unlóur

品詞
副詞
意味
まだ
発音
[unˈlour]
読み
ウンロール
分野
時間・空間・方向

意味

  1. まだ(〜ない)

    否定の na と組み、予期された出来事がまだ起きていないこと、いまの時点にまだ届いていないことを表す。例:na tóra unlóur senár「目付はまだ来ない」。

    na tóra unlóur senár.

    読み:ナ トーラ ウンロール セナール。

    natór-aunlóursen-ár.
    <〜ない>来る-<(軽いものが)>まだ見る-<〜する人>

    「目付はまだ来ない。」

    「まだ」unlóur は動詞の直後、主語の前に置く。否定の na は動詞の前。

    na léisim unlóur sáindaran.

    読み:ナ レーシン ウンロール サインダラン。

    naléis-imunlóursáindar-an.
    <〜ない>書く<〜し終えた>-<私が>まだ証文-<対格>

    「私はまだ証文を書き終えていない。」

    否定+完了だけなら「書き終えなかった」。「まだ」をはっきり言うときは unlóur を添える。

    na léisa unlóur lisár sáindaran.

    読み:ナ レーサ ウンロール リサール サインダラン。

    naléis-aunlóurlis-ársáindar-an.
    <〜ない>書く<〜し終えた>-<(軽いものが)>まだ書く-<〜する人>証文-<対格>

    「書記はまだ証文を書き終えていない。」

    相の副詞 unlóur は動詞のすぐ後ろに置き、主語の枠・目的語の枠には数えない。

    na þréula unlóur sírna

    読み:ナ スレウラ ウンロール シルナ

    naþréul-aunlóursírna
    <〜ない>積もる-<(軽いものが)>まだ霜<主格>

    「まだ霜が積もっていない。」

    くだけた会話向き。否定 na は動詞の前に置き、「まだ」 unlóur は動詞の直後、主語の前に置く。na+現在の形+unlóur で「まだ〜していない」。

    na klonéra unlóur éndra.

    読み:ナ クロネーラ ウンロール エンドラ。

    naklonér-aunlóuréndra.
    <〜ない>膝が抜けてよろける-<(軽いものが)>まだ人<主格>

    「その人はまだよろけない。」

    日常の否定文。否定の小辞 na は動詞の直前に置き、副詞 unlóur は動詞の直後に置く。未完了の動詞と組んで「まだ〜しない」を表す。

    éso unlóur þróvo fóum

    読み:エーソ ウンロール スローヴォ フォーン

    és-ounlóurþróvofóum
    いる-<(重いものが)>まだ熾火<主格>暖かい

    「熾火はまだ暖かい。」

    日常の会話文。存在・状態の文は「és-+主語+述語形容詞」の順。副詞 unlóur は動詞の直後に置く。熾火を重性o語幹名詞として扱い、動詞は3人称単数重性の -o をとる。

    un kórvoi, éso unlóur vrúndo só húmel.

    読み:ウン コルヴォイ、エーソ ウンロール ヴルンド ソー フーメル。

    unkórv-oi,és-ounlóurvrúndosóhúmel.
    内倉-<与格>,いる-<(重いものが)>まだ束<主格>この<重性>湿った

    「倉の中では、この束はまだ湿っている。」

    場面の枠に前置詞句を置いた状態文。見出し語 vrúndo は単数主格のまま使う。

    krúelo unlóur dulglüno só.

    読み:クルーエロ ウンロール ドゥルグリュノ ソー。

    krúel-ounlóurdulglünosó.
    動く-<(重いものが)>まだつらら<主格>この<重性>

    「「まだ、このつららは揺れている。」」

    凍りの頃の日常の言葉。重性o語幹の単数主格で、指示詞 só を後ろに添えている。副詞 unlóur は動詞の直後に置く。

    na mombrúumo unlóur brés toráres.

    読み:ナ モンブルーモ ウンロール ブレース トラーレス。

    namombrúum-ounlóurbréstorár-es.
    <〜ない>石落ちる-<(重いものが)>まだ胸<主格>客-<属格>

    「客の胸はまだすっとしない(心配が残り、ほっとしていない)。」

    長い懸念がまだ解けていないことを言う、くだけた観察・愚痴。否定のnaは動詞の前に置き、unlóur「まだ」は動詞の直後に置く。主語「客の胸」が重性なので動詞は3人称単数・重性の-oで受ける。

    þrúsa unlóur endríña sé.

    読み:スルーサ ウンロール エンドリーニャ セー。

    þrús-aunlóurendríñasé.
    くすくす笑う-<(軽いものが)>まだ子ども<主格>この<軽性>

    「この子はまだくすくす笑っている。」

    炉ばたなどくだけた場面の日常表現。副詞 unlóur は肯定文で「まだ~している」を表し、動詞の直後・主語の前に置く。指示詞 sé は名詞 endríña の性に応じて軽性の形を取り、名詞句の末尾に添える。主語 endríña は人を指す軽性単数なので、動詞は3人称単数軽性語尾 -a をとる。

    tréla unlóur ólmar eelþó.

    読み:トレーラ ウンロール オルマル エールソー。

    trél-aunlóurólmareelþó.
    混ぜる-<(軽いものが)>まだ年長者<主格>灰<対格>

    「年長者はまだ灰をかき立てている。」

    炉ばたの儀礼でも行われる動作。unlóur「まだ」は動詞の直後、主語の前に置く。灰 eelþó は重性o語幹で、単数の対格が主格と同形である。

    klonhéla unlóur senár aldárei.

    読み:クロンヘーラ ウンロール セナール アルダーレイ。

    klonhél-aunlóursenáraldár-ei.
    跪座する-<(軽いものが)>まだ目付<主格>座-<与格>

    「目付は御座の前で跪座したままいる。」

    単に膝を落とす動作ではなく、膝を床につけた低い姿勢を保っている様子。unlóur「まだ」が動詞の直後におかれ、その姿勢が続いていることを示す。

    éso unlóur nímbo míil.

    読み:エーソ ウンロール ニンボ ミール。

    és-ounlóurnímbomíil.
    いる-<(重いものが)>まだ乳<主格>ほのかな

    「乳はまだ、ほのかな甘みがある。」

    味見の場面。unlóur「まだ」を伴い、甘みが完全に立ち上がらず、わずかに感じられる程度を表す。

    na kóundim unlóur þóuno.

    読み:ナ コーンディン ウンロール ソーノ。

    nakóund-imunlóurþóuno.
    <〜ない>する<〜し終えた>-<私が>まだ夜用の用足し<対格>

    「私はまだ夜用の用足しを済ませていない。」

    寝床に就く前の常套句。na は直説法を否定する小辞。完了相の語根 kóund- と unlóur「まだ」が組んで、まだ終えていないことを表す。語順は否定小辞+動詞+相の副詞+目的語。

    sláuro unlóur eelþó.

    読み:スラウロ ウンロール エールソー。

    sláur-ounlóureelþó
    残る-<(重いものが)>まだ灰<主格>

    「灰がまだ残っている。」

    日常の観察文。灰が自然に留まっていることを表す非意志の自動詞。誰かが意図的に残したという含みはない。「まだ」は動詞の直後に置かれる。

    ké éso unlóur gólvo só?

    読み:ケー エーソ ウンロール ゴルヴォ ソー?

    kéés-ounlóurgólvosó
    <〜か>いる-<(重いものが)>まだ旧道<主格>この<重性>

    「この旧道は、まだありますか。」

    場面:日常会話。存在の動詞が重性主語に一致して3人称単数重性のésoになっている。疑問小辞kéは文頭に置き、副詞unlóurは動詞の直後、主語の前に置く。gólvo sóは重性o語幹の単数主格名詞句。

    na wéro unlóur ílmo só.

    読み:ナ ウェーロ ウンロール イルモ ソー。

    nawér-ounlóurílmosó.
    <〜ない>滴る-<(重いものが)>まだ水<主格>この<重性>

    「この水はまだぽつぽつと落ちていない。」

    状態確認での日常的な否定。否定小辞 na は直説法の前に置き、まだを表す unlóur は動詞の直後、主語の前に置く。

    éso unlóur houmkreló só un kórvoi.

    読み:エーソ ウンロール ホウンクレロー ソー ウン コルヴォイ。

    és-ounlóurhoumkrelósóunkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>まだ家分<主格>この<重性>内に倉-<与格>

    「倉にはまだこの家分がある。」

    備蓄を確かめる場面。存在文の動詞 és- は主語に一致し、houmkreló が重性o語幹の単数主格なので -o を受ける。相の副詞 unlóur は動詞の直後、主語の前に置く。un kórvoi は前置詞 un と与格の組み合わせで「倉の中で」。

    na tóro unlóur nebroþaló.

    読み:ナ トーロ ウンロール ネブロサロー。

    natór-ounlóurnebroþaló.
    <〜ない>来る-<(重いものが)>まだ霧明け<主格>

    「霧明けは、まだ来ていない。」

    日常の会話で、霧期を終わらせる区切りがまだ来ていないことを言う文。nebroþalóは重性名詞で、主語になると動詞は3人称単数重性の-oで受ける。unlóurは否定の直説法と組んで「まだ〜していない」を表す。nebroþalóは霧が少し晴れる一時的現象ではなく、霧が下から這い上がらなくなる季節の区切りを指す。

    éso unlóur þrén fandáres slóura.

    読み:エーソ ウンロール スレーン ファンダーレス スローラ。

    és-ounlóurþrénfandár-esslóura.
    いる-<(重いものが)>まだ段<主格>新入り-<属格>空欄<主格>

    「新入りの身分は、まだ空欄扱いである。」

    空欄の転義。身分・扱いが未確定である状態を指す。主語 þrén が重性なので存在動詞は -o、述語名詞 slóura は軽性の主格のまま。

    dórel, éso unlóur slóvo torárei.

    読み:ドーレル、エーソ ウンロール スローヴォ トラーレイ。

    dórel,és-ounlóurslóvotorár-ei
    明日存在-<(重いものが)>まだ取り置き分<主格>客-<与格>

    「明日の分も、客の取り置き分がまだある。」

    予定者分を示す文。場面の枠として dórel を前に置き、主節では unlóur が動詞の直後に残置を添える。éso は és-o、slóvo は重性単数の主格。

    na mána unlóur brál tambór

    読み:ナ マーナ ウンロール ブラール タンボール

    namán-aunlóurbráltambór
    <〜ない>食べる-<(軽いものが)>まだ父<主格>雑穀<対格>

    「父はまだ雑穀を食べていない。」

    日常の食事の場面。直説法の否定で、na は動詞の直前に置く。brál は人を指すので、動詞は軽性 3 単数 -a で受ける。unlóur は動詞の直後、主語の前に置く。tambór は重性の目的語で、主格と対格が同じ形になる。

    éso unlóur sáko un beilíñoi éles.

    読み:エーソ ウンロール サーコ ウン ベイリーニョイ エーレス。

    és-ounlóursákounbeilíñ-oiél-es
    いる-<(重いものが)>まだ塩<主格>内に懐-<与格><3人称単数・軽性>-<属格>

    「彼の懐には、まだ塩がある。」

    くだけた日常会話。beilíño は「懐」の比喩用法で、物理的な腰袋そのものというより、身につけている少々の備えを表す。un +与格で「〜の中に」。所有者は名詞の後ろの属格 él-es で示す。unlóur は動詞の直後に置く。

    wóla unlóur nourá némes.

    読み:ウォーラ ウンロール ノウラー ネーメス。

    wól-aunlóurnouráném-es.
    迷う-<(軽いものが)>まだ心<主格><私>-<属格>

    「私の心はまだ決めかねている。」

    相談・決断の場で、自分の心中に迷いがあることを述べる言い回し。unlóur は肯定文では「まだ〜している」という意味になり、動詞の直後・主語の前に置く。

    ké na þála unlóur tíula léumes?

    読み:ケー ナ サーラ ウンロール ティーウラ レウメス?

    kénaþál-aunlóurtíulaléum-es?
    <〜か><〜ない>やむ-<(軽いものが)>まだ音<主格>風-<属格>

    「風の音はまだやまないのか?」

    否定の na と「まだ」unlóur を添えた疑問文。見出し語 þál- の基本語形 þál-a を使う。主語 tíula は軽性の単数で、動詞は3人称単数軽性の語尾 -a をとる。属格 léumes が名詞句の後ろに続く。

    na þrakim unlóur sórel.

    読み:ナ スラキン ウンロール ソーレル。

    naþrak-imunlóursórel.
    <〜ない>呆れる-<私が>まだ今日

    「私は今日、まだ呆れていない。」

    くだけた日常会話での一人称の否定文。否定の na は動詞の直前に置き、相の副詞 unlóur は動詞の直後に置く。主語代名詞は人称語尾 -im で省略できる。呆れる義では、実際には舌打ちを出さないで、表情や態度だけを示すことも多い。

    áumel, na þrínim unlóur.

    読み:アウメル、ナ スリーニン ウンロール。

    áumel,naþrín-imunlóur.
    早朝<〜ない>目を覚ます-<私が>まだ

    「早朝、私はまだ目を覚まさない。」

    作業前の静けさを含む早朝。直説法の否定は na、完了していない状態の「まだ」は unlóur。unlóur は動詞の直後に置く。

    brínau unlóur rása si síndra.

    読み:ブリーナウ ウンロール ラーサ シ シンドラ。

    brín-auunlóurrásasisíndra
    ゆるむ-<双数>まだ衣<主格>と帯<主格>

    「衣と帯が、まだゆるんでいる。」

    衣類の手入れや寸法書きのような、記述的な一文。unlóur は動詞の直後に置き、事態が変わる瀬がまだ来ていない「まだ」を示す。brín- の sense 2、つまり布地や帯が使い古されて全体がしまりを失う意味で使う。

  2. まだ(いまも)

    肯定の文で、ある状態や動作が途切れずに続いていることを表す。例:éso unlóur nébro an orénoi「縁の上手にはまだ霧がある」。

    éso unlóur ílmo un kórvoi.

    読み:エーソ ウンロール イルモ ウン コルヴォイ。

    és-ounlóurílmounkórv-oi.
    いる-<(重いものが)>まだ水<主格>内に倉-DAT.

    「倉の中には、まだ水がある。」

    肯定の存在文で、ある状態がまだ続いていることを表す。否定の小辞 na は伴わない。存在・所有の文では、動詞は持ち主ではなく持たれている物 ílmo に一致する。

    séira unlóur toráran.

    読み:セーラ ウンロール トラーラン。

    séir-aunlóurtor-ár-an.
    待つ-<(軽いものが)>まだ来る-<〜する人>-ACC.

    「客をまだ待っている。」

    séir- は他動詞で目的語を要するため、torár は主語ではなく目的語にする。軽性の -ár 名詞の単数対格は -an を取る。動詞 séira の -a は省略された三人称軽性主語の一致である。

解説

「まだ」を表す時の副詞。否定の小辞 na と組んで「まだ〜ない」(予期していたことが、いまの時点にまだ届いていない)を表し、肯定の文では「まだ(いまも)〜している」(ある状態がまだ途切れていない)を表す。高原語では時間を源から流れ下る川と見るので、この語は字義どおりには「(いまはまだ)同じ瀬の内に」の意味になる。川は滝や早瀬で一段落ちるたびに次の瀬に移るが、次の落ちが来るまでは同じ瀬が続く。そこで「事態が変わる落ち目がまだ来ていない」という見方から、「まだ来ない」も「まだ続いている」も一つの語で言い表す。 語形変化はしない。na は動詞の直前、unlóur は動詞のすぐ後ろ(主語の前)に置くのがふつうである:na tóra unlóur senár「目付はまだ来ない」、éso unlóur nébro an orénoi「縁の上手にはまだ霧がある」。完了相の動詞と組むと「まだ〜し終えていない」になる:na léisa unlóur lisár plánan「書記はまだ帳簿を書き終えていない」。文の終わりに回すと「(それが)まだなのだ」と強める言い方になる。 縁の市や帳簿のやりとりでは、精算や荷の下ろしが済んでいないことを言うのによく使い、na ... unlóur, an nébroi「まだだが、霧の前には」のように期限の決まり文句と並べることが多い。改まった言葉で目上の人の行いについて言うときも語形は変わらず、動詞の側に尊敬形を使う(na gloiréla unlóur aulisár「書記の方はまだお越しにならないのでしょう」)。「もう」は dóulin で言う。日本語話者には「ウンロール」と聞こえ、lóur「瀬」と同じ響きが入っていることに気づきにくい。

文法

不変化の副詞。強勢は lóur の部分にあり、un- は無強勢で後ろに寄りかかる。na と組むと「まだ〜ない」。位置は動詞の直後が基本(na+動詞+unlóur+主語…)で、文末に置くと強調になる。語末が子音なので、くだけた話し方の語末母音の脱落の影響を受けない。

語源

前置詞 un「〜の内に」+ lóur「瀬」。もとは句 *un lóuroi「瀬の内に」(与格)で、副詞として固まるときに格語尾が落ちた(an pó・du pó のように前置詞句が決まった言い方で固まったのと同じ成り立ち)。古い詩や系譜の唱えでは、ばらした形 un lóuroi がいまも「まだ同じ流れのうちに」の意味で使われることがある。

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