-<〜すべし>-<彼らが>世帯主-<〜たちが>税<対格>雑穀-<属格>司-<与格>

    「世帯主は、雑穀の税を司に納めるべし。」

    法典の条文の文体。当為法 -és- で「〜すべし」を表す。強勢が接尾辞に移るので、語根 méir- の ´ は消える。受け手の司は与格 -ei で表す。

    na méirim fáron, ésa sáindar sé múrno.

    読み:ナ メーリン ファーロン、エーサ サインダル セー ムルノ。

    naméir-imfáron,és-asáindarsémúrno.
    <〜ない>与える-<私が>荷<対格>いる-<(軽いものが)>証文<主格>この<軽性>当てにならぬもの

    「荷は渡さない、この証文は腐り氷だ。」

    縁の市で取引を断るときの言い方。na は直説法の動詞の直前に置く。証文を tráumo「渡り氷」と請け合われたのに対して、múrno と言い返すことが多い。

    meiréndes ílmo némei.

    読み:メイレンデス イルモ ネーメイ。

    meir-énd-esílmoném-ei.
    与える-<〜しますように>-<あなたが>水<対格><私>-<与格>

    「水を一杯くれないか。」

    同じ段の相手に、願望法の2人称でものを頼む「並び」の言い方。願望法の接尾辞 -énd- に強勢が移るので、語根の ´ は消える。ílmo は重性のo語幹で、主格と対格が同じ形になる。飲み水や使い水を指すふつうの語で、雨水を指すときには使わない。

    méira zímbra méldo némorei.

    読み:メーラ ジンブラ メルド ネーモレイ。

    méir-azímbraméldonémor-ei
    与える-<(軽いものが)>蜜蜂<主格>蜜<対格><我々>-<与格>

    「蜜蜂は我々に蜜をくれる。」

    VSO の語順で、受け手を与格で示す基本の文。単数の zímbra は、ここでは蜜蜂という生き物全体を指している。蜂は軽性なので、動詞は -a をとる。受け手は人称代名詞の与格 némorei で表す。森の蜂の巣から蜜と蝋をとる暮らしを言った文。

    méira houmár sáko torárei.

    読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。

    méir-ahoumársákotorár-ei.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>塩<対格>客-<与格>

    「家の主が客に塩を与える。」

    基本の語順「動詞–主語–目的語–与格」。受け手は与格で言う。sáko「塩」は干潟から借りた重性名詞で、対格は主格と同じ形。客に小皿で塩をひとつまみ出すのは、もてなしの最高の礼とされる。

    méiran ólmarai kailó kelárail.

    読み:メーラン オルマライ カイロー ケラーライル。

    méir-anólmar-aikailókel-ár-ail.
    与える-<彼らが>年長者-<〜たちが>乾酪<対格>伐る-<〜する人>-<〜らに>

    「年長者たちが樵たちに乾酪を与える。」

    主語が複数なので、動詞は3人称複数の -an をとる。語順は動詞–主語–目的語–与格(受け手)。受け手の kelár「樵」は軽性の子音語幹で、複数与格は -ail。kailó「乾酪」は重性o語幹の名詞で、対格も主格と同じ形。

    méira houmár tambór kelárail pírail.

    読み:メーラ ホウマール タンボール ケラーライル ピーライル。

    méir-ahoum-ártambórkel-ár-ailpír-ail.
    与える-<(軽いものが)>炉-<〜する人>雑穀<対格>伐る-<〜する人>-<〜らに>若い-<軽性・〜ら(古い母音交替)・与格>

    「家の主は、若い樵たちに雑穀を与える。」

    語順は「動詞–主語–目的語–与格」。人は軽性なので、形容詞は軽性の複数与格 -ail で一致する。

    lúin méira séulin tambór némei, glénim élei méldo.

    読み:ルーイン メーラ セウリン タンボール ネーメイ、グレーニン エーレイ メルド。

    lúinméir-aséulintambórném-ei,glén-imél-eiméldo.
    とき与える-<(軽いものが)>友<主格>雑穀<対格><私>-<与格>返礼する-<私が><3人称単数・軽性>-<与格>蜜<対格>

    「友が私に雑穀をくれると、私はその人に蜜でお返しをする。」

    「返礼する」の意味では、お返しの品を対格に、相手を与格にとる。村の暮らしでよく聞く、くだけた言い方。

    méira houmár sáko torárei.

    読み:メーラ ホウマール サーコ トラーレイ。

    méir-ahoumársákotorár-ei.
    与える-<(軽いものが)>家の主<主格>もてなしの塩<対格>客-<与格>

    「家の主は客に塩を出して、手厚くもてなす。」

    「塩を出す(与える)」は、小皿にひとつまみの塩を載せて出す最高の礼を言う慣用句で、手厚い歓迎そのものを指す。受け手の客は与格 torárei で、目的語の後ろに置く。

    méirim kailó si sáko torárei.

    読み:メーリン カイロー シ サーコ トラーレイ。

    méir-imkailósisákotorár-ei.
    与える-<私が>乾酪<対格>と塩<対格>客-<与格>

    「客に乾酪と塩をさしあげる。」

    もてなしの言い方。語順は「動詞–目的語–受け手の与格」。kailó も sáko も重性なので、対格は主格と同じ形になる。客に塩をひとつまみ添えて出すのは、最高の礼とされる。

    méir síndra rús, ende.

    読み:メール シンドラ ルース、エンデ。

    méirsíndrarús,ende.
    与える<命令法><あなたが>帯茶色のどうぞ

    「茶色の帯をくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。格語尾が落ちて、宮廷語なら síndran rúsan となるところが síndra rús になる。動詞はむき出しの語幹で言い、ende を添える。市ではこの形でも無礼にはならない。

    méira houmár méldo ámbel torárei.

    読み:メーラ ホウマール メルド アンベル トラーレイ。

    méir-ahoum-árméldoámbeltor-ár-ei.
    与える-<(軽いものが)>炉-<〜する人>蜜<対格>黄色い来る-<〜する人>-<与格>

    「家の主が客に黄色い蜜を出す。」

    語順は動詞–主語–目的語–与格。蜜 méldo は重性o語幹なので、主格と対格が同じ形になり、形容詞にも語尾がつかない。もてなしの場面の文。

    méiran orenvandárai sáko, méirimor kumbórul.

    読み:メーラン オレンヴァンダーライ サーコ、メーリモル クンボールル。

    méir-anorenvandár-aisáko,méir-imorkumbór-ul.
    与える-<彼らが>縁商人-<〜たちが>塩<対格>与える-<我々が>青銅器-<〜たちを>

    「縁商人は塩を出し、我々は青銅器を出す。」

    取引の取り決めを述べる文。二つの主節を接続詞なしで並べ、読点で区切っている。上げ荷の塩と下ろし荷の青銅器を対にして言うのは、帳簿の見開きの書き方にも通じる言い回しである。

    méir rínelul némei.

    読み:メール リーネルル ネーメイ。

    méirrínel-ulném-ei
    与える<命令法><あなたが>箸-<〜たちを><私>-<与格>

    「箸を取ってくれ。」

    家族や目下の相手に言う、くだけた頼み。命令法の2人称単数は、語幹そのままの形で言う。受け手は与格で、目的語の後ろに置く。同じ段の相手には、願望法で meiréndes rínelul némei. と言う。

    méiran houmárai tambór brándalei.

    読み:メーラン ホウマーライ タンボール ブランダレイ。

    méir-anhoumár-aitambórbrándal-ei.
    与える-<彼らが>家の主-<〜たちが>雑穀<対格>司-<与格>

    「家の主たちは司に雑穀を納める。」

    乾風期の前半に、倉の司が税の雑穀を取り立てることを言う文。受け手の司は与格 -ei で言う。

    méira brándal plíndo orenvandárei.

    読み:メーラ ブランダル プリンド オレンヴァンダーレイ。

    méir-abrándalplíndoorenvandár-ei.
    与える-<(軽いものが)>司<主格>市の札<対格>縁商人-<与格>

    「司は縁商人に市の札を与える。」

    語順は動詞–主語–目的語–与格。市の札は青銅の札で重性なので、主格と対格が同じ形になる。札を受けた縁商人は、商いの場にかぎって六段下りに準ずる者として扱われる。

    méir grúndo, ende.

    読み:メール グルンド、エンデ。

    méirgrúndo,ende.
    与える<命令法><あなたが>掛け<対格>どうぞ

    「掛けを払ってくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。掛けを「払う」は méir-「与える」で言い、動詞はむき出しの語幹の形になる。grúndo は重性o語幹なので、もともと主格と対格が同じ形。ende は願望法の語尾が固まってできた「どうぞ・頼む」。

    ké méirses meiró? méirsim.

    読み:ケー メールセス メイロー?メールシン。

    kéméirs-esmeiró?méirs-im.
    <〜か>与える<〜し終えた>-<あなたが>税<対格>与える<〜し終えた>-<私が>

    「「税は納めたか?」「納めた。」」

    村の者どうしのくだけたやりとり。二人の発話を一つにまとめている。méir- は二重母音の語根なので、完了相は -s- を足して méirs- にする。高原語には「はい」にあたる語がないので、問いの動詞を自分の人称に変えて繰り返して答える。

    duméiran kelárai meiró pelsós aldárei áurenei.

    読み:ドゥメーラン ケラーライ メイロー ペルソース アルダーレイ アウレネイ。

    du-méir-ankel-ár-aimeirópels-ósaldár-eiáur-en-ei.
    <〜させていただく>-与える-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>貢ぎ物<対格>樹脂-<属格>座-<与格>昇る-<〜した・〜された>-<軽性・与格>

    「樵たちは、高き座に樹脂の貢ぎ物を献上する。」

    森の氏族が王に産物を納めることを述べる文。差し出す側を低める謙譲の du- を動詞につけ、受け手の「高き座」は与格で表す。分詞 áurenei は aldárei(軽性・単数・与格)に一致する。同じ meiró でも、受け手が王なら「貢ぎ物」、倉なら「税」と訳し分ける。

    glóiren! duméirim sáko autorárei.

    読み:グロイレン!ドゥメーリン サーコ アウトラーレイ。

    glóiren!du-méir-imsákoau-torár-ei.
    ようこそ<〜させていただく>-与える-<私が>塩<対格><お〜になる・御〜>-客-<与格>

    「ようこそ。お客人に塩を差し上げます。」

    客に小皿の塩をひとつまみ出す、最高のもてなしのときの言い方。謙譲の du- をつけた動詞と、au- で高めた与格の「お客人に」を並べ、自分と相手の上下を文法の上でも示す。sáko「塩」は重性なので、対格も主格と同じ形になる。

    dúmarim tambór te auméira aulisár. auríþen.

    読み:ドゥーマリン タンボール テ アウメーラ アウリサール。アウリーセン。

    dúmar-imtambórteau-méir-aau-lis-ár.auríþen.
    いただく-<私が>雑穀<対格><関係節><お〜になる・御〜>-与える-<(軽いものが)><お〜になる・御〜>-書く-<〜する人>ありがたく

    「書記の方がくださった雑穀を、いただきました。ありがたく。」

    贈り物への礼状の結び。用件を書いたあと、最後に auríþen 一語を置いて結ぶのが手紙の決まった形である。関係節 te auméira aulisár では、目的語にあたる部分が空いたままになっている。méir- は補充形のない動詞なので、規則どおり au- をつけて尊敬の形にする。

    nés! na méirim gandér só.

    読み:ネース!ナ メーリン ガンデール ソー。

    nés!naméir-imgandérsó.
    いや・だめだ<〜ない>与える-<私が>硬木<対格>この<重性>

    「だめだ!この硬木はやれない。」

    値の折り合いがつかないときに、売り手が申し出をはねつける言い方。nés を独立して先に叫び、そのあとに na で否定した文を続けて念を押す。na は動詞の直前に置く。市の外でこの語を使うと、ぶっきらぼうで下品に響く。

    méir tambór, ende. nés, sórel nés.

    読み:メール タンボール、エンデ。ネース、ソーレル ネース。

    méirtambór,ende.nés,sórelnés.
    与える<命令法><あなたが>雑穀どうぞない(品切れ)今日ない(品切れ)

    「「雑穀をくれ、頼む。」「ない、今日はもうない。」」

    縁の市の取引言葉。品切れを、時を表す語と組み合わせて繰り返す言い方。動詞はむき出しの語幹、目的語は格語尾なしで言い、ende を添えて頼む。

    meiréndes sóndelan sé némei.

    読み:メイレンデス ソンデラン セー ネーメイ。

    meir-énd-essóndel-anséném-ei.
    与える-<〜しますように>-<あなたが>書物-<対格>この<軽性><私>-<与格>

    「この書物を私に譲ってくれぬか。」

    同じ段の相手への依頼で、願望法の2人称を使う。目下の相手なら命令法 méir、目上の相手なら願望法の3人称にする。sóndel は軽性・子音語幹で、指示詞 sé も軽性の形をとる。

    dórel, sarénei, méirim sáindaran senárei.

    読み:ドーレル、サレーネイ、メーリン サインダラン セナーレイ。

    dórel,sarén-ei,méir-imsáindar-ansen-ár-ei.
    明日本番-<与格>与える-<私が>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「明日、本番で、私は目付に証文を渡す。」

    縁の市で、目付の前に正式に証文を差し出す場面を言う。場面の枠は「時→場所」の順に並べ、時の dórel を先に置く。sarénei は場面の枠に入れ、動詞の後ろの与格は受け手の senárei 一つだけにする(裸の与格は一つまで)。

    méira ólmar houmíño endríñei.

    読み:メーラ オルマル ホウミーニョ エンドリーニェイ。

    méir-aólmarhoumíñoendríñ-ei.
    与える-<(軽いものが)>年長者<主格>椀<対格>子ども-<与格>

    「年長の方は、子どもに椀を与える。」

    炉ばたでの配膳の場面。ふつうの椀 manó に代わる、年長者が用いる婉曲語 houmíño。動詞は主語の年長者(人・軽性)に一致。与格 endríñei が受け手(子ども)を示す。

    duméirim kórviño ólmarei.

    読み:ドゥメーリン コルヴィニョ オルマレイ。

    du-méir-imkórviñoólmar-ei.
    <〜させていただく>-与える-<私が>箱(小倉)<対格>年長者-<与格>

    「年長者に箱を差し上げる。」

    改まった・丁重な場。du-で自分を低め、受け手を与格で表す。

    méirim krailílmo torárei.

    読み:メーリン クライリルモ トラーレイ。

    méir-imkrailílmotorár-ei
    与える-<私が>水袋<対格>客-<与格>

    「私は客に水袋を渡す。」

    通行中や作業の合間に人へ差し出す水として扱う場面。méir-「与える」は、与えられる物 krailílmo に対して対格、受け手 torár に対して与格をとる。重性の名詞の対格は主格と同形で、krailílmo のままになる。

    méir rimblóna sé, ende.

    読み:メール リンブローナ セー、エンデ。

    méirrimblónasé,ende.
    与える<命令法><あなたが>測り竿<対格>この<軽性>どうぞ

    「この測り竿をくれ、頼む。」

    道具の受け渡しで使う、くだけた依頼文。縁の市の言葉では格語尾が落ち、本来の対格 rimblónan は rimblóna のまま出る。命令法の語幹 méir の後ろに名詞 rimblóna と指示詞 sé が続き、語末の ende が頼みの定型になる。

    lúin méirim, tóra páil pír.

    読み:ルーイン メーリン、トーラ パイル ピール。

    lúinméir-im,tór-apáilpír
    とき与える-<私が>,来る-<(軽いものが)>間違い<主格>小さい<主格>

    「私が差し出すときに、小さなうっかりが起こる。」

    受け渡しの場面の定型。時を表す lúin 節が主節の前に来る。主節の主語が軽性の páil なので、動詞は軽性の 3人称単数 tóra を取る。主語に後置する形容詞 pír は主格のまま。

    méir monsnembán némei, ende.

    読み:メール モンスネンバーン ネーメイ、エンデ。

    méirmonsnemb-ánném-ei,ende.
    与える<命令法><あなたが>写し-<対格><私>-<与格>どうぞ

    「写しを、私に、頼む。」

    手渡して欲しいものを求める日常会話。命令法は語幹 méir を用い、受取手は与格で表す。文末の ende で要求を柔らかくする。

    méira andaulóura soilkrélvo aursárei.

    読み:メーラ アンダウローラ ソイルクレルヴォ アウルサーレイ。

    méir-aandaulóurasoilkrélvoaursár-ei.
    与える-<(軽いものが)>祖母<主格>髪留め<対格>祖先-<与格>

    「祖母が祖先に髪留めを渡す。」

    祀りの場面。主語のandaulóuraは人なので軽性・3人称単数-a。受け手は与格aursárei。soilkrélvoは対格だが重性のため無標識。

    méira senár sáindaran próunei sé.

    読み:メーラ セナール サインダラン プローネイ セー。

    méir-asen-ársáindar-anpróun-eisé.
    与える-<(軽いものが)>見る-<〜する人>証文-<対格>正当な所有者-<与格>この<軽性>

    「目付が証文をこの正当な所有者に渡す。」

    証文交付・帳簿上の精算の場面。返還・請求の相手として、正当な所有者に交付する。próun の与格は próunei。VSO の基本語順では、与格は目的語の後に置く。

    méir gáir némei ende

    読み:メール ガイル ネーメイ エンデ

    méirgáirném-eiende
    与える<命令法><あなたが>錐<対格><私>-<与格>どうぞ

    「私に錐を渡してくれ、頼む。」

    命令法。贈与の受け手は与格で示す。 ende は依頼の定型語で、命令法と共によく使われる。

  2. 渡す

    取引で、品物や証文を相手の手に渡す。所有が移るかどうかは問わない。

    méir sáindar, ende.

    読み:メール サインダル、エンデ。

    méirsáindar,ende.
    渡す<命令法><あなたが>証文どうぞ

    「証文を渡してくれ、頼む。」

    縁の市の取引言葉。動詞は語尾のない語幹で言い、目的語にも格語尾をつけない(改まった言い方なら対格 sáindaran)。ende は願望法の語尾が固まってできた小辞。市は段に乗らない場なので、むき出しの語幹で言っても無礼にはならない。ここでの「渡す」は手渡すことで、所有が移るとはかぎらない。

    meirésa orenvandár sáindaran senárei.

    読み:メイレーサ オレンヴァンダール サインダラン セナーレイ。

    meir-és-aorenvandársáindar-ansen-ár-ei.
    渡す-<〜すべし>-<(軽いものが)>縁商人<主格>証文-<対格>見る-<〜する人>-<与格>

    「縁商人は、証文を目付に渡すこと。」

    市の決まりを記した文書の文体で、当為法を使う。強勢は -és- に移り、語根の強勢は消える(meirésa)。証文を目付に預けて検めてもらうことなので、所有が移るわけではない。

解説

ものを相手に渡して、相手のものにすることを表す。受け手は与格で示す。高原では、ものの受け渡しにも高さの感覚がはたらく。目上の人に差し上げるときは謙譲の duméir-、目上の人がくださるときは尊敬の auméir- を使う。客に塩を一つまみ出すことも、この語で言う。縁の市では méir, ende「くれ・渡してくれ」が決まり文句のように使われる。

そのほかの用例

dróuman kelárai es meirós.

読み:ドローマン ケラーライ エス メイロース。

dróum-ankel-ár-aiesmeir-ós.
嘆く-<彼らが>伐る-<〜する人>-<〜たちが>から税-<属格>

「樵たちは税を嘆いている。」

日常の不満を言う文。meiró は語尾に強勢のある重性o語幹で、属格は -ós。

文法

完了語根は、二重母音の語根なので -s- を足した méirs-。尊敬は auméir-「くださる」、謙譲は duméir-「差し上げる」(どちらも接頭辞をそのままつけた規則的な形)。

語源

古高原語から受け継いだ語。

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